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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅にでたの?〜第一章 大大星〜
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第一章 第2話 知らなくて




 屋敷の玄関まで来てアルナイルが立ち止まり、何故か固まっていた。


 不思議そうにステラが顔を出し、外を見ると騎士や傭兵は全てガイアにのされていたが、細身でローブを着てフードを深く被った者がガイアと向き合い立っていた、見たところ他の傭兵や騎士と違い、鍛え抜かれた様なイメージは感じられない、そしてガイアがはっきりと言った。



「わりぃけど

ステラは女だぞ?」



「はい?」


ステラが変な声で驚いて言った。


「はて……?」


アル・スハイルがガイアの言葉を不思議に思って言う。



「…………」



 その者は無言で立ったまま何も言わず、ステラが現れた事に気づき、静かに口元で微笑み、急に走り出しガイアに向かって行った。



「やろうってのかよ……


めんどくせぇ……」



 ガイアがそう呟き、身構えると既にその者はガイアの目の前まで来ていた。



(こいつ……

大地が教えてくれねぇっ‼︎‼︎)



 ガイアはとっさに反応し剣を抜き、その者がガイアの顔を狙って振った何かを、普通の剣で受け止めたとき、その被っていたフードが取れ素顔が見えたが、やはり若い女性であった、黒いショートカットで前髪の一部が白い髪で可愛い顔立ちをしていたが、ガイアそんなことより相手の武器に気を取られていた。


(笛っ‼︎)


 ガイアはそれを見て気付いた、それは星鉄塊で出来た笛であった、アル・スハイルもアルタイルもステラもそれに気づき、僅かに顔を顰めた、だがこの場に五人もの大星がいるのでそうは焦らなかった。



(こいつ星海人かよっ‼︎‼︎)



 ガイアはそれを受け止めたままそう思い、騎士や傭兵などの人間に不審に思われない様に聞いた。



「お前……

ステラをどうやって知ったんだ……」



「私はステラ様のお側に居たいだけです

通して貰えませんか?」


 その者は言った。



「ステラよ

そちは女にも好かれるのだな」



 アル・スハイルが細い目をして言う。


「星海人なら……

違う話かも知れないじゃない?」


 ステラが少し困りながら言う。




「あぁそうかよ……」


(ったくこいつ本気じゃねぇよな……


本気ならさっきので

この剣は折れてたはずだし……


悪意はそう感じねぇけどな……)


 ガイアがそう言い考えた時に、その者がガイアの腹部に強烈な蹴りを入れ、ガイアはよろめいたが、威嚇する意味でガイアは剣を素早く振った。


 ガイアはその女性なら確実に避けると確信していたが、不意にその女性は後ろにあった石に足を取られてしまう。


「え……」


 その女性は後ろに倒れそうになり、回避出来ずにいた。


(やべっ‼︎)


 ガイアは焦り瞬時に剣を止めようとしたが、僅かに遅くなるものの、振り抜いてしまった。


 ガイアの剣はすれすれでその者の服の胸元をかすめ、なんとか服だけで済んだが、服がはだけてしまい、ガイアは固まるように止まった、その女性は踏みとどまり急いで胸元を隠しわなわなとしていた。


