最終章 最終話 コネクト
漆黒のアルナイルはガイアの斬撃を躱し、再び斬りかかる、ガイアの言葉を聞き漆黒のアルナイルが言った。
「何を見せたいのよ!
全てを奪われた私達に
何を見せたいって言うのよっ‼︎‼︎」
「星海人と星の生き物がっ!
仲良く暮らせる星海をだっ‼︎‼︎」
「ばっかじゃないのっ!
私達は星海人に
アル・スハイルに
あいつに殺されたのよっ!
あいつが作ったものなんてっ
見たくないわっ‼︎‼︎」
「じゃあっ‼︎
あいつが死ねばいいのかっ!
違うだろっ‼︎
あいつが居なくなったって
星海人と星の生き物が争う限り
第二第三のアル・スハイルが現れるっ!
永遠におわらねぇんだよっ‼︎‼︎」
ガイアはベガであった時に星海を飛び回り、アトリアロフとは全く関係ない場所でも星海人の街が襲われていたのを何度か救っていた。
星海は広くなり過ぎ、大大星メビウスの意思だけでは統率出来なくなっていたのだ、ガイアはそれを漆黒のアルナイルに訴えていた。
「だから?」
漆黒のアルナイルが言った。
「おまえ……」
ガイアが漆黒のアルナイルの斬撃を躱して言う。
「ぜぇぇぇぇんぶ
無くなっちゃえば誰も死なない
それと……」
漆黒のアルナイルが素早くガイアの背後に回り込み言った。
「私達の怨みも晴らせるじゃないっ!
アル・スハイルの
守って来た物もっ‼︎‼︎
大切な物もっ‼︎‼︎
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部っ‼︎
あいつのお母さんの体で……
奪ってあげるわっ‼︎‼︎」
ガイアはそれを聞いて感じた、本当ならアル・スハイルがこの怨念と化した意思と筈だと、だがアル・スハイルは既にぼろぼろで戦う事も出来ない、そしてふと漆黒のアルナイルの斬撃を躱した時に、気絶したままサラスに抱き抱えられていたはずなのに、意識を取り戻したのか、サーベルを杖にして何とか立ちガイアを見ていた。
(あぁ解ってる……)
ガイアはアル・スハイルのぼろぼろな姿を見てそう心で呟いた。
「なんとしても
なんとしても……
その剣を折るのじゃっ‼︎」
アル・スハイルが大きな声でガイアに言った。
「……」
ステラはサーベルをガイアに向けてガイアが呼吸した空気の一部を、ダークマターに変換し続けている。
(まったく
厄介なものを溜め込んでいたものじゃな
どうしてくれようか……)
紫はそう考えていた、多くの星の中で紫の誓いの星は大大星と同じ様に戸惑う事なく堂々としている。
(紫ね……
そのままだけど
貴女は気に入ってるようね
その色に見合う力を
私に見せてくれるかしら)
メビウスはそう期待を寄せステラの横にいる紫を見ていた。
ガイアは銀色の羽を飛ばし、漆黒のアルナイルを牽制している、それでも素早く星海の闇に紛れ漆黒のアルナイルはふっと現れその剣でガイアに襲いかかって来る。
「おかあ…さま……」
赤が姿を表しメビウスに聞いた。
「なに?」
メビウスが聞く。
「どうやってお姉様は……
普段と変わらない変換を
使ってるのですか?
ダークマターが限られていて
私はいつもの様に使えないのに……」
赤は気付いていた、紫は遮断されているはずのダークマターを使いステラがガイアをサポートする為に変換を使い、ガイアがダークマターを使える様にしているのだ。
「後で紫から聞きなさい
あなたには教えてくれるはずよ」
メビウスはそう赤に言ったがメビウスは知っていた、紫の誓いの星が何故、一部でも大大星を超える力を持つか、それがステラに秘密がある事に気付いていた。
(ふっ……
機会は一度しかなかろう……
ガイアがその機会を作り出すのか
あの亡者どもが
その隙を見せるのか
どちらでも良いが
大大星スピカ
そなたには応えてやらねばな……)
紫の星は鼻で小さく笑いそう小さく呟いた。
「紫……
来てくれてありがとう
本当にありがとう……」
ステラがガイアをサポートしながら言った。
「そなたらしいな
昔のそなたの方が
妾には魅力的であった
人とはそんなにも
か弱い者なのか?」
紫が聞いた。
「そうかもね
星海人だった時には
気付かなかったことが
沢山あるよ……
短い時間の中でね
沢山のことがあって
大切な時間と
嫌な時間がハッキリしてて
星海人だった時も
同じだったかも知れない
でもね……」
ステラがそう話している時にガイアが漆黒のアルナイルの斬撃を躱しきれず、その左腕を切られるが、直ぐに砂が吹き出し無傷になる。
ガイアは何時迄もそれで凌げる訳では無い、ここはサラスが作り出した星海に浮かぶ大地で星では無いからだ、無限に近い大地の力を操れる訳で無かった。
だがガイアは焦らずに言った。
「ハダルの時も散々お前に
迷惑かけたからな
こんくらいやられても
まぁ仕方ねぇよな……
なぁ覚えてるか?」
ガイアが聞いた。
漆黒のアルナイルはガイアの言葉を無視して斬りかかり、黒いオーラから光線を放ちガイアを攻め立てている。
「お前とハダルの時に
初めて出会った時さ……
やっと会えたって
すげー嬉しそうだったじゃん」
アル・スハイルはその言葉を離れていても、その口の動きで読み取っていた、それはステラには聞こえているはずだったが、アル・スハイルは静かに聞いていた。
ステラにとっては聞きたく無い話に思えたが、アル・スハイルはアル・ムーリフがそれで傷付いても、決して諦めないと解っていたのた。
「あん時にさ
俺の記憶を軽くいじったろ?
