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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅にでたの?〜第一章 大大星〜
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第一章 第3話 師の気持ち



「なにをしに来た……」



 アル・スハイルのその言葉に、深い軽蔑の意が込められているのはガイアにすら解った。


「ア…アル・スハイル……

入っていたのか?」


 ガイアが戸惑いながらそう言うが、アル・スハイルには白々しく見えた。



「余は間違いなく札をかけたが……

無かったのか?」



 ガイアはアル・スハイルが言う意味を理解したが、ガイア見てはいなかった。



(やべぇ……

マジでやべぇ……

あの女の力を考えてて見てなかった……)


「貴様……

よもや見てなかったなど

ぬかすのではあるまいな……」


 明らかにアル・スハイルから静かな怒りが放たれていた。


「わりぃ

ちょっと気になることが……」


 ガイアがそう言いかけた時、凄まじい速さでアル・スハイルはガイアの頭に目掛けてハイキックをお見舞いした。


 ガイアはそれをもろに食らい、ガイアの頭の中で以前サラスがステラに美しいハイキックをお見舞いされ気絶した、まさにその光景が素早くよぎり、やっぱり姉妹だと深く認識した。


(のあっ!)


 ガイアは心の中で声を上げ音を立てて倒れ込み、すかさずアル・スハイルはガイアの頭を踏みつけ、踏み潰す様な力を込めてながら言った。



「おぬしは解っておるのか?


この屋敷にはおぬししか男はおらぬ


ステラならまだ良い

おぬしらは想いあってあるからの

好きにするが良い


じゃが……

他の者が入っておったら

どうするつもりだったのじゃっ!」



 とてもごもっともな事をアル・スハイルが言い、ガイアはアル・スハイルの足下にされ何も言い返せずにいた。



(この阿保がっ!

余だからまだ良いが


ユーファも怪しければ

シャドウやシルフィも

こやつをどう思っておるかわからぬ……

エリスの力も考えれば尚のことっ!


何よりもアルタイルは

ベガを今でも愛しておるっ‼︎)


 アル・スハイルは、心で訴えながらガイアの頭を踏みつけていた。

 アルタイルがその想いを前に出して来たとしたら、星海人としてはかなり厄介であると考えていた、それは考え過ぎでもあるが、アル・スハイルとしては、ベガをシリウスと共に命を奪いハダルの星に落とした過去がある為に、自らは対応出来ないと考えていた。


 ガイアはそこまでのことは考えて無かったが声が聞こえてきた。



「あら……

ガイア様はその様なことが

お好きなのでしょうか?」


 ユーファがガイアを気にして止めに来たのだが、バスタオル姿のアル・スハイルにガイアが踏みつけられている姿が何故かしっくり来ていた。


 それは相手がアル・スハイルであるからしっくり来るのは言うまでもなかった。


「これが好きそうに見えるのかよ……」


 ガイアが言った。


「えぇとてもお似合いですわ」


 ユーファはガイアがあのユーファの時と同じ様に、アル・スハイルのバスタオルの中を見てないのを確認して弄る様に言うとガイアが無理に立ち上がろうとした。


「またぬかっ‼︎」


 アル・スハイルが慌てて思わず可愛い声で言った。


「ふざけんじゃねぇっ‼︎」


 ガイアが大きな声で言い無理に立ち上がった時、アル・スハイルのバスタオルがはだけそうになった。


 アル・スハイルは慌ててバスタオルを抑えるが、僅かにはだけた。


「……」


 アル・スハイルが無言で目伏せる。


「…………」


 ガイアも止まった、僅かにガイアの視界に何かが入ったのもアル・スハイルもユーファも気付いていた。



「貴様……

どうやら死にたい様だな……」



 アル・スハイルが静かに呟き、赤い誓いの星を出し輝かせた。



「いや……」



 ガイアが言った時、アル・スハイルは誓いの星の力で空気を変換し、いつもの服装になっていて、アル・ムーリフから送られたサーベルを抜いて、ガイアに向けた。


(これは…マジだ……)


 ガイアはそう思い汗を流した。


「死ね……」


 アル・スハイルは殺気を放ち素早くガイアに斬りかかった。


 ガイアはタオルを腰に巻いた姿のまま走って逃げ出した。


 屋敷の中を走り大地に触れられる庭に出ようとしたのだ。


「またぬかっ!」


 背後からアル・スハイルの怒りを乗せた叫び声が聞こえるが、ガイアは振り向きもせずに走り抜ける。



 その少し前……。



「愛してます……

アル・ムーリフ様……」



 プルートが少し恥ずかしそうにステラに言った、アルナイルとアルタイルは余りの状況に言葉を失っていた。


 ステラは相手にしない様に部屋のドアを開けた時、ガイアがあの姿でドアの前を走り抜けて行った……。


 それを見たステラとプルート、アルナイル、アルタイルは固まった。


「なにいまの……」


 ステラが呟く。


「さぁ……」


 プルートがその場の空気を吹き飛ばされ、変なものをみた様な顔で言う。



「死ねぇいっ!」



 アル・スハイルの叫び声が聞こえ、アル・スハイルは赤い星から光線を放ち、ガイアを追って走り去って行くが、それをユーファが追って来たのでステラはユーファを呼び止めて聞いた。



