第二章 第14話 大星アルデバラン
アル・スハイルとステラが眠り続け、2日が経ち、アトリアロフのアル家の庭に一人の大星が降り立った。
「アル・スハイルッ!
この俺様を呼びつけるとは
貴様何様のつもりだっ‼︎‼︎」
大星アルデバランが手下を引き連れ現れたのだ。
だがアル・スハイルは姿勢を崩さずに寝たまま、静かに寝ている。
「こいつ……」
アルデバランは苛立ち初めていたが、部下が言った。
「大将
いまなら殺れまっせっ!
こいつを倒せば星海中に
大将の名が知れ渡りま……っ‼︎」
その部下が言い終える前にアルデバランはその部下の頭を殴り飛ばした、その者はその打撃で首が飛ばされ即死したのが解る。
「てめぇ
この俺に寝首をかかせんのか
てめぇらっ!
二度とそんなこと考えんじゃねぇぞ……」
その言葉は重く、気高過ぎる性格が溢れ出ていた。
アルデバランは正面から勝負をするつもりで来ていたが、アル・スハイルが眠っている為に話も出来ずに苛立ちは募るばかりであったが、そこにサラスが屋敷から出て来て言った。
「ほう……
力だけで大星と呼ばれてる訳では
ないようですな」
「なんだジジイッ‼︎」
アルデバランがそう言った瞬間、サラスはアルデバランの真横につき、杖をアルデバランの首に杖を当てた。
「口の聞き方に気をつけなされ
この先は
余計な怒りを買わぬが懸命ですぞ」
サラスの動きをアルデバランは追うことが出来なかった、今までアルデバランが体験したことの無い速さに汗を一筋流していた。
「お前は何者なんだ
なぜここにいる……?」
アルデバランは静かに聞いた、力の差は今の一瞬で明白であり、明らかに大星を上回る者がアル・スハイルの屋敷に居ることに疑問を持っていた。
「わしはサラス・セプテント
巨星ミアプラと言えば解りますかな?」
サラスがセプテントを名乗った、その名をアルデバランは知らないが、ステラを思う親としてだろうかサラスは自然とそう名乗っていた。
「巨星…ミアプラ……
そんな…そんなはずは……」
アルデバランは疑うしか無かったが、疑えなかった、サラスの力を頭から見せつけられ信じるしか無かった。
「哀れ……」
サラスはそう呟き、アルデバランに殺された者の首を拾いその者の体に合わせて置き、ミアプラの杖をその者の首に当てると、ぽぅっと、優しい水色の輝きで包まれ首が体と繋がっていき、綺麗に元に戻りサラスは呟いた。
「ミアプラ……
命を分けてやってくれぬか?」
サラスがそう呟くとミアプラの杖が更に輝き、淡い水色の球体が現れその者の胸に吸い込まれていった。
そして少しすると、その者が息を吹き返し倒れたまま頭を押さえて呟いた。
「俺はぁ…
なんで生きてんだ……」
その声を聞いて誰しもが驚いた、完全に死んだ者を生き返らせる事は、命の星を持つザウラクですら出来ないことであるが、サラスはいとも簡単にそれを見せたのだ。
サラスは微笑んで何も言わずにアルデバランに向き合い、その穏やかな顔で言った。
「わしは今
アル・スハイルに手を貸しておる
どうじゃそなたも一つ
手を貸してくれぬか?」
サラスは裏表なく、若い星を誘うように言った、それを見たアルデバランは小さく笑い身体中から殺気を放つが、すぐにその殺気は抑えて言った。
「この俺と力比べをしないか?