俺の妹になるためにさ……」
ガイアが言った、ステラは普通なら許せないことであるが、静かにガイアをサポートしたまま聞いている。
変わらず漆黒のアルナイルはガイアを攻め立てている、時折りガイアの振る白銀が漆黒のアルナイルを斬り、その傷口から漆黒のアルナイルを乗っ取った亡者達はアルナイルの温もりを感じていた。
「お前さ我慢してたんだよな?
あん時にさ生き別れてから
ずっと俺を見てて
それでも俺とアル・ムーリフを
合わせるためにさ
ずっと我慢してたんだろ?」
ガイアはベガの記憶から今までを全て繋げ、考えられることを聞いていた。
それをステラが引っ張ったのだ、ガイアとして生まれ変わり、ステラとガイアの関係に遠慮していたアルナイルを、ステラが引っ張って今の関係になっていたのもガイアは気付いていた。
「なにをぶつぶつ言ってるの?
あんたがしぶといのは解ったけど
余裕をぶちかますのやめてくれない?」
漆黒のアルナイルの体を乗っ取った者が言った。
「いいじゃねぇか
最後かもしれねぇんだからよ
アルナイル…お前さ……
星海と自分どっちが大切なんだよ」
ガイアがそう聞いた時、ふっと遠くで光星の光が消えたが、それに誰も気付かなかった。
「来たか……
輝く一星アルナイル……」
紫が言った。
「え……」
ステラが声を漏らした時、凄まじい光が漆黒のアルナイルの剣から放たれた。
「そうだっアルナイルッ!
お前が何をしたいのか
みんなに言ってみろっ‼︎‼︎」
ガイアが叫んだ、その剣から放たれた光の余の眩しさに漆黒のアルナイルはガイアを攻め立ててたその手を止めた。
「やめてっ!
もう戦わないでっ‼︎‼︎」
その輝きからその声が響いた、それはアルナイルの声だった。
「スピカ……」
メビウスが呟いた。
「勝手なものだな
おぬしが巻いた種であろう……」
紫は小さく笑って言ったがすぐに姿を消した。
「紫……」
ステラが紫の言った言葉に重さを感じていた、紫は呆れて言ったのでは無かった。
そしてステラの背後で紫色に輝く星になり輝き出した。
漆黒のアルナイルが持つ剣にヒビが入り、強烈な光を放つ、その眩しさにアル・スハイルは違和感を覚え引き寄せられるように振り返った時、その瞳にある星が写った。
ハダルの星が姿を表していた。
光星アルナイルに包まれていた、ハダルの星が何十億年ぶりにその姿を表した。
「アルナイル
ようやくその気になったか……」
アル・スハイルが呟いた、アルナイルは分けていた力を呼び戻したのだ。
(あなたの想いは解ります……)
漆黒のアルナイルの頭に、アルナイルの優しい言葉が響く。
「なに……
何をわかるって言うのよっ⁉︎⁉︎」
漆黒のアルナイルが大きな声で叫ぶ。
(全てを奪われてしまった
その悲しみも苦しさも
全部全部わたしは知っています……)
アルナイルが寄り添うように話している。
「ふざけないでよっ
あんたのせいでしょっ‼︎‼︎
あんたはなんにも知らないわっ‼︎
私達の悔しさも憎しみもっ‼︎
なんにも知らないのよっ‼︎‼︎‼︎」
漆黒のアルナイルはそう騒ぎ剣を振り回している、まるで見えないアルナイルを斬りつけようとしている様に。
(わたしは知っていますよ
だって私達は……
ずっと一緒にいたじゃないですか)
アルナイルの声がそう聞こえた時、漆黒のアルナイルの持つ、漆黒の剣にヒビが入り一瞬で砕け散った。
漆黒のアルナイルは戸惑った、その漆黒の剣の中から現れた大大星スピカの剣は、今までにない程美しく七色に輝いていた。
「なっなにこの剣は……」
