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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅に出たの?〜第三章 漆黒の星〜
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第三章 第9話 過去と未来の力





 ヴィーナスはスピカの剣から溢れた想像を絶する絶望に恐怖を覚えていた、スピカの剣が砕けた直後、ヴィーナスの頭にこれから産まれようとする漆黒の星が頭によぎったのだ。


 ヴィーナスは全てを消し去る意味を本心から知り、立ちすくんでいた。



 そんなヴィーナスにガイアは歩み寄り、そっと背後から肩に手を触れて言った。



「ヴィーナス……

おまえ……

何をしたか解ってるよな?」



 ガイアの言葉は冷たかった、ヴィーナスは殴られるでは済まないことなど頭に無かった、ただ怯えて言った。



「は…はい…ハ…ハ…

ハダル様……」



 ようやく声をこわばらせながら言った。



 それを聞いてシーリスはその場を立ち去ろうとした、メビウスの文明の部隊をメビウスの指示通り展開する為に、その場を離れなければならなかった。



「シーリスッ!」



 アルタイルが呼び止める。



「なに……」



 シーリスは残念そうな声で言った。



「アルナイルはどうなったのっ‼︎‼︎」



 アルタイルはヴィーナスを責めるより先にアルナイルの心配をした、ベガの形見である剣が砕かれてしまった、だがベガの転生を繰り返したガイアが目の前にいる、その為に自分の想いよりもアルナイルが心配になっていた。



「漆黒の星になってしまったわ

あの剣に

あんな秘密があったなんて……」



 シーリスが静かに応えた。



「漆黒の…星……」



 アルタイルが呟いた。



「漆黒の星……」



 エリスがやっと戻って来て呟いて震え出した、エリスはそれを知っているようであった。



「説明してる時間がないわ


ただ解ってるのは……

ほっておけば

星海がなくなるってこと


ヴィーナス……

あなたは全てが無くなればいいって

思ってたわね

本当にそうなって欲しかったら

そこで震えてればいいわ


あなたの愚かさも

あなたの醜さも

知っている人は誰も居なくなる


本当にそれでいいならね……」



 シーリスはそう言い立ち去った。


 それはヴィーナスの力も必要だと遠回しに言っていた。


「…………」


 アルタイルはそれを聞いてシーリスを追いかけて行った。

 シーリスは自分を追いかけてくれるアルタイルに振り向かずに先を急いだ、だが今まで一人だったシーリスは心強く思っていた、手を貸してくれる友人が出来て嬉しく、これから星海が滅びる未来に立ち向かって行くようであった。



 ガイアはシーリスが去った後、ヴィーナスが持つ刀身が砕けてしまったスピカの剣をそっと手に取った。


 そしてその砕け姿を見つめて言った。



「ヴィーナス……」

 

「はい……」



 ヴィーナスは怯えながら返事をする。



「許してやる……」



 ガイアが言った。



「え……」



「ただ条件がある……」



 驚いたヴィーナスにガイアが言った。



「すぐにあいつらを集めろ

今だけでいい……

星海の為に


アル・スハイルの指示に従え」



 ガイアがハダル一派を集めてアル・スハイルに協力するように言ったのだ、ハダル一派に居た者達がアル・スハイルに協力するはずがない、それをガイアはハダル一派の中でアル・スハイルの手星と戦い、常に勝ち続けていたヴィーナスならば出来ると解っていた。



 ヴィーナスは躊躇ったがガイアが言った。



「出来るよな?」



 ガイアはヴィーナスを嫌ってはいたが実力は認めていた、そしてスピカの剣からアルナイルの優しさを感じそう言っていた。


 ヴィーナスはガイアに期待されているのを感じ、頷いて風になりクンガ村の洞窟を吹き抜け、星海に飛び立っていく。


 ヴィーナスはその時、ヴィーナスが破壊したクンガ村の洞窟の前に広がる森が、みるみるうちに再生し始めていた、凄まじい速さで新芽が吹き出し木々が伸びていく。



(ハダル様……)



 ヴィーナスは心で呟いた、ヴィーナスは過去に暴れ過ぎた時、ハダルはヴィーナスが破壊した自然を大地の力で元通りに直してくれた時があった。


 ヴィーナスはその光景を見て真っ直ぐに星海に飛び立っていった。




「プルート

アルデバラン頼んだぞ」


 アトリアロフでアル・スハイルは二人に指示を与える、結局大星はアルデバランしか集まらなかった、それはアルタイルがセプテントリオでヴィーナスとの戦いに巻き込まれてしまった為である。

 大星でない者もアル・スハイルに従う街をレグルスが必死に回り集まった者達と、アルデバランの手下達くらいであった。



「アル・スハイル

やけに自信があるわね

大丈夫なの?」


 メビウスがアル・スハイルに聞いた。



「自信?

