第三章 第5話 伝わらなかった想い
「たっく
誰だよそれ……」
ガイアがそう言い空を見上げる。
「ハダルさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎」
空からはヴィーナスの喜びに満ちた叫び声が聞こえくる。
それを聞いたガイアの顔からは全ての感情が消え失せていた。
「ドブスだな……」
「だよねっだよねっ‼︎‼︎」
ハダルがヴィーナスを見てそう言い、エリスはガイアが共感してくれ元気になり大きな声で言っている。
二人はあくまでもヴィーナスの性格を言っているが、共感出来ても口に出せないアルタイルは汗をかいている。
「ハダルさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」
ヴィーナスは先程ガイアによって砕かれた顎を、大気を取り込み既に回復しているようで、喜びの声をあげ猛スピードでガイアの前に降りて来た。
(ハダル……
あれがスピカ様が……
守り続けた星を持つ人なの?)
シーリスは目を覚ましていたが、気絶したふりをして話を聞こうとしていた。
エリスはガイアの後ろにサッと隠れ、びくびくしながらもガイアなら守ってくれると信じ顔を出している。
「ハダルさま……」
ヴィーナスはガイアの姿を見て困惑した様な表情をした、なぜ人間なのかとそう思ったのだ。
「なんだよ
つかなんでお前がこの星に来てんだ
あいつらはどうしたんだ」
ガイアが聞いた、ヴィーナスはハダルにハダル一派が暴走しない様にちゃんと見ておく様に言われていたのだ。
アル・スハイルと無駄な争いをさせない様に、ハダル一派の中でアルナイルの次に実力のあるヴィーナスに頼んでいたのだ。
「あっあの方々は
ハダル様が戻るまで
一時解散と言うことにしました
ハダル様が居ないので
どうして良いのか解りませんし
あの小娘も姿を消してしまいましたし」
ヴィーナスは恭しくアルナイルの事を小娘と言い、次に可愛らしくガイアに聞いた。
「ところでハダルさま?
なんで人間に……
なられてしまったんですか?」
「いいだろ別に
お前にはかんけぇねぇ
つかアルナイルを悪く言うんじゃねぇ
次言ったらマジでぶん殴んぞ」
ガイアはヴィーナスに厳しく言い、その態度は変わってないようでヴィーナスを嫌っているのが良くわかった。
(あのハダルでも我慢してたんだ……)
アルタイルはそう感じていた、だがヴィーナスがここに来て初めてだろうか、会話は今までよりはまともに成立している。
「ふぅ~ん……」
ヴィーナスが考えながらふとエリスに目をやると、エリスは怯えながらさっとガイアの後ろに隠れている。
エリスの星も本来ならそう弱くは無いが、まだエリスが子供なので対抗出来ないのだろう、エリスの星の意思も大人しくしている。
「ハダル様?
その子はハダル様と親しいようですが
不和と争いの星を持つ子です
あまり仲良くされない方が
宜しいと思いますから
私がお預かります
渡して頂けないですか?」
ヴィーナスが恭しくガイアを心配するように言った、確かにエリスの星の力は要らぬ争いを招き、男女関係をストレートに壊す力がある、ガイアはそれを身をもって経験している、エリスと初めて会った夜も、この3ヶ月の間も何度かそのおかげで流れ星を見ているが、ガイアは言った。
「おまえどうせまた虐めんだろ?」
ガイアは白い目で見ている、エリスはほっとしている。
「そっそんなことはしませんわっ
わたくしも子供は大好きですの
沢山可愛がってあげますわ」
ヴィーナスがそう言うとエリスはひょこっと顔を出してベーっとしている。
ヴィーナスはそれを見てもにこにこしているが、内心は血管が浮き出る程にイラついている。
「おまえ嫌われてんじゃん
アルタイルが見てくれてるから
ほっといてやれよ
大人なんだからさ」
ガイアは自然に言いヴィーナスは下がるしか無くガイアは続けて言った。
「ハダル様がそうおっしゃるなら……」
ヴィーナスはそう言って引き下がった瞬間、あまりの出来事にシーリスは驚いたのだろうか、気絶しているふりをしていたが目を見開き飛び起きる。
(言うこと聞くんだ……
ってかシーリスは起きてたよね?)
