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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅に出たの?〜第二章 大星と巨星〜
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第二章 第10話 全ては夢……




「もう少しでクンガに着くな

ってか残っていればいいんだけどな……」


 数日後、ガイアが馬車を走らせて言った。



「大丈夫よ

お姉ちゃんがこの星を見るって決めてから

赤い誓いの星を信仰してた

街や村を守る守護の力が強くなってるから


動物達じゃ襲えないわ」


 ステラが言った。


「そうかアル・スハイルも

役に立ってんだな

つかアル・ムーリフを

信仰してる村ってないのか?」


 ガイアがふとそう思ったことを聞いた。


「そう言えばアクアが生まれた街が

信仰してるって言ってたわね」


 ステラが考えながら言う。


「なんて村なんだ?」


 ガイアが聞いた。



「たしか…メーガルって……

北方の村だって言ってたわね

丁度いまくらいの時期に


水火祭ってお祭りをやるみたい

近かったら行ってみない?」


 ステラが言った、ステラが小さい時にアクアから聞いた話を思い出して言う。



「いや流石に先を急ごうぜ……

セプテントリオの杖と本人を

探さねぇといけないからな」


 ガイアが自然に言った。


「ステラ様

アルナイルさんを

助けてから行きませんか?


私達だけ楽しんでたら少し可哀想ですよ」


 エルナトが言う、エルナトから見れば、アルナイルはステラのある意味ライバルである、だが二人が争ったところでガイアがガイアなので、不毛な争いになる事は目に見えていたが、アル・スハイルの力にもなりたくてそう言っていたのだ。



(エルナトナイスだぜ……


ぜってぇメーガルには

ぜってぇぇぇぇぇぇいかねぇっ‼︎‼︎

ステラを信仰してる村なんて

なにされっかっ!

わかんねぇじゃねぇかっ‼︎‼︎)



 ステラを信仰してるのでは無く、正確に言えば、紫の誓いの星を信仰してるのであり、ステラでは無い、それに気付かず豊かな想像力で、信仰されているステラを頭に描いているガイアがいた。


 クンガ村もアル・スハイルを信仰してるのでは無く、赤い誓いの星を信仰しているのだが、あの石像がガイア達にとって衝撃的過ぎた為に、アル・スハイルを信仰しているのだと勘違いさせていたのだ。


「とりあえず

何も変わって無いな……」


 夕方になり村の洞窟の入り口が見えて来てガイアが言った。


 だが洞窟の奥、村の中から聞き慣れた足音の感覚が大地から馬車へそしてガイアへ伝わっていた。


「こいつ……

ステラ?

何か忘れ物でもしたか?」


 ガイアは慌てる事なく聞いた。


「えっ……

特に何も忘れてないけど……」


 ステラが簡単に荷物を見ながら言った。


「なんでユーファが来てんだろうな……

あとシルフィもいるな」


「ユーファとシルフィが?」


 ガイアが言いステラも不思議な顔をして言った。



 ガイア達は洞窟に着くと入り口で、セプテント家のメイドを連れたユーファとシルフィが丁寧なお辞儀をして迎えてくれた。


「二人ともどうしたの?

フランシスは……大丈夫なの?」


 ステラが当然のことを聞いた、ユーファがいるからステラはフランシスを安心して離れることが出来たのだ、ユーファはメイド長でありサラス不在の時もセプテント家を守ることが出来る唯一存在であった。


「わたくしは少ししたら戻ります


以前に精霊術を使い各村を

壊滅させようとした

旧セプテント家の精霊達が

アクアを筆頭とし

ステラ様達に仇なす恐れがありますので

わたくしはそれをお伝えに参りました


ガイア様がいらっしゃるので

大丈夫だとは思いますが

今後はシルフィを護衛としお連れ下さい」


 ユーファがそう丁寧にステラに伝えたが、ステラは微笑んで言った。


「そうね……

アクア以外の精霊達が

どのように動くか解りませんから


ユーファもフランシスを頼みますね」

 