俺に勝てたら
手を貸してやろう」
(荒ぶる怒りを抑えたか
昔と変わらず
良い輝きを持つ星じゃな
アルの名を受け継ぎ
女王を見捨てた星……
流石に素直には聞かぬな)
サラスはそう考え上着を脱ぎ捨てた。
そこには老人とは思えない屈強な体が隠されていた。
「いい体してるな
速さだけでは無いと言うことか……」
アルデバランが鼻で笑い言ったが、サラスは微笑みながら言う。
「わしの女が
筋肉には五月蝿いのでな
毎日鍛えておるのじゃよ
この老体には堪えるがな……」
サラスが冗談を交えながら言い、アルデバランは自らの体を見せるように気合いを放ち鎧を破壊し身構える。
するとサラスの冗談に合わせるように、ミアプラが杖から現れ二人の筋肉を見てうっとりする様な表情をした。
そのミアプラの美しさにアルデバランの部下達は目を奪われたが、アルデバランは見抜いていた。
「ミアプラ自身が姿を表すとは……
それが巨星の力か……」
アルデバランが言うとサラスが言った。
「いい女であろう?
わしだけの星じゃ
誰にも触れさせはせんよ」
サラスのその言葉を聞き、アルデバランは鋭く睨み、サラスに右手で殴りかかった。
サラスはその風を切る様に早く、そして鋼さえ打ち砕くようなアルデバランの拳を左の手のひらで受け止める、そしてサラスは素早くその手を引きアルデバランを引き寄せ右手の拳で顔を横から殴りつけた。
サラスの強烈な拳を受けアルデバランは脳にまで衝撃を受けるが、大星と呼ばれる実力を見せるように、よろめくことも倒れることもなく、素早くサラスの左手を振り払い再び殴りかかるが、サラスはそれを両手で受け止める。
(アルタイルは速さ……
アルデバランは
力と言ったところじゃな
この二人は質も性格も対照的過ぎるが
この者には足りぬ者があるな)
サラスはアルデバランの全てを打ち砕くような拳を受け止め、そう実感していたがアルデバランはサラスの強さに気づいていた。
(こいつ……
星の力を使って無いと言うのか……)
アルデバランは、椅子に座ったまま眠りについているアル・スハイルの横で、可愛い娘の寝顔を楽しむようにくつろいでいるミアプラに気付いていた。
サラスがそう言ったのだ、ステラ、アル・ムーリフの姉であるアル・スハイルもある意味ミアプラからすれば、娘である。
普段可愛げの無いアル・スハイルを弄ろうとしているミアプラに、アルデバランは苛立ちを覚え始めていた。
「本気を出せサラスッ‼︎‼︎
この大星アルデバランをっ‼︎‼︎
あまく見るなっ‼︎‼︎‼︎」
アルデバランは怒鳴り散らすが、サラスは笑いながら言った。
「はははっ!
面白いことを言いますな若いの
アルタイルさえ
わしが撫でるだけで
逃げ出したと言うのに
なぜ本気を出さねばならんじゃ?」
サラスは思いっきり事実を述べ、アルデバランを侮辱していたが、次には溜息をついて言った。
「己の宿命に
背を向けた者など
ミアプラの手を借りぬとも……」
サラスの言葉をアルデバランは理解出来なかったが、アルデバランの体の中で輝く星がざわつきとてつも無い力が溢れ出し始めた。
「なんだ
身体が熱い……
この力は……」
アルデバランは初めて感じた力に戸惑い、それと同時に自らの星から荒ぶる怒りに近い悲しみを感じていた。
「かかってくるが良い
アルデバランッ‼︎
貴様が歩むべき道を
このわしが教えてくれるっ!」
サラスが強く叫ぶように言い、ミアプラの星を輝かせた。
サラスはアルデバランの星が、自らの役目を忘れてはいないと確信しミアプラの力を解き放つ。
アルデバランは持ち手の長い巨大な斧をその手から出し、凄まじい勢いで襲い掛かった。
(大星でありながら
星の武器を持つとは
力は磨き続けていたか……)
サラスはそう考え、ミアプラの杖を手にし真上から振り下ろされた斧を受け止めるが、アルデバランはその斧の存在を知らなかった、アルデバランの星自らがアルデバランの体を使い戦っていたのだ。
(身体が勝手にっ‼︎
これは……
なんて力なんだっ!)
アルデバランは戸惑っていた、かつて自分が使った事もない星の力に、自らの星の力に戸惑っていた。
「アルデバランッ!
いまそなたの星が……
そなたに自らの星の力を
伝えようとしているのだっ!
