表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅にでたの?〜第一章 大大星〜
39/78

第一章 第5話 はじめてのキス




「ガイアさん

私と勝負してくれませんか?」



 プルートがグダグダしている傭兵や騎士たちに、早く帰れと促しているガイアに言った。


「悪りぃな

今はマジでねみぃんだ

また今度にしてくれ」


 ガイアが眠そうにあくびをしながら言う、その頃にやっと傭兵や騎士達は帰って行った。


「そうですか……

じゃ起きることが無い眠りに

つかせてあげます」


 プルートが俯きながら言いアルナイルは、え?と言う顔をした。


「あん?」


 ガイアが何言ってんだと言う顔でプルートを見た時、プルートは顔をあげ凄まじく大きく目を見開いた、そして一瞬でスッと足を動かす事なくガイアの前に移動して来た。



(コイツッ!

歩いてねぇっ‼︎‼︎)



 ガイアは驚いた瞬間アルナイルが叫んだ。



「お兄ちゃん危ないっ‼︎‼︎」



 ガイアはその声にハッとして、右手の爪でガイアを切り裂こうとしているプルートに気付き、それを躱した。


(こいつ死んでんのかっ!)


 ガイアがそう思い、僅かに距離を取ったがプルートはまた亡霊の様にスッと移動し襲って来た。


「失礼ですね……

私はちゃんと生きている星海人ですよ」


 プルートが可愛らしい笑顔を見せて言うが、ガイアは命ある者に見えなかった。


(心を読まれた……)


 ガイアが更に驚いた時、プルートの爪がガイアの胸を切り裂いたが、その傷口から砂が飛び散り、プルートが驚いた顔をし、ガイアはすかさずハダルの星の力を足に込めプルートを蹴り飛ばした。


 プルートは蹴り飛ばされたが、宙でふわりとして可愛く着地したが、ガイアを睨みつけた。



「内星タイプ?

星を出さないで力を使ってるし

近接戦の方が得意みたい……


でも……

外星っぽいよね……」


 アルナイルがプルートの戦い方を見て考えながら言った。



「冥王の星プルートは特殊な星さ


内星と外星の特徴を二つ持つ

サルガスみたいな星だって

聞いたことがあるよ」


 アルタイルがそう言いながらやって来て、ステラとアル・アルスハイルも様子を見に来た。


 プルートは振り返らず、ステラが来たことに気付いて、振り返り元気な笑顔を見せてステラに全力で手を振った。


「好かれておるな……」


 アル・スハイルがつぶやく様に言った。


「…………」


 ステラは困りながらも小さく微笑んでいる、そのやりとりを見ながらもアルタイルはサルガスの力を思い出していた、精神的に幻を見せられ相手の弱さに漬け込みながらも、鞭を振り近接でも戦うサルガスに確かに似てる様な気がした。


「愛しのステラ様に

私の愛を伝える為に……

あなたには望み通り

永遠の眠りについてもらいます」


 プルートがフルートを持ちガイアに剣の様に向けて言った。


(それ……

永眠だよ……

俺は普通に寝たいんだけどな……)


 ガイアは汗をかいた、だが眠気が冷めていることに気づいた。


「永眠でいいんです」


 プルートは可愛い笑顔で言った。


(またコイツ俺の心を読みやがった)


 ガイアは思った。


「あなたは私の……

愛の邪魔でしかありませんから……」


 プルートは可愛い笑顔から、クワッと目を見開いて言いガイアに襲いかかった。


(こわっ……)


 アルナイルはそれを見てドン引きした。


「オラァァァァッ‼︎」


 ガイアは本気で殴りかかった、完全な敵では無い、ただの変わった女子にガイアが本気で殴りかかったのだ。


 それは動機は不純で明らかな殺意を込め、プルートが襲いかかって来ただけでは無い、プルートの力の秘密を知る為に、拳を鋼鉄に変え全力で殴りかかったのだ。


 プルートはその拳を軽く右手で触れてから躱し、回転しフルートでガイアに殴りかかる、その動きは早くまさに暗殺者の様な冷たい殺意を込めていた、ガイアは体を砂に変えそれを受け、僅かに距離を取ろうとした。