アルタイルは汗をかいて聞いている。
「うんで
ようが無かったらもう帰れよ
ここにはお前が興味あることはねぇだろ」
ガイアがそう言うとステラが洞窟から出て来て言った。
「いえっ
ようはありますわ
わたくしは
アルタイルさんに呼ばれたのです
それなのに
目の前に見知らぬブサイクが居て
重いとまで言われたんですよ
その上にそこのお嬢ちゃんには
耳にタコが出来るくらい
ドブスって言われてしまい
この星海一の美貌を持つわたくしに
失礼だと思いませんか?
ただでは帰れませんわ」
ヴィーナスがそうガイアに訴える。
(なにこのオンナ
あそこまでやって男にすがるの?
ほんとうに嫌なやつね……
でも実力は限定的だけど本物ね
わたしとアルタイルを
一人で相手にしたんだから
でも星海で見かけたら
絶対に潰してあげるわ……
でもハダルは
私を蹴り飛ばしたあと
地面に何かしたよね?
じゃなかったら私は……)
シーリスはそう思っていた、シーリスはあの加速状態から腹部に蹴りを受け、未来の力で回復したものの気を失ってしまい、大地に叩きつけられ、今のように軽症で済むはずが無い程の衝撃を受けた筈だと解っていた。
(このおばちゃん
あたまおかしいよ……
ぜったい…おかしいっ‼︎‼︎)
エリスはそう思っている。
(これ…ガイアが……
アル・スハイルに協力する様に言えば
いやいやでも
協力してくれるんじゃ無いかな?)
アルタイルはそう考え始めていたが声が聞こえた。
「ガイア?だれその子
知り合いなの?」
ステラが自然に聞いたが、ヴィーナスはステラの姿を見て一瞬で気付いた。
(アル・ムーリフッ‼︎‼︎)
ヴィーナスは心の中で叫びながらも、表情はにこにこしている。
(あぁ…このタイミングで……)
アルタイルは一瞬で間の悪さを感じていた。
「ステラ悪い
ハダル一派の時の仲間なんだけど
今帰って貰うから
ゆっくりしててくれ」
ガイアがステラに言ったがヴィーナスがすぐに言った。
「わたくしはアルタイルさんと
お話がありますのでまだ帰りませんわ
アルタイルさん
何処か休める場所はあるかしら?」
ヴィーナスはにこにこしながらそう言うが、内心は煮えたぎるように怒りが溢れていた。
(アル・ムーリフとハダル様が
なんで一緒なのよっ‼︎‼︎
確かにハダル様は昔から私を
あまり相手にしてくれませんでしたわ……
ですがいつか分かってくださる
そう信じていたんですのよっ‼︎‼︎
だからハダル様の妹を名乗る
胡散臭いアルナイルがそばに居ても
我慢してたのよっ!
絶対に渡しませんわっ‼︎‼︎)
ヴィーナスは心の中で燃えていた、ヴィーナスは女のカンと言うやつだろうか、ハダルとアルナイルの関係を疑っていたのだ。
(いや……
確かに話はあるよ……
シーリスがここにいるから
メビウスからの攻撃は無いと思う
だから時間はあるはずだけど
絶対にガイアに言って貰うしか
それしか方法が無かった気がするんだけど
もう無理だよねこれ……)
アルタイルはそう思いながら言った。
「とりあえず
この洞窟に村があるから
そこでお茶でも飲みながら話さない?」
「はい
そうしましょう」
ヴィーナスはにこにこしながら言う。
「ちょっと待ちなさいよ
私も話があるんだから
誘ってくれてもいいじゃない……」
シーリスもずかずかと割って入る。
(この人勇者だなぁ……
今のどさくさに紛れて帰ればいいのに)
アルタイルはそう思うがシーリスにも事情があるのだ。
(その剣を譲って貰うまで
意地でも帰らないわ
ブサイク扱いされて
あんなのに巻き込まれて
手ぶらで帰れる訳ないじゃないっ‼︎)
シーリスも意地になっている、そうして三人はクンガ村に入っていく。
そしてその三人はクンガ村の一つしかない喫茶店に入る、そして三人は一つのテーブルに座りその横の席にステラとガイアが座り、ザウラクとエルナトとエリスは離れた席に着き、巻き込まれないようにしているのが目に見えて解る。
そしてアルタイルは思った。
(なに……
この胃に穴が開きそうな
テーブル……)
まずアルタイルとシーリス、ヴィーナスが同席している、シーリスは間違いなくアル・スハイルの敵である、そしてヴィーナスはアルタイルの話はどうでも良くてステラを狙っているのは見え見えである、ガイアの手前大人しくしていて内心はメラメラと燃えているに違いない。
そして話の内容からして、ヴィーナスをアル・スハイルの味方にするのが目的だが、シーリスが居るのでそれを話す訳にはいかない。
つまり目的を話さず、ヴィーナスをアル・スハイルの元に行かせなければならないのだ。
(ふつう……
無理だよね?