うろたえず受け入れ
知るが良いっ己の力をっ‼︎‼︎」
サラスがアルデバランから放たれる、超重量級の一撃を受け止め続けながら言った。
「俺の力だとっ‼︎」
アルデバランが叫ぶように言った。
「そうじゃ
この先アル・スハイルが挑む敵は
大大星メビウス
大星如きが敵う敵では無いっ‼︎‼︎」
サラスがアルデバランの放つ斧を躱し叫ぶように言い、ミアプラの杖でアルデバランの腹部を本気で殴りつけるが、アルデバランはびくともせずにサラスに襲いかかる。
「今の一撃を……」
アルデバランは驚いていた、耐えられる筈の無いサラスの一撃をアルデバランの星は何も無かったように耐え、サラスを追い続ける。
「驚くことはない
そなたの星の力じゃ
大大星スピカの子の星
そなたの星の力は」
サラスは襲い掛かってくるアルデバランの一撃を受け止め、力を伝える様に必死に叫んでいる。
「自らの腕力を超えぬ攻撃
その全てを通さぬ
黄金の盾……」
サラスはアルデバランの能力をそのまま伝えた。
その能力はシンプルだがとても強力な力だった、星海随一の剛腕を誇るアルデバラン、その腕力を超える星など存在するのか疑わしいものであり、直接的な攻撃はまず通らないだろうと誰にでも想像できた。
サラスはそれを伝え、すぐに離れミアプラの杖を庭に突き刺し攻撃をやめたが、アルデバランはそのままサラスに襲い掛かった。
「アルデバラン
そちよりお主が選んだ者の方が……
誇り高いようじゃな」
サラスはアルデバランの星に言った、それはサラスが杖を庭に刺した時、アルデバランは戦いをやめようとしたが、星自身が襲い掛かっていた。
(待てっ
あいつは杖を置いたっ‼︎‼︎)
誇り高いアルデバランは星の意思に訴えるが、聞く耳を持たない、スピカの子であるアルデバランの星は、大大星でも無い巨星ミアプラを見下していたのだ、そのミアプラが立ちはだかり、自らの宿命に立ち向かわないアルデバランを侮辱したのだ。
その怒りをサラスにぶつけようとし、アルデバランの斧がサラスを斬り裂こうとした時、一本のサーベルの切先がその斧を横から力強く押し、振り下ろされる斧をそらした。
「余の安らぎの場で
何をしておるのじゃ……」
アル・スハイルが起き、サラスを庇い静かに言った。
「アル・スハイル……」
アルデバランが驚きながら言った、アルデバランが知っていたアル・スハイルならば、そう聞く前に斬りかかって来たはずだ、だがアル・スハイルの言葉からは、僅かな怒りはこもるが、そちならば仕方ないと言う様な、まるでアルデバランを昔から知っているような感覚を覚えたのだ。
(うっすらと聞こえたが
やはりアルデバランもアルタイルと
同じクチであったか……
速さと力に分けられたと言うことか
こやつが余の親類とは世も末じゃな……)
アル・スハイルは眠りから覚めようとしていた時、サラスとアルデバランのやり取りが僅かに聞こえそう考えていた、精神的に疲れそうな未来を想像するが、それを表情に出さずに言った。
「何をしていたのだと聞いておる
応えぬか?」
「力比べをしていたのじゃ
些細な戯れじゃよ」
サラスが微笑んで言った、まるでアル・スハイルが割って入って来ると解っていたように……。
「サラス
そなたには山のように
聞くことがある
覚悟しておくが良い……」
アル・スハイルは小さく笑ってサラスに言い、アルデバランには怪しい笑みを浮かべて言った。
「それと力比べとはな
それは余とするべきであろう……
違うか?」
「あぁっ!