 アル・スハイルはその動きを見て感心して言った。


「よう心得ておるな……」


「そうね

あの手の武器は密着しながら

急所を狙うのが鉄則だけど……

ガイアも近接タイプだから

上手くいくかな?」


 アルタイルが不思議そうに言った。


「まぁ……

ガイアにとっては良い鍛錬になろう……」


 アル・スハイルがそう静かに呟いた。



 ガイアは僅かに距離を取り、そこに踏み込んで来たプルートに目掛けて、大地から岩の槍を生み出しプルートを一気に貫こうとした。


「ちょっ殺す気なのっ!」


 ステラが驚いて声をあげるが、その時プルートは幽霊の様にスッと岩の槍を透き通り、そのままガイアに襲いかかった。


 素早くフルートを振りガイアに殴りかかるが、ガイアは先程殴りかかった鋼の拳でそれを受け止めようとした、だが受け止められずにその拳が砕け散った、ガイアはすかさずフルートの打撃を躱した。



「え……」



 ステラがそれを見て信じられない様な顔をしたが、アル・スハイルは呟いた。


「ほう……」


「なるほどねぇ……」


 アルタイルが感心した様に言った。


「二人とも解るの?」


 ステラが二人に聞いた。


「星の力を使ってみてみぃ

あやつと共に暮らすのは考えものだが……


手星としてなら

付き合っても良いかもしれぬなぁ」


 アル・スハイルが小さな笑みを浮かべて言った。


 ガイアはまた鋼の拳を再生し応戦しているが、再びプルートがその拳にサッと触れてからまたガイアの拳を躱し始めた。


「ガイアの拳が……錆びていく……」


 ステラが驚いていた。



 気づけばガイアが劣勢に立たされている、ガイアの物理的な攻撃が全く効いていない、星の力を乗せているにも関わらずその攻撃が効いてないのだ。


 そして再びガイアの拳が、しなやかで力強いプルートの打撃によって砕かれた。


「ステラよガイアは

殺す気で戦っているのでは無い

それだけの力で戦うべき相手だと

プルートを認めているのじゃ……」


 アル・スハイルがステラに言った、それはステラよりアル・スハイルの方がガイアを知っている様な口振りであった。



「お姉ちゃん……」



 ステラは誰よりもガイアをハダルを知っている、そう思っていた気持ちに僅かな痛みを感じた。



「ステラよ気にするで無い

余とハダルの付き合いは

闘いにこそあった……


そちはその逆であった

それだけのことじゃ……



ガイアよっ!

うぬの力はその程度かっ‼︎‼︎

ステラをそやつに

奪われても良いと言うのかっ‼︎‼︎」


 アル・スハイルがそうステラに言葉をかけ、ガイアに檄を送った。


「そいつはぁ……

ねぇなぁっ‼︎‼︎」


 ガイアが叫び、ステラは胸の奥が僅かに熱くなり胸がときめいたのを覚え嬉しくなった。

 そして襲いかかって来るプルートのフルートを、ガイアは普通の剣で受け止めその剣は一瞬でうち砕かれた。



(今……避けれたよね?

わざと……?)


 プルートがそう思った時、ガイアの剣から光の剣が現れプルートに斬りかかった。


 プルートは不意を突かれ思わず、後ろに飛び、最初の斬撃を躱しそのまま次に来る斬撃を躱せないと思ったのか、素早くフルートに口をつけ息を吹き込み強い音色を出すと、一瞬で薄暗い壁が現れたが、ガイアの光の剣が切り裂きプルートを襲った。


「魂の輝きっ!」


 プルートが驚き更に後ろに飛ぼうとしたが、間に合わずガイアの光の剣が、プルートの胸のあたりを僅かにかすめた……。


「あ……」


 プルートは真剣に避けようとしていたが、ガイアは呟き、プルートは服の胸のあたりが切られたことに気付いた。


 そして素早くガイアは危機を覚えステラの方を見たが、ステラは玄関の前にいなかった。


「いやぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」


 プルートは聞き覚えのある悲鳴をあげ服を押さえるが、ガイアは空から影に覆われた……。


「ガイアァァァァッ‼︎‼︎‼︎」


 ステラが叫び、ガイアの脳天を頭上から鞘に収めたサーベルで気合いを入れて叩き、ガイアは頭の中で星を見て気絶した。



「ほんっとに

私のは見たことないのにっ!