その様なものは無い


余の……」



 アル・スハイルがメビウスの前で考える仕草を見せた、アル・スハイルはメビウスにどう答えるか考えていた。


(アル・スハイルは……

私を恨んで無いの?

なぜ……)


 メビウスはアル・スハイルの態度を見てそう思っていた、統治者の器、つまり大大星と等しい程に成長していた。

 だがメビウスはアル・スハイルの父を殺す様にシーリスに命じ、それは達せられている。


 事実上メビウスはアル家にとって最大の敵であり、手を組めるはずがなかった。


「余のなにかしら……?」


 メビウスが聞いた、メビウスはアル・スハイルとアル・ムーリフがスピカの娘だと気付いていたので、以前の憎しみを胸の奥に眠らせようとしていた、そして自分の娘である赤い星と親しくしているアル・スハイルを見て、認めざるおえなくなっていた。



(ねぇなんで旅に出たの?)



 アル・スハイルの頭にアル・ムーリフの声で声が響いた。



「アル・ムーリフのためじゃ……」



 アル・スハイルは小さく微笑んで言った。


 メビウスはアル・スハイルが、包み隠さず言っていることに気付いていた。



「それじゃ行きましょうか」



 メビウスが静かに言った。


「時間稼ぎだが致し方あるまい

メビウス……

余の友を殺すで無いぞ」


 アル・スハイルが言った。


「あなたより

私の方が親友なのです

忘れないで下さい」


 メビウスが言い二人はアトリアロフから飛び立って行った。



「お母さん……」



 クンガ村ではステラが目を覚まさず、そう呟いていた。


「ステラ……」


 ガイアが側でステラを心配していた。


「ガイアよ

いくが良い……

そちの力も必要になる」


 紫の星が姿を表しガイアに言った。



「ステラは妾が見ている

そちには守らねばならぬ物があろう?」



 続けて紫の星が言い、ガイアに手を向け紫の星を輝かせた。


(やはりそうであったか

サラス…食えぬやつよ……)


 紫の星は何かに気付いてそう呟いた。


 そしてガイアの背中から銀色の翼が現れる。


「これは……」


 ガイアが驚いて呟いた。


 ガイアの体から大星ベガとハダルの力が溢れ出していた。



「なぜ……」



 ガイアは隠せなかった、その驚きを、星海人としてでは無く人間の体からその力が溢れ出しているのだ。



「そちの魂から

過去の力を引き出した

赤なら容易いことだが

赤は思いつかないであろう


いや気が付かぬはずじゃ


そちのそばに居なかったからな……」



 紫の星がそう言った。


「どうやって俺の過去に

お前は今にしか……」


 ガイアが聞いた、紫の星は過去に触れられないはずだった、だがガイアの魂の過去に触れていた様にしか思えなかった。



「そちは呼んでくれたではないか

妾のことを紫とな……」



 紫の星が小さく微笑んでそう言った。



 ガイアは確かに紫の星を紫と呼んだ、それはヴィーナスに対する怒りが溢れていたが、その言葉は紫の星を仲間として言っていたのだ。



「ようやく妾に

名を与えてくれたの……

本当はステラから欲しかったが

ステラがこの有り様じゃ


はよう行くが良い

妾もステラが起きたら

すぐに連れて参る」



「……」


 ガイアはステラを心配していた。


「はよう行かぬか

それで妾を呼び捨てにしたのか?

そちが守らねばならぬのはなんだ?


ステラか?

違うであろう」


 紫の星が静かに言った。



(ねぇあなたはなんで旅に出たの?)