そもそもアル・スハイルを
ヴィーナスは敵視してて昔からだけど
アル・スハイルの手星を蹴散らしてたし
どっちかと言えば
シーリスと手を組みたいはず
今だって……
アル・ムーリフに絡むチャンスを
伺ってるよね?)
アルタイルは、自分の背後に座っているステラを見ているヴィーナスはにこにこしているが、殺気のようなものも感じていた。
そして三人が頼んだ紅茶が運ばれてくる。
ヴィーナスはミルクティー。
シーリスはストレートティー。
アルタイルはレモンティー。
三人とも好みが違うようであり、性格も表しているような注文をしている。
「ところでアルタイルさん
なんでアル・スハイルは
わたくしを呼んでるのかしら?」
ヴィーナスから話を切り出した、シーリスはヴィーナスがアル・スハイルに協力したとしても、大大星スピカの剣さえ手に入れれば目的は達成出来る、スピカがメビウスを押さえることが出来なくなれば、大大星メビウスの力でその後はどうにでもなると考え静かにしている。
『いい?
スピカの剣は
絶対に折らないで
回収しなさい
あとガイアは大星ベガの
転生を繰り返した姿よ
気をつけなさい』
メビウスは三人の様子を見てダークマターに意思を乗せてシーリスに話しかけていた。
メビウスはアルナイルが一度、本体でも無い分けた半身と思われる剣を、自分の体より大切にしたことを不可解に思っていた。
(スピカ……
あなたは本体に何かを隠してるわね
それとその半身の剣
そっちには何を隠したの?
確かに星の武具は力の源でもあるわ
でもそれだけじゃない
それに大大星の力は
星の武器だけじゃない……)
メビウスは最大限に警戒していた。
『ベガのっ!……
はいお母様……
スピカも
お母様のご友人
お二人の仲を……
とり持てるように頑張ります』
シーリスはそう答えた、シーリスは剣を手に入れてメビウスに渡すか、メビウスの星に持ち帰ることを考えていた。
(ほんとうに
メビウスのその力
凄いよね……)
アルナイルはそう思っていた、アルナイルですらダークマターを使って意識を送る事が出来るが、それは本体の剣を持つアルタイルにしか出来ない、だがそれもそうした方がいいと言う程度の意識で、明確な言葉ではない、メビウスはそれを明確な言葉で伝え、そしてそれを伝えられた相手は方法さえ解っていれば、一定時間会話出来るのだ。
それはメビウスが、語りかければかける度にその一定時間は繰り返されるのだ。
(そこまでは
私にも真似出来ないねぇ
ヴィーナスもガイアの前じゃ大人しいし
大丈夫かな?)
アルナイルはメビウスがなんて会話をしていたか、それは解らなかった、シーリスがスピカのことも気にしていたなんて思いもしなかった。
「わたしのお母様メビウスと
戦うためよね
アルタイルさん?」
シーリスが言った、アルタイルは驚いている、敵であるシーリスがこの席にいる事自体がヴィーナスとのドタバタ騒ぎで奇跡的であるあが、アルタイルからすれば胃に穴が開きそうなほどストレスを感じる席である。
そのシーリスから言ったのだ、確かにシーリスから見ればアルタイルの行動は見え見えである。
「アルタイルさん
この方はどなたですか?
