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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅に出たの?〜第二章 大星と巨星〜
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第二章 第8話 古き大精霊





「覚悟は出来てますか?」



 アクアがガイアに聞いた。


「あぁ……

その前によ

おまえステラのこと好きか?」


 ガイアが聞いた。



「えぇ……

ステラお嬢様には

何も恨みはございません」



 アクアは応えガイアは笑って言った。



「なら良かったぜ

アイツに気合いも入れてもらったし

かかって来いよ


相手になってやるぜ」



 ガイアが笑いながら言った時、パシャっと言う音を立ててアクアは姿を消した、そして静寂の中で雨が歌うように音を立てている、だがその音が少しづつ激しくなり、ガイアは背後から殺気を感じた。


 ガイアは振り返らず、冷たく感情を全て消した殺気を感じ背後から斬りかかるアクアの斬撃を躱し、素早くガイアは蹴り飛ばし近くにある木にアクアを叩きつけたが、アクアは水になり消えた。


 ガイアは足元の変化を感じた、ぬかるみが全く踏み込めないような泥に変わり、ガイアの動きを鈍らせている。


 その瞬間、アクアが叩きつけられた木に僅かに割れその割れ目から水が吹き出し、刃の様な形になりガイアを襲った。


 その刃をガイアは拳を鋼に変え受け止めようとしたが、凄まじい水圧で鋼の拳を切り裂き、ガイアはそれを咄嗟に躱し直後、真上からアクアが現れガイアを蹴り飛ばそうとした。


 だがガイアはそれを倒れる様に躱し、素早く体勢を立て直した。



「背後からの攻撃に慣れてますね」



 アクアが呟いた。



「あぁ……

おまえの主人に

散々やられてるからな」



 ガイアが言った。


「わたしの主人?」


 アクアは顔を僅かに顰めいぶかしげに言った。


「ステラのことだよ」


 ガイアは言った。


「何を言われるかと思えば」


 アクアは小さく冷たい笑みを浮かべ、水を剣に変えて言った。


「わたくしは

お暇を頂きました

ステラ様はもはや

わたくしの主人ではありません」


 アクアはそう言いガイアに襲い掛かった。


 ガイアはそれを躱し、切り裂かれた腕を再び鋼の拳に変え、剣先をそらすようにアクアの斬撃を躱しつつ言う。


「じゃぁ

なんで様つけんだよ」


 ガイアは聞いた。


「それは……」


 アクアが一瞬戸惑い、ガイアはそれを見逃さずに素早くアクアの腕をつかみ、アクアの足を払い転倒させた。


 明らかにアクアの殺意と殺気に迷いが現れていた。


「迷うくらいならさ

何もしない方が

いいと思うのは俺だけかな?」


 ガイアはそうアクアに紫月を向けて言った。


 まだほのかな殺気が見え隠れしている、ガイアとしてはステラから聞いた話しで、アクアがなぜそうしたいのかを知りたいと思っていた。


「黙れっ!

おまえにわたしの……」


 アクアは何かを叫ぼうとしたが、ガイアを蹴り飛ばし素早く立ち、右手をガイアに向けた。

 するとガイアの周りの雨が鋭い針に変わり、ガイアを取り囲んだ。


「ペレを覚えていますか?」


 アクアはガイアに静かに聞いた。


 ガイアは思い出した、アクアが着ているメイド服は火の精霊ペレと同じメイド服だった。


「おまえと

あの星海人が倒した

ペレをっ‼︎

覚えていますかっ⁉︎⁉︎」


 アクアは怒りを瞳に宿しながら言った。



「あぁ……」



 ガイアは静かに答えた。


 それと同時にアクアの目的を察した、アクアとペレがどんな関係だったのかはまだ解らないが、それが仇を討とうとしていることだけは解った。



「わたしの……

大切な友達を

あの滅びの時を

共に生き抜いた大切な……」



 アクアはそう言い感情を昂らせているのにガイアは気付いた。


 そしてガイアは走りアクアに向けて鋼の拳を振りかざし、全力で殴りかかろうとした。


 アクアは憎しみを込めた瞳でその拳を睨み、凄まじい水圧の壁を出しガイアの拳を防いだ。

 そしてその壁から無数の水の刃を放ち、ガイアを切り刻んだ。


 ガイアは口から僅かな血を流す、だがその全身は砂を撒き散らせていた時、ガイアをアクアの放つ高圧の水流が打撃の様に襲い、ガイアを飛ばし、先程作られていた無数の水の針がガイアを襲ったが、アクアの足元から岩の槍が突き出しアクアを襲った。



