第三章 第10話 大大星セプテントリオ
アル・スハイルの斬撃を漆黒のアルナイルが黒い稲妻の様な剣で受け止める、戦いに慣れてないはずのアルナイルが受け止めるのを見て、メビウスは顔を顰める。
(スピカは私と違って
戦いを知らないはずなのにどうして
剣の扱いを知っているの
光星になる前に戦った時は
剣技なんてものは無かったわ
まったくの素人が
剣を振っていたのに……
間違いないわ
あれはアルナイルの剣じゃない……)
メビウスはそう考えたまま漆黒のアルナイルに向けて手を広げる。
「あなたは誰なのぉ?
すっごい強いねぇ……
あなたは誰なのぉ?」
アル・スハイルの剣を受け止めた漆黒のアルナイルがアル・スハイルに楽しそうに聞く。
「そちの娘……
アル・スハイルじゃ……」
アル・スハイルが静かに答える、力比べをするように、アル・スハイルのサーベルと漆黒のアルナイルの剣が赤い火花と黒い火花を散らしている、二人の力がその交わる刃でぶつかり合っている。
だがアル・スハイルは俯いたまま、漆黒のアルナイルを見ずに答えていた。
「…………」
漆黒のアルナイルはそれを聞いて僅かに沈黙するが、その目を見開きアル・スハイルを睨みつけて言った。
「なら邪魔しないでよぉぉぉぉ!」
「だが……」
アル・スハイルは小さく言い、そして顔をあげ、目を見開いて言った。
「母とは思わぬっそちはっ!
我が友輝く一星アルナイルじゃ‼︎‼︎」
その言葉とともに破壊の力を解放した、アル・スハイルはその力の使い方に慣れていた、僅か一瞬ではあるが、最大限に解放すれば星さえ砕く、その力で漆黒のアルナイルの刃を押し返した。
そしてその勢いで姿勢を崩した漆黒のアルナイルを蹴り、姿勢を戻す前に斬り込もうとした時、漆黒のアルナイルの背後に再びブラックホールが現れ凄まじい力でアル・スハイルを引き摺り込もうとし、アル・スハイルも引き寄せられ姿勢を崩してしまう。
漆黒のアルナイルがニタリと笑いアル・スハイルを斬り裂こうとした。
(これはっ!)
アル・スハイルが防げないと確信した。
(余は…私は……)
アル・スハイルの脳裏にアル・ムーリフの姿が過ぎる。
(守れないの……
アル・ムーリフを
アル・ムーリフの未来を……)
誓いを守ろうとし今まで戦い続け来たが、アル・スハイルはその瞬間にそう感じていた。
アル・スハイルは死をなんとも思っていなかった、今まで奪って来た命が膨大すぎる、それを自覚していたアル・スハイルは死を恐れてはいなかったが、ただ一つのことを恐れていた。
それはアル・ムーリフを守れない事、そのただ一つであった。
アル・スハイルはサーベルで漆黒のアルナイルの斬撃を受け止めようとしたが、重力に引っ張られ素早く動けない、だがその動作をしようとした事で気づいた。
一瞬の時間のはずなのに、無限に長い様な気がした、気付けばアル・スハイルの背後で赤と白い輝きが放たれている。
赤い誓いの星と白い誓いの星が輝き、時を無限に感じるほどに引き伸ばしている。
赤は諦めて居なかった、必死に死に行くアル・スハイルを引き戻そうとしている。
シーリスはアル・スハイルのブラックホールに引き摺り込まれる未来を否定している。
未来が否定し過去が戻そうとしている結果、紫の星が操るはずの現在という時を完全に止めるまでもいかないが、強い影響を与えたのだ。
「諦めぬ……」
アル・スハイルはそう呟き、コートを広げ至近距離で十数本のサーベルを放った。
その瞬間に時がハッキリと動き出した。
漆黒のアルナイルはブラックホールを展開させてる間は無防備なのか、すぐに一瞬でブラックホールを消し去り、アル・スハイルの放ったサーベルを剣で弾き、そして素早く躱した。
赤とシーリスの力でアル・スハイルがこのままブラックホールに飲み込まれる未来が、変えられたのだ。
アル・スハイルはその引き寄せられた勢いのまま、漆黒のアルナイルの背後に回り素早く斬りかかった。
「今が無いと言ったな
アルナイルよ」
アル・スハイルが冷たい声で言い、漆黒のアルナイルは振り返り、素早くその斬撃を弾き今度はアル・スハイルの胸を貫こうと素早く突きを繰り出す。
それを躱しながらアル・スハイルは言った。
「だからなんだと言うのだ……」
漆黒のアルナイルは素早く追撃する様にアル・スハイルを貫こうと突きを繰り出し、アル・スハイルは背後に異様な速さで躱した。
その速さは今と言う時を操ったかの様に、漆黒のアルナイルは感じた。
そしてアル・スハイルは次に繰り出された突きを、自らのサーベルで突き返しその切先で受け止めた。
「未来と過去をつなぐ
それが今じゃ……
それが紫の星だけとは
限らぬではないか」
アル・スハイルは思っていた、未来、今、過去とあり、その今と言う絶大な力を誇る紫の星の力は幻に過ぎないと、この今と言う時を生きる者全てに平等に与えられた、限り無い希望の未来を切り開く力なんだと、全てのものが持っている力なんだとそう思っていた。
(「それを掴み取ればいい……
あんたなら逃さないよね?