漆黒のアルナイルが言った、その剣からは温もりがあふれ、漆黒のアルナイルを包み込んでいく。
(あなたは
ひとりじゃありません
わたしがいつも
いっしょにいます
こわがらないで……
ずっといっしょだから)
アルナイルの言葉が漆黒のアルナイルの全身に響き渡り、漆黒のアルナイルが叫んだ。
「うそだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎」
漆黒のアルナイルは取り乱している、優しいアルナイルの言葉を信じられ無かった。
漆黒のアルナイルは漆黒のオーラでスピカの剣を再び包み込もうとするが、七色の輝きがそれを遮り、包み込むことができない。
ガイアが折れてしまった方のスピカの剣を持ち、静かに静かに言った。
「眠れぬ魂達
眠らなくてもいい
だが徒花を咲かせよ
咲かせ続けよ……」
すると銀色に輝く刃がその剣から現れ、ガイアは走りその刃で斬りかかった。
「アルナイルッ!」
ガイアがアルナイルを呼んだ時、スピカの剣が自ら意思だろうか、七色の輝きが強まり漆黒のアルナイルの目からガイアの姿を隠した。
そしてガイアがその剣を振り下ろそうとした時、漆黒のアルナイルの意識を残して時が止まった。
「そこまでじゃっ‼︎‼︎」
紫が大きな声で言った。
「なんで……」
漆黒のアルナイルが呟く体は口元しか動かない、漆黒のアルナイルを巻き込み時を止めたと言う事は、紫の力が大大星スピカの力を上回った事を意味する、それと同時になぜ助けたのかを漆黒のアルナイルは聞いた。
ステラが止まった時の中を歩み寄り、ガイアが持つスピカの剣を奪った。
「どうせ死なぬのじゃ
味わうが良い
そして知るが良いっ‼︎‼︎」
紫はステラの体を使い、その剣で漆黒のアルナイルの体を突き刺した。
「ぐぁ……
なんで…この剣も……」
漆黒のアルナイルは痛みを感じなかった、だがそれと同時に、様々な記憶が漆黒のアルナイルを乗っ取った亡者に流れ込んだ。
それはアルタイルの記憶であった、アルタイルはその剣を持ち続けていた、自由に星海を飛び回り様々な所を訪れている記憶であった。
「そなた達は
一人では無かった
アルタイルと共に
旅を続けていたのじゃ
そなた達が命を奪われたとしても
美しく瞬き続ける星海を
そなた達が知らない世界を
見るために
そなた達は
アルタイルと共に
旅を続けていたのじゃ……」
ステラがアル・ムーリフとして、紫の星が気付いた事を伝えていた。
漆黒のアルナイルを乗っ取った亡者は、星海を見ていた、記憶の中の星海の美しさを目の当たりにしていた。
「アルナイル
あやつは優し過ぎる……
今でも
そなた達を消そうとせぬ」
ステラがそう言い剣を抜きガイアに剣を再び持たせながら言い続ける。
「アルナイルが
スピカが……
そなた達も
星海の一部だと
そう想い旅立たせたことに
大大星として
星の女王として
そなた達を自らの子の様に想い
美しく広大な星海に
旅立たせたことに
気付いてくれぬか?」
漆黒のアルナイルはその言葉をステラが言ったのか、紫の星が言ったのか解らなかっただが次の言葉で誰が言ったのか気付いた。
「妾にはまだ見えるのじゃ
そなたが
また旅を続けて行く姿が
いい加減にせぬと
その未来も
無くなってしまうではないか」
ステラが優しく微笑んで言ったが、ステラではなかった、いつの間にか紫が言っていたのだ。
「さて…時が動くな……」
ステラがそう言い、何も無かったことにしようとしているのか離れて行く。
「まって!
