第二章 第12話 消えた執事
アル・スハイルとステラは起きない眠りについていた、アル家の屋敷でもプルートも心配して庭に出てずっとそばを離れなかった、何度かベッドに運ぼうとしたが、サラスがそのまま庭に寝かせるように言い、毛布をかけてアル・スハイルが起きるのを待っていた。
「サラス様
なんでアル・スハイル様を
ベッドで休ませてあげないんですか?」
プルートが自然な質問をした。
「それは今にわかる……
このままの方が面倒ごとが
簡単に収まるのでな」
サラスは微笑んで言った。
プルートは不思議そうな顔をしてサラスを見るが、サラスは変わらず優しい顔でプルートの頭を撫でてくれた。
ガイア達もアルタイルの言葉が引っかかり、ステラをその場で休ませていた、アルタイルは急ぎたい気持ちもあるが、アル・ムーリフの手星としてクンガにとどまる事にしたが、洞窟から出て金色の翼を出し、仲が悪いがヴィーナスに向け、金色の羽を一本抜いて飛ばした。
アルタイルは大星ヴィーナスを呼ぼうとしたのだ。
「ヴィーナスか……
出来れば会いたく無いんだけどなぁ
特にガイア達と一緒の時は
でもそんな事言ってられないしなぁ……」
アルタイルは飛ばした金色の羽を見つめながら呟いていた。
「久しいな……
まぁ…もう無い店だからな……
そうなるのは当然か……」
アル・スハイルはアル家の屋敷の近くにその昔あった雑貨屋を見つけて呟いた、そこは今日無くなる店でその店の主人とその家族が、一人も生き残れなかった店だった。
店の中には店主とその妻が忙しそうに働いている、店の二階が家になっていて、メビウスの科学が進歩した文明の攻撃が直撃し一家もろとも全員死んでしまったのだ。
「余はどうすれば良いのじゃ……」
アル・スハイルは呟いた。
その言葉から街の人々を思う気持ちが溢れていた、だがこの世界が過去ならば迂闊に救ってはならない、それをアル・スハイルは解っていた。
それは大切にしていたアル・ムーリフから送られたサーベルも無くなっていて、この時には存在していない物だから無いのだと、そう結論が出ていた。
この世界が過去ならば、父であるアル・カストルは屋敷で死ななければならない。
この世界が過去ならば、この日に死んでしまった人々は死ななければならない。
この世界が過去ならば、自分に今どれだけの力があったとしても、この日に何も出来なかった自分は何もしてはならない。
アル・スハイルは悩んだ、今の自分にこのアトリアロフを救うことは出来ない、とは言え見殺しには出来ない……。
(何かないのか…夢であれば……)
アル・スハイルはそう思った時にサラスが言った言葉を思い出した。
(全ては夢……
だが夢と思わぬことじゃ)
「夢か……」
アル・スハイルはそう呟いて微笑んだ。
「悪趣味な夢じゃな……」
アル・スハイルは目を瞑り、これから起こることの全てを見通して言い、僅かな間を置いて呟く。
「だが…夢ならば……」
アル・スハイルはアル・ムーリフから送られたサーベルを強く心で描いた。
するといつもの様にそのサーベルが現れ、アル・スハイルは強く右手で握り、目を見開いて言った。
「好きにさせてもらおう……」
ステラは必死になってベガとアルタイルを追うが、二人の速さに追いつけないでいた、むしろどんどん離されてしまっていた。
(追いつけない……
このままじゃ…アトリアロフが……
本当に過去なら
私もお姉ちゃんもみんなみんな……)
ステラは恐ろしくなっていた、自分が出来ることは恐らく限られている、アトリアロフにベガとアルタイルが居なければならない、だが自分が居るからこそ僅かな違いが生まれてしまい、二人が何処かに離れてしまったのかと考えいた。
仮にそうでなくても、ベガとアルタイルを引き止めなければならない、そう心から感じていた。
だが今はただの星海人であるステラでは、いっときは大大星と謳われたベガとアルタイルに追いつける筈が無かった。
(わたしじゃ…何も出来ない……)
ステラがそう思い諦めそうになってしまった時、頭の中に声が響いた。
(ねぇ
あなたはなんで旅に出たの?)