 アクアは素早く水になり、それを躱し飛ばされるガイアの真上の雨を集めまた人の姿で現れ、ガイアを水の刃を放ち襲った。



 ガイアは再び切り刻まれるが土の塊になり姿を消してしまう。


「どこっ‼︎」


 アクアがガイアを探すが直ぐにアクアの足を何かが掴んだ。


「くっ‼︎‼︎」


 アクアは素早く足を水に変え、その場から離れようとした時、掴まれた足から何かが吸い取られ水に変えることが出来なかった。


 大地からガイアは這い上がるように現れアクアをそのまま転倒させるが、ガイアはアクアの足を放して言った。



「そんなんじゃ

俺は倒せねぇよ……」



 その言葉と同時にガイアは紫月で素早くアクアの胸を突き刺した。



「なっ……」



 アクアの身体は水であり刃など効くことは無い、だが気持ちが何かスッとしたような感覚がしていた。


「これはステラの剣だ……

あいつはお前に

帰って来て欲しいって

思ってんだよ……」


 ガイアはアクアにステラの気持ちを伝えようとしていた、宿を出る前にガイアはステラに聞いたが、ステラは言えないでいた。

 それでもガイアは、ステラがどうしたいのか解っていたのだ。



「だから斬れねぇ……

それにお前もっとつぇだろ」


 ガイアは星の力を載せればアクアを斬ることが出来たがそれをしなかった。



「あたりまえだっ!

おまえが余計なことを聞くからっ‼︎‼︎」



 アクアがそう言い返した時、ガイアは紫月を抜いて言った、水の体であるはずのアクアから赤黒いものが僅かに吹き出し、直ぐにおさまるがアクアはそれを見て驚いていた。


「あぁ

仇をうちてぇなら

悩むなよ


そんなんで削れるほど

大地は甘くねぇってこと」


 ガイアは紫月を鞘に収めそう言った。


 アクアはガイアを憎らしく思えたが、先程のように感情を昂らせるような憎しみが湧き起こらなかった、アクアは手についた先程吹き出した赤黒い血のようなものを触れ、再び驚いていた。


 それは憎しみだった、ガイアが貫いたのはアクアの憎しみであった、ベガの力を込め紫月を振っていたのだ。


「それは一時的なものだけどさ


お前の気分がスッキリしたら

また勝負してやるよ

そん時は俺も負けちまうかもな」


 ガイアは優しい笑顔で言いその場を去り、宿に戻って行った。


 アクアが憎しみに染まろうとしていた、それを止めようとガイアが拳を振ったことにアクアは気付いていた。



 アクアは一本の木に寄りかかった、こんな戦いをする相手を知らなかった、星海人でありアル・スハイルがこの星を滅ぼそうとした時、その手星を何人かペレと二人で倒した。

 アクアとペレはある街で行われ続けたお祭りから生まれた精霊であった。


 それは水火祭と言う祭りで、簡単に言えば水と火の喧嘩祭りであり、二人の仲も非常に悪いものであった。


 そんな二人はアル・スハイルがこの星を滅ぼそうとした時、アル・スハイルの手星が二人の街を襲った時から関係が変わっていった。


 アクアは何故かその時のことを思い出していた。



「ここまで良く戦ったな

まぁ…俺たち星海人の祖先も

精霊だと聞き

信じられなかったが……」


 アクアのいた街を襲った星海人が言った。


「そうね……

けっこう楽しかったわよ


あなた可愛いし

アル・スハイル様も

気にいるんじゃないかしら

名前はなんて言うの?」


 もう一人、女性の星海人が街に火を放ちながら現れそう聞いてきた。


「水の精霊アクア……」


 アクアは俯き顔を見せずに答え今まで操った水を大地に染み込ませた。


「いがいと聞き分けのいい子じゃない

嫌いじゃないわよそう言うの……


わたしはシルマ

よろしくね」


 シルマはそう言いアクアに近づいたが、アクアは言った。


「わたしも嫌いじゃないわ

ペレみたいに

簡単に騙されてくれる人」


 アクアは星の力を込められた攻撃を受け続け、ぼろぼろになっていたが冷たい微笑みを浮かべ顔を上げた瞬間、凄まじい勢いで大地から水が吹き出し、その飛び散るように舞った水飛沫が全て針になり、二人の星海人を襲った。


