第一章 第6話 冥王の力
「アルタイル……」
ガイアは少しボーっとし飛んでいくアルタイルを見ていた。
「ガイア
アルタイルは?」
ステラがエルナトと一緒に、ガイアとアルタイルの様子を見に来たが、アルタイルは既に飛び去った後であった。
「なんか
何日か出かけて来るって言って
飛んでいっちまったぜ」
ガイアはそう言い、アルタイルが飛んでいった方を指差した。
エルナトはその方角を見て不思議に思った。
その方角は星海にある、アトリアロフの方角であった。
「アトリアロフ?」
そう呟いてエルナトはハッとして、食堂でアルナイルと一緒にプルートの相手をしているアル・スハイルの元に向かった。
「アル・スハイル様っ
アル・スハイル様っ‼︎‼︎」
慌てて叫ぶ様にエルナトが呼びながら食堂に走り込んで来て、アル・スハイルは立ち上がり言った。
「どうしたのじゃ?」
「アトリアロフに
怪しい光体が向かっていますっ!」
エルナトも外星を持ち、遠距離を観察警戒する事が出来る能力を持っているので気付いたのだ。
「……
星の生き物か?」
アル・スハイルがそう聞いたが、エルナトはそうは思えなかった、ただ僅かな本当に僅かな敵意をその光体から感じたのだ。
「解りません……
ですがアルタイル様が
既に向かって下さってるようです」
「なるほど……
確かアトリアロフには
いまザウラクが滞在しておる……
アルタイルが向かったとなれば……
余もすぐに向かう
そちはここにエリスと共に残るが良い」
「ザウラク様がおられるのに
アルタイル様が向かわれたのですか……」
エルナトが僅かに驚いて言った。
「そうじゃ
アル・ムーリフのもう一人の手星
鳳凰の星……
不死の星とも言われるザウラクがおる
だがアルタイルはそれを知っていて
向かったのじゃ……
余程のことであろう
余が行ってやらねばならぬ」
アル・スハイルが言ったその言葉には、アトリアロフの街を治める、アル家の当主としての言葉であるとエルナトは気付いた。
アル・スハイルはいつものコートを手に取り、華麗にまとい食堂を出ようとしたが、プルートもついて行こうとした。
「なんじゃ
そちも来るのか?」
アル・スハイルは玄関に向かいながら聞いた。
「お供させて下さいっ!
ザウラクより私の方が
優秀だって解ってくだされば
アル・ムーリフ様も私を
そばに置いて下さるかもしれませんっ!」
プルートが気合いを入れて言うが声質のせいか可愛く聞こえる、だがアル・スハイルは歩きながら聞いた。
「そちはザウラクと何かあるのか?」
「ザウラクは私の天敵です
私の力が全く効かないのです」
プルートがそう言い、アル・スハイルはプルートがステラへのアピールで行きたがっていたのだが、それよりもプルートの力の本質に気づいた。
ザウラクは命を操る、ミアプラと似ている星である。
ミアプラは水からそれらを生み出すが、ザウラクは炎から生み出すのだ。
ザウラクにプルートの力が全く効かないとなれば、冥王の星プルートは死を生み出す星であると気付いたのだ。
いくらプルートが力を振り絞っても、ザウラクの命を生み出す力に相殺されてしまうのである。
「良かろう
着いてまいれ」
アル・スハイルはそう言い玄関に着き、はるか彼方で金色に輝くアルタイルを見ているステラに言った。
「アトリアロフに行って参る
やはりアルタイルは何かを隠しておる
我らのために
彼奴はいつも一人で抱え込むからの
余が手を貸しに行って参るゆえ
そなたらはアルタイルが言っていた
杖を探しに行くが良い
きっと必要になるはずじゃ……」
アル・スハイルがそう伝えると、ステラは静かに頷いた、ステラも紫の星を出しアトリアロフに向かう凶事と言える様な光に気付いていた。
「姉上お気をつけて……」
ステラがアル・ムーリフとして言った。
アル・スハイルはそれを聞いて小さく微笑み、プルートと共にアトリアロフへ向かって飛び立っていった。
ステラは飛び去っていくアル・スハイルを見つめていたが、すぐに手だけでユーファを呼んだ。
「ステラ様お呼びですか?」
ユーファが前に出て聞いて来た、実はアル・スハイルの話を廊下で聞いていたので、近くで控えていたのだ。