それは紛れも無いあの時に、ハダルに聞いた言葉だった。
(ダメッ‼︎‼︎
諦めたら……
ハダルに…出会えないから……
そんなの絶対にいやっ‼︎‼︎)
ステラは思った、この世界が過去であろうと夢であろうと、この世界のアル・スハイルとアル・ムーリフにも今ある未来を、そして自分たちがまだ知らない未来を見て欲しいと、そう思えたのだ。
するとステラの思いに応えるように、アル・スハイルから送られたサーベルが現れ、ステラはそのサーベルを力強く握りしめて叫んだ。
「お姉ちゃんっ
力を貸してっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
それはまさにステラとアル・ムーリフの言葉だった、そしてその想いを込めてアル・スハイルのサーベルを、ガイアに投げつけるように全力で放った。
(ガイア…ハダル…ベガ……
届いてっ‼︎‼︎)
ステラはガイアを思う気持ちを全て込めていた、アル・スハイルのサーベルはステラの気持ちを乗せて凄まじい速さになり、ベガとアルタイルに迫っていった。
そのサーベルは赤にも紫にも輝き美しい流星のようになり、正確にベガを目指して迫った。
ベガは殺意は感じ無いが、凄まじい勢いで何かが来ることを察知して振り返った瞬間、サーベルの切先が目の前にあって思わず声を出して躱した。
「うぉっ‼︎‼︎」
ベガは驚いていたが、アルタイルは今のサーベルにまるで愛の様な親しみも込められているのに気付いて、ベガに聞いた。
「ねぇ?
ベガって彼女いたっけ?」
この時のアルタイルは、自分以上にベガに近い女性を知らないが、あえて聞いた。
「そんなのいねぇよ
この距離でこの正確さ……
シリウスか…いや違う……
シリウスはサーベルなど使わない」
ベガは考えながら言ったがアルタイルが言った。
「シリウスは馬鹿じゃない
あんたと私が一緒の時に
喧嘩なんて売ってこないよ
いや星海中探しても
そんな星海人は居ないと思う
だからあんたに彼女が居て
私と一緒だから怒ってるのかな?
って思ったのさ」
そうアルタイルは言ってステラの方に向かって飛び始めた。
「待てっ!
迂闊に近づくなっ‼︎」
ベガはステラが放ったサーベルの威力と正確さを感じ、シリウス並みの力を持つ者だと思いアルタイルを止めた。
「あれぇ?
そんなに会わせたくない人なのかな?」
「そんなやつは居ないっ‼︎‼︎」
アルタイルはベガを弄るように言いステラの方に飛び去り、ベガもアルタイルを追ってステラのところまで来てくれた。
一方アル・スハイルはアル家に行き、執事のセトにアル・カストルとの面会を求めていた、だが名を名乗れないでいた、それはこの世界のアル・スハイルが居て、同じ名を名乗れば当然不審者扱いされてしまう。
「ならば……
アル・カストルに伝えてくれ
街の人々を直ぐに避難させ
兵を繰り出し街の防備を固めるようにと
このアトリアロフが狙われているとな」
アル・スハイルはあえてそうしていた、もしその指示があれば結果は大きく異なった筈であり、それが行われるのか試そうとしていた。
だがアル・スハイルはこの時代の執事セトのことも覚えていた。
(ふむ……
あやつの性格ならば
父上には伝えまい……
そう言えばセトのやつ
この日から見なかったが……
どうしたと言うのだ)
アル・スハイルはそう考えながら屋敷の裏にまわった。
高い塀をアル・スハイルは飛び越え、屋敷に侵入し2階の窓を一つ一つ見ていき、一つの窓を見て微笑んだ、アル・ムーリフの部屋だ。
アル・ムーリフの部屋の窓はいつも鍵がかけられていない、それをアル・スハイルは注意はしていたが治らなかったのだ。