 男の方の星海人が黄色い星を出し、身を守ろうとしたが、一つの水の針が一瞬で膨張し、アクアになりその男に右手を水の刃に変え叫びながら襲い掛かった。



「私の街からっ出て

いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎」



「いけない子ね……」


 シルマが言い手を円を描く様に振ると、白い光が布の様になりその布を軽やかに振り、アクアを捕らえようとしたが、その布がいきなり燃え上がった。


「なにっ」


 シルマが驚いた時、シルマが街に放った火が全て消えているのに気付いた。


「わたしの街に下品な火を放つなんて

何様のつもり?」


 アクアが良く聞いた声を耳にして言った。


「ペレッ!」


「あとアクア……

あなただけの街じゃないわ

私達の街よっ‼︎‼︎」


 ペレはそう叫びシルマに襲い掛かった、シルマは行動が僅かに遅れた、それは強い水の精霊がいる街に火の精霊がいるとは思っていなかった、その為に戸惑ったのだ。

 ペレは炎を鞭の様に操り、シルマの首を捉え焼きながら、その炎の鞭を一瞬で短くし距離を詰め、剣を抜き刃を炎で包み斬りかかった。

 アクアとペレはそれ以来少しづつ仲良くなっていったのだった。



 アクアは雨の中で木に寄りかかり、昔のことを思い出していた時に、ペレがある戦いの後でアクアに言ったことも思い出した。


「わたしのことは

いちいち心配しないでよ」


「なら無茶な戦いをしないで下さい

さっきのだって

あの星神が赤い星をだして

サーベルに追いかけ回されて

もうちょっとで

あなたも消されてたじゃないっ」


 アクアが言った。


「仕方ないじゃん

他の精霊が戦ってたんだから

助けないと


それに……」


 ペレがそう言い少し考えてからまた話した。

「水と火よ争え

争い争い我らに伝えたまえ


水も火も負けず

我らに伝えよ

水と火の恵みを伝えよ




覚えてる?

私とあなたのお祭り

私達はお祭りから生まれたんだ

私に何かあっても

またお祭りが繰り返されれば

わたしもまた蘇るからさ


はやく平和になれば

また私達のお祭り

いつだって出来るじゃん」


 ペレが笑顔で言っていた。



 アクアはペレの笑顔を思い出して、何かを感じていた。





「アクア……」



 アクアがそうしているとステラの声が聞こえた。


 アクアが振り向くとステラが雨に濡れ立っていた、ステラはガイアを追いかけて来ていたのだ、二人のやり取りも聞いていた。


「ステラ様……」


 アクアが小さな声で言った。


「アクア

わたしはあなたの暇を……

許した覚えはありません」


 アクアはステラがセプテント家の当主として言った言葉に驚いていた、ガイアが戦いを避けるために言っていたと思っていたのだ、だがステラは本当にそう思っていたのだ。


「ですがステラさま……

ペレは…ペレは……」


 アクアは悲しそうに言った、ペレを思えば再び憎しみが湧き出して来るのを感じてはいたが、その憎しみは何故かガイアに刺された傷から消えていくのを感じていた。


「アクア……

ペレが負けてしまったのは

力に負けたんじゃないの……


貴方達精霊は

何のためにいるの?

ペレはそれを見失ってしまっていたのよ

わたしのお父さんが

なにを考えてそう言ったのか

私には解らないわ


でも精霊は星の守り人のはず

どんなに強くても

それを忘れてしまっては

私達人間の力にも

負けてしまうのよ……」


 ステラがそうアクアに話し、アクアに近づき優しい目で言った。


 アクアはステラにそう言われ、昔のペレも自分も人々の為に戦っていたことを思い出した、アル・スハイルが放った魔物や手星を退けていたのだ、アクアはあの時は溢れ出す力を感じていたのも思い出していた。


(そっか……)


 アクアはそう心で呟いた。


「それと……

ガイアは貴方から逃げたりしないわ


ただ……」


 ステラは何かを気にしながら話していた。



「憎しみだけで

仇を取ろうとするあなたを

助けてくれたのよ」


「助けて…わたしを?」


 アクアは意味を解らずに呟いた。



「憎しみからは

憎しみしか生まれない


アル・スハイルの行いを見て

ガイアは気付いていたの

だから貴方がそうならないように

止めてくれたの……」


 ステラはアクアの気持ちを考えてはいたが、ガイアもエルナトも憎んで欲しくないそう願いながら話していた。



「貴方がガイアを

仇として見るのは構わない

それは仕方ないもの……


でも憎しみだけで

仇を取ろうとするなら

わたしだって

貴女を許せなくなるわ


それに……

あなたがなんて言っても

わたしはあなたが

わたしと遊んでくれたのは

忘れられないから」


 ステラがそうアクアに言い言葉が詰まった時、紫の誓いの星は静かに思って言った。



(アル・ムーリフそなたらしいな……)



