第二章 第2話 スピカとメビウス
翌日ガイアが目を覚ますと隣のベッドでステラが寝ていた、アルナイルの想いを汲んでいるのではなく、ステラ的には不毛な争いをまたアルナイルとしたいらしいのをガイアは感じた。
(あぁ…
気持ちが解るようで
わからねぇ……)
ガイアはそう思いながらベッドから起き、窓を開けて中庭を見るとリーハが洗濯物を干していた、何気ない平凡な一日の始まりには相応しい光景にガイアは思え、そして思った。
(なんもねぇって
幸せだよな……)
ガイアは何気なく思いふと思い出す。
(そう言えばアルナイルって
家事は全部やってくれてたよな
ずっと俺のこと見てくれてたよな……)
そう考えながらガイアが空を見上げて呟く。
「アルナイル…
なんでお前は旅にでたんだよ
新しい生き方を選んでさ
女王として居るのが嫌だったのか?
まぁどうでもいいけど……
その姿が旅に出た成れの果てなんて
そんな終わり方はさせねえからな……」
ガイアはスピカの星が無くなったあと、どうしてアルナイルとして居るのかが一番気になっていた。
「ガイア
もう起きてたの?」
ステラが目を覚ました、部屋はリーハが気を使って、ステラとガイアの二人部屋にしてくれていた。
ガイアもステラと付き合い始めてから最初の頃は、女性と二人で部屋にいることにすら緊張していたが、今は二人でいることくらいには慣れ自然に過ごせていた。
「あぁ
おはようございます女王様」
ガイアがふざけて言う。
「はぁ…そう言うのは
アルナイルを助けてからしてよ
ガイアは心配じゃないの?」
ステラが聞いた。
「これっぽちも」
ガイアが言った。
「ちょっとあんた本気で言ってるの⁉︎
ガイアはずっと
アルナイルと居たんでしょっ‼︎‼︎」
ステラが怒りベッドから飛び出し、ガイアに迫りながら大きな声で言う。
「まったく心配なんてしてねぇよ
アルナイルは
待ってるんだよ……」
ガイアは言った。
「待ってる?
何を…待ってるの?」
ステラは男らしくガイアが言ったことを聞いた。
「それは近いうちに解るはずだし
まぁ俺たちは杖を探しに早く行こうぜ」
ガイアはそう言い荷造りをしながら話を続ける。
「あいつは頭いいんだ……
何も考えずにあんなことはしねぇよ
もし助ける必要があるなら
アルタイルを呼ぶはずだからな
それをしないってことは
出来ない何かがあるか
やっちゃいけねぇ何かがあんだよ」
「アルタイルを……
なんで?」
ステラが聞いた。
「アルタイルが持ってんだよ
俺のエストックをな……」
ガイアが言いステラの様子が変わった。
「……」
ステラが静かにしているが急に話し始めた。
「ガイアよ
それは時が来るまで話すでない……
妾の姉の耳に入れば
スピカは死ぬと思うが良い……」
「……
紫の星か……」
ガイアは気付いた、ステラと共にいた紫の星の気配をステラが溢れさせていた。
「そうじゃ
妾は三姉妹でな
妹の赤い星ともう一人
姉がおる……
姉は母想いでな……
母を…メビウスを
助けようとしているはずじゃ」
紫の誓いの星はステラの体を使い話している。
「ちょっと待て
お前とメビウスってのは
親子なのかよ」
ガイアは聞いた。
「そうじゃ……
ステラにとっては
親を亡くすことが
最も辛いことやも知れぬ
じゃがそれを心配するなら
我が母を諦めさせることを
そちがするが良い」
紫の誓いの星はガイアの気持ちを見透かす様に言い、スッと気配を消した。
「ほんとに
いきなり出てくるんだから」
ステラはそう言いながら困った顔をしていた、そしてガイアを見て言った。
「ガイア
紫の誓いの星のお母さんが
メビウスってことは
わたしのお母さんってことじゃないの
わたしも驚いたけど
紫の誓いの星が
お母さんを心配してるってことを
隠してそう言ってるのよ
メビウスの考えには
絶対に反対みたいだけど
心配する気持ちは私にも解るわ……」
ステラも常に毅然とし、誇り高い紫の誓いの星が初めて見せた戸惑いに少し焦っている様だった。
「まったく……
うちのお姫様のわがままは
めんどくせぇことばかり言いやがる」
ガイアはそう言い、まとめた荷物を持ってステラに言った。
「その前によ
紫の誓いの星ってさ
呼びにくいんだよ
ステラもいつも話してるんなら
あだ名でもなんでもつけてやれば?」
ガイアはそう言いながらステラとすれ違い、自信ありげに言った。
「アルナイルも
メビウスを殺ることなんて
考えてねぇよ
俺はあいつが何を考えてるのかは
わからねぇけどよ
それだけは解る……
だから心配すんなら
俺よりもアル・スハイルがどうするか
そっちなんじゃねぇの?」
ガイアはそう言い部屋の扉の前でステラに言った。
「どうすんだ?
