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穢れ無き聖なる霊

ビットの更に端にその建物は建っていた。

農地との境目に、ビットには珍しく,2階建ての建物だ。

僕達は、エルフの女の子の後を付いて、中に入らせて貰った。

エルフの老婆は、名をデメテラと言った。彼女は年齢が890歳。祝福なしにしては長命だ。

「デメテラ、お客さんを連れてきた。」

「おや、ユミアまた来たのかい。仕事は終わったのかい」

「または無いでしょ。お・きゃ・く・さま・聞こえた?」

「聞こえてるよ。全く,年寄り扱いしないでおくれ。」

彼女はとても年取って見えた。エルフは年を取ってもずっと綺麗なままだと勝手に思っていた。でも,考えてみれば,890歳なのだ。何時亡くなっても良いくらいの年寄りだ。


僕達を見た彼女は大きく目を見開いた。彼女は人族を知っているのだ。そこで僕は、

「デメテラさん。初めまして。僕は人族のカムイと言います。少し、お話を伺いたくて此方に来させて貰いました。」

「何を聞きたい?」

「800年前に起きた人族との戦いについてです。」「ヌポっ!」

「おおっ。大いなる精霊の使い。」

「「へ?」」僕達は,この老婆はもう、ぼけて仕舞っていると思った。突然の叫び声にエルフの女の子のユミアさんもビックリして声も出ない。

        ☆

僕達はそれから無事にデメテラさんの話を聞くことが出来た。

彼女は昔精霊樹の加護、今で言う,祝福を貰ったそうだ。

その当時精霊王が誕生した。其れまでは『穢れ無き聖なる霊』がこの国に君臨していたが,あっという間に精霊王に取って代わられてしまった。

デメテラさんは精霊王に加護を奪われて仕舞ったのだそうだ。精霊王に反抗した多くの加護持ちが王に加護を奪われた。そして、今まで何事も無く平穏に暮らしていたこの国は、他の国に圧政を敷き始めた。

それに対抗して人族の国が、反撃し始めた。

其れが800年前の災害のきっかけだった。と、デメテラさんは話し終わった。


僕は、獣人族の語り部達のすごさに脱帽した。殆ど語り部は語っていたのだ。だが、こうして実際の話を聞くまでは、こうして照らし合わせて見るまでは、お伽噺のように感じていたのだ。

では実際、魔物は、そしてダンジョンは元から在った物なのか、災害の影響なのか。

語り部の言う通りエルフ達が人族の国に汚れを返した結果なのか。それとも歴史書にあったとおり精霊王の仕業なのか。デメテラさんは黙って首を横に振った。


これ以上は知らないと言うことなのだろう。

僕達はお礼にと、木の実を二人のエルフに差し上げその場を辞した。

僕達が帰るまで、ヌポポとデメテラさんはじっと見つめ合っていた。

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