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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅に出たの?〜第二章 大星と巨星〜
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第二章 第9話 今は戦いを避けて





 アルタイルはひたすらアルデバランに会う為に星海を飛んでいた。


(全ての大星を集める


セプテントリオに頼らないとしたら……

確かにそれしか無いよね)


 アルタイルはアル・スハイルが考えていることに気付いていた、それは大星と呼ばれる者も多くの者は知らない方法である。


 いや…正確に言えば実現が難し過ぎて知っているとしても誰も考えないことであった。

 その頃アル・スハイルは屋敷の庭で紅茶を口に運んでから、紙に何かを描き真剣に考えていた。


「アル・スハイル様

20名ほど星を持つ者が

当家に到着しました


いかがなさいますか?」


 屋敷の召使いがアル・スハイルに聞いた。


「余が割り当てた宿に案内せよ

くれぐれも余に対する悪態をついても

粗末に扱わないようにな」


 アル・スハイルはそう召使いに指示を出した。


「そなたの屋敷に招かなくて良いのか?」


 サラスが聞いた。


「構わぬ余に意を唱える大星達

その相手をする方が骨折れるからの……」


 アル・スハイルはそう言い図面を眺めていた。


「サラスよ

余の星から集めた魔物どもは

大人しくしておるかの?」


 アル・スハイルが聞いた。


「いがいと大人しくて

拍子抜けしたところじゃ

かつてのセプテントリオを

脅かした者どもとは思えませんな」


 サラスが微笑みながら言った。


「そんなものじゃよ

余が指示を出さなければ

セプテントリオにいる牛と変わらぬ


星々によって進化が異なる

これも

アルナイルが描いたものなのかと

そう考えればあやつは

途方もない奴よ……」


 アル・スハイルは、赤い誓いの星から呼んだ魔物の大軍が待機させている星の方を見て呟くように言った。


「まさか再びメビウスの者どもと

争うことになるとはな


知らせてくれ感謝しておる……」


 アル・スハイルはサラスにそう言い、サラスは微笑み、セプテントリオの輝きを見つめていた。


 サラスは自らの予知的な能力で、シーリスがメビウスの文明を率いて再びアトリアロフに来ることをアル・スハイルに伝えたのだ。


 アル・スハイルはそれを聞き、アトリアロフを守る為にかつてセプテントリオに放った魔物を自らの星から呼び寄せたのだ、その魔物の大軍を見て、星を持つ星海人達は恐怖を覚えていた。


 アル・スハイルが守る為に力を使うことを、彼らはまだ知らなかったのである。



「サラスよ

セプテントリオに行き

ステラと募る話をしたいのは

余も解っておるが

今は余を支えてくれ


余が不甲斐ないがために

すまなく思っておる

許してくれ」


 アル・スハイルが静かに言った、それは今までの行いから見て、全ての星海人をアル・スハイルだけではまとめられないことを、彼女自身が一番解っていたのだ。


 アル・ムーリフが居れば話は変わって来るのだが、いまはステラとしてセプテントリオにいる、ようやくハダルの生まれ変わりであるガイアと、一緒に過ごせる時間を迎えることが出来たのだ、そんなステラに頼る訳にはいかなかったのだ。


「気にしなさんな

ステラはわしの娘じゃ

つまりそなたも

わしの大切な娘の一人じゃ

わしで良ければ

いくらでも手を貸そう」


 サラスが優しく微笑んで言う、赤はサラスが親友であるアル・カストルの二人の娘を大切に思っているのが良くわかった。

 だがその反面、過去に最悪の場合はアル・スハイルの命を奪っても、アル・ムーリフを救おうと考えていたサラスの判断力を心配し始めていた。


(サラスはいつか二人の為に

でもそれじゃ

私がもっと強ければ

そうなっても引き戻せる


わたしも強くならないと)


 赤はそう考えていたがアル・スハイルが心で赤に言った。


(強くなろうと思うのは良い

だがその前にそちは

もう少し勇気を持たねばな……)


 赤はアル・スハイルが心で微笑みながら言っているのに気付いた。


 アル・スハイルが赤を、いつも気にしてくれているのに赤はやっと気付いた、アル・ムーリフと同じくらい大切に思ってくれていると赤はやっと気づき始めていた。


「余の父か……」


 アル・スハイルは小さく呟き、サラスは優しい微笑みを浮かべ未来を見ていた。




 アルタイルがアルデバランに会う為にメビウスを超え、ひたすら星海を飛んでいた時、いきなり目の前から黄金色の光線がアルタイルに向かって飛んで来た。


 アルタイルはそれを難なく躱し、目の前に百を超える星を持つ星海人が行手を阻んでいるのに気付いて止まった。



「アルタイル殿

何をしに来たのだ?」



 一人の星海人がアルタイルに話しかけて来た、だがそれが友好的では無いのはすぐに解った。



「ご挨拶だね

でも話したってあんたら

通してくれないよね?」


 アルタイルは言った。


 アルデバラン一派はハダル一派と同じ反アル・スハイルを掲げていたが、アルデバランはハダルと違い、一派を引き連れて戦うことはしなかった。とは言え敵対勢力であったのでアルタイルはそう聞いていた。