セプテントリオに会うのが
一番の近道だと俺は思うんだけどよ
その前に早く杖を探しに行こうぜ」
ガイアは振り返りステラに手を差し伸べた。
それはガイアからの誘いの手であった、紫の誓いの星とステラが望む未来への誘いの手であった。
「杖じゃなくて
セプテントリオに会う……」
ステラが小さな声で言った。
「あぁ…その前に……
杖を持っていた方がいい気がするんだ
見ているとメビウスもスピカも
身体を持ってんじゃん
ならセプテントリオが居ても
おかしくねぇよな」
ガイアは微笑んで言った、紫の誓いの星もメビウス以外の大大星にはあったことが無かった。
ステラは微笑んでガイアの手を取り、紫の誓いの星もその手を優しい眼差しで見ていた。
(こやつ
こう言う時だけは
頼りになるな……)
紫の誓いの星はそう小さく呟きガイアの手にそっと手を置いた。
(えぇ……)
ステラはそう心で応えていた。
ガイアは朝食を全てお弁当にしてもらっていた、全員分の荷物とお弁当を馬車に積み、ライラに挨拶をしてクールンを後にした。
アルナイルの光星の中心に、品の良いテーブルとイスがありそこにメビウスとアルナイルがいた。
「スピカさん
こうなってしまったので
お話を聞いてますが……」
メビウスは紅茶を口にしながらアルナイルの話を聞いていた。
「はい」
アルナイルは目を瞑ったまま困った顔をして返事をした、メビウスもアルナイルの光星にとらえられ脱出を諦めていたのだ。
「その瞳は
何とかならないのですか
あなたが光を操るのが
真っ赤な嘘だと言うことも
私はしっていますし
こうなってしまったら
私の時も
あなたの光にねじ曲げられてしまう
だからこうして
あなたに付き合ってるんです
互いに目を見ながら話しません?」
メビウスはスピカと長い付き合いがあり、親しく話そうとしているが、アルナイルは言った。
「はい
メビウスが私の言うことを
信じてくれたら
わたしも普通に話してあげます」
アルナイルはその深淵の瞳でメビウスを見たまま笑顔で言う。
(スピカ……
本体は何処に隠したと言うんだ
これでは迂闊に反撃出来ない……)
メビウスはそう考え探っていた、星の力は対等であったはずだが、スピカは自らの身を犠牲にし星海に命を溢れさせたが、それによってスピカは思ってもいなかった力を得ていた。
「はいっ!
わたしを詮索しないでください
ぜったいに
見つからないと思いますから……」
アルナイルはそう言うが、ハッとした、ベガの生まれ変わりがガイアであること、そしていつ記憶を取り戻して普通に言うか解らないと言う事に気付いた。
「たぶん……」
アルナイルはどよんとして呟いた。
「たぶんなのですね……」
メビウスはその言葉を拾い言った。
「あなたも昔と変わりませんね
つまり私とあなたの考えが
一致する事は無いと言うことを
解って頂けませんか?
仲が悪いと言う訳ではありません
昔からあなたが考え
間違っていたことを私が補って来たのを
忘れていませんか?」
メビウスが昔のことから話しを繋げ始めた。
「今回のことは
あなたが間違っていると
私は思うのです
あなたのおかげで
この美しい星海は
争いが絶えなくなりました
他の生き物達が繁栄するには
資源が必要となります
それは限られ
使い尽くせば奪うしかないのです
私達の様に生み出せる者ならば
その様なことはありませんが
星でない生き物は
奪うしか無いと言うことを
もう解ってるはずです
それを私達
大大星の生き物達の繁栄のみに
分ければ争いは起きないと
私は言ったではありませんか……」
メビウスはアルナイルが聞く姿勢を見せているので、考えている正論を述べていた。
「それは
おかしいと思います」
アルナイルが言った。
「なぜですか?
星海で争いが起き
アル・スハイルが立ち上がり
多くの星の生き物達の命が奪われました
その悲劇を肯定するのですか?」
メビウスが言い返しアルナイルは言う。
「それは否定します
アル・スハイルには
二度と同じ様なことはさせません
彼女も二度としないと思います
ですがもし他の銀河から
星がこの星海に流れて来た時
それが複数で力のある星であったとき
それよりも多く……
銀河ごと向かって来た時……
必ず争いが起きます
それを今のままで
この星海を守れると思うのですか?
星の力が弱ければ
他の銀河の生き物に
私達の星海が攻撃をうけてしまいます
それを私達大大星だけで守れるのですか?」
アルナイルがなぜ今の様な星海の姿にしたのかを、メビウスにぶつけた。
「それは…
確かに他の銀河にも大大星はいますが
なりを潜めてると聞きます
私達とミアプラだけで
十分だと思いますよ」
メビウスはそう応えた、メビウスもミアプラが星海の外れにいる意味を知っていたからだ、だがアルナイルは声を低くして言った。
「潜めてるのではなくて……
協力してるとしたら?」
「それはあり得ないと思います」
メビウスは静かに否定した。
「スピカ…
この私達の争いの先に
何があると思うのですか?
貴女がしている事は
平穏を乱しているに過ぎません
そう思いませんか?」
メビウスが無駄に感じたのかそう聞いた。
「なら大大星の支配を終わらせましょう
全ての生き物達に自由を与えてあげて下さい」
アルナイルは星の女王スピカとしてメビウスに言った。




