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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅にでたの?〜第一章 大大星〜
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第一章 第12話 光を目指す彗星




 数時間前。



「サラス…

また行かれてしまうのですか?」


 星海の外れにあるミアプラの星で青い髪をした、清楚な女性が表情を曇らせながら言った。


 その女性の視線の先には白髪の老人がいた、老人といえども肉体は逞しく、その歳に似つかない体つきをしている。


 それはサラスだった。


(まさかアルナイル殿が女王であったとは……)


 サラスはミアプラの言葉に答えず、不覚をとった面持ちで頷いた。


「やっと一緒になれたのです

もう少しともに居てくれませんか?」


 その女性が言った。



「ミアプラ

早すぎるのだ……」


 サラスは重い口調で言った。


「……」


 サラスが言った言葉をミアプラは理解していたが、ミアプラはただ甘えたかったのだ。



「時はようやく熟しつつあるが

まだ女王が

剣を持つ時ではない……」



 サラスはそう言い、セプテントリオの杖と同じ形の杖を持つが、形こそ全く同じだがその杖は氷のように透き通っていて、美しい水色の輝きを放っていた。


「あんずるでない

そなたの杖を持って行く


必ず戻る…だから行かせてくれ……

そなたとわしの娘のために……」


 サラスはミアプラに優しい笑顔を送りそう言い、ミアプラはハッとする様な表情をしたがサラスが言いたいことにすぐに気付いた。



「しかたありませんね……


でも何億年も何十億年も

帰って来なかったら許しませんよ」


 ミアプラは可愛く怒りながら言った。


「あぁ解っておる」


 サラスはそう微笑んで言いミアプラをそっと抱きしめ、優しくミアプラの頭を撫でる目を瞑って言った。


「必ず戻る……」


「えぇ…お待ちしております」


 ミアプラは寂しさを押し殺し静かに言った。


「そなたから貰った命……

無駄に出来ぬ…が……

わしが行くしかあるまい……」


 そしてサラスはミアプラを放し、別れを惜しむ仕草も見せずにミアプラの星から飛び立って行った。


「私のむすめ……」


 ミアプラはそう呟き僅かに微笑んでいた。


 サラスは気付いていたのだ、ステラを精霊術を使って生み出した時、ミアプラが手を差し伸べ、精霊達の力を寄せ付けなかったのだ。


 不完全な精霊術でなく、巨星ミアプラが手を差し伸べてくれたおかげで、それは星海術となり、ステラは元気な女の子として生まれる事が出来たのだ。


「なら…私もいかないと……」


 ミアプラはそう呟き姿を消した。


 その時、サラスはミアプラの杖から優しい温もりを感じ、アルタイルが誇る超加速を超える速さに加速した。



(見える……

アルタイル…そなたは間に合わぬ……


その命ももはや

メビウスに握られてしまい

それに気付けば逆らえぬであろう……)



 サラスは未来を見て飛び立っていた、アルタイルは首を斬られ、ザウラクによって助けられるが、ザウラクの力ではメビウスの時の力に抗うことが出来ない、ザウラクは命の力を操る星だがまだ成長段階にあり、力量はメビウスに遠く及ばないことも気付いていた。


 メビウスがアルタイルをあの首を斬った時に戻したとしたら、アルタイルは訳も分からないうちに命を奪われてしまう未来も見えていたのだ。


(そしてアル・スハイルも

女王を救うには間に合わぬ……)



 サラスの表情に焦りが見え、ミアプラはそれを察して言った。


(サラス……

もう星の王になることは

諦めたのですか?)


 ミアプラはアル・スハイルの命を狙っていたサラスが、アル・スハイルの窮地を救おうとしているのにも気付いていた。


「そなたにも悟られなかった……


ならばメビウスもセプテントリオも

女王にも悟られなかったと言うことかな」


 サラスが小さく微笑みながら言った。


(私に悟られ…じゃあなたはっ!‼︎)


 ミアプラがやっと気付いた。


「そうじゃ……

わしがそなたの星から旅立ったのは


アル・カストルの為に

セプテントリオの杖を

探す必要があった」


 サラスがアル・カストルを想い語り始めた。



「メビウスは

スピカを滅ぼしたアル・カストルを

危険視された……


それが女王の意図と知らずにな


女王が何を望み

女王が何を考え

女王が何を創られたいのか


それは大大星が

受け入れられないことだと

女王は知っていたのじゃよ


じゃからアル・カストルを

メビウスとセプテントリオは

滅ぼそうと考えた……」



(でも未来を見れるあなたなら

アル・カストルを救えたのでは?)