「ステラ様それは……」


 ユーファは既にステラがアクアの事を知っているように思えて聞いた。


「アクアのことは心配ありません


アクアはセプテント家に

戻ってくれました

ですが何か用事があるようで

少しの間暇を与えました


もしあの時に

捕らえることが出来なかった

精霊達を見つけましたら

セプテント家に戻る気は無いか

必ず聞いてあげて下さいね」


 ステラはセプテント家当主として言っていた、ガイアはそれを聞いて馬車から荷物を下ろしながら言った。


「あいつその精霊達を

止めに行ったんじゃねぇのか?」


 それを聞いてステラは有り得ることだと思い、少し心配してる様な顔をしたがユーファは静かに言った。


「それなら心配は要りません

アクアとペレは前メイド長で

実力も実務も私を超えています


アクアがセプテント家に

戻ってくれるのでしたら

私からメイド長を譲りたいものです」



 それを聞いてステラは少しほっとしていた、ユーファの様子を見て一度過ちを犯しても、精霊はすぐにそれを水に流す様に許しているように見えたからだ。


 人はそれが中々出来ない、その人が今後どう変わるのかばかりを気にしている、精霊達の様に、気持ち良く許してあげることが何で出来ないんだろう?、そうも思えていた。



 そんなやり取りをし、ユーファが用意してくれた宿に案内されたが、もう日が暮れるのでアル・スハイルの祠は明日行くことにした。



「ユーファさん

セプテント領と精霊達をお願いしますね」



 もう遅くなるがユーファの報告が終わると、ユーファはフランシスに帰るようでステラが領民と、元セプテント家の精霊達のことを頼んでいた。


「ステラ様

シルフィを控えさせないで

本当によいのですか?」


 ユーファが聞いている、ステラはシルフィに一つの頼み事をしたのだ、それはアクアの村メーガルの様子を見て来るように頼んだのだ。



「はい

アクアの故郷が無事なら

ペレも生き返れるかも知れません


わたしはペレと

親しくしたことはありませんけど……

わたしの知ってるアクアに

戻って欲しいので

アクアもペレが居れば……」


 ステラはそう言い少し悲しそうにした、それはペレがアクアと共に帰って来てくれないだろうとそう思えたからだ、ひょっとしたらアクアも帰って来ないかも知れない。


 それでもステラは、アクアが昔の様に性格の明るい精霊に戻って欲しいと願っていた。



「帰って来るって

だから心配すんなよ」


 ガイアが言った。


 その時ガイアはふと気付いた、アル・ムーリフはもともと気が弱いんだと、そしてバランスを取るように、気の強い紫の誓いの星がアル・ムーリフを選んだのだと。


 ガイアはそう思い、ステラの頭をぽんぽんと優しく叩いてあげてから言った。



「どうしても気になるなら

全部終わってから

メーガルに行ってみようぜ


まっその前に帰って来ると思うけどな」


「ガイア

ありがとう……」


 ステラは素直に嬉しかった、ガイアの優しさだろうか少し子供扱いされた気もしたが、甘えたい気持ちも解ってくれた様な気がしていた。




「さて……」



 星海ではサラスがそう静かに言い、アル・スハイルを見て言った。


「アル・スハイル殿は

過去に何か……

やり残したことはありますかな?」



 変わらずアル・スハイルは屋敷の庭で図面を見ながら考えていた、アル・スハイルは地図を見ていたのだ、星海の地図を見ながらメビウスの力を封じる策を練っていたのだ。


 だが不意にそんな質問をサラスが投げかけて来て、鼻で小さく笑って言った。



「サラスよ



そのようなこと……

星の数ほどあって何がと言われても

ただ悩むだけじゃな……」



 サラスはその言葉で、アル・カストルをあの日に導いたことを思い胸を痛めていた。

 他にはない、アル・カストルが命を落とした日だ……。


 サラスはスピカが何を望んでいたのか知っていた、それは星海人を含めた全ての生けるものの自由である。


 その中には星々も含まれている。


 そしてその全てが調和し共に生きる世界を目指していた。


 星海人は星と共に生きることが出来る、かと言って星海人が星海を支配するのでは無い、そんな星海にしたいと考えていたのだ。



 その中でアル・カストルがした行いは種を蒔いたに過ぎないが、その子が蒔いた種を刈り取るようになっている事に他に術は無かったのかとも考えていた。



「サラス

余を娘と言うなら

そう呼ぶ必要はなかろう……」


 アル・スハイルは、ステラがサラスを父と思っていたこと、それを思えばサラスが言うのも間違いでは無いと考えていた。



「それと余のことを

気にしてくれるのはありがたいが

余は後悔などしておらぬ

そちがそうしてくれなければ

余もアル・ムーリフも

そして星海も……


何も出来なかったかも知れぬ……


とは言え真の父上には一つ

聞きたいことがある……

だがそれは叶わぬ」


 アル・スハイルはそう言い目を休めようとしたのか、何か想いを馳せたのか美しく瞬く星々を見上げた。



「じきにそれも

叶うかも知れませんな」


「……?」


 サラスはそう言い、アル・スハイルはサラスが不思議なことを言ったので少し考えたが、サラスが本当に生き返ったのは、ミアプラの無償の愛があってこそだと思っていた、まさか無造作に誰でも生き返らせれる筈がない、それなのにサラスがそう言ったのだ。



「なぁにご安心を

アル・スハイルの思う通り

わしはアル・カストルを

生き返らせることは出来ません


ただ……

その様な時が間近に近づいておる


アル・スハイル

全ては夢……

だが夢と思わぬことじゃ」



 サラスは明るく言っていたが、急に声のトーンを低くして言った。


 アル・スハイルは何かと思いサラスを見たが、サラスの瞳からは優しさが消え、厳しい瞳でアル・スハイルを見ていた。


 アル・スハイルは一瞬サラスが裏切るのかと思ったが、直ぐに気付いた、その瞳の奥にある僅かな悲しさをアル・スハイルは見逃さなかった。


「な……

なぜじゃ……」


 アル・スハイルはサラスに聞こうとした、それはアル・スハイルの強い意志ですら抗えない強烈な眠気に襲われたからだ。


(これは……

赤よっ!

この睡魔を変えよっ‼︎)


 アル・スハイルは声に出さずに眠気を何かに変換する様に赤に言った。

 アル・スハイルは手をテーブルにつき無理に立ち、必死にその睡魔から逃れようとし、アル・ムーリフのサーベルを出して自らの足を斬ろうとしたが、それもあまりの眠さで出来なかった。


 赤はその睡魔が襲って来た時に一瞬で寝てしまったらしく、アル・スハイルの意思の中で眠りこけている。



 サラスはゆっくりと立ち上がり、抵抗出来ないアル・スハイルを優しく椅子に座らせて言った。


「行くが良い……

そなたの問いを我が友から

聞いて来るが良い……」


 サラスの声は優しく、そして暖かくその瞳は穏やかに優しさだけに溢れていた。


 アル・スハイルはその瞳で言われた言葉に誘われるように、眠りに落ちていくまるで深い海に沈んでいくように眠ってしまった。

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