他の子のは見たいのかしらっ‼︎‼︎」


 ステラは気絶したガイアを引き摺りながら、屋敷に入って行こうとした、ガイアが男らしくステラを思って言ってくれ、胸がときめいた直後のことであり、かなり怒っている。


「スッ…ステラ様?」


 プルートは急な出来事に驚きながらステラを呼んだが、ステラは言った。



「また後にしてっ!


二回も見てもらって

良かったわねっ!」


 ステラはそうプルートに言い、屋敷に入って行った。


「いや…ステラ様っ……

違いますっこれはっ‼︎‼︎」


 プルートは慌てて事故だと言おうとしたが、アル・スハイルが言った。


「気にするでない

ガイアのあほうに怒ってて

そちには怒ってはおらぬ」


「アル・スハイル様……」


 プルートはアル・スハイルに丁寧にお辞儀して言った。


「ほう

そちは礼儀も知っておるようだな」


 アル・スハイルは普通に聞いた。


「はいっ!将来……

私の姉上になられるお方ですので」


 プルートは頬を僅かに赤く染めて言った。


「……」


 流石のアル・スハイルも汗をかいて言葉を失った。


 そしてその日の夜……。



「マジでついてねぇ……

あの女…ステラの前であれは

マジでヤバイの解ってんのか……」


 ガイアはぼやきながら屋敷の庭に寝転がって、空を見上げていた。


「ほらっガイアちん

ご飯持って来てあげたよ」


 アルタイルがパンと鶏肉を焼いた料理を持って来てくれた。


「サンキュー」


 アルタイルは籠に入れた夕食を持って来てくれ、ガイアはそれを受け取り先に鶏肉から食べ始める。



「口に合うかなぁ?」


「あぁスゲー美味いぜ

これじゃ足りないくらいだ」


 ガイアが鶏肉を頬張りながら言った。


「そっか……

やっぱり好みは変わってないんだね」


 アルタイルが言った。


「うん?」


 ガイアがパンを手に取り、不思議そうな顔をした。


「昔さ

あんたに作ってあげたんだよ

それは忘れてるのかな?」


 アルタイルはベガに何度も手料理を振る舞っていた、アルタイルは同じ様に鷲の力を使うベガに惹かれていたのだ、それは片想いであったが、同じ最古の大星と言われたベガとアルタイルの前にはあのシリウスですら、手を出せない程の力を持っていた為に、永遠に共に居れれば結ばれなくても良く思えていたのだ。


「悪りぃけど

お前とはハダルの星で

殴り合ったのは覚えてるけど


それ以外に何かあったか?」


 ガイアが無神経に言った。



 アルタイルは手をグーにした時にガイアは慌てて言った。


「ちょっとタンマッ!

殴るのは勘弁してくれよ

昨日から散々なんだからよっ!」


 アルタイルは、ふーと言う顔をして拳を引っ込める。


 その様子を見てガイアはアルタイルに聞いた。


「そうだ……

アルタイルはアル・スハイルを

許してないことがあるって言ってたよな?」


「うん……」


 アルタイルが静かに頷いた。


「あのベガを

アル・スハイルが殺したってやつさ……


許してやってくれよ」


 ガイアが静かに星を見ながら言った。



「えっ……」



 アルタイルが驚いた、アルタイルはアル・スハイルがベガを殺したと思っていたのだ、状況的には変わりないが、その時の詳細は未だに解っていなかったのだ。


(アルタイルよ

余を憎むならそれで良い


余に非があるのだからな……)