「ユーファさん

何があったのかしら?」



「あっ……

ステラ様……」


 ユーファが困った様に立ち止まった。


「お姉ちゃんが

あんなに怒るなんて


ガイアがなんかしたの?」


 ステラがガイアのあの姿を気にしながら聞いた。


「実は……

ガイア様が

アル・スハイル様とエリス様が

入浴されてるのを知らずに

お風呂に行かれてしまい


脱衣場で

アル・スハイル様と鉢合わせになり……」


 ユーファがそう困った様に言った。



(お兄ちゃんのバカ……)

 


 アルナイルが頭を押さえ心で呟くが、ステラは静かに聞いた。


「見たの?」


 何をとは聞かないが、何を見たのかと聞いたのはその場の誰もが解った。


「……」


 ユーファが応えはしないが、目を背け少し考える様な素振りを見せ、ステラは静かにガイアとアル・スハイルの向かった庭に向かって歩き出した。



 ガイアはアル・スハイルの光線を躱しながら、走り抜けて行く。


「そんなもんぶっ放して

屋敷を壊す気かよっ!」


 ガイアは叫んだが見た、ガイアの躱した光線が壁に当たる直前で曲がり、ガイアに再び襲いかかって来た。


 アル・スハイルの光線は一切屋敷を傷つけず、ガイアだけを狙っていたのだ。



「相変わらずスゲーな……」



 ガイアはそう言いながら、アル・スハイルの光線を躱し、全力で走り抜けて行った。




「私のも見たことないのに

他の子のは見たいのかしら……」



 ステラはそう呟きながら歩いていた、ステラは心で言っているつもりだったが、声に出ていることに気付いていなかった。


「……」


 アルナイルとアルタイルは、ステラの怒りがひしひしと伝わって来て、二人揃って汗をかいていた。



 ガイアが砂埃を巻き上げ、庭に出たがその姿を見て、庭の手入れをしていたセプテント家のメイド達が不思議そうな目でガイアを見ている。


 ガイアが振り向いた瞬間、凄まじい勢いでアル・スハイルが屋敷から飛び出し、ガイアに向けてサーベルを振った。



「ちょっと待てっ!

俺が悪かったから待てってのっ!」



 ガイアはそう叫びながらそれを鋼の手で受け止めるが、アル・スハイルは凄まじい蹴りをガイアの腹部に放ち、ガイアは吹き飛ばされたった一枚腰に身につけていたタオルがはだけ宙を舞った。



 今日二度目の屋敷の玄関まで来たステラがその光景を見て、アル・スハイルから送られたサーベルをスッとだし、ガイアに向けるとそっと紫の星が現れガイアの周りの空気を変換し、ガイアに服を着させた。


「ステラッ!悪りぃ‼︎」


 ガイアが叫び、そのまま着地したがステラは微笑んで言った。



「お姉ちゃん

あとは好きにしてね」



「…………」



 ガイアは止まった、ステラが間に入ってくれるのかと思ったガイアが甘かった。


「良かろう……」


 アル・スハイルがサーベルをガイアに向けて静かに言った。


「え……」


 アルナイルはそのやり取りを聞いて声を漏らして思った。


(お兄ちゃんがんばれ……)



(詰んだ……)



ガイアは思った。


 アルナイルが哀れに思えたのは言うまでも無いが、がんばれ、と思ったのは何よりもこの姉妹にこれからも深く関わって行くガイアに深くそう思えたのだ。


 そしてステラ達は屋敷に入って行くが、アルタイルはその場に残り、ため息を一つついた直後。



「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」



 ガイアの大きな悲鳴が青空に響いた。




 その夜アルタイルは静かに神殿書庫で本を読んでいた、何故あれからもアルタイルとアルナイルが神殿書庫で調べ物をしていたかと言うと、サラスの持っていたセプテントリオの杖のことだった。


 普通は星の力は星に見染められ、星の力を体内に宿す内星型か星を連れ添う外星型でしか無い、物にその力が宿り操れると言うのはあり得ないことであった。


 ガイアの様に二つの星を持つことも珍し過ぎる事だが、それはガイアが元々大星ベガの生まれ変わりであり、大地の星ハダルに抱かれたと考えれば簡単に説明がつくのだが、セプテントリオの杖は説明がつかなかったのだ。



 アルタイルはサラスと戦った時のことを思い出していた。

 アルタイル自身は星海で最古の大星であり、大大星とも呼ばれる程の力を持っていたが、そのアルタイルは真の大大星セプテントリオの力の前に完敗し、強い危機感を感じていた。