「あれは……

見ましたね……」


 ユーファが静かに言った、かつてユーファがスカートの中をガイアに見せようとしたが、ガイアは見ることなく目を瞑っていたのを思い出しながら言っていた。


「見たのぉ……」


 アル・スハイルが呆れたように言う、アルタイルとアルナイルはステラを気にして静かにステラを見る。



「…………」



 ステラは無言のまま冷ややかな目でガイアを見つめ静かに微笑み、アルナイルはアルタイルの耳元で小声で聞いた。


「怒ってるよね?」


「かなり……」


 アルタイルも静かに答える、長年の付き合いであり、更に主人であるアル・ムーリフの苛立ちにすぐに気付いていた。




「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」



 その女性は悲鳴をあげ、思いっきりガイアの顔を本気で横からその笛で叩きガイアの頭の中に綺麗な流れ星が流れ気絶し倒れた。


「……」


 その女性はわなわなしたまま立っていたが、そこにステラは歩いて行き静かに言った。


「大丈夫よ

この人は何もしないから」


 ステラは皮肉も込めてそう言い、羽織るように着ていたローブで彼女の身を包んであげ、気絶しているガイアの頭を蹴り飛ばしてから彼女を屋敷に招いた。



 ガイアはメイド達によって屋敷に運ばれ、今日のステラを求める争いは終わり、屋敷の庭をメイド達が整え始める。



「まぁ良い……

敵ではあるまい


エルナトよ共に話を聞いてやってくれ


エリス


阿呆はほっといて

風呂でも借りるかの」



 アル・スハイルはエリスにそう言い、エリスと屋敷に入って行く。


 エリスはセプテント家のかなり広いお風呂を、アルタイルとここに居た時からとても気に入っていた、それで屋敷に向かっている時に誘っていたのだ。


 そしてアル・スハイルとエリスはセプテント家大きなお風呂に入って行った。




「プルートさん

わたしの服がぴったりで良かったです」


 その女性はプルートと言うらしく、その持ち物にはハートの装飾が沢山付いている、ハートのマークが好きらしいのが一目で解った。


 ステラはそう笑顔で言うが、プルートはクローゼットの奥にある服が少し気になっていた。


 ステラはサラスが買って来たメイド服仕様の服や、ゴスロリ系の服をクローゼットの奥にしまっていたのだ、小さな部屋ほどある大きなクローゼットの奥の空間は、サラスの趣味の空間……もとい父の思い出の品が沢山しまわれていた。


 そもそもセプテント家にある女性服は、ほぼメイド服仕様であり、サラスの趣味は簡単に伺えることにステラは気付いて、何とかした方がいいとも思っていたが、プルートは言った。



「これ……可愛いですね……」



 プルートがメイド服仕様の黒と白主体の服を手に取り興味ありげに言った。


 ステラはそれを聞いて、馴れ馴れしいと思うより、静かに冷ややかに思った。



(あなたはそっちなのね……)



 その頃ユーファに優しく起こされたガイアは、目を見開いていた。



「お目覚めですかガイア様」



 ユーファが優しく言う、ガイアはソファーに寝かされていたがユーファに膝枕をされ、目の前にユーファの少し豊かな胸があり、飛び起きて言った。



「ユーファッ!

おまえなっ‼︎‼︎


今のをステラに見られたら

俺があぶねぇ目にあうって

解ってんのかっ‼︎‼︎」



「ガイア様のおかげで

サラス様もお優しいお顔で

最後を迎えることが出来ました


セプテント家の者としては

心を込めてお仕えしませんと……」


 ユーファは少し頬を赤くし、色気を見せながら言う、明らかにガイアで遊んでいるのがすぐに解るがガイアはそれに気付かない、確かにユーファはサラスを信頼し、その奥底にあるサラスの心から静かに溢れていた温もりに気付き、慕っていた面もあったが、ガイアは言った。


「そう言う問題じゃねぇ……」



「サラス様が本当は

お優しい方だと

私は解っておりましたが……」


 ユーファはしおらしさを見せなが言うが、ガイアは相手にせずに言った。



「わりぃがまた今度な

ちっと風呂で汗ながして来るわっ」



「ガイア様っ!

浴場はいまっ‼︎‼︎」


 ユーファはガイアにアル・スハイルとエリスが、お風呂に入っている事を伝えようとしたが、ガイアは勢いよくドアを閉めて行ってしまった。



 その頃ステラはプルートを応接室に招き、プルートの話を聞こうとしていた。



「えっと……

わたしの側にいたいと言ってましたけど

それは……

星海でのわたしを知ってのことですか?」



 ステラは念のため相手が星海人であるので、そこから聞いた。


 応接室にはアルタイルとアルナイルも居てくれ、何かあっても心配することは無かった。



「はい……

アトリアロフの街で

アル・ムーリフ様が

転生されたことを聞きまして


急いで来たのです


アトリアロフの街では

ハダルとアル・ムーリフ様が転生され

婚約されたと話が持ちきりでした」


プルートはそう困った顔で言った。


 ステラはプルートが何故困った顔をしたのか解らなかったが、少し考えながら言った。



「おかしいわね……

私とハダルが婚約したって

誰が知ってたの?」



(……婚約?