「明日ガイアとアルナイルさんと
三人で旅に出ます
少し長くなるかも知れません
急いで支度をお願いします」
ステラは正々堂々とユーファに指示を出した、以前の旅立ちは飛び出す様なかたちであったが今はセプテント家の当主であり、余程のことが無ければユーファも止めはしない、それに星海人であるアルナイルと、人ではあるがサラスを打ち破ったガイアも一緒で護衛の心配は必要無かった。
「かしこまりました
ではすぐに取り掛かります」
ユーファはそう言い綺麗なお辞儀をして、他の精霊達に旅支度の指示を出した。
「って何処に行くんだよ
アル・スハイルが杖って言っていたけど
なんの杖だよ」
ガイアが頭を掻きながら聞いた。
「お父さんが持ってたあの杖よ」
ステラが言った。
ガイアはあのセプテントリオの杖だと直ぐに解ったが、ステラの言葉を聞いて小さく笑った。
「何がおかしいのよ?」
ステラが聞いた。
「いやさ
ちゃんとお父さんって呼ぶんだなって
そう思ってさ」
ガイアが微笑みながら言った。
「お父さんがあんなこと考えてたなんて
思い出していくと
本当にそうだったのかな…って
思えちゃうのよね
私はお父さんから街を守ることと
領民を大切にすることしか
教わってないの……
だからどうしても引っかかるのよね……」
ステラは少し寂しそうに言った。
「そうだな……
あんな顔…本当に悪い奴だったら
出来ねぇよな……」
ガイアはサラスが最後に見せた顔が胸に焼き付いていた、まさに聖人と言える様な穏やかな顔をしたサラスを、二人とも忘れられなかったのだ……。
一方同じ頃、星海では……。
(サラス……
本当は何をしたかったんだ……)
アルタイルがそう考えながら凄まじい速さで星海を飛び、アトリアロフに向かう何者かを追いかけていた。
アルタイルが調べて知ったことは、真の大大星であるセプテントリオ、メビウス、スピカの三つの星にはそれぞれに武器が存在すると言うこと、そして気付いたことはサラスを殺すべきでは無かったかも知れないと言うことであった。
そしてアトリアロフに向かう何者かが、元凶である可能性が高かったのも気付いていた、アルタイルはその気配を感じ始め、より強く心で叫んだ。
(サラス……
おまえは何を隠したんだ……
何を知っていたんだっ‼︎‼︎)
アルタイルがそう心で叫んだ時、アルタイルが追っていた者が加速し始めた。
「気付いたね
でもこの距離ならっ‼︎」
アルタイルはそう叫び、凄まじい加速を見せる、体内で星を輝かせ、翼だけを残し人の姿に戻り、その肉体が光輝き始め衣服の縫い目からも光が溢れ出した。
アルタイルは星の力全てを肉体に行き渡らせるが、星の能力を使わずただ肉体を強化したのだ、あのカノープスが得意とし、アルタイルがアル・スハイルを救った超加速を使ったのだ。
「アトリアロフには
行かせないっ‼︎」
アルタイルは叫び、光の速さを超えその者に迫った、アルタイルはカノープス程その力を使いこなせてはいない、その為に攻撃可能距離に入った時に僅かに減速しなければならない、その一瞬に隙が出来ることは知っていたがその力を使った。
アル・スハイルとアル・ムーリフが大切にしている、アトリアロフを守ろうとしていたのだ。
アルタイルはその者を捉えた、そして僅かなズレを修正し一瞬でその者を追い越し、減速した時、円形の物がアルタイルを襲った、アルタイルの僅かな隙をその一瞬で見抜いたのか、解っていた様な攻撃であった。
アルタイルが僅かに体を逸らし、それを躱そうとしたが、躱しきれずに右肩を斬られるが、そのままの勢いでエストックを抜き襲い掛かった。
アルタイルのエストックは、殴りかかる様にその者の腹部を襲った、それは命中し相当重い打撃であり、吹っ飛ばされたがその者はつぶやく様に言った。
「繰り返す……」
そうその者が言った時、アルタイルは凄まじい動揺を覚えた、その者は立っていた、アルタイルがエストックで殴り飛ばす前の様に、アルタイルの目の前で立っていたのだ。
そしてアルタイルもその者を追い越し減速した位置にいた、だが超加速していたその勢いは無く、剣を振った姿勢でいたのだ。