なんでメビウスより
時を……」
漆黒のアルナイルを奪った亡者が聞いた、彼らは漆黒のアルナイルの体から、多くの星々がどれくらいの力を持っているのか知っていた。
だが紫の誓いの星が見せた力はそれを遥かに上回っていたのだ。
「妾は今この時じゃ……
このステラは今と言う一瞬を
大切にしておる
自らの体から魂だけ抜け出し
姉を助けに
行こうとする程に
今しかないその時を大切にしておる
妾は過去から繋がり
今となりそして未来に繋ぐ者じゃ
それ故だろう……
未来に繋げようとする
ステラとは相性が良いのだ
まぁ……
命が長過ぎる星海人には
考えられぬ事であろうな……」
そう紫はそう言い元いた場所に立ち、振り返り静かに言った。
「見せてみよ
そちはどの様に
未来へ繋げるのだ……」
そして時が動きだす。
(だから……
あなたは私をそう呼んだの……)
漆黒のアルナイルを乗っ取った者は、スピカの剣を一瞬だけ見てそう思った。
そして襲いかかってくるガイアの斬撃を躱し、僅かに離れガイアにスピカの向けて言った。
「私はコネクト!
かかって来なさいっ‼︎‼︎」
その言葉からは怨みや憎しみは一切感じなかった、まるでさっきとは別人の様にコネクトは言った。
(コネクト……
良い名ではないか)
紫がステラの中で言う。
「そうね」
ステラが微笑んで言った。
「上等じゃねぇかっ!」
ガイアが笑顔で大きな声で言った。
まるで今まで憎しみで溢れていたコネクトが、付き物が取れた様に変わったからだ。
そしてガイアは飛びかった、ガイアは気付いていた、今の一瞬でステラが紫が何かをした事に、それはその持っている折れたスピカの剣から、ステラが握っていたその手の温もりが伝わってくるのだ、ステラの思いも強く強くガイアに伝わって来る。
コネクトは七色に輝くスピカの剣を漆黒のオーラで包み込もうとするのをやめた。
ガイアは力一杯に形もなく全力で斬りかかる、コネクトも全力でガイアの剣を受け止めようと剣を振った。
ガイアの持つスピカの剣と、コネクトが持つスピカの剣が交わった時。
一瞬だが凄まじい光が放たれた。
その光はガイア達の戦う大地を囲むダークマターを遮断していた者達に、様々な色の輝きとして目に映った。
二人は剣を交え力比べをする様に押し合っている。
「コネクト
いい顔してんじゃねぇかっ‼︎」
ガイアが言った。
「ふんっ‼︎
人間の分際でこの私に
偉そうに言わないでくれるっ⁉︎⁉︎」
コネクトはそう答えた。
「気に入ってんだろ?
アルナイルからもらった名前をっ‼︎」
ガイアが言った。
コネクトはそれを聞いてハッとした様な表情を見せたが、直ぐにガイアを睨んで言った。
「あなたの力って
そんなものなのっ⁉︎⁉︎」
コネクトが言いガイアを押し返し、一瞬で力を爆発させガイアを弾き飛ばした。
「そんなんじゃ……
任せられないじゃない……」
コネクトが呟き、その唇の動きでアル・スハイルがコネクトの気持ちを悟った。
「何をだよ……」
ガイアが言い剣を向けた時声が聞こえた。
「そやつは自らが
再び憎しみに染まった時
お主が……
いや…我らが止められるかを
試しておるのじゃ……」
アル・スハイルがそう言いゆっくりと歩いて来た、身体中の傷はやっと動ける程に癒された様だが、まだ手負であるのは変わりない。
だがアル・スハイルは再びコネクトにサーベルを向けて言った。
「見せてくれようっ!
我らの力をっ‼︎‼︎
そなたをその様に変えてしまった
我がっ!
それを示さねば
そなたは眠れまいっ‼︎」
アル・スハイルはコネクトの気持ちを叫び斬りかかった。
「やっと元気になったか
まぁ……
それなら遠慮はいらねぇっ‼︎‼︎」
ガイアが言い二人同時でコネクトに襲いかかった。
二人の連携は隙が無く、息がピッタリとあいコネクトと互角に渡り合う。
その様子を見ていたサラスが言う。
「わしらは
手を貸さなくて良いのかメビウス?」
「あの子達に任せましょう
あなたもこの大地を維持するのに
精一杯なんでしょ?