「ふっ……」
アル・スハイルは小さく笑った、アル・ムーリフの部屋は鍵だけでなく、窓も空いていたのだ。
アル・スハイルは窓から静かに屋敷の中に入った。
「まったく
無用心が過ぎるな
昔の我が家は……」
アル・スハイルは静かに呟き、昔のアル・ムーリフの部屋を見回していた。
アル・スハイルは静かに部屋から出て何故か気になり執事セトの部屋に向かった
。
この当時のアル家は、入り口に巨大な玄関ホールがあり、2階部分はその玄関ホールの正面に立派な階段があり、そこから2階に上がっていく。
そして右手側に行くとアル・スハイルとアル・ムーリフ、そしてアルカストルの部屋があり、家族だけの食堂や談話室などがある。
左側に行くとアル・カストルの書斎があり、街の重役が集まって会議をする部屋があり、賓客をもてなす食堂などがある。
つまり右側はアル家のスペースで、左側は街を収めるのに必要なスペースであったが、この当時からアル・スハイルはこの作りが気に入らなかった。
家は家族の物であり、気に入らない街の重役を入れるべきでは無いと思っていた。
その当時のアトリアロフの重役も他の街の力のある人物も、アル・スハイルとアル・ムーリフ、二人と同じ年頃の男の子が居ればわざわざ連れてきたりしていたのだ。
それが何を意味するかアル・スハイルは気付いていた。
それがあり、この日アル・カストルが命を落とし屋敷が消失しアル・スハイルが受け継ぎ、地下倉庫にあった書庫と財産を使い屋敷を自分が考える様に立て直したのだ。
無論財産はそれだけでなく、街の復興にも使い一時期はほぼ無くなったが、それでも長い時をかけ財力も取り戻したのだ。
アル・スハイルは思い出しながら階段で1階に降り、執事や使用人達の部屋がある左側の廊下に向かったが誰かいる気配がした。
その気配は強く親しみを感じたので様子を伺うと、そこにはこの世界のアル・ムーリフがいて、執事の部屋の前で盗み聞きをしていた。
執事セトの部屋は空いており、アル・ムーリフは隠れて聞いている。
(何をしておるのじゃ……)
アル・スハイルは離れているが耳に意識を集中し、アル・ムーリフが聞いている声を聞いた。
「……様
計画が露見しています
何者か解りませんが
今日の襲撃を
知っている者がおります」
執事がアル・スハイルが言ったことを、誰かに報告しているようだった。
(な……)
アル・スハイルは驚いた、まさかあの執事が敵だったとは思っても居なかったのだ。
「構いません
今更何をしても
間に合いませんから
それよりも
アル・カストルは間違いなく
その屋敷に居るのですね?」
アル・スハイルはその声に聞き覚えがあり、相手が誰か既に気付いたが執事が言った。
「はい
シーリス様……」
執事が答えシーリスは言った。
「頼みましたよ
この私が行かなくても
アル・カストルなどと言う小物を
簡単に殺せなくては
お母様に恥をかかせてしまいますから」
それを聞いたアル・ムーリフは思わずつぶやいた。
「うそ……」
(……)
アル・スハイルはそこにいるアル・ムーリフが、心から嘘であって欲しいと思って出た言葉だと察した。
「アル・ムーリフ様……」
執事がその声に気付き、部屋から出て普段と変わらない声でアル・ムーリフに言った。
「うそでしょ……
セト…お父様を殺すって……」
アル・ムーリフは聞いた。
(アル・ムーリフ……)
アル・スハイルはア、ル・ムーリフのまだ疑う事を知らない純真さを目の当たりにした。
だがそれを聞いた執事セトから殺気が溢れ出していた。
「うそだよね?
シーリスってだれなの?