俺が貴様に呼び出される覚えは無いっ‼︎
貴様が俺に話に来るべきだろっ‼︎‼︎」
アルデバランが怒鳴るように言った。
(アルタイル
面倒なことを押し付けおって)
アル・スハイルは、アルタイルがアルデバランを説得しないで、本人をここに来るように仕向けただけなのを良く理解しそう思い言った。
「まぁ良い……
余と力比べをして
余が勝ったら
余の頼みを一つ聞いてくれぬか?」
アル・スハイルはアルデバランに穏やかに言った、サラスはアル・スハイルの心のありようが変わったように思えていた。
それは過去の世界に行き、アル・スハイルの心境が変わったように思えてならなかった。
「ふっ……
お前が俺に力比べなど
気でも狂ったか」
アルデバランが鼻で笑って言ったが、アル・スハイルは言った。
「赤よ……
いるのであろう?」
「はい……」
赤は姿を表して返事をしてくれ、アル・スハイルは言った。
「ならば…勝てよう
やってみないか?」
アルデバランは赤の姿を見てためらったのをアル・スハイルは見逃さなかった。
「いいだろう……
貴様の実力を見せてみろっ
巨星となった力をっ‼︎‼︎」
「巨星とな……
悪くは無いな……」
アル・スハイルは小さく笑いそう言うと、アルデバランはアル・スハイルに襲い掛かった。
アル・スハイルはアルデバランの斧を、アル・ムーリフから送られたサーベルでそらして躱し、素早くすれ違いざまにサーベルで峰打ちをアルデバランの腹部に打ち込んだ。
「なっ‼︎」
アルデバランは戸惑った、明らかな痛みを感じたのだ。
アル・スハイルが腕力でアルデバランに敵うはずがない、だが明らかにその攻撃はアルデバランにダメージを与えたのだ。
「何を驚いておる
余の力を知らぬお主ではあるまい」
アル・スハイルは言った。
アルデバランはアル・スハイルの細身の美しい腕を見たが、その腕からどうしてその様な力が出せるのか解らずにいた。
「うおぉぉぉぉぉっ‼︎‼︎」
アルデバランはその有り余る力を引き出し、全力で襲いかかる、左腕だけで斧を薙ぎ払うように振りアル・スハイルの腹部を狙うが軽やかに躱され、その斧の上をアル・スハイルは走り、素早く峰打ちでアルデバランの顔面を殴りつけ飛んで離れようとするが、アルデバランの右腕から繰り出された拳でアル・スハイルは殴り飛ばされるが、まるでダメージを受けていないかのように着地した。
アルデバランは斧を振り追撃しようとしたが、やっと気付いた今まで軽々と振っていた斧が僅かにだが、更に軽くなっていることに。
それはアルデバランの腕力が増した訳ではなかった。
「これは……」
斧が軽くなったことによって破壊力が落ちていることを、アルデバランはすぐに察し追撃をやめた。
「やっと気付いたようだな
余がそちの力を
余の力に変換していたのじゃ……
そちの星はそれに気付き
そちの力量に合わせてくれたのじゃ
なかなか良い武器ではないか」
アル・スハイルが言った。
「俺に合わせて……」
アルデバランがアル・スハイルの変換の力より、自らの斧に驚いている。
「気付かなかったのか?
その岩を軽く切ってみよ……」
アル・スハイルが屋敷の端にある庭石を顎でさして言った。
アルデバランは訝しげな表情を見せ、その岩で試し斬りをした、すると叩き割るような破壊力を持つはずの斧が、名刀のような切れ味を見せ力を込めずに切れたのだ。
「なっ……」
アルデバランは驚いていた、アル・スハイルなら驚くこともなく、起きた事実を受け入れるだろうがアルデバランには信じ難いものがあった。
「頭くらい柔らかくせぬか
硬いのはそちの態度だけで十分じゃ
余がそちの力を奪う変換をしたのと同時に
そちの星は斧の重量を軽くし
代わりに斬れ味を増してくれたのじゃ」
アル・スハイルが小さく笑いながら説明している、その笑みには親類に対する親しみを込めているのがサラスには解っていた。
「何故そのようなことを……
力が全てでは無いのか?