「アル・スハイルが

何を企んでいるのかは知らないが


アル・ムーリフの手星のお前が来たから

聞いてやるんだ

要件を早く話さないか?」


 その者が聞いて来た、アルタイルはひょっとすると…そう考えて言った。



「アル・スハイルも

今は貴方達と争う気は無いよ


星を無闇に殺したりはしない


アル・ムーリフ様のおかげで

今は星海の為に戦おうとしているんだ」



「星海の為だと?

今までやつは自分が

何をして来たと思ってるんだ


シリウスを野放しにし

幾つの星が消えた?

アル・スハイルとシリウスの二人で

千に等しい数の星が死んだのを

お前が知らないはずはないよな……」


 その者が言い返した。


「だからアル・スハイルは

自らの手でシリウスを殺した……


アル・スハイルとシリウスは

昔から意見の対立があったのを

あんた達も知らないはずはないよね?


アル・スハイルは

全ての文明を滅ぼし

星海人の平和を求めていたんだ


シリウスは星海人の平和なんて

考えて無かったんだ


だけどいつ頃からか

それで本当にいいのかって

悩み始めていたんだ

それで答えが

やっと出たんだ


そしてシリウスを倒した

それがアル・スハイルが出した答さ……」



 アルタイルはアル・スハイルをよく見ていた、アル・スハイルがシリウスと戦う決意をしたのは、楽しむ為に殺戮を行うシリウスがアル・ムーリフの最大の敵になるとそう確信したからだ。


 アル・ムーリフはひたすらアル・スハイルに寄り添いながらも、違う道を探していた、それが優しい道である事はアルタイルも解っていた。


 そのアル・ムーリフを阻む者がシリウスだと解っていたのだ。



「その程度だったのか?」



 一人の星海人がアルタイルを阻む星海人達の奥から言った。



「なぜ最後まで貫き通さない……」



 その者がそう言い前に出て来た。



「アルデバラン……」



 アルタイルが呟いた。



「俺はアル・スハイルのやり方が

気に食わなかったが……


強き意思で戦い続けるあいつに

共感を覚えつつあった


だが間違っていると

そう思えてな

奴が貫き通し俺の前に来るのを

待っていたんだ……」


 アルデバランは静かに怒りを放ち言った。



「アル・スハイルが奪った命の上に……

いまっ!

何があるのだっ‼︎


何があると言うのだっ!

星の数程奪われた者達は

何のために命を奪われたのだ‼︎‼︎」



 アルデバランが何を言いたいのか、何を訴えようとしているのか、それをアルタイルは気付いていた。


「それを道半ばで捨てたうえに

あいつが

何故来ないのだ?」


 アルデバランは、アル・スハイルが何を目指し戦っていたのか知っていたのだ。


 それが間違っていると感じてはいたが、成長していくアル・スハイルとアル・ムーリフを感じていた。

 アルデバランは密かに手下をアル・スハイルに送っていた、アル・スハイルを観察しその動向を知る為に。


 そして自ら戦う為に。



「あたしじゃ不満なのかい?」



 アルタイルが聞いた、アルデバランはアル・スハイルが命を奪い続け、そしてその結果が星海人の安寧を齎したか、それを考えれば答えは齎したとは言えない。


 星の数程の命の対価として何も齎したとは言えないのだ。


 アルデバランはそれを言っているようだがそれ以外にも何かあるとアルタイルは感じていた。


「不満……

アル・スハイルは俺に

従えと言うのだろ?