 ミアプラは聞いた。


「救える未来が

何方にも無かったのじゃ

星の力を持たなかった

アル・カストルには……


その場を凌いでも

いづれはアル家の者全てが

死に絶える定めだった


アル・カストルはわしを見て

それに気付きわしに聞いてきたのじゃ

愛する娘が助かる死に方をな……」


 ミアプラは全く気付かなかった、サラスがそのように動いていたことも、サラスの中で意思だけを送っていたが、ミアプラが寝ている間にサラスは気づかれない様に動いていたのだ、未来を見る力があるサラスだからこそ出来たことだった。


(このわたしが

気付かなかった……)


「ふっ……」


 サラスが小さく鼻で笑って言った。


「じゃからわしは

友として伝えたのだ


あの姉妹……

アル・スハイルと

アル・ムーリフが

力のある星に

見染められることが出来る

あの日を伝えたのじゃ……」


 そう言い表情とは違う、悲しい瞳をするサラスがそこにいた。


(そのおかげで

わたしにも娘が出来たんですよ)


 ミアプラがサラスを支える様に優しく言った、星であるミアプラにとって、愛する人との間に娘と呼べるステラがいる、それは喜びでもあった。


「そうであったな

アルタイルが見えてきた……


ミアプラよ救ってやってくれ」


 サラスがそう言い、ミアプラは微笑んで手をアルタイルに向けて手を差し伸べた。



「足でまといって

ことだったのかな……」



 アルタイルがどうするか悩んでいた時、アルタイルの真上を美しい水色の彗星がメビウスの星に向かって流れて行った。


「あれは……」


 アルタイルは呟きその彗星の放つ力を感じ、大きく目を見開いて言った。



「ミアプラッ‼︎‼︎」



 アルタイルが叫ぶとその体が軽くなったのを感じた。


「命の力……」


 アルタイルが呟き再び彗星を目を凝らして見ると、アルタイルは確かに見たかつて見たあの者の姿を……。


「そなたは生きよ……」


 アルタイルに向けてサラスはそう呟き、彗星のようにメビウスと戦うアルナイルに向かって飛び去り、そのままアル・スハイルを抜き去って行った。


(そなたを死なせる訳にはいかぬ……)


 サラスはそう想い、アル・カストルの様に強い眼差しを持つアル・スハイルを見て言った。



「星の力は

こう引き出すのじゃ……

学ぶがいいアル・スハイルよ」



 サラスの放つ強大な力をアル・スハイルは感じていた。



「これが…巨星ミアプラの力……


なんと言う凄まじい……


大大星はこれを超えると言うのか……」



 アル・スハイルはその力がサラスの力だと気付いた、そして初めて己の小ささを知るが、その力の根源を見抜いた。

 星と話し星と一体になり、その全ての力を自在に操る者を初めて見ていた。





「どうしました?今も変わらず

偽りの平和論者なのですか?


星の女王よ」


 メビウスがアルナイルに斬撃を加えようとメビウスの輪を放ち、アルナイルはそれを躱し、防ぎ続けていた。


「……」


 アルナイルは言い返さない、表情を曇らせそう言われる覚えがある様であった。


「防ぐだけでは

守れないものがあると言うこと


まだお解りにならないのですか?」


 メビウスはそう言い、間合いを取りアルナイルの輝く銀色の翼を意識し呟いた。



「移り変わる……」



 その瞬間、二枚の銀色の翼をメビウスの輪が切り裂き、その瞬間正面から腹部を切り裂かれてしまうが、アルナイルは体勢を崩したが、最後の首を狙って来たメビウスの輪をエストックで弾き飛ばし、再び銀色の翼を出し美しく立ちメビウスにエストックを向けた。


(スピカ……

今のでも深傷になっていない


流石ですね……)


 メビウスはそう思い、エストックをメビウスに向け牽制するアルナイルに問いかけた。



「あなたは

いつまでそうされるのですか?

いい加減飽きて来ましたわ」



「あなたが諦めて下さるまで……」


 アルナイルは答えた。



(まだ気付いて無いみたい……


わたしでも…このままじゃ……)


 アルナイルは考えていた、アルナイルは全力を出せないでいた、それはアルナイルの意思では無く、自らの力を過去に分けてしまったからであった。


 メビウスは自らの前でチャクラムを円を描くように回転させてから呟いた。



「繰り返す……」



 再びメビウスが呟き、再生させたアルナイルの翼を斬り裂こうとし、アルナイルはそれを横に躱した時、メビウスは微笑み小さく言った。



「我が星よ

その真の輝きを伝えよ……」



 そう呟いた時、がさつくように朧げだったメビウスの姿がハッキリとしはじめ、赤と紫の光がうねるようにメビウスを包み込むように放たれ始める。


(コア……)


