学園の文化祭で「占いの館」に入り、前世を想い出した私は、弟子になった魔術師となぜか5年後に結ばれました
タイトル長め。
本文は短め。
唐突に想い出した。
それは学園の文化祭の日だった。
魔術科の上級生が「占いの館」という催をやっている。
――へえ。コッチでも文化祭あるのね。しかも占いとは。
脳内に、ふと過る声。
え、コッチって何?
そう思いながら、何故か「館」に入る。
薄暗い中、一人の魔術科男子が、女生徒の鑑定をしていた。
飾ってある水晶玉を見た瞬間、前世が蘇った。
「何歳で結婚できますか?」
女生徒の質問に、占い師役の生徒は、女性の小指の下を見ながら答える。
「そうですねえ、結婚線が三本あるので、平均よりは遅いかな」
うわあ……。
思いきり間違っとる!
結婚線だけじゃ、結婚年齢は分からんよ。
生命線でしょ、重要なのは!
「じゃあ、早く結婚するにはどうしたら良いの?」
「そうですねえ、結婚運を高める方位は東南なので、ニャンコロ島あたりへ旅行するとか」
ちょっ!
マテマテ!
確かに東南が吉方なら、結婚運上昇するけど、今年東南方位は暗剣殺だぞ!
暗剣殺って、暗闇から刃が出て、ブスっと刺されるって意味だぞ。
大丈夫か、コイツ。
魔術科なら、火を出してお手玉曲芸でもいいじゃん。
「どんな男性と相性良いの?」
「あなたが蟹座生まれだから、蠍座とか魚座」
「ちょっと待ったあああ!」
気付いたら私は大声を上げていた。
雑誌に載ってるような、そんな杜撰な占い、いくら文化祭でもやっちゃダメでしょ!
「相性だけなら生まれ星座だけで良いけど、結婚相性は木星で見るもんだ」
「君、いや、あなたは一体……」
占い師の男子が顔を上げる。銀髪で目の覚めるような美形だ。
魔術科の天才児、デビオンか。
「私は家政科二年のミズリー」
「占い、詳しいですね」
「え? まあ」
そりゃあ、私の前世は、江戸から続く古占学、水野流宗家跡取だったもの。
「教えてもらえば? デビ」
鑑定受けてた女子が言う。
なんと、客かと思えば、彼女はサクラだった。
毎年文化祭で占いをやっているが、当たらないと言われ、年々客も減り、魔術科でも困っていたそうだ。
じゃあ。
止めればいいのに。
「簡単なものなら、教えても良いけど」
「本当ですか! 是非!」
かくして私は、デビオンや占いを知りたい連中に、鑑定のイロハから教えることとなった。
彼らは私を「師匠」と呼ぶ。
なんか、前世と変わらん。
「師匠!」
今日もまた、私を見かけたデビオンが駆けて来る。
私とて、美形の男子に懐かれるのは、それなりに嬉しい。
が。
五年後に、まさか彼が私の夫になるなんて、占いに出てはいなかったよ。
水野南北とは。
江戸時代、人相とか手相とかを極めた人。元は暴れん坊で、捕まり牢屋に入れられた。そこで運命学みたいなものに目覚めた御方。
2024年の運勢的なお話、近日公開予定。あくまで高取解釈ですが。
お読み下さいまして、ありがとうございました!!