このブサイクも
あなたにようがあるんですよね?」
ヴィーナスが聞いた、たしかにいきなり揉めてやり合いグダグダとするかと思ったが、エリスが火に油を注ぎ再び発火したように戦い一度も名を名乗っていない。
「大大星メビウスの娘シーリス
さっき話したのが
初めてだったけど……
あんた本当にメビウスの娘なの?
違う雰囲気あるよね?」
アルタイルが一つ疑問に思ったことを聞いた。
「わたしは実の娘じゃないわ
シリウスの妹星よ
わたしの兄の星を持つ者が
星海で暴れてたからね
わたしはメビウスの星で
静かにしてたのよ
だからね……」
シーリスはその先を言いづらそうにした、シーリスは既にヴィーナスを相手にしない事にした、メビウスの星の人々には女神の様に大切にされていたが、この様な扱いは初めてであり、普通に振る舞うガイア達に新鮮味を感じていたのだ。
(なんか恥ずかしい……)
シーリスはただそう思っていた。
(やっぱり……
シリウスの力を持ってるはずだよね
私の恨みは
アル・スハイルが晴らしてくれたし
この子は全く別人だからね)
アルタイルはそう思っていたが、アル・スハイルがシリウスを倒した時を見ていて、そしてガイアがベガの最後を教えてくれたおかげでアルタイルは誰も恨まず聞いていた。
アルタイルはそれで冷静に考えシーリスがヴィーナスと結託するのかと考えた。
(まぁ素性は解っても
シーリスからすればヴィーナスは
アル・スハイルを敵として見ているし
この場でヴィーナスを味方にしたいはず
でも…それは甘い考えよ)
アルタイルはそう思い思い切って言った。
「そう……
アル・スハイルは
大大星メビウスと戦う為に
星を持つ星海人を集めてるわ
アルデバランも
アル・スハイルの元に向かったし
大星と呼ばれてる者を
全て集めようとしているのよ」
そこまでアルタイルが言った時に、ステラはアル・スハイルが何を考えているのかを手に取るように解った。
(お姉ちゃん……
そこまでしないと勝てないの?
メビウスって……
それとあの人が
白い誓いの星
シーリスなんだ……)
ステラがそう思いながらシーリスを見つめると、紫の誓いの星の影響だろうか、何故か親しみを感じていた。
「なんで私がその戦いを
手伝わないといけないのかしら?
私としては
メビウスとアル・スハイルが
戦っている間にアル・スハイルを
背後から襲いたいくらいなのよ
解ってるでしょ?
私があの子生意気な小娘を嫌ってるの
なんたって
愛しいハダルさまの敵なんですもの」
ヴィーナスは自分の私的な恨みをハダルの敵と言った時に、シーリスは思った。
(そうそう……
個人的には手を組みたくないわ
こんな人とは
でも目的が一緒なら
協力してくれそうよね)
その時ガイアが振り向いてアルタイルの横から言った。
「あっヴィーナス
もうあいつは俺の敵じゃねえから
気にしなくていいぞ
あとシーリス?
おまえも
アル・スハイルに負けたんだろ
あいつ強かったろ?」
それを聞いたと同時にアルタイルはニコッと可愛い笑顔を見せた。
「シーリス…おまえ……
アル・スハイルを襲ったの⁉︎⁉︎」
でも直ぐにアルタイルは驚いたように言った、話を聞いてアル・スハイルが負けるはずが無いと、そう思ってニコッと笑ったのだがハッとして言ったのだ。
「えっえぇ……
でもあれは…戦いって
言うより……」
シーリスはガイアの言葉を聞いて、ふとあの戦いを思い出して感じた。
(もしあの時……
赤が力を使い続けていたら
アル・スハイルは
私を斬ったのかしら……)
「どうだった?」
ガイアが考えているシーリスに聞いた。
「わたしに何かを伝える為に
剣を振ってましたね……」
シーリスは最初の一撃で致命傷を負わされたこと、その後のサーベルには本気ではあるが殺気も読めるが、それ以上に凄まじい程に赤い誓いの星を想う気持ちが乗っていたのだ。
「そっか……
で?それは解ったのか?」
ガイアが聞いた。
「アルタイルさんと二人で
そこのヴィーナスと戦って
なんとなくですけど……」
シーリスが控えめに言った。
その場にいたヴィーナス以外の者はなぜシーリスが控えめに言ったのか、気付いて無かった、そしてガイアはベガがシーリスと出会っていた事を思い出していなかった。
「なら良かったじゃねぇか
あいつはお前らが思ってるほど
悪い奴じゃねぇよ」
ガイアは笑顔で言い、シーリスは小さな笑みを見せ紅茶を口にする。
そんな中でヴィーナスは全く関係ないことを思っていた。
(さっきの顔……
あなたが勝ったと思った時の……)
ヴィーナスはさっき見せたアルタイル顔を知っていた。それは昔から喧嘩を売らない程度にアルタイルに絡み、アルタイルを小さな遊びには付き合わせてきたヴィーナスは、時折り見せたアルタイルのその笑顔が印象的で覚えていたのだ。
(この場でその顔は
可愛いぶんムカつくわっ
でも我慢よっ!