 ガイアの頭にあの言葉が記憶の底から響き、この星に降りる前の数日間、あの日々のアル・ムーリフの笑顔がよぎった。



「あぁ解ったよ

悪りぃけどステラを頼むなっ!」



 ガイアはそう笑顔で言い走り出した。



「まったく

あれがベガの転生した者とは

世話がやけるなステラよ」



 紫はガイアの後ろ姿を見つめ微笑んで言った。


 紫はガイアの力が三つある気がしていた。


 一つはハダルの力で大地の力


 一つはベガの魂の輝き


 そしてもう一つはスピカの子と言われているが、何故かセプテントリオの輝きを見たのだ。


 セプテントリオの杖、再びこの星に現れるはずだが、紫の星は時を止めステラから離れ散々探していたのだ。


 だが見つかるどころか気配さえ感じない、サラスがセプテントリオの杖を手に入れた場所が、ステラが持っていた書物に暗号の様に書き込まれていたが、そこにも無かった。


 まだ現れて無いのかとも考えたが、意外な場所にある事に気付いていた。


「ザウラクよ

エルナトは無事か?」


 紫はザウラクに聞いた。


「大丈夫

休む必要があるけど

命は助かったよ」


 ザウラクはそう答えクンガ村の人々の様子も見ていた。


 スピカの力で変換された命の力で全ての人々が命拾いをしたが、まだ傷が癒えきってない人々がいたのだ、ザウラクは全ての人々を助けようとしている。


 紫はその様子を見てステラの体に戻るとステラが目を覚ました。


 ステラは静かに立ち上がり、その体から紫のオーラを放ち始める。


「アル・ムーリフ様……」


 ザウラクがその姿を見て呟いた。


「妾はアル・ムーリフではない

その星じゃ……


このままでは間に合わぬかも知れぬ

ステラが目を覚ました時に後悔せぬよう

妾が連れて行くだけじゃ……」


 紫がステラの体を借りそう言い洞窟の外に向かって歩きました。


「ザウラク

エリスも見てやるが良い」


 紫はそう言い走り出しガイアを追った。




 アル・スハイルは星海を飛び漆黒のアルナイルに向かっていた、アル・スハイルの瞳はその姿を捉えていた。


 漆黒のアルナイルは黒いオーラを纏い、周りの小さな小天体を引き寄せていた、そして黒いオーラに触れた小天体は砕けそのオーラに飲み込まれていく。


「なんじゃあの力は……」


 アル・スハイルが呟いた。



「ブラックホール

凄まじい重力で

全てを飲み込んでしまう

漆黒の星……


飲み込めば飲み込む程大きくなり

いづれは星さえ飲み込んでしまうの

そうなる前に止めるのよ」


 メビウスが説明してくれアル・スハイルが聞いた。



「どうやって止めるのじゃ?」


「スピカには

もうニ本の剣があるのよ

一本はアルタイルが持っていて

それが折れてしまったの


もう一本残っている

スピカの剣

それをスピカは持っていたわ

それを折るのよっ!」


 メビウスが言った。


「剣を……」


 アル・スハイルが顔を顰めた。


「スピカは持っていた方の剣に

対象的な力を分けていたはず


それは光の意思

あのアルナイルとしての優しさは

その剣から溢れていたものなの……

闇の意識と光の意識が

混ざらない様に綺麗に分けていたのよ」


 メビウスは漆黒の星と化したアルナイルと戦い、アルナイルがもう一本のスピカの剣を全く持とうとしない、あまりにも不自然に思えスピカの剣を持った時のアルナイルの力を思い出して気付いたのだ。


「つまり余にも隠し持っていた

あの剣の意思が

真のアルナイルの意思だと

そう言うのだな?」


「そうよ

あなたが暴れ回った時に生まれた

憎しみや悲しみの殆どを

スピカは折れた方のスピカの剣に

集めていたのよ


自分の意思と

あなた達を守るために


だけど闇の意思を集めた剣が

折れてしまった

行き場を失ったその意思は

スピカの体に流れ込んでしまったのよ


だから……

残ったスピカの剣を折れば

スピカのあの優しい意思が

体に戻るはず……」


 メビウスが説明してくれアル・スハイルは言った。


「そう言うことか」


 そして漆黒のアルナイルが近くなりアル・スハイルは言った。


「余計なことを……」


 アル・スハイルはそう呟いた、アル・スハイルが立ち向かうべき敵をアルナイルが封じ込めていた、それに呟いていた。



「余が招いたならば

余が始末せねばなるまい」



 アル・スハイルはそう言い、赤い星を輝かせ、小天体を飲み込み続ける漆黒のアルナイルをその瞳に捉えた。



「多少痛いだろう……

だが我慢せいっ

アルナイルッ‼︎‼︎」


 アル・スハイルは移動しながら叫び、赤い星から光線を無数に放った。


 超長距離から攻撃を開始し距離を詰めようとしていた。


 アルナイルが小天体を飲み込む度に、暗いオーラの様なものが拡大しているのだ、少しでも自分達に気を引くためにアル・スハイルは攻撃を開始したのだ。



 深紅の光線が無数に星海を走り、漆黒のアルナイルを目掛け突き抜け様に突き進む。


 その光線に気付いた漆黒のアルナイルはニタリと微笑み、その光線に手を向けその手からそのオーラを生み出した、するとアル・スハイルが操る光線がそのオーラに引き寄せられて行く。