セトさんはお父様を……」
アル・ムーリフが言った時セトは既に殴りかかろうとしていたが、その拳が振られることは無かった。
「何をしておるのじゃ……」
アル・スハイルがアル・ムーリフのサーベルをスッと喉元に突き付けて言っていた。
(なるほど……
アル・ムーリフはここで死ぬはずだったのか)
アル・スハイルはアル・ムーリフを助けようとした時に、そのサーベルを出せた事でそう確信した。
「アル・ムーリフ下がるが良い……」
アル・スハイルは静かに言った、アル・スハイルには迷いが無かった、心から大切な妹を守る為だけに、サーベルを向けていたのだ。
この世界が、夢であろうと過去であろうとアル・スハイルには関係なかった。
「お客様……
勝手に入られ……」
セトがそう言おうとしたが、アル・スハイルは凄まじい怒りを殺気に変えセトに睨みつけた。
(この目つき
他人の空似ではない……
アル・スハイルか)
セトが気付いた、年齢が遥かに違う為に気付かなかったのだ。
星を持ち大星となり、85億年先まで生き延びているアル・スハイル、セトにとって想像し難い姿であった。
「だれなの……」
この世界のアル・ムーリフが驚いていた、今のアル・スハイルと違い、成長を遂げたアル・スハイルを自分の姉の未来の姿をだとは気付かなかった。
そんなアル・スハイルが静かに言った。
「行くが良い……」
「え……」
アル・ムーリフが小さな声で言うのと同時に、アトリアロフの街から大きな音が聞こえて来た。
メビウスの科学が進歩した文明がアトリアロフに攻撃を仕掛けて来たのだ。
「そなたは守らなければならぬ……」
アル・スハイルがそう言った時、セトがアル・スハイルに殴りかかって来た、その拳はガイアが放つ拳よりも遥かに遅く、簡単に躱したが、その腕から想像できない力強さを感じた。
アル・スハイルはすぐにセトが星を持つ者だと感じた、そして素早く腹部を斬りつけるが、刃が通らなかった。
「ほう……」
アル・スハイルは感心するように呟き、続けて放たれるセトの拳を躱し、強くアル・ムーリフに言った。
「行けっ!
そちの最も大切な者を……
救いに行くが良いっ‼︎‼︎」
アル・ムーリフはそう言われ、アル・カストルかと思ったが、この時アル・スハイルが買い物に行ったのを思い出した。
アル・スハイルはその言葉が危険に満ちているのを知っていた、仮にアル・ムーリフがアル・カストルを助けに行こうとしたら、それはアル・ムーリフとアル・スハイル二人の死を意味する。
今アトリアロフで起こっていることは、アル・スハイルが初めて死にかけた、あの日の出来事なのだ。
だがアル・スハイルはアル・ムーリフを信じて言った。
アル・ムーリフはアル・スハイルを助けに行こうとし、屋敷の入り口まで行った、それはアル・ムーリフを助けてくれた、未来のアル・スハイルを信じていたが、炎に包まれたアトリアロフの街と、様々な方向から聞こえる人々の悲鳴と逃げ惑う人々を見て脚がすくんでしまっていた。
アル・スハイルはセトを相手にし、見事な身のこなしで攻撃を躱し、斬撃を放ち続けるが、その刃はセトを斬ることが出来ずにいた。
「行けっ……」
アル・スハイルが再び叫ぶように、アル・ムーリフを見て言った時、セトの打撃を受けてしまったようにアル・ムーリフには見えた。
だがアル・スハイルはアル・ムーリフから送られたサーベルで受け止め、殺気を放ちセトに威圧をかけていた。
その殺気がこの拳で次の打撃を放とうとすれば、今までと違う斬撃が来ることをセトに告げていた。
「お…ねえ……」
アル・ムーリフはその時に見たアル・スハイルの横顔から、姉だと気付きそうになったがアル・スハイルは言った。
「そちの姉は
どこにおるのじゃっ‼︎‼︎」
アル・スハイルの声で気付いた、大切な人があの砲火の中にいる、まだ街への攻撃がまだ続いている。
アル・ムーリフは走り出した、大切な姉を探す為に炎に包まれて行く街へ走り出していた。
「ふっ……」
アル・スハイルは小さく笑った、まだこの時のアル・ムーリフは星も持たないただの少女である、この世界はアル・スハイルが辿った世界と何処か違う気がしたが、アル・スハイルは走り出したアル・ムーリフを、少しも心配などしていなかった。
「何を笑っている
あの砲火を生き延びられるとでも
思っているのかっ!」
セトがそう叫び、アル・スハイルの腹部を蹴り、アル・スハイルは宙に飛ばされてしまう、セトは素早く飛びアル・スハイルを殴り飛ばそうとしたが、素早くコートを広げセトの頭上から、十数本のサーベルを放った。
まるで闇の中から解き放たれた光の様に、高速でセトを全てのサーベルが襲う。
「ぐっ……
どこからこんな力がっ‼︎」
セトは追撃出来ずに、サーベルを弾き身を守り着地した。
アル・スハイルの力は、ただの星海人が使える力では無かった、だがアル・スハイルは個人の能力として、星を使わずにサーベルを操っていたのだ。
「そちは何年……
我が家に仕えた?