そう……まるでその者の都合が良い様な状況になっていたのだ。
そしてアルタイルは気付いた、背後から円形の刃が襲って来ることに、だが遅かった、アルタイルは躱そうとするが、躱せずに先程より深く右肩を斬り裂かれてしまう。
「くっ……」
アルタイルは僅かに声を漏らしたが、その者はアルタイルを追撃しようとしなかった。
「私はあなたを
殺そうとは思いません
あなたは私を見て
悲しんでくれました……」
その者はアルタイルに言った。
アルタイルはその言葉を理解出来なかったが、その者は続けてほのかな怒りを込めて言う。
「ですが……
赤と紫の誓いの星を持つ者を
庇おうとするならば
仕方ありません……」
その言葉でこの者が明らかにアル・スハイルとアル・ムーリフを狙っている事に、アルタイルは確信を持った。
そして力を増し、アルタイルを威嚇し始める、その力を何処かで感じたことがあるとアルタイルは思った。
「待ちなよっ
アル・スハイルがお前に
何をしたんだっ!」
アルタイルは聞こうとした、自分とは話してくれるのかと、そう信じたが、その者は道を譲ろうてしないアルタイルに再び襲い掛かった。
手のひらから円形の刃物を出し、素早くアルタイルに放つ、アルタイルはこの者の理性が僅かではあるが別人の物だと気付いた、いやどちらかと言えば、僅かな理性が本人である気がした。
「チャクラムを使う星海人……
聞いた事がない……」
アルタイルはそう呟きそのチャクラムを躱し、その者に仕方なく襲い掛かった。
素早く羽を飛ばし距離を詰め、戻って来るチャクラムで狙いにくくする為に、密着する様に動きを止めようとした。
アルタイルがエストックで、その者の肩を狙うように見せかけ素早い蹴りを繰り出し、鷲の足で、獲物を掴もうとした瞬間またその者は呟いた。
「繰り返す……」
すると放った筈のチャクラムが手に現れ、それを握りアルタイルに斬りかかって来た、アルタイルは素早くそれを背後に飛び躱したが、その者はまた「繰り返す……」と呟いていた。
アルタイルは引き戻される感覚を覚え、そのチャクラムで左の肩口から斬り裂かれてしまう。
「……」
アルタイルは声も出せずに、蹴り飛ばされたが翼をはためかせ、体勢を立て直しその者を睨みつけた。
(この力
普通じゃない……
時間が引き戻される……)
「下がりなさい
黄金の鷲よ
このメビウスの相手を
あなたが出来るなんて
思い上がらないで下さい」
その者が名乗った。
「メビウス……」
アルタイルはそれを聞いてやっと気付いた。
大大星メビウス、かつてアル・スハイルが何度もその星の文明を滅し、最後にはアル・スハイルとアル・ムーリフが生物が再び生まれない程に壊滅させた星、メビウスはその復讐の為に狙っていたのだ。
「それなら……
なぜサラスを利用したっ‼︎」
確証は無い、だがアルタイルは聞いた、アル・スハイルとアル・ムーリフを狙っている、その中でメビウスはサラスより先に星海に存在していた。
その力は絶大であるはずで、サラスを利用せずに、自ら滅ぼす事が出来たはずだった、それをわざわざ利用したことを不可解に思えていたが、利用したとしか思えなかったのだ。
「ミアプラの星を持つ者……
あの者は
赤い誓いの星と紫の誓いの星を
妬んでいたのです
わたくしはそれに手を貸しただけ
利用した覚えはありません……」
メビウスは言った、アルタイルは疑問に思った、何故ならあの行動がサラスの独断だとすれば、サラスはもっと早くアル・スハイルを倒せたはずだった。
それをあのオルビスの星から出る事なく過ごした、不可解過ぎることであった、その気になればガイアとの戦いも、相手にせずにほっとけば目的を達成出来たはずであった、更に掘り下げれば、精霊達の星にすら時間もかけずに簡単に出来たはずであった。
なぜそれをしなかった、その疑問がとてつも無く大きくアルタイルの中で膨れ上がった。
「わたしは貴女の問いに応えました
さぁ道を譲りなさい」
メビウスは言った。
「いやだね……」
アルタイルは言った。
「貴女では私には勝てない
もうお解りでしょう?