ハダル様に嫌われたくないわっ!)
ヴィーナスは耐え丁寧にガイアに聞いた。
「ハダル様
そうでしたの?それならそうと
それをわたくしに
知らせてくださっても
良かったのではありませんの?」
ヴィーナスは落ち着いて聞いているが、相当な我慢をしているのがアルタイルには伝わって来ていた。
「あぁそれは悪かったなだけどよ
俺もいまは人間だからよ
星海に簡単にはいけねぇんだ」
ガイアも仲間としての付き合いがあったようで自然と話していた。
「まさかアル・スハイルに連れてってもらう訳にはいかねぇだろ?」
ガイアがそう言いステラが言った。
「私とアルタイルが居れば
行けたんじゃないの?
わたしの変換を使って
アルタイルに飛んで貰えば
行けたんじゃないの?」
(このアマがぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎
アル・ムーリフッ!
このわたしに
ハダル様とイチャイチャしてる姿を
見せつけたいのかしらっ‼︎‼︎)
ヴィーナスは内心キレている、そんな姿を見せつけられたら我慢できるはずが無いと、アルタイルは心から思っていた。
「わたしはどっちでもいいわよ
あなたがアル・スハイルに
手を貸しても
貸さなくても
私達とアトリアロフを攻めても
どっちでもいいわ」
シーリスが急に言った。
ガイアとステラからしたら聞き捨てならないことだった。
「ちょっと待てよ」
ガイアが僅かに睨む様に言った。
ステラはシーリスを静かに見ていた。
「お前がさ
エリスを守ろうとしてくれたから
何も言わなかったけどよ
それはどう言うことなんだ?
アル・スハイルの強さは
もう解ってんだろ?」
ガイアが聞いた。
「わたしがここに居るのは
この戦いを静かに終わらせる為に
ここに居るのよ
わたしもお母様とスピカ様の争いは
早く穏やかに終わってほしい
そう思ってますよ
その昔は本当に仲が良かったって
そう聞いてますから」
シーリスはそう言うとストレートティーを口運んだ。
「ならなんで
アトリアロフを狙うんだよ」
ガイアが聞いた。
「そもそもはアル・カストルが
スピカ様に協力したことから始まります
スピカ様はアル・カストルに
何かを預けられました
それが何かは
わたくしにも解りませんけど」
シーリスはガイアの言葉もそうだが、目的を忘れてはいない。
その為に今まで未来の力をより強くしようとし、様々な時の流れに触れていた。
それは紫の誓いの星に対抗しようと努力していた日々であったが、その中で何かが時の流れの中で糸がほつれているような、そんな場所を見つけていた、それは遠い過去で過去に触れられる赤い誓いの星なら良く見れるのだが、シーリスはその時を見つけたのだが良く調べる事が出来なかったのだ。
ただそれが大大星スピカが、自らの星を爆発させた時だと言うことだけは解ったが、それ以上は解らなかった。
(それ……
わたしとお姉ちゃんだ……)
ステラはそう思っていた。
「それでお母様が
アル家に復讐しようとされ
スピカ様が星海に放たれた命達に
星海人を襲うように意思を放たれ
始まったのですよ」
シーリスがそう話し、アルタイルはアル・スハイルが戦い続けて来た原因を初めて聞いた。
そしてステラは過去に戻って見て来た世界で、アル・カストルが言っていたことと、シーリスの言っている事が繋がり表情を曇らせていた。
(アルナイル……
あなたは……何をしたかったの……
ちゃんと話し合わないと……)
ステラはアルナイルが自分の母親だと聞いていたが、お母さんとは呼べなかった、それはアルナイルとメビウスが話し合えばもっと違う形で話が進み、こんな世界にはならなかったのではとしか思えなかった。
(そう言えばあいつ……
思ったら行動するやつだったよな……)
ガイアはベガであった時の記憶は戻ってはいなかったが、なぜかそう思えた。
「まぁ……
スピカ様も今はお姿を見せられ
いまお母様と話し合われてますわ
そこでスピカ様の剣を
アルタイルさんがお持ちなので
それを私に渡してくれませんか?