 アル・スハイルの放った光線はアル・スハイルの意思では操れずに一直線に、そのオーラを目掛けて行く。


 アル・スハイルは漆黒のアルナイルがそのオーラで身を守ろうとしているのに気付いて言った。


「メビウスッ

余の光線を加速させよっ!」


 アル・スハイルの言葉にメビウスは無駄な気がしたが、メビウスは呟いた。



「移り変わる……」



 その瞬間、深紅の光線が加速し一瞬で漆黒のアルナイルに到達し、その時アル・スハイルが言った。


「赤っ!」


 すると赤がアル・スハイルの心で呟いた。


(繰り返す……)


 赤はそう呟いた瞬間、更に光線が加速した時、アル・スハイルの光線が進路を変え、その漆黒のアルナイルが出したオーラを躱し、真横から漆黒のアルナイルを貫いた。


 メビウスは訳が解らなかった、自分が傷をつけられなかった漆黒の星アルナイルに、いとも簡単にアル・スハイルは傷を負わせたのだ。


 アル・スハイルは最初にメビウスの力で光線を加速させた、その光線は漆黒のアルナイルのオーラが放つ重力で更に加速していた、それを更に赤の力でメビウスの力で加速した速さを重ね掛けしたのだ。


 その速さを漆黒のオーラが放つ重力は捉えられなかったのだ。



「なんて子なの……」



 メビウスはやっと気付いて呟いた、アル・スハイルがスピカと同等に相手を見抜く力に優れている事にやっと気付いた。



「…………」



 漆黒のアルナイルは黒い血を口から流し動きが止まったが、体の傷口からは血が流れていない、そして全ての傷から黒いオーラが流れ出しゆっくりと赤い光線が飛んできた方を見た。


「わたしのじゃま

するのはだぁれ?

だれなのぉ?」


 漆黒のアルナイルが無邪気に楽しそうに言い、はしゃぎ始めるそれは怪しく異様な光景であった。



「でぇておいでぇ

みんな一緒になろうよぉ」



 漆黒のアルナイルはそう子供の様に大きな声で言い、背後のブラックホールを巨大化させる様に近くの小天体を引き寄せ始めた。


 それと同時にアル・スハイルの赤い光線が、再び漆黒のアルナイルを目掛けて襲い掛かった。


 その光線は十本ほどあり、殆どはブラックホールに飲まれるが2本の光線はアルナイルを貫く。


「まさか余のことを

忘れてるとは」


 アル・スハイルがそう呟いた時、アルナイルの背後のブラックホールの中心が僅かに白く光ったのをメビウスが気付いた。


「気をつけてっ‼︎」


「?」


 アル・スハイルはメビウスの声を聞いた瞬間、凄まじい勢いでガスがジェットの様に吹き出しアル・スハイルとメビウスに目掛けて放たれた。


 そのガスは速く一直線にアル・スハイル達に目掛けて向かってくる。

 アル・スハイルは巻き込まれた小天体は消滅し、当たりもしていない近くの小天体がドロリと溶けたのを確認した。


 凄まじい重力の力で弾き出されるように放出されたガスは大量の塵を含み、摩擦熱によって超高温となっていたのだ。


「避けてっ!」


 メビウスがアル・スハイルに叫んだが、アル・スハイルは避けようとしなかった。


 まだアル・スハイルに到達するまで僅かな時間がある、メビウスはアトリアロフから直線でここまで向かって来たのを思い出した。


「まさか……」


 メビウスは避けようとしていたが、アル・スハイルがアトリアロフを守ろうとしている事に気づいた。


 アル・スハイルは何かを呟いている。



「我誓いの一星アル・スハイル

赤い星よ我が誓いを糧に

その全ての力を見せよ……」



 親しい赤に対し願いを唱える様に呟いている。


 赤はアル・スハイルが何を考えてるのか、何を求めているのかを全て理解していた、成長したアル・スハイルが求める力、漆黒の星アルナイルの放った攻撃を受け止める力、それをアル・スハイルに与える方法は一つしか無かった。



「我が誓いの為に

今一度我に授けよ……」



 アル・スハイルが唱えるが赤は戸惑う、それはアル・スハイルが二度と使わないと決めた力だった。


(破壊と戦いの力を……)


 赤はその力を再び求めたアル・スハイルの想いをどう受け止めていいのか解らなかった、アル・スハイルは今は命の力をベースに戦っている、だがそんな生やさしい力では止められないと解っていたのだ。


 戸惑う赤を責めることなくアル・スハイルは星を輝かせ唱えている。



「全てを焼き尽くし

全てを破壊し全てを切り裂く

その力を今一度……」


(アル・スハイル……)



 赤は戸惑っている時に声が聞こえた。



(なにをしているの赤っ!