休んでても
休んで無くても
その時をさ……」)
アルタイルの言葉がアル・スハイルの頭の中を駆け抜けた。
「その時を…逃しはせぬ……」
アル・スハイルがそう呟いた、サーベルと漆黒のアルナイルが持つ黒い稲妻の様な剣は際どいバランスである。
「なら……
わたしもいまだよぉぉっ!」
漆黒のアルナイルが大きな声で言い、その瞬間に背後にブラックホールを展開させた。
(いまよっ!)
メビウスがそれと同時に力を放った。
漆黒のアルナイルが放ったブラックホールから発せられる、強烈な重力が無重力に変換される。
漆黒のアルナイルはメビウスの存在を忘れていた、アル・スハイルが予想以上に善戦し完全に気を取られていたのだ。
「スピカ……
大大星の私を忘れるなんて
あなたらしく無いわね」
メビウスが言い漆黒のアルナイルが笑った。
「ふふっ……
キャハハハハハッ!」
その瞬間、切先だけで止められていた剣を払い、一瞬でメビウスに襲いかかった。
まるで漆黒の闇から現れた様に現れメビウスに襲いかかる。
メビウスは変換に殆ど意識を集中しているために動作が遅れたが小さく微笑んだ。
その時、漆黒のアルナイルを一本のサーベルが貫く。
「キャハハハハハハハッ」
漆黒のアルナイルは動じずにそのままメビウスに襲いかかるが、次々と漆黒のアルナイルにサーベルが襲いかかる、漆黒のアルナイルはそれらを躱し、その隙にメビウスは距離を取った、メビウスはブラックホールの放つ強力な重力を無重力に変換し続けている、大大星スピカの力は強大で、同じ大大星のメビウスでなければ変換しきれないのだった。
(スピカ……
あなたは私がしなかったミスを
今している
それに気付かないで
お願いだから
気付かないでっ‼︎‼︎)
メビウスはそう願っていた、メビウスが単独で中々動かず、サラスを待った訳は今この場にある。
メビウスとスピカは同等であり、確実な勝利に持っていくには大大星セプテントリオの力が不可欠であった。
それと同じように今の漆黒のアルナイルはまだ星を食べれる程には成長していない、今ならまだメビウスが押さえ込むことが出来るのだ。
アル・スハイルの操るサーベルを躱しきれず、一本二本と漆黒のアルナイルを貫いていき、漆黒のアルナイルが叫んだ。
「ウザイッ‼︎‼︎」
すると漆黒のアルナイルは姿を消し、アル・スハイルの前にふっと現れ襲いかかるが、アル・スハイルは動じずにその刃をサーベルで受け止めた。
「それは余には通じぬ
そなたを見て来たからな……」
アル・スハイルはアル・ナイルが光を生み出し、その中に逃げ込む姿を何度も見ていた、それを捕らえることは出来なかったが、逆に現れることも有り得ると考えていた、今の漆黒のアルナイルは闇から現れた。
この漆黒の闇が広がる星海で、闇から現れる能力は恐ろしいものがあるが、アル・スハイルは怯むことなく、その攻撃を受け止め反撃をしている。
今までの戦いで積み重ねた経験の全てが、アル・スハイルの中で生きていたのだ。
「アルタイル……
なんで来てくれたのよ?」
その頃シーリスとアルタイルはメビウスの星の成層圏のすれすれにいた。
二人はアル・スハイルと漆黒のアルナイルが戦っている方を見ている、その背後には人々が暮らし美しく輝く惑星メビウスがあり、メビウスからあの魔導士達が次々とシーリスの方に向かって星から現れてくる。
その背後にはあのアトリアロフを攻撃した、科学の進歩した文明が作り出した戦艦までもが次々とシーリス目指して飛び立っている。
「あんたの背中が
寂しそうだったからだよ」
アルタイルが言った。
「そう……
ありがとう来てくれて」
シーリスは静かにお礼を言った。
アルタイルからすればさっきまで敵であった、そしてベガの形見であるあのエストックを失ってしまったが、あのエストックが砕けた時ガイアの姿を見た。
ベガの転生を繰り返した姿を見て、形見など考えなくてもベガは今もいるんだとそう思えた。
ヴィーナスに対して怒りは湧き上がったが、その気持ちがあり冷静に慣れたのだ。
「不思議だよね
あの剣は守らなきゃいけなかったけど
あの剣を守ってたら
あんたとこうしてなんか居なかった」
「そうね……
