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第2章:仕事での会議と昇進(続き)

朝の光がカーテン越しに差し込み、部屋を薄い金色に染める中、俺は目を覚ます。昨日の達成感と新たな決意が心を満たし、今日という日が楽しみになっていた。急いで身支度を整え、いつもの駅へと向かうが、足取りは昨日までのような重さがなく、むしろ期待に満ちた軽さを感じる。


電車に乗り込むと、あの4人の女子高生たちがいつもの場所でおしゃべりをしている。楽しそうに笑い合う姿が目に入るが、今日は俺も自分の考え事に夢中で、彼女たちの会話に気を向ける余裕はない。けれど、ふとツインテールの子が前に話していた男の子との進展がどうなったのか、少し気になったりもする。


会社に着くと、昨日の会議で感じたエネルギーがまだ残っているのか、オフィス全体が活気づいていた。俺は新しいデスクに向かう。広くて綺麗で、機能的なスペースだ。デスクの上には、新しいプロジェクトに関する書類がすでに山積みされている。


しばらくして、タカシさんが笑顔で俺のオフィスに入ってきた。「佐藤さん、準備はできてるか?今回のプロジェクト、かなり面白いぞ。タイトルは『ウィスパリング・ハーツ』。大学で再会した幼馴染同士のラブストーリーだ。」


そう言って、彼は分厚いファイルをデスクに置いた。「感情の深みがあって、キャラクターも複雑にしたい。そしてもちろん、大人向けのシーンも、自然に、かつ違和感なく挿入する必要がある。」


ファイルをめくりながら、イラストやシナリオに目を通す。「良さそうですね、タカシさん。すぐにでも始めたいです。」


「お前のセンスを信じてるぞ、佐藤さん。このプロジェクトはお前にかかってる。そして、チームの力を引き出してくれ。みんなで作り上げることが一番大事だからな。」


タカシさんが去った後、俺はすぐに仕事に取り掛かる。まずはプロジェクト全体の計画を立て、ダイアログや選択肢、グラフィック、ストーリーシーンが完璧になるように進める。午前中は、キャラクターの初期デザインを確認し、グラフィック担当と打ち合わせをして、メインキャラクターである愛子と遼のデザインを微調整する。


愛子は、優しい表情と長い黒髪が特徴的で、その大きな瞳は夢と不安を抱えた少女を見事に表現している。遼は、少し乱れた茶髪に、どこか真面目で温かみのある雰囲気を持った青年として描かれている。二人の関係性がプレイヤーの心に響くことが、このプロジェクトの鍵だ。


午後、ミキさんが新しいキャラクターデザインを持ってきた。「佐藤さん、サブキャラのデザインが仕上がりました。最終チェックをお願いします。」


俺はイラストを受け取り、じっくりと目を通す。「素晴らしいね、ミキさん。少し表情を調整した方が良いキャラもいるけど、全体的にはすごくいい感じだ。」


二人でキャラの細部を調整しながら、アイディアを出し合っていく。このプロジェクトは一つの大きな絵画を完成させるように、みんなで少しずつ色を足していくような感覚だ。


一日の終わり、俺は満足感と心地よい疲労感を抱えながら帰路についた。今回のプロジェクトは大きな挑戦だけど、それが自分の成長とチームの成功に繋がると確信している。


それからの日々も、会議、議論、そしてクリエイティブな作業が続いていく。プロジェクトは着実に進展し、各メンバーの力が結集して、少しずつ形になっていく。


ある日、コーヒーブレイク中にじゅんさんが話しかけてきた。「佐藤さん、新しい役職はどうだ?プレッシャーで押しつぶされそうじゃないか?」


俺は微笑んでコーヒーを一口飲む。「もちろんプレッシャーはあるけど、それ以上にやりがいを感じてるよ。プロジェクトが形になっていく過程を見て、自分がその一部であると実感するのは、すごく嬉しいことだ。」


じゅんさんは頷きながら、「お前の頑張りはみんな見てるぞ。この調子で行けば、このゲームは大ヒット間違いなしだな。」と応援してくれた。


週が経つにつれ、プロジェクトの輪郭がはっきりしていく。ダイアログが磨かれ、選択肢のテストが行われ、グラフィックシーンも完璧に仕上げられていく。夜遅くまで作業が続くことも多いが、何か特別なものを作り上げているという思いが、みんなを支えている。


そんなある夜、家に帰る途中、電車の中で見かけた女子高生のことを思い出した。彼女の恋愛の悩みは俺には無縁のように見えるけど、どこかで共感する部分もある気がする。『ウィスパリング・ハーツ』に取り組むことで、俺自身が忘れていた感情や経験を再び感じられるようになった。やっぱり、恋愛の物語には特別な力があるんだ。

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