聞き入れなさいっ!)



 それはメビウスの声だった、赤は初めてメビウスがダークマターを使い意思を伝えて来てくれたことに驚いたが、目を見開いてその力を溢れさせた、破壊と戦いの力を。



「我が誓いの為にっ!

今一度全てを

切り裂いてくれるっ‼︎‼︎」



 アル・スハイルはそれと同時に叫び、アル・ムーリフから送られたサーベルを抜き、全力で星の力を込め横一線に振り抜いた。

 その斬撃から、漆黒のアルナイルが放ったガスの塊に向け深紅の斬撃が放たれる。



(すまぬ…だがいまは……

これしか無いのじゃっ‼︎‼︎)



 アル・スハイルが鋭い目つきで、アトリアロフごと破壊しようとしているガスの塊を睨み心から叫んだ。


 その叫びはアル・ムーリフに叫んでいた、二度と破壊と戦いの力を頼らないと誓っていた、だがその力を使わなければアトリアロフを守れない状況に気付いた時には立っていたのだ。

 戦い慣れ様々な状況に対応して来たアル・スハイルがそうせざるを得なかった、あの破壊力と速さを誇る攻撃を逸らすこともできない、受け止めることなど出来ないのが目に見えていた。


 たった一つ、限られた時間で出来ることは、全ての力を一太刀に集め斬り裂くことしか考えられなかったのだ。


 アル・スハイルの放った斬撃がそのガスの塊に到達した時、それは強靭な刃の様にジェットのように噴出されたガスの塊を斬り裂いていく、斬り裂かれたガスは勢いを失いつつ上下二手に分かれ消えていく。



(これが……

スピカの子と私の子の……)



 メビウスは凄まじい破壊力を見せたアル・スハイルの斬撃を、表情は変えなかったが信じられない物を見た様にそう思っていた。


 それと同時にスピカが、アル・スハイルとアル・ムーリフを星として生み出さず星海人として生み出されたのに初めて気付いた。


 今までメビウスが気づかなかったのは、その星が無かったからである。



 アル・スハイルの放った斬撃は深紅に輝き、ガスの塊を斬り裂き次第に力が増し、ガスを拡散させていく、星海に撒き散らされたガスは青い光を放ち広がり消えていく、その斬撃の衝撃波は刃のようになり、一直線に漆黒のアルナイルを目掛け飛んでいくが、アル・スハイルはその斬撃を追う様に距離を詰めていた。



「どうやって

あんなに速く……」



 メビウスは呟きすぐにアル・スハイルを追った。


「移り変わる」


 メビウスは囁き自らを加速させたが追いつけなかった、アル・スハイルの通った後から赤では無い誓いの星の力を感じた。


 それはシーリスの力であり、メビウスはスピカが言った言葉を思い出した。



(むしろ淘汰されるべきは

私達古き大大星……

この世界に我らの古き秩序は

もう要らないのです)



 スピカは大大星としての役目を終わらせることを考えていた、全ての星が自由に過ごせる、その為に大大星の力の支配を終わらせる為に、それと同等の力を星海人に与えようとしていた。


 アル・スハイル、アル・ムーリフから生まれる新しい命が、星では無く星海人として生まれ、更にそれが広く広がる様に。


 そして大大星が暴走してしまった時の為にと。


 赤はシーリスから力を借り(移り変わる)そう呟いていたのだ。


 シーリスが赤を頼り赤がシーリスを頼った、その力を使いアル・スハイルは素早く漆黒のアルナイルに迫った。



「かことみらいぃぃ」



 漆黒のアルナイルはそれに気付き怪しく呟き、目を見開いて叫んだ。



「いまがないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼︎‼︎‼︎」



 漆黒のアルナイルはブラックホールからのガスの放出を止めた、アル・スハイルの姿を見るために。


 その時に最初にアル・スハイルが放った深紅の斬撃が目の前にあり、漆黒のアルナイルはそれを手に黒いオーラを出し、それで受け止め、深紅の斬撃は吸い込まれてしまったが、その直後にアル・スハイルがサーベルで斬りかかった。

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