貴女は私を見て悲しんでくれました
その顔を私は忘れてはいません
ですから見逃して差し上げるのです
解って貰えませんか?」
メビウスが言った。
「私じゃ勝てない……
見逃してあげる?
私はそう言われるのが
一番嫌いなんだよっ‼︎‼︎」
アルタイルはそう叫びメビウスに飛びかかった、様々な想いを乗せていた。
アルタイルは星海に生まれて直ぐに孤児になってしまったのだ、理由は星海に乗り出した星の生き物達に、両親を殺されてしまった為である、ひもじく絶望し、星海人の中でも見下されていた、その中でベガと出会い今のように成長した、アルタイルは見下されたような言葉をメビウスに言われ思い出したのだ。
アルタイルがアル・スハイルとアル・ムーリフを可愛がるのは、二人が同じ様に両親を無くしたのも深く重ね合わせて見ていたのだ。
「おろか……」
メビウスはそう呟き、アルタイルが金色の刃に変え斬りかかって来た翼を素早く躱し、チャクラムを放つ、アルタイルはそれを躱しそのチャクラムを意識し、戻って来るチャクラムを金色の羽を飛ばし迎撃しながらメビウスに接近したまま戦いを挑んでいた。
だがそのチャクラムを迎撃出来ず、アルタイルは素早くそれをギリギリの線で躱した。
そのチャクラムは余りにも引きつけられたタイミングで躱されたので、そのままメビウスを切り裂き、メビウスがよろめき呟こうとしたが、アルタイルはそれを阻止する様に、鷲の足と化したその足でメビウスの頭を掴み、握りつぶそうとしたが、メビウスはその足をチャクラムを手に持ち切り裂いた。
「繰り返す……」
メビウスが静かにつぶやく。
(どこからっ⁉︎⁉︎)
アルタイルはそれを聞いて素早く体勢を立て直した、斬られた足の傷は深い、だがそんなことを気にする余裕は無かった。
アルタイルは焦るが、アルタイルとメビウスが話していた時に戻っていた、傷ついたメビウスの体は時間が戻ったのか無傷の様に癒えている。
「解って頂けましたか?
貴女の力は私に遠く及びません
私の言葉が気に入らなかったのでしたら
お詫び致します
ですから道を譲って下さい……」
メビウスは再び言った、だがアルタイルはメビウスの目的に気付いていた、復讐の為にアトリアロフに向かうならば……。
そう考えた時、答えは一つしか無かった。
アルタイルは身構え態度で示した、だが斬られた足から痛みを感じた、傷は無い癒えてる様に見えるが体力が奪われてる気もした……。
「仕方ありませんね
なら…死んで下さいアルタイルさん……
繰り返す……」
メビウスが言った時、アルタイルの背後からチャクラムが襲った、アルタイルは直ぐに躱そうとしたが躱しきれず、アルタイルは酷くゆっくりと時の流れを感じた。
そして首を深く切り裂かれる痛みが走り、アルタイルはそれが死を伝える痛みだと悟っていた……。
(言葉だけでわたしが……)
アルタイルは素早く首を押さえ、星の力を輝かせ止血を試みるが、間に合わなかった。
(力が……)
余りにも一瞬でアルタイルでさえ、意識を保つのが精一杯であったが、既にその意識さえ薄らいでいた。
「残念ですが
あなたが選んだこと
恨まないで下さい……」
メビウスはそう言い、アトリアロフに向かい飛ぼうとした時、輝く鳥をその目で見た。
(すまない……
アル・スハイル……
ア…ル……)
アルタイルはそう心で言い力付き掛けた瞬間、凄まじい炎が魂に灯った。
アルタイルは目を力強く見開き、素早くメビウスの背後から襲った。
メビウスはアルタイルの蹴りを背後から頭に受け、吹き飛ばされる。
「アルタイル?
この貸しは高くつきますから
覚えておいて下さいね」
メビウスが見た輝く鳥が言った、その鳥は赤い炎が燃え盛る火の鳥と言える鳥であった。
「ザウラクッ!