そうすればスピカ様も諦めて下されば
わたしの母メビウスも
アル家を見逃して下さるはず
悪い話では無いと思いますけど
アルタイルさん
いかがでしょう?」
シーリスがストレートに言った、それは断られる事が目に見えている話であった。
アルタイルからすれば、ベガの形見の剣であり何よりも大切な剣であった、ガイアからは今は簡単に使うなと言われたが、その意味をやっと理解した。
アルタイルが持つエストックが大大星スピカの武器だと、やっと解ったのだ。
(このエストックが……
そう言えばここに来たのも
このエストックに触れた時に
ガイアを止めないといけない気がした……
アルナイル……
あんたが教えてくれてたんだ……)
アルタイルはそう思っていた、だがそれと同時にアルナイルに渡すべきだと思っていた。
(アルナイルの剣……
それがあればアルナイルが
私達のことを思い出してくれるのね……)
ステラはそう思い、ステラが言おうとした時、ヴィーナスが急に話に割って入って来た。
「アルタイルさん?
その剣から
アルナイルさんの気配もするんですけど
どう言う剣なのですか?」
ヴィーナスはスピカとアルナイルが同一人物だと言うことを知らなかった。
それを聞いたシーリスが答える。
「知らないの?
アルナイルは大大星スピカの
仮の名よ……」
「じゃあ……」
ヴィーナスが驚いた顔をして言ったが、何故そんな顔をしたか、誰も気づかなかった。
「そう……
そのスピカの剣は
アルナイルの本体とも言える剣なのよ
その剣をわたしがお母様に渡せば
スピカ様は諦めるしかなくなるのよ
そうすれば
スピカ様も考え直すしかなくなるわ」
シーリスがそう言い、ヴィーナスはまじまじとアルタイルが腰に帯びている剣を見つめている。
「大大星の統治を終わらせるなんて」
無理な話なのよ
誰かが見ないと
今みたいに星の生き物達と
星海人の争いは絶えず
永遠に続くの
それはお母様を支持する星と
スピカ様を支持する星があるから
お母様を支持する星が
星海人を攻撃して
スピカ様を支持する星が
星海人を見染めてるからよ
お母様も今の星海の姿を
望んではないのよ
だからお母様も代案を考えられたけど
それを聞く前に
スピカ様がご自身の星を
爆発させてしまいましたから……」
シーリスがそう言った時、アルナイルの光星の中でアルナイルは驚いていた。
「シーリスが言ってることは
本当よ……
あの子達と喧嘩したのも
それが原因なのよ」
メビウスが仕方ない顔をしてアルナイルに言った。
メビウスが言った、メビウスが言ったあの子達は紫の誓いの星と赤い誓いの星を言っていたのだ。
アルナイルはいつもメビウスがアルナイルが考えたことに対して、それにそった話を代案を出してくれていたのを思い出していた。
いつもその代案は良く考えられていて、スピカはそれを取り入れたりして良く二人で話し合っていたのだ。
セプテントリオはその時も姿を見せずに、スピカとメビウス、二人の好きにさせていたのだ。
この時にあと僅かな時間をメビウスが作り出せていれば、こんな事にはならなかったのではないか?、それとも普段顔を出さないセプテントリオが、顔を出していれば話が変わっていたのではないか、シーリスはそう思いながら話をしていた。