滅びの未来が近づいてる
でも怖くないわ
絶対に食い止める……」
シーリスが言った。
「ほんとだよ
これじゃ私も責任感じちゃうよ」
アルタイルは小さく鼻で笑って言った、アルタイルが育てたアル・スハイルが暴れ散々苦労した、今度はまるで自分の管理ミスの様な結果でこうなってしまった様な気もする、ずっと苦労の絶えないアルタイルがそこにいた。
「ふふっ
この戦いが終わったら
ゆっくりお茶しない?」
シーリスがアルタイルを誘った。
「うんいいよ
わたしはレモンティーがいいな」
アルタイルが言う。
「ダージリンでいいのがあるわよ」
シーリスが言う。
「ダージリンか
たまにはいいかな」
アルタイルが言い、シーリスは手を振ってメビウスの星の軍に出撃の指示を出した。
二人は友達になれていた、シーリスにはかけがえのない大切な友達が初めて出来たのだ。
「貴方達急ぎなさいっ!
二番隊の集まりが悪いわ!
何をしているのよっ‼︎‼︎」
ヴィーナスが必死にハダル一派を集めている。
「ハダル様からの命令なのよっ‼︎‼︎
遅れた人はどうなるか
解ってるのかしら?」
ヴィーナスは星海を飛びながら太陽風に意思を乗せて叫んでいる、集合場所をセプテントリオの近くの丸い星、セプテントリオの人々がムーンと呼ぶ星に向かっていた。
ハダル一派の集まりはどこで集めても速い、それだけ数がいるのだ、アル・スハイルの力でねじ伏せるやり方に反対した星海人の勢力である。
(わたしにも意地があるわっ!
このままじゃ
ハダル様にも許して貰えなかったら
わたしには……)
ヴィーナスはガイアの優しさに縋るしか無かった、それになんとしても応えたい一心でハダル一派を集めていた。
その行動がヴィーナスに意外な縁を齎すことを、まだヴィーナスは知らなかった。
一方セプテント家では地下の精霊陣が光り輝いていた、屋敷のメイド達はその異変に気付いて騒ぎになっていた。
「誰が精霊術を使ったのですか!
すぐに止めなさいっ‼︎‼︎」
シャドウが怒鳴るようにメイド達に聞いているが誰も返事をしない、誰も使ってないようであった。
「これは精霊術じゃないわ
この輝きを生み出せるのは
あの人しかいない……」
ユーファがそう言い階段から地下に降り、前に出て平伏した。
「ユーファ……」
シャドウがユーファの行動に驚いた時、ユーファが言った。
「サラス様がお帰りになります
みな礼をとりなさい」
その言葉に精霊達は驚いた時、その輝きが増しその光の中から逞しい老人が現れた。
「サラス様っ!」
精霊達は驚き喜びながら美しくスカートを広げメイドの礼をする。
「みな久しいな……」
サラスが穏やかに言った、サラスは星海術を使い瞬時に移動して来たのだ。
「今日参ったのは
皆に頼みがあるのじゃ」
今のセプテント家の当主はステラであり、それを考えてサラスは言っていた。
「サラス様
頼みとは……?」
ユーファが聞いた、サラスは一度アル・スハイルを騙しこの星の人類を滅ぼそうとした過去がある、話の内容次第であるとユーファは思っていた。
「ステラを救うために
アル・スハイルとメビウスに
手を貸してやってくれぬか?」
サラスが言った。
「ステラ様を……
ですが…アル・スハイル様は解りますが
メビウスは敵なのでは?」
ユーファが聞いた。
「今はアルナイル殿が……
星の女王が敵となってしまったのだ」
「アルナイル様が?」
ユーファは信じられない様な声を上げると、サラスは手のひらを広げると、その手のひらから水が湧き出し、その水が球体になる。
「見たほうが早かろう……」
サラスがそう呟くとその水に漆黒のアルナイルが映し出され、メビウスが漆黒のアルナイルの力を封じ、アル・スハイルが漆黒のアルナイルと激しい戦いを繰り広げている姿が映し出される。
誰もが驚いた、あの優しいアルナイルが黒いローブを纏いアル・スハイルと戦っている、そして何よりもあのアル・スハイルが押されているのだ。
「これは……」
エントリアが思わず声を漏らした。
「闇の星じゃ……」
サラスがそう言い説明し始める、アルナイルの本当の正体が大大星スピカであること、そして災いを齎す負の意思を封じていたこと、それが解放されてしまいこのままのアル・スハイルとメビウスが敗れたらどうなってしまうか、もはやサラスの予知的な力で未来を垣間見ようとしても、真っ暗で何も見えなかったのだ。