(今回はガイアがこの星に居てくれたから

抑えることが出来たけど……


地上戦で最強だと思ってた

ハダルの星でさえ消されそうになった……



大大星は解ってるだけでも三つある……



一つはスピカ……

豊穣の星と言われ初期の星海人が

祈りを捧げた星……


一つはメビウス……

時を見つめ永遠を望む星だと

そう言われていけど

アル・スハイルが星ごと滅ぼしてしまって

あれから一度も輝いてない……



そして最後の星が

セプテントリオ……

サラスはこのオルビスが

セプテントリオだって言ってた


本当にそうなら

星の声をもし聞こえれば……


でもあんな武器が

大大星に一つあったら

大変なことになる……)


 アルタイルはそう考えながら、真剣に一冊一冊の本を丁寧に調べていた。



(セプテントリオの杖を使っていた

サラスなら何かを

知っていたかも知れない……)



 アルタイルがこの屋敷に留まったのはそれを調べるためであった、久しぶりに愛弟子であるアル・スハイルに戦い方をもっと教えたいとは思い、アル・スハイルが今住んでいる家、以前にステラがガイアと暮らす為に用意した家に行こうかと思ったのだが、どうしても気になってセプテント家の屋敷に残ったのだ。



「アルタイルよ

何をそこまで調べておるのじゃ」



 そこにアル・スハイルが様子を見に来たのだろうか、声をかけて来た。


「うん?

アル・スハイルのエルナトへ教育が

私と違うなぁって思ってさ


知識で言えば私より

アル・スハイルの方が……

って感じちゃったから

勉強したいなって」


 アルタイルは笑顔を見せて言った。


「それだけではあるまい?

アトリアロフの余の館で調べぬ所を見れば

容易に解る嘘を申すでない……」


 アル・スハイルもこの星のことをレグルスに命じて調べていた、レグルスはアル・スハイルの命じられ、紫の星がこの星を救って以降どの様に人や生き物が過ごして来たのかを、地域地域で簡単にではあるが調べて回っていた。


 アル・スハイル自身も精霊から情報を集めていたが、この星がセプテントリオであると言うことをどの精霊達も知らない様であった。


「この星はかなり珍しい進化が

進んでいるからね……


この星じゃないと調べられないんだよ」


 アルタイルが言うのも嘘ではない、通常精霊は精霊で進化しないのだ、それが他の星に住むエレメンタルと呼ばれる精霊とは違い、明らかに肉体を得ている、精神的な存在である精霊が、力を使わなければ人と見分けがつかない程に、進化しているのだ。


 それはアル・スハイルが人に魔法を使うことを禁じる事がこの星にとっては、もはや今更と言う話になる程である。


「まぁ良い……

何か解ったら余にも教えてくれぬか?」


 アル・スハイルが言った。


「うんいいよ

ところでガイアはもういいのかい?」


 アルタイルが聞いた。


「あやつがあれ程つまらぬ奴だったとは

余も思いもしなかったのぉ


あの時に

気の利いたことも言えぬとは……」


 アル・スハイルは、バスタオル姿をガイアが見て固まったことを思い出しながら言った。


「はぁ……」


 アルタイルはアル・スハイルがガイアを遊び相手にし、尚且つ女性なんだと改めて認識した。


「つまらぬゆえ

ステラに返して来てやったわ」


 アル・スハイルはそう言い神殿書庫から出て行こうとした。



(まったく……

人の気も知らないで……


でも今はゆっくりしな

アル・スハイル……

あんたにやっと訪れた

平穏な日々なんだ


短いかも知れない……

だから……

大切にしなよ)


 アルタイルはそう思い、アル・スハイルの後ろ姿を微笑みながら見ていた。


 アルタイルは大大星と言われる、メビウスの星にもサラスが持っていた物と同じ様な武器があったとしたら、アル・スハイルの脅威になると感じていた。


 星を従えると言うことは、星の想いも知ることになる、メビウスの星はアル・スハイルを憎んでいても不思議ではない、それはメビウスで生まれた文明が何度も星海に進出し、その度にアル・スハイルに滅亡させられ、最終的にはアル・スハイルとアル・ムーリフの手によって二度と文明が育たない程に破壊されたからだ。


 もしメビウスの武器を手にした者が居れば、その者はその武器を通してアル・スハイルを憎み、アル・スハイルが守ろうとする物をあのシリウスの様に、全て滅ぼそうとするに違いないそう考えていた。


 アルタイルはあの時に初めて聞いた。


 苦しみと言う言葉では表せない程の星の悲鳴を、メビウスの星があげていた、その声を聞いた時を思い出していた。



「アルタイルよ

あまり無理するではない


よいな……」



 アル・スハイルはアルタイルが少し疲れているのを感じとり、そう気にかけた。


「はいはい

私はあんたの師匠なんだよ

あんたに心配されることなんて

ひとっつもないよ」


 心配させない様にアルタイルが言った。


「ふっ

そうであったな……」


 アル・スハイルはそう小さく笑いその場を去っていき、アルタイルはまた書物を読み始めた。


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