私もダークマターが無いから
邪魔になるだけよ」
メビウスが言った、ダークマターが限りなく少ない環境の中ではメビウスは力を全く使えないでいた、そしてサラスは自ら作り出した大地に捕らえていたダークマターを使い、大地を維持しているのが精一杯で戦えずにいたのだ。
「わしらの時代も
ようやく終わるな」
サラスが微笑んで言った。
「まだ終わらないわ……」
メビウスが言いサラスが穏やかに言った。
「メビウスまだ何かあるのかな?」
「大ありよ
あの子達がまだ知らないことが
沢山あるじゃない
それにあのコネクトって子も
私達がちゃんと見てあげないと……」
メビウスが言った、二人はガイアとアル・スハイルが戦っているコネクトを見ている。
「その優しさを
そなたは赤と紫に
なぜ注いでやらなかったのかな?」
サラスが聞いた、サラスはステラを自らの娘として親としての愛情を注いでいた、その為にメビウスが赤と紫に厳しく接したことを不思議に思っていた。
「私の子だからよ……
大大星の子だからって言って
変な子になって欲しくなかったのよ
あなたも変なことを聞くわね」
メビウスがそう言い、サラスは微笑んでアル・スハイルとステラの側にいる赤と紫を見て言った。
「そう言うことか……
だがそれももう良いのでは?」
サラスの言葉を聞いてメビウスは優しく微笑んでいた。
(アルナイルさん
聞いてくれる?
一つだけ貴女に本当に
謝らないといけないことがあるの……)
コネクトがその手に持つスピカの剣に想いを乗せて、ガイアの剣を弾き、アル・スハイルのサーベルを受け止めていた。
スピカの剣は優しく輝き、まるでそれを聞こうとした。
(私はあなたの大切なものを
一つ食べてしまいました
本当にごめんなさい……)
スピカの剣はそれを聞いて答えるかの様にふわっとした温もりを、コネクトの手を通してその意思に伝えた。
(だいじょうぶ
何も気にしないでいいよ
私はあなたの側にいるから
ずっとずっと
あなたの側にいて
あなたを守ってあげる
だから寂しくなんかないんだよ
だから怯えないで……)
スピカは星海の様に広い心でコネクトを許した、そしてコネクトは心に決め、その身体に残る残りわずかなダークマターを使い、背後に黒いオーラを生み出した。
そのオーラの中心が光り輝く。
「ガイアッ気を付けろ‼︎」
アル・スハイルがコネクトがあの光線使うと知りガイアに叫んだ。
ガイアは身構えるがそこに素早くステラが走り込み、二人で背中を合わせてコネクトに剣を向けた。
その時そのオーラからあの光線が放たれる。
「ガイアッ!」
ステラが叫びガイアが答えた。
「あぁっ!」
ガイアはその手に持つ折れたスピカの剣から放たれる光の剣を一気に伸ばした。
その切先はその光線を貫いて行くが、それは光線の一点にしか過ぎない、その光線の周りはガイアを飲み込もうとしステラの持つサーベルに触れた時、一瞬でガイアとステラを飲み込もうとした部分が変換され、ガイアの持つスピカの剣に流れ込んだ。
そしてその切先を受け止める様に、コネクトは七色に輝くスピカの剣で受け止めた。
アル・スハイルは気付いた、コネクトが隙だらけであると、ガイアとステラに気を引かれアル・スハイルを警戒してないと。
だがこれがわざと誘っているのではとも一瞬で考えたが、アル・スハイルは迷わなかった。
(逃さぬっ‼︎‼︎)
アル・スハイルはサーベルをコネクトに向けて叫んだ。
「赤っ!白っ!」
そして背後で輝く赤い星と白い星から深紅の光線と、真白な光線が放たれる。
アル・スハイルは誓いを果たす時と感じ全力で走り出した。
今までに走った事がない程に、アル・スハイルは力強く速く走っていた、まだ傷が残り全身の至るところから稲妻の様な痛みが走るその身体でアル・スハイルは走っていた。
赤はアル・スハイルを止めようとしなかった、その何人たりとも譲らない強い意志を感じていた。
「赤っ!無茶ですっ
アル・スハイルを止めなさいっ‼︎‼︎」
シーリスが赤に向かって、ダークマターを遮断している遠く離れた場所から叫んだ。
アル・スハイルの癒え始めた全身の骨にヒビが再び入り始める、だが赤はそれを癒しながらアル・スハイルを支えていた。
誰もが星を最大に輝かせていた、星海で多くの者が初めて協力している、メビウスの星の者達もアル・スハイルに手を貸すと言うことをシーリスから聞かされた時は、全ての者が戸惑った、だが多くの者が、漆黒の星、星の女王の変わり果てた姿を観測し考えを変えた。
そしてアル・スハイルと敵対していたハダル一派も、勝利に導き続けたヴィーナスが、命をかけてアトリアロフを守ろうとした姿を見て、協力をしてくれている。
アルデバランの手下達も変わったアル・スハイルを見て、半信半疑でも協力し自らの街や星海を守ろうとする姿を観測し、今では本心から協力し、全ての者が輝きを放ち星海を守ろうとしている。
今宵の星海は一点に闇があるものの、星海が生まれてから最も美しく輝いていた。
コネクトがアル・スハイルの放った光線をその身に受け、ガイアの放った突きを躱し深紅に輝くアル・スハイルの斬撃を受け止めようとした。
その時、コネクトが放った光線が止まった瞬間、なんとガイアとステラがもう目の前に迫っていた、二人は光線の中を紫の力で変換しつつ距離を詰めていたのだ。
ガイアとステラが剣を振りかざしている、アル・スハイルの斬撃も迫るが、コネクトは微笑んだ。
コネクトは三人の姿を見て一瞬だか優しく微笑んでいた、そしてその手に持つ七色に輝くスピカの剣を振った。
三人の斬撃は、コネクトが持つスピカの剣に、僅かに吸い寄せられる、その時三人とも妙にゆっくりと時の流れを感じていた。
(こやつっ!)