それが何を意味するのか、漆黒のアルナイルの力が強大過ぎて未来が見えないのか、それともブラックホールに全て飲み込まれてしまった未来なのか何も解らなかったのだ。
そしてアル・スハイルとメビウスが何を考えてるのかも話した、一通り説明して最後に言った。
「アル・スハイルは
アル・ムーリフの為に
必ず最初に剣を抜く
それが何を意味するか
皆も解るだろう?」
サラスがそう言うとユーファは考えずに言った。
「みんなすぐに戦いの支度を
周辺の警備には衛兵を配置し
周辺の全ての精霊を集めなさいっ!」
ユーファはそう指示を出して最後にサラスに聞いた。
「アクアにお会いしますか?」
その頃アクアは故郷の街にいた、街の中央にある水火園と言う大きな広場の隅にあるベンチに、姿を消して座り広場の真ん中を見つめていた。
アクアはペレが蘇るのを待っていた、精霊が蘇るには早くても百年、長ければ数百いや千年以上かかる場合もあるが、それを待つつもりであった。
アクアは浮かない顔をしている、それは単純にそれだけの時間を過ごせば、ステラもガイアも過去の人になるからだ、人はそれだけ長く生きてはいけない、当然のことである。
このままでいいのかと悩んでいたのだ。
とは言え精霊が蘇るには人々の信仰が欠かせない、アクアは故郷の人々がペレを忘れないように、これからの水火際に毎年姿を表すことにしていた。
アクアとペレが生まれた水火祭一人でもっと盛り上げていこうと考えていたが、それはガイアとの関わりが無くなってしまう気がしてならなかった。
そう悩んでいる時にアクアは声をかけられた。
「隣に座っていいかな?」
穏やかな優しい聞き覚えのある声だった。
「どうぞ……」
アクアは自然に答えたがすぐに気付いた、今の自分は姿を消している、人には見えないはずであり、アクアに声をかけてから座る人なんて考えられない、何も言わずにアクアの存在を知らずにそこに座るはずだと。
アクアはすぐに声の主を見ようと振り返った時、そこにはサラスが座っていた。
「どうして……」
サラスは死んだはずだった、その死をアクアは精霊達から聞いていた。
アクアはそれを聞いても嘆くことは無かった、それはサラスがあんな指示をペレに出さなければペレが死ぬことは無かったからだ。
そのサラスが真横に穏やかな顔で座っている、アクアの記憶に残るあの優しいサラスがそこにいた。
「なんで……」
アクアは想いが溢れて来た、そのペレへの想いを静かに座るサラスに聞いた。
「なんで…あの様なことを
なんで…あの様なことを
言われたのですか?」
サラスはアクアが聞きたいことを解っていた、そしてそれを応えた。
「全てはステラを守る為じゃ……
あの時はメビウスが
ステラの死を望んでおった
深い因縁でな
アル・スハイルの最も大切なものを
奪おうと考えていたのじゃ
わしはアル・スハイル達ならば
動物達では相手にならないと解っていた
だからセプテントリオ……
この星はメビウスに賛同すると
そう見せかけるために
彼らを差し向けたのじゃ……」
「アル・スハイル……
赤い星の…この星を滅ぼそうとした……」
アクアが言った、その昔一度だけアクアとペレの二人でアル・スハイルに戦いを挑んだことがあった、二人は追い詰められるもアクアが巨大な津波を起こし、アル・スハイルはその威力に驚き、その隙にアクアとペレは逃げた戦いを思い出していた。
「ステラはアル・スハイルの大切な妹
アル・ムーリフなのじゃ……」
アクアはサラスが言った言葉に驚いた、それはアクアがまだステラが憎き敵アル・スハイルの妹にあたることを知らなかったからだ、だがその時に親友の声が聞こえた。
「アクア?」
それはペレの声だった。
アクアは声のする方を向くとそこにはミアプラと一緒にいるペレがいた。
「命の精霊って
伝説かと思ってたけど
本当にいたんだね
ありがとうミアプラさん」
ペレがそう言いながら、アクアに歩みよって来てくれる、ミアプラは優しく微笑んでその後を歩いている。
「アクア?
