クリア報酬2
「空き教室の鍵だよ。4階の一番端の。中山さん、部活のことで相談してくれてたでしょう? この鍵がその答えだよ」
中山は鍵と一緒に差し出されたペーパーを見て、何かを理解した表情になり、俺に告げた。
「というわけで重岡くん。協力してくれるかな?」
というわけとはどういうわけなのか。そして何に協力しろという話なのか。まずそれを聞かせてくれ。
俺の声なき声に呼応して、中山は話を続けた。
「ほら、部活に所属したら内申点が有利になるって話だよ。先日のオリエンテーション合宿で言われたでしょう?」
確かにそんな話は聞いた。だがそれが何だと言うのか。
「今回のように仕事をお願いすることは今後もあると思うの。だから、私からの仕事を受注するための団体を作って、それを部活だと言い張るのはどう? という提案。ゲームのクエストと同じような話だと考えてくれたらいいよ。どうかな?」
なるほど。旭ケ丘先生による補足を聞いて、ようやく話が分かった。要は雑用係を引き受けるための部活を設立してくれないかという依頼だ。
さて。引き受けるか否かを決める上で一にも二にも大事なことは、対価として何が得られるかだ。
まず内申点。これは魅力的だ。進路を考える時期になって、興味が湧いた進路がたまたま、偏差値が必要な進学先・就職先だった場合に、内申点は武器になる。
次に人脈。これも魅力的だと言えるだろう。入学して間もない今の時期、いざという時に物事を頼める関係の人間が出来るのは頼もしい。中山は美少女だし。
だが正直、この二つにはあまりワクワクしていない。三つめの対価があまりにもデカいからだ。
三つめの対価。ーートレインビュー。