なぜここにっ‼︎‼︎」
アルタイルが鳳凰の星ザウラクに叫んだ。
「あのお方が
私にお伝えして下さったので
急いで来たのに
その言い方はひどく無いですか?」
ザウラクは炎の翼を持つ人の姿になり、オルビスの方を指差して言った。
その指差した先には、赤い誓いの星を輝かせ、赤い光線を長距離から放ち、メビウスに追撃を加えているアル・スハイルがいた。
「前にアルタイルとザウラクか
この形は好ましいのぉ……」
アル・スハイルは前に近接を得意とする内星を持ち、信頼出来る二人がいることに呟き、正確無比な追撃を超長距離からメビウスに放っていた。
メビウスはそれがアル・スハイルだと気付き、目の色を憎しみに染めたのか、真っ赤に染め、チャクラムをアル・スハイルに放ったがそれを止めるように、アルタイルとザウラクが襲い掛かった。
「アル・スハイルッ!
おまえは逃げろっ
メビウスはお前を狙っているんだっ‼︎」
チャクラムはアル・スハイルに向かって行くが、凄まじい距離があり無意味に思えたが、アルタイルは叫びその声は余りにも遠すぎて届かないが、その口の動きを見てアル・スハイルはプルートに聞いた。
「プルートよ
我が死を吸い尽くせるか?」
「ちょっとの時間なら出来ますっ‼︎」
プルートが自信を持って言った。
「ほう…それは面白い……
プルートよやれいっ!」
アル・スハイルは小さく微笑んで言い、叫ぶ様に言った。
プルートはすぐにフルートを口に運び、優しく息を吹き込み、冥王の力を奏で始めると、アル・スハイルは体が冷たくなるのを感じ、悍ましいが心地よさを感じた。
「移り変わる……」
メビウスがアル・スハイルの様子が変わったのに気付きそう言うと、チャクラムが加速し一瞬でアル・スハイルを切り刻んだ。
それは加速と言う次元では無く、時の流れがそのチャクラムだけが早くなった様に不自然にアル・スハイルは見えた。
そのアル・スハイルが切り刻まれた姿を見て、アルタイルは絶望したが、ザウラクは構わずメビウスに襲い掛かっていた。
「邪魔をするなら死ねっ!
繰り返すっ!」
メビウスがザウラクに言い、チャクラムが一瞬でアル・スハイルの元から戻り、ザウラクを切り刻もうとしたが、ザウラクは避けようともせずに、そのまま身に受けるがまったく動じる事なく、炎の剣を出し斬りかかった。
「なぜ死なぬっ‼︎‼︎」
怒り狂う様にメビウスが叫んだが、ザウラクは小さく笑いながら言い斬りかかった。
「不死鳥が死ぬかってのっ!」
そうザウラクが言い放ち、メビウスを切り裂きメビウスの腕を斬り落とした。
「アルタイルッ!」
一度戦闘に加わると性格が変わった様に、まったく別人のような口調でザウラクが無反応なアルタイルに声をかけた。
アルタイルはアル・スハイルが切り刻まれたことにショックを受けていた、自らが助け、誤った道に進んだアル・スハイルに体当たりする様に訴え、それでいても可愛がって来た愛弟子を失ってしまった様にしか思えなかった……。
優しいフルートの音が響く星海に、切り刻まれ漂うアル・スハイルの体が、アルタイルの悲しみを溢れさせた時。
アルタイルの目の前を赤い光線が横切り、メビウスに追撃をかけた。
「え……」
アルタイルは信じられずに声を漏らした。
メビウスは赤い光線を躱し、ザウラクの更に放たれる斬撃を躱していた。
そしてアル・スハイルが僅かに指を動かしたかと思えば、切り裂かれた傷を押さえながら立ち上がる。
「ほう……
これが不死と言うやつか
違和感があるが
なかなか面白いではないか……」
アル・スハイルは不敵な笑みを浮かべながら言う。
(はうぅ……)
死を恐れず、それを常に覚悟していたアル・スハイルと違い、気の弱い赤い誓いの星は、アンデットの様に立ち上がったアル・スハイルを見て怖かったのだろうか、白目になり気絶してしまった。