まさかステラ様を
疑ったんじゃないよね?」
「そっ…それは……」
アクアは戸惑いながら言う。
「あなたの悪いところ
わたしはアル・スハイルも
ガイアもエルナトって星海人も
怨んでなんか無いよ
悔しいって言うのはあるけど
私が弱かっただけさ
自然のルールでしょ?
弱ければ食い尽くされ
適応出来なければ
その種は生き残れない
だから私はもっと強くなりたい
あの時に……
最後に思っただけだから
この世界は
弱かったら何も言えないんだよ
でも…自然は……」
ペレが最後まで言う前にアクアはペレに抱きついた、昔のままのペレがいた、この短期間で生き返れるはずがない、それが僅かな疑いと戸惑いをアクアに与えていた。
だがペレの言葉がそれを拭い去った、ペレがよく自然のルールを口癖にしていたからだ。
アクアは嬉しくてたまらなくなり精一杯の気持ちを込めて言った。
「ペレッペレッ!
おかえり
会いたかったよペレッ‼︎」
ジュゥゥゥ……。
「まってまってアクア
消えちゃう消えちゃうって!」
アクアは嬉しさのあまり精霊の力が溢れ出し、生き返ったばかりのペレにダメージを与えていることこに気付いていなかった。
その二人の姿をサラスと、その街の上空に待機していた精霊達は優しく微笑んで見ていた。
「あっごめんなさいっ!」
アクアは慌てて離れる。
「ほんとにもう
今度親友に殺されるかと思ったよ
で…サラス様?
私達に何かあるからここに来たのよね?
みんなまで連れて来てさっ」
ペレがそう言い空を見上げた、アクアもそれに釣られ空を見上げて初めて気付いた、セプテント家の武装したメイド達だけではない、見た事もない他の精霊達までも集まり、その数は百や二百では無い周辺国全ての精霊が集まっていた。
その影響でその一帯の空が虹色に輝き美しい光景が広がっている。
そしてサラスは微笑んで話し始めた。
アクアとペレはその話を聞いてすぐに理解をしてくれた、いま星海でこの星海全てを左右する戦いが繰り広げられている、それはこの星の未来も左右する戦いで、アル・スハイルとメビウスがあのアルナイルを正気に戻す為に戦っていると、頭のいい二人はすぐに理解してくれた。
「サラス様…一つ……
お聞きしてよろしいですか?」
ペレが一通り聞いてから質問した。
「なんじゃ?なんでも聞くがよい」
サラスは最も忠実出会ったペレの質問に全て答えるつもりで言った。
「サラス様は
人でも星海人でも無いですよね?
精霊でもない……
いったい誰なんですか?」
その質問にミアプラは(えっ?)と言う顔をした、それは誰よりもサラスと共にいてサラスのことを誰よりも知っているとそう思っていたからだ。
もちろんミアプラはサラスを星海人だとそう認識していた。
なぜそうペレが思ったのかは簡単なことであった、精霊は思念体の様な物で人間とは違う、それなのにペレは、最盛期の力を持ったまま生き返ることが出来た。
命の精霊と言われるミアプラが、命を与えたとしても、それだけの力を得るには長い年月が必要であるが、それを完全に無視している、まるで何かの意思の様に……。
そして集まった精霊達だ、人がこれ程の精霊を集めることが出来るはずがない、アクアとペレより力は無いが大精霊も何人もいる、それを人がましてや星海人が集められるはずがないとそうペレは思っていた。
サラスは穏やかに優しく言った。
「そうか…そう思うか……」
サラスがそう言い穏やかに言った。
「わしが大大星セプテントリオじゃ……」