 アルナイルがそう思った時、そのメビウスの光を乗せたチャクラムがアルナイルの腹部を狙い襲って来た。


 アルナイルはそのチャクラムに意識を集中し、自らの力を集めエストックで受け止めるが、凄まじく重い一撃であったがメビウスは言った。


「変わることなく


繰り返し」


 その時、アルナイルはそのチャクラムを受け止める前に戻されたことに気づいた。


 そして全く同じタイミングで、全く同じ様にアルナイル目掛けてチャクラムが襲って来る。


 アルナイルは一撃目のチャクラムを受けるのと同じ様に、意識を集中してチャクラムを受け止めたが、そのエストックは一撃目のチャクラムを受ける前に戻っていないことに気づいた。


(しまっ……)


 アルナイルは操られた気分を僅かに覚えた、だがそうするしか防げないからだと自らに言い聞かせた、光になって躱すのは容易いが、半分の力しか無いアルナイルでは光ごと攻撃されてしまう恐れがあった。



「そして移り変わる……」



 メビウスが言った、チャクラムは凄まじい加速を見せ、アルナイルのエストックを破壊しようとしている意図を感じた。



「ダメッ‼︎‼︎」



 アルナイルは叫びエストックを守ろうとして、光に変えエストックを消しそのチャクラムを自らの体で受けるしかなかった。


 凄まじいメビウスの星の力を秘めたチャクラムは、アルナイルを切り裂き意識を失いそうになるが、なんとか踏みとどまった。


 守りに特化したアルナイルが深傷を負ってしまう。


「くっ……

あなたはなぜ……」


 アルナイルはその斬撃からメビウスの行動が恨みだけでは無いような気がした。


 アルナイルが痛みに耐えながら聞いた、アルナイルの服は血で染まり、その傷の深さが解る、この傷はアルタイルでは耐えきれず、アルナイルだからこそまだ立っていられるもので、その姿は大大星の力を思わせるものがあった。


「スピカ……

あなた…まさか……」


 メビウスは気付き驚いた顔をした、それはスピカの傷が瞬時に癒えず、ゆっくりと回復しているからだった、そして冷たい微笑みを浮かべた。


(気付かれた……)


 アルナイルがそう思った時、素早くメビウスは距離を詰めて来た。


「繰り返す」


 その言葉でチャクラムがメビウスの手に戻り、更にメビウスは冷たい笑みを浮かべて言う。


「移り変わる」


 メビウスはその言葉で自身を加速させ、アルナイルの目に映らない速さで、アルナイルのエストックを持つ右手を切り裂いた。


 アルナイルは恐れず痛みを見せずに左手から再びエストックを出し、翼を広げて自ら強い輝きを放ち、僅かに見える不自然な影を素早く見つけ、その影の先を狙い羽を飛ばした。


(速すぎる…でも…どんなに速くても……

私に照らされたら……

影は消せないっ‼︎)


 アルナイルは強く輝き、必死になりメビウスの影を追い、やっと反撃を始めた。




「アルナイル……」



 地上ではガイアが、何か良くないことが起きる気がしてそう呟き、馬車を操りながら空を見上げた。



(お兄ちゃん…

大丈夫だからね

わたしが絶対に守るから)



 アルナイルはガイアが気付いてしまいそうな気がして、少し離れた場所を通る光をねじ曲げ、オルビスに、ガイア達に自分が戦っている光を見えないようにした。


「こんな時でも

他人に気を配るのですか?


お優しいのか

このわたしを侮辱してるのか

ハッキリして下さいますか?」


 メビウスは嘲笑いながらチャクラムを振り、確実にアルナイルを追い詰めていた。


「移り変わる……」


 メビウスが再び言い更に加速した、その声はまるで星の女王、星海の支配者が変わるような、そんな邪な声にアルナイルは聞こえた。


(譲らないっ!

あなたには譲らないっ‼︎


過去になんて…

戻させはしないっ‼︎‼︎)



 アルナイルは心で叫び必死に抵抗しているが複数の影が現れたことに気付いた、加速によって残像のようなものが残り始めたのだ。



(なっ……)



 アルナイルは幾つかの影を力を集めた翼と、エストックで防ぐが二つの影は防げなかった。


(しまっ……)


 アルナイルは二つの影を防げずに、そう思った、あまりにも強い光を放ち空間すらねじ曲げていた為に、とてもゆっくりに感じたがアルナイルにはその二つの影をどうする事も出来なかった。

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