俺は力を……」
アルデバランがその手に持つ、アルデバランの星の斧を見つめながら言っていた。
「まだ気付かぬのか
そちはハダルと同じじゃな……
一つを極めるのは良いことじゃ
たしかにそれで
最も強くなれるかも知れぬ
じゃがそれは狭い星の中での話じゃ
この星海は広い……
幾らでもそれを封じる手はあろう」
アルデバランはアル・スハイルがより強くなれる術を、教えようとしてくれているのに気付き始めていた。
「じゃからその能力を封じられても
速さを活かし戦えるように
そちの星が
性質を変えてくれているのじゃ
体内の星を輝かせ
速さに意識してみると良い
アルタイルほどでは無いが
素早く動けよう……」
アル・スハイルも昔、アルタイルから戦いを学んでいた時、星の使い方の次はひたすら近接戦を叩き込まれた、その時アルタイルは何故外星タイプの長所である、遠距離戦を教えてくれないのかと言うそんな表情をしているアル・スハイルに言った。
(なんだいその目は
私の教え方が気に入らないの?)
(なぜ
射撃を教えぬのだ?)
アル・スハイルが聞いたが、一緒にいたアル・ムーリフは、ちょっとお姉ちゃんやめてよ、と言う感じでアル・スハイルの袖を引っ張ったが、アルタイルは話し始めた。
(あんたの星は外星なんだからさ
遠距離なんて
後で幾らでも伸びるんだよ
でもそれだけに頼っちゃいけないだよ
私もそれで失敗したからさ……)
アルタイルが小さく笑って言ってくれた。
(そちが何を失敗したと言うのだ?)
この頃のアル・スハイルは小生意気だがまだ可愛い面があり、不思議そうに聞いた。
(ベガにはどうしても
勝てないんだよねぇ……
近接はほぼ互換
でも中距離はあっちの方が
一枚も二枚も上手でさ……)
(そんなことがあるの?)
アル・ムーリフが素直に聞いた、そんなアル・スハイルとアル・ムーリフの二人を可愛がるように言った。
(そうっ
だから二人には
私みたくなって欲しくないから
両方戦えるようになって欲しいのっ
解ってくれるかな?)
アル・スハイルはアルタイルから教わったそれをアルデバランに伝えていた、アルデバランの能力は脅威であるが、ある意味で最弱と言える、それは何かの手段でアルデバランの力を超えられてしまった場合、無防備になってしまうからだ。
アルデバランはすぐにその意味を悟った。
大星と呼ばれていたが、それは力を活かした戦いばかりであった、そして数十億年戦いを辞め、その力と実力に驕っていたことに気付かされた。
アルデバランの星が宿命と言う言葉に反応し、その能力が開花されたが、アル・スハイルに敗れたも同然であるが、アルデバランは言った。
「俺は力で
貴様に負けた訳では無い
星に頼らず力で勝負しろっ‼︎」
「やれやれ…力とは……
実力のことでは無いのか?」
アル・スハイルは少し困ったように、ただ、自然に穏やかな顔で言った。
「ふっふはははっ!
ははははははははははははっ‼︎」
アルデバランは笑った、大きな声で笑った、手で頭を押さえて笑った。
そしてアルデバランはアル・スハイルに背を向けて静かに言った。
「何に手を貸せばいいんだ?」
アル・スハイルもサラスもそれを聞いて小さく微笑み、アル・スハイルは静かに言った。
「少し話そう…アルデバラン……」
アルデバランは負けを認めた、それは実力で敗北を認めたのでは無い、アルデバラン自身の小ささを感じたのだ。
それはサラスが言ったアルデバランに足りない者、アルデバランの星の意思が宿命を思い出し、その力が目覚めアルデバラン自身がより深く感じていたのだ。
一方星海では、セプテントリオに向かって七色の光が向かって飛んでいた。
「ランララッ♪ランランランッ♪
ランララッランランラン♫」
やけにご機嫌に、その七色の光を放つ者は歌いながら飛んでいた。
「アルタイルちゃんが
私を呼んでくれるのなんて
初めてですね
しかもオルビスなんて
とっても綺麗な星じゃないですか
星海で一番可愛いくて
綺麗なのが私だってこと
ハッキリさせるのに
ピッタリな星を選んでくれて
私は幸せ者です」
大星ヴィーナスは目をうっとりさせ、ご機嫌でウキウキしながら飛んでいく。
アルタイルが何故呼んだのかも知らずに……。
ねぇねぇなんで旅にでたの?どおして旅に出たの?~第二章 大星と巨星~ 完