 紫の誓いの星は静かに微笑みそう言った、紫の誓いの星は既にアクアが憎しみに囚われていないことに気付いていたが、ステラが大切なことを伝えようとしているのでそれを教えなかった。





「ステラ様…昔と変わりませんね……


でもいまの私は……

あなたのお側に居ることは出来ません


しばらくの間お暇をください」



 アクアは言い静かに立ち上がりステラに美しくメイドの礼をする、水の精霊だからか雨に濡れたアクアのその礼は美しく、ステラは憎しみも怒りも抱いていないのがよく伝わっていた。



「……

好きにしなさい……」



 ステラは目を瞑り優しく言った。



「でも…知っておいて下さい……

エルナトはペレを

憎んではいませんでしたよ」


(余計なことを……)


 紫の誓いの星はステラの言葉を聞いて思ったがアクアは言った。



「その言葉だけで十分です……


ガイアさんは

私から逃げないと言いましたよね」



「えぇ……」



「わたしは

ペレの友達として……」



 アクアはそう言うまで微笑んで言った。



「ガイアさんともう一度だけ

戦いたいと思います……」



「ガイアと?」



 ステラが聞いた。


「エルナトさんはいいです

私が負けるはずありませんから」


 エルナトもあれから3ヶ月アル・スハイルに稽古してもらい、多少ではあるが更に力をつけていたがアクアは自信あり気に言っていた、本来ならペレのトドメを刺したのはエルナであるが、アクアは自然本来の姿を伝えるように言った。



「水の中でも

弱い者は生き残れません


ペレもそれは理解しています

私達精霊はそれに寄り添い

自然を守る者です


ガイアさんはそれを

大地として私に……

伝えたかったんだと思います」



 アクアはそう穏やかに言いステラは微笑んで聞いていた、アクアは既に精霊として憎しみや怒りを捨てて話しているのをステラは見ていた。


「ただ……」


 アクアが呟いた。


「ただ?」


 ステラが聞く。


「ペレを追い詰めたガイアさんに

私の全力をぶつけて見たいんです……


ペレは悩んでいました

ペレが悩んでいなかったら

負けなかったのかな……

それを知りたいんです」


 アクアはそう言ったが、ペレが何を悩んでいたのかは話そうとはしなかった。



「そう…解ったわ……

好きにしなさい


でも忘れないでね

あなたはセプテント家の者だって

わたしは貴方の帰りを

ずっと待ってるわ」



 ステラはそう言い街に戻って行った、ステラが一歩一歩歩くたびに雨が弱まり、雨雲が切れ明るい日差しが差し込んで来ていた。


 ステラは振り返らないが、アクアがステラに向かい綺麗に礼をして水になり姿を消したのに気付いていた。


 街の入り口にはガイアが壁に寄りかかり、ステラを待っていた。



「話はついたのか?」



 ガイアが聞いた。



「うん……

今度は全力でガイアと戦いたいって」



 ステラがガイアに言った。



「そっか楽しみだな」



 ガイアは明るく言ったがステラが更に言った。


「純粋な精霊としてのアクアは

かなり強いけど大丈夫?」


 ステラが聞いた。


「ユーファより強くないだろ?」


 ガイアが言ったが、ステラはアル・ムーリフとして言った。



「昔だけど私のお姉ちゃんを


一瞬だけ怯ませたことがあるの


アクアとペレは

ユーファさんより古い精霊で

古き大精霊って言われてるのよ」



「そっ…それ……

大星なみじゃねぇか……」



 ガイアはステラがお姉ちゃんと言っただけで相手が誰だか解っていた、無論、アル・スハイルである。


「そうよねぇ……

でもこの星が大大星セプテントリオなら

大星なみの精霊が居ても

おかしくはないかもね」


 ステラはガイアを弄るように話しガイアは神妙な顔をするが、ステラのその様子からアクアのことを信じているのにガイアは気付いた。


「仕方ねぇな……

相手してやるって

言っちまったからな……」


 ガイアは鼻で笑ってそう言い、二人は宿に帰る前に、雨が止み幾つかのお店が開き始めたので、幾つかの店に立ち寄り必要なものを買いながら宿に戻っていった。

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