アル・スハイルは何かに気付いた。
(コネクトっ!)
ステラもそれに気付いていた。
コネクトがスピカの剣の一点から重力を生み出し、三人の斬撃をそこに集中させていたのだ。
「アルナイルッ‼︎‼︎」
ガイアはコネクトが自らの意思で、消えようとしていることに気付き叫んだ。
コネクトも全力でスピカの剣を振っている。
(これくらいしなきゃ……)
コネクトはスピカの剣の強さを知っていた、アルタイルの持っていたスピカの剣も凄まじい強度を誇っていた、だが内側からコネクトは喰らう様にスピカの剣を劣化させていたのだ。
だが今持つスピカの剣はアルナイルの、スピカの意思そのものであり、劣化などしていない、この剣を折るには巨星に等しい三人の力が一点に集まる必要がある。
コネクトは自らが居ない未来へ繋げようとしていたのだ。
そして全く同じタイミングで、三人の剣はコネクトの持つスピカの剣へ届いた。
ガイアの銀色に輝く剣。
ステラの紫色に輝く剣。
アル・スハイルの深紅に輝く剣。
それぞれの剣が交わり凄まじい力となった斬撃をコネクトはスピカの剣で受け止めた。
必死に踏み止まるコネクトは顔を歪めながらも、精一杯に微笑んだ、そして背後のブラックホールに飲み込む様な重力を発生させた瞬間。
コネクトが持つスピカの剣が砕け散った。
一瞬で七色の輝きが溢れ、星海中に飛び散る様に放たれ、誰もが目を疑う様な美しさが包み込んで行き、真っ白な光がコネクトを包み込んだ。
その瞬間、漆黒のアルナイルの背中から溶け出る様に、真っ黒なローブを纏った少女が現れブラックホールに引き寄せられて行く。
それはコネクトであった。
(ほぅ……)
紫がステラの中で声を漏らす。
「チッ!」
ガイアは舌打ちをしてすかさず剣を捨て、コネクトを助けようとしその手を掴もうとした。
「クソッ!」
ガイアが言った、手が届きそうになったが、間に合わなかったのだ。
コネクトは微笑みながらブラックホールに飲まれて行くが、白い光がスッと伸びてその光がコネクトの手を掴んだ。
「なんでっ!」
コネクトが思ってもいなかったことに
それはアルナイルだった、純白のローブを纏い白く輝くアルナイルがコネクトの手を掴んでいた。
「だめだよ……
いなくなっちゃダメだよっ‼︎」
紛れもない優しいアルナイルがコネクトを助けようとしている、ダークマターが限られ力を制限されてしまっているが、紛れもない大大星スピカがそこにいた。
(私に戻っても
ブラックホールが消えない
これ……)
アルナイルはそのブラックホールに気付いた。
コネクトが作り出したブラックホールは特殊なものであった、狙いを定め吸い込もうとし吸い込むまでその場にあり続けるものであった。
そのブラックホールの吸い込もうとする重力が増して行き、アルナイルも引き込まれそうになるが、アル・スハイルがアルナイルの背中を掴み引っ張ろうとしている、ステラはアルナイルの腰の辺りを抱きしめるようにしている。
(アルナイル
あなたの力でしょ?
止められないの?)