いや…ドブネズミのように
何年過ごした?」
アル・スハイルは着地して静かに聞いていた。
「アル家の力……」
セトが静かに戸惑いを隠して言った、それはアル・スハイルも数日前に、書庫でアル家のことを調べていた時に、偶然知ったことであった。
アル・スハイルは長くアル家に仕えていたセトなら、調べる時間があったはずだと考え嘲笑うように言った。
「そのような事も調べずに
よく我が父上を狙えたものじゃ
その無能さ……
いや…愚かさを褒めてやろう」
アル・スハイルは腹部を蹴り飛ばされ、あばらが何本か折れ、重症ではあるが全くそれを感じさせない様に言った。
赤が居ればすぐに傷を癒やしてくれるが、今は赤が居ない、だが痛みを一切顔に出さずにサーベルをセトに向けた。
(こいつ俺の蹴りを受け
無傷で立っているだと……
馬鹿なっ‼︎‼︎
星の気配は無い
なぜ立っていられるのだっ‼︎)
冷静を装うセトだが、明らかに精神的に動揺していた、目の前にいるアル・スハイルがどの様な戦いを生き抜いて来たのか、それを知らないセトには信じられなかった。
アル・スハイルは冷たい殺気を放ち、静かに歩みよる。
(これが
あの小娘が成長した姿か……
殺さなければ
シーリス様の脅威になる)
セトはそう感じ、身構え体内で星を輝かせたが、アル・スハイルはすぐに内星タイプと見抜き、素早く斬りかかった。
(ハダルに似ておるが……)
アル・スハイルは心で呟いてから言った。
「遅い……」
アル・スハイルの刃はまだセトに届いて無かったが、セトの首を一本のサーベルが貫いた、アル・スハイルが先程放ったサーベルを操り、セトがアル・スハイルだけに集中した時に先制する為に背後に浮かせていたのだ。
アル・スハイルはただ気を引く為に着地し、話しかけていたのにセトは気付かなかった。
「ギャァァァァァァァッ‼︎‼︎」
セトはその一撃で死にはしなかったが、体を変化させるに遅れ、残りの全てのサーベルが一瞬でセトを貫き、悲鳴をあげた。
「見苦しいな
そちに蹴り飛ばされた余は
声も漏らさなかったと言うのに……」
アル・スハイルはそのまま歩みより冷たい声で言った。
「安心せよ……
アル・カストルは助けぬ
父上は死なねばならぬのでな……」
まだ何とか立っていたセトは、その言葉に恐怖を覚えた、あのシーリスさえ母を大切にしているが、アル・スハイルにはそのカケラさえも感じられなかったのだ。
そしてアル・スハイルは尋常ではない殺気を放って言った。
「我らの未来の為にな……」
その言葉と同時にアル・スハイルはセトの首を斬り飛ばした。
セトは死の直前、首だけになり宙をまった僅かな一瞬で一つのことを知った。
アル・スハイルがメビウスと戦おうとしていることをセトは知った、だがアル・スハイルが星海人の未来をさして、その言葉を言った事にセトは気づかずに死んでいった。