道半ばで投げ出したやつが

シリウスを倒したからと言って

大大星と謳われたお前を

口で使うのも気に食わない


話があるなら

お前が来いとそう伝えろ……」


 アルデバランはかつて、シリウスとアルタイルそしてベガが星海人の中で大大星と、そう呼ばれた時の感覚でいたのか、そうアルタイルに言った。


「ふふっ

なるほどアルデバランは

まだ私のことを

大大星と思ってくれてるんだね」


 アルタイルは鼻で笑って言った。


「なぜ笑う?」


 アルデバランが聞いた。


「本当の大大星ってさ

星も作れるんだよ

私なんて……

大星でいるのが精一杯ってこと」


 アルタイルはそう聞いた。


「星を作る

そんなことが……」


 アルデバランが考えながら言った。


「嘘じゃないさ

あの星を見てごらんよ

あんな所に

白い星なんて無かったよね?」


 アルタイルはそう言い遠くで輝く、アルナイルの光星を指差して言った。


 アルデバランとその手下達は、あそこには星が無かったと言う顔で見たが一人が呟いた。



「あれはアルナイルの星……

何故だ……

アルナイルの星が二つあるぞっ‼︎」


 光の特徴からアルナイルの星は特殊過ぎている、それは自体も無く熱もなく、ただ優しく光り輝き何処までも届くような白い輝きを放っているので、星海人なら誰でも見分けがついたのだ。


「アルナイルは

大大星スピカだったのさ


そして星を作り出した

あんたに出来る?」


 アルタイルはアルデバランにシンプルに聞いた。


「…………」


 アルデバランは答えることが出来なかった、出来るはずがないからだ。



「そして大大星スピカは

今は大大星メビウスと戦っているんだ

あの星の中でね……」



 アルタイルがそう言ったその時……。



「クシュンッ!」



 メビウスが要求して来た、譲れない物に悩んでいたアルナイルがくしゃみをした。


「大丈夫?

大大星が風邪をひくなんて

まぁ星も無いですから

ひいてしまうのかも知れませんね」


 メビウスがアルナイルを馬鹿にするように言った、アルタイルが言う通りには決して戦ってはいない。



「メビウスは星海から

星海人を消して

大大星が支配する星海に

戻そうとしている


スピカは星海人の自由を

守る為に戦っている

アル・スハイルは

そのスピカを助けようとしているんだ」



 アルタイルの言葉に、アルデバランの手下達は信じられない様な顔をしていた。

 アル・スハイルが星々の文明を破壊し、星海人を見放した星すらある、いっときは星海人を見初めようとした星すらも星海人から離れていった。


 それだけの事をしたアル・スハイルが、今度は星海人を救おうとしているのだ。



「どっちに着くかなんて

考えなくても馬鹿でも解るよね?」



 アルタイルがそうアルデバランに言った。


 確かに考えなくても解る話しであり、アルデバランの誇りにあえて挑発した。


 アルデバランは挑発に乗らず静かに考えていたが、アルタイルが言った。


「確かにあんたは大星だよ

私もそう思う


大大星の争いには

迂闊に手を出さない方がいい

大星のわたしも

大大星メビウスには勝てない

だけど……

巨星アル・スハイルなら……」



「巨星だと……」


 アルデバランが聞いた、巨星とは巨星ミアプラだけがそう呼ばれた、大星を凌ぐ呼び名、それは実力に見合わない者が名乗れば例え大星であっても、何故か短命に終わってしまう、まるで何者かに管理されている様に不思議と短命に終わってしまうのだ。


 それをアルデバランは疑った。



「嘘だと思うなら

あんたがアル・スハイルに

会いに行けばいいさ


巨星が大星に

会いに行くことなんて滅多にない

アル・スハイルの性格なら

まず来ないだろうね……


あんたなんかの為になんてね」



 アルタイルはそう言い金色の翼を出し、その場を去ろうとした。


「待てっ!

何処に行くんだっ‼︎‼︎」


 アルデバランは聞いた、アルタイルは誠実な大星であり、重要なことでは、はぐらかしはするが決して嘘はつかない、それはアルデバランも知っていて、既に状況はアル・スハイルの非を責めている場合では無いと感じさせていた。


「ヴィーナスのところだよ

私は大星ヴィーナスは嫌いだけどね


好き嫌い言ってられないから」


 アルタイルはそう言い、急ぐ様にその場を飛び去って行った、アルタイルはアルデバランと戦ったことが無かった、そのためアルデバランの力量が解らなかった。

 アルタイルはメビウスとの戦いには実質的には敗れたと言える、以前はサラスにも敗れた、アルタイルは確かに強い大星ではあるが、その昔ハダルにも負けたこともあり、負け知らずだったのが、今まで運が良かったのでは?と学んでいたのだ。



「大将……

どうします?

行きますか?」


 アルデバランの部下が聞いた。



「行くしかあるまい

あのヴィーナスにすら頼るならばな……


もしヴィーナスが気まぐれにでも

アル・スハイルに協力し

我らが協力しなかったとなれば

我らは星海の笑い者になってしまうからな


だが……

あの小娘が巨星に及ばなければ


その場で殺してくれるっ‼︎」


 アルデバランはそう言い、部下達にアトリアロフに向かう支度をさせ始めた。

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