メビウスが意思をダークマターに乗せて聞いた、アルナイルからの返事は無かったが、ダークマターの量が増えてる事に気付いた。
メビウスが振り向き、ダークマターを遮断しようとしている仲間達を見渡すが、変わらずに美しく輝き続けている。
(まさか……そんな力が……)
メビウスは思った、あのブラックホールの重力が強力になり続けている、そしてダークマターを遮断している包囲網を突破する速さで吸い込まれていると、そう考えたがそれは間違ってはいなかった。
全ての方角からダークマターが集まり始めていたのだ。
「わたしはやっぱり
ここには居れないよ
アル・スハイルだけじゃない……
あなたも大大星達もやっぱり
許せないから……」
コネクトが静かに言った、様々な事が重なり自分達は命を奪われてしまった、それを考えるとこの世界に留まる事に不安を感じていたのだ。
また壊そうとしてしまうのではないかと。
「どいつだよコネクト……」
ガイアが言い鋼の拳を銀色に輝かせた。
大星ベガとしてハダルとして魂の輝きをその拳を輝かせた。
「そいつらの憎しみは
俺が殴り飛ばしてやる
だけどよ……
お前はどうしたいんだよ
お前自身はどうしたいんだよっ‼︎‼︎」
ガイアが叫ぶように言った、コネクトは集合体であるが、それらをまとめる別の意思であると感じていた、まるでその集合体が生み出した別の人格の様な存在に感じていた。
「わ…わたしは……」
そう言うとコネクトは涙を流し始める、その涙はキラキラと輝きブラックホールに吸い込まれて行く。
「ここに居てよっ!
私達が頑張るからっ‼︎‼︎
あなた達が許せる世界に
絶対にして見せるからっ‼︎‼︎」
ステラが言った。
「余にもその機会を与えてくれぬか?」
アル・スハイルが言った。
「…………」
コネクトは何も言えなかった、あのアル・スハイルが言った、嬉しかったがどうしようもなかった。
このブラックホールはコネクトを吸い込まなければ消えることはない、次第にその力は強くなっていく、コネクトは嬉しいがその腕を掴んでいるアルナイルの手を振り払おうとした。
だがその手を逞しい老人の手が掴んだ。
サラスであった。
「女王の願いじゃ
居てくれぬか……」
大大星セプテントリオとして優しく微笑んで言った。
そして美しい女性の手が更に掴む。
「あなたの中に
メビウスの人もいるんでしょ
あなた達にも見て貰いたいわ
これからの星海を」
メビウスがそう言いコネクトを助けようとしてくれている。
二人はダークマターを呼吸し強くなり続ける重力に十分抵抗していた。
「お願いだから解って
あなた達もこの星海の一部なのっ‼︎‼︎
本当に綺麗な星海にする
大切な仲間なのっ!
だから行かないでっ‼︎‼︎」
アルナイルが叫んだが、コネクトは微笑んでその手を消した。
アルナイルもメビウスもサラスも、コネクトが霊体である事を忘れてしまっていた。
「コネクトッ‼︎‼︎」
アルナイルが、しまった、と言う顔をし叫び全身から光を放ちコネクトを捕まえようとしたが、コネクトはすり抜けてしまう。
だがコネクトはアルナイルの姿を見て思い残すことは無いかのように微笑んでいた。
アルナイルの優しさを痛いほどに感じていたのだ。
誰もが消して仕舞えばいい、そう思われる存在、誰もが忌み嫌うはずの存在、その存在にアルナイルは、スピカは名を与え、自らの体内に等しいスピカの剣の中に収めていた。
アルタイルが手にしても、アルタイルに任せ、我が子に旅をさせるようにそっとしていた。
その優しさに一切気付かずにコネクトは過ごしていた、そんな自分が恥ずかしくも思えていたのだ。
コネクトは吸い込まれて行く、メビウスがその重力を無重力に変換しようとしたが、対象がコネクトだけに絞られているようで、変換しきれなかった。
「紫…助けてっ‼︎‼︎」
ステラが助けを求めたが、紫はその必要は無いと言うように動かなかった、紫はただそのブラックホールを見ていた。
誰もが救えないと思った時、そのブラックホールに斜めに真っ白な線が入った。
そして凄まじい光がブラックホールから溢れ出した。
「アルナイルッ
光をっ吸い込めっ‼︎‼︎‼︎」
ガイアの叫び声が聞こえた、だがその叫び声はそのブラックホールの中から聞こえて来たのだ。
誰もがやっと気付いたガイアの姿がその場にない事を。
ガイアはコネクトの腕を掴め無かった時、アルナイルの光が放たれアルナイルがコネクトの腕を掴んだ時に、ベガの最大の能力である魂の存在に姿を変え、ブラックホールの中に入り込んでいたのだ。
その奥からガイアは自らの輝きを放ち始める。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼︎‼︎」