 アルタイルはベガのエストックを手に入れ、その詳細をアル・スハイルに問い詰めようとしたが、アル・スハイルはそうとしか言わず立ち去ろうとし、アルタイルがアル・スハイルを襲おうとした時、シリウスが前に立ちはだかったのだ。


 アルタイルはベガとの間に残ったのは、そのエストックと、シリウスと争わないと言う約束だけであった。


「クッ……

シリウスッ!そこをどけっ‼︎」


 アルタイルが叫ぶが、シリウスは退かず不敵な笑みを浮かべるが、アルタイルの後ろに現れた者に気付き礼を取った。


「これは

アル・ムーリフ様……」


 シリウスはアル・スハイルの手星であり、アル・ムーリフとアル・スハイル二人の力を知っていたので、うやうやしく言うが、僅かな殺意をアル・ムーリフに放ったのをアルタイルは気付いた。



「アルタイルよ

この場は弟子の私に免じて

引いてくれぬか?


姉上の手星と争うのは

妾も見過ごせぬ……」


 アル・ムーリフは出来れば弟子として下手に振る舞いたいが、シリウスの手前であった為に誇り高くそう言っていた。


「アル・ムーリフ……」


 アルタイルはそう小さく言い、アル・ムーリフの本当は、姉のことを詫びたいと思っている気持ちをその瞳で読み取り、アルタイルは拳を力強く握りしめるも、その場を退いたのだ。


 アルタイルはその後、シリウスの野心を警戒しその上でアル・スハイルを見る為に、無理にアル・ムーリフの手星になった、その時のことを思い出していた。


「なんつうのかな

サラスと戦った時にさ……


この翼を持った奴が

アル・スハイルに星に落とされた

夢みてえなのを見たんだ……」


 ガイアがあの時に見た不思議な夢を銀色の翼を出して話し始めていた。



「俺がアイツだったのか解らねぇけど


アル・スハイルは翼を切り裂いて

星に落としただけで

殺す気は無かったんだよ……


アイツを殺したのは

青い狼を使うシリウスって奴だ……」



「シリウスが……」


 アルタイルが初めて聞いた様に呟いた。



「あぁ……

あの後アル・スハイルとシリウスが

揉めてるのが見えた……


あと焼き尽くされながら

アイツはお前がアル・スハイルを

可愛がってたのを思い出してたな……


アル・スハイルに

シリウスを超えろって最後に

言ってたっけな」


 ガイアはアル・スハイルも悪いかもしれないが、本当に悪い奴はシリウスだと伝えようとしていたのだ。


 アルタイルは星空を見上げ、輝きを放つベガの星を見ていたが、スッと一筋の涙を流していた。

 何億年もずっと昔の出来事、ハダルが生まれ変わる何十億年も前の出来事で、もう真相が解ることは無いだろうと諦めていた事であった。


 それを本人の生まれ変わりだろうと思うハダル、更にその生まれ変わりであるガイアに言われたのだ。


「そっか……

あんたに言われたんじゃね……

考えないと」


 アルタイルはそう言いながら立ち上がり、ふと空の星を見て不思議な不安感を覚え、ガイアに近づきその頬に軽いキスをした。


「アルタイル……」


 あの冷静で賢いアルタイルが取った行動に、ガイアは驚いて呟いていた。


「ありがとね

いい事を教えてくれたお礼だよ

ちょっと何日か出かけてくるから

みんなに……

伝えといてね」



 アルタイルはそう言い、美しい星空に向かって飛んでいった、アルタイルは星海に向けて力強く飛んでいった。


「アルタイルおまえ……」


 ガイアはアルタイルが何かを隠しているのに気付いていた。


「初めてかな…キスしたの……」


 アルタイルはそう呟き空を飛び、星海に向かって力強く金色の大鷲になりはばたいていた。


(アル・スハイルは

もう…シリウスを超えたよ……

ベガ……)


 アルタイルはそう心で呟き微笑んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