ガイアが力強く叫び、大星ベガの輝きをブラックホールの奥で放ち、そして折れたスピカの剣を入り口に向かって力強く投げた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
ガイアは自らの魂を輝かせ続ける、ブラックホールホールに抵抗する様に、その中で自らの存在を示すかの様に輝きを放っている。
「ガイアッ‼︎‼︎」
ステラがブラックホールの奥に引きずり込まれて行くガイアの輝きを見て叫んだ。
(生身じゃもう
八つ裂きにされてんな
けどよ……
コアはぶった斬ってやったぜ
スピカッ‼︎)
ガイアの背後には綺麗に斬り裂かれた灰色の球体があった、それがこのブラックホールを生み出していたのだ。
スピカは一度だけベガの前で自慢するように、小さなブラックホールを作って見せた事があった、その作り方をベガは良く見ていたのだ。
コアを破壊されたブラックホールは内部が静かに歪んだ様にガイアは感じた、そして少しづつだが重力が弱くなり、光が入り口に向かって行ける様になったのだ。
アルナイルは真剣な目つきに変わり、スッと手をブラックホールに飲まれて行くコネクトに手を向けて言った。
「我が劔よ我が手に還りなさい」
その声と同時に、ガイアが放つ光がブラックホールの奥から更に溢れ出し、アルナイルに吸い込まれて行く、輝く一星アルナイルが大大星スピカの強大な力を使い光をブラックホールから吸収し始めた。
それに引き寄せられ、ガイアもブラックホールの奥から凄まじい勢いで入り口の方に向かって来る。
そして折れたスピカの剣は、霊体であるコネクトをすり抜け一瞬でアルナイルの手に戻り、アルナイルがその剣をその光で包み込むと、折れたはずの刀身が美しく現れた。
だがブラックホールはコネクトを飲み込んでしまいそうになった時、ガイアがその中からコネクトを背後から抱きしめ、飛び出して来た。
コネクトは初めて抱きしめられ、その想いを優しさと温もりを感じた、アルナイルの想いとは違う、守りたいと言う救いたいと言う、手を差し伸べられる優しさと温もりと力強さを感じていた。
その場にいた全員がガイアとコネクトの姿を見て喜んだ表情をしたが、アルナイルはまだ真剣な顔をして言った。
「この為に……」
ガイアが着地して呟き、アルナイルは口元だけで小さく小さく笑い言った。
「今だけ…ごめんなさい……」
そしてアルナイルはその手に持つスピカの剣をコネクトにスッと向けた。
するとコネクトから黒いオーラが溢れ出し、それがスピカの剣に吸い込まれて行く、アルナイルがまたコネクトを剣に収めようとしていた。
「スピカ……」
メビウスが呟いた、アルナイルが心の中で何度も何度も(ごめんなさい)とコネクトに詫びている声が聞こえたのだ。
だがコネクトも申し訳なさそうな表情をし、スピカの剣に吸い込まれて行く。
スピカの剣は形はそのままに漆黒に染まっていく。
「おまえ……いいのか?」
ガイアがコネクトに聞いた。
コネクトは目を瞑り静かに頷いて、目を優しく開いて言った。
「もう一度……
旅に出るよ
色んなものを見て
色んなものを感じてみたい
みんなが
静かになってくれるまで……
だから綺麗な所に連れてってよ」
コネクトはあのスピカの剣が最初にベガに渡された事を知っていた、スピカの剣に吸い込まれ、うっすらと透き通っていくコネクトはそのベガであるガイアに言った。
「おまえ馬鹿だろ
星海を良く見てみろよ」
ガイアは優しい顔で言った。
コネクトは、えっと言う顔で星海を見る。
星々が瞬き大星や星を持つ者達が力強く輝き、アトリアロフの方ではヴィーナスが生み出した太陽風の気流が不思議な光を放ち流れているのが見え、今までとは違う美しい姿をした星海が広がっている。
コネクトが今まで気付かなかった、見ようとして来なかった、壮大で限りなく広がる美しい星海を初めて見ていた。
「…………」
コネクトは言葉を失い、微笑みながらスピカの剣に吸い込まれ姿が完全に消えてしまった。
それと同時にブラックホールは何も無かった様に消え、今までの事が嘘の様にあたりは静かになった。
スピカの剣は全てが漆黒に染まりアルナイルが言った。
「ごめんなさい
こんな方法しかなくて
本当にごめんなさい」
アルナイルはコネクトを剣に収めるしか、あのブラックホール消す方法が無い事を漆黒のスピカ剣に向かって詫びていた。
「この剣を
あなたに捧げます
この剣は
コネクト
あなた自身です
本当にごめんなさい……」
アルナイルは泣きながら言うと、コネクトから声が聞こえた。
「もういいよ
綺麗な所に沢山連れてって」
その日、星海に一本の漆黒の剣が生まれた、それは大大星と等しい力を持つ存在、コネクトが宿る剣、漆黒の劔と呼ばれることになる。