まだ付き合ってるだけだよね?


キスしかまだしてない筈だし……)


 アルナイルはふとそう思い、アルタイルが耳元で小声で言った。



(アル・ムーリフ様なら言わないけど

今はステラさんだからね……


聞き流してあげて……)


 アルタイルが言い、アルナイルはなるほどと納得しプルートが言った。



「アル・ムーリフ様っ!

わたしを側に置いて下さいっ‼︎」



 それを聞いたステラは、プルートがアル・ムーリフの手星になりたいのかと思って言った。


「えぇ……でもそれは……

貴方しだいね……」


 ステラはアル・ムーリフとして言った、アル・ムーリフはアル・スハイルと違い、あまり手星を増やそうとはしなかった。


 それは手星を増やし、自らの勢力を大きくし星海全体を見ようとしたアル・スハイルとは対照的で、アル・ムーリフはアル・スハイルと二人で大事を成せば良いと考え、アルタイルがベガのエストックを持って来るまで、手星を持たなかったのだ。


 例えて言うならアル・スハイルの手星は、アル・スハイルを太陽とし火星や水星の様に惑星を従える様なもので、アル・ムーリフの手星は地球と月の様に寄り添う衛星のようなものであり、アル・ムーリフ自身もアル・スハイルに寄り添うように接して来たのだ。


 二人のその関係は永遠に思える様に不変であり、その関係はあのサラスが嫉妬する程であった。


「解りました……

必ずアル・ムーリフ様に

ハダルが相応しく無いことを

理解していただき……」


 プルートが静かに俯いたまま言った。


「えっ……」


 ステラはプルートの言葉を理解出来ずに、小さな声で言った。


「…………」


 アルナイルとアルタイルは顔を顰めて聞いている。


「わたしの愛を……」


 プルートがそう何かを言おうとした時、ステラは席を立ち、部屋を出ようとした。


(なに……

ほんとうに私目当てだったの……)


 ステラはそう思いある種の恐ろしさを感じた、紫の誓いの星は立ち去ろうとしたステラに伝えた。


(冥王の星のぉ……

変わった星とは聞いていたが

ここまでだったとはのぉ……)


(なに……

誓いの星は知ってたの?)


 ステラが聞くがその会話は一瞬であり、誓いの星が静かに言った。


(くるぞ……)


(えっ……)


 ステラがそう紫の誓いの星に言われ振り向いた時、プルートが真後ろに居て、静かに呟いた。



「まだお話の途中です……」



 プルートが俯いたまま死者の様に呟き、アルタイルはため息をつくが、アルナイルは驚いていた。


 まるで亡霊の様にプルートはスッと動いていたのだ、その動きを見てアルナイルは恐怖を覚えたが、アルタイルは色んな意味でめんどくさい相手だと思っていた。



 だがステラは動じることなく言った。


「あのね

私はそう言う趣味はないの

解ってくれるかしら?」


 アル・ムーリフの生まれ変わりで、一度死も体験し、自らの前世のミイラも倒したステラからしたら、プルートの能力に驚くことも無ければ恐れを覚えることも無かったが、それが仇となった。


 プルートは頬を赤くし嬉しそうな顔をしていた……。


「?」


 ステラは、なに?と言う顔をしたがプルートはステラに嬉しそうに言った。


「やっぱりアル・ムーリフ様は

わたしの運命の人ですっ!


ずっとずっと側に居たいです‼︎‼︎‼︎」



「へっ……?」



 ステラはそう言い考えた。


(えっ……

なに?わたしいま……

冷たく振ったよね……


ちゃんと解ってるのかしら……)




 その頃アル・スハイルとエリスは、セプテント家の大浴場で、湯船に浸かりゆっくりとしたひと時を過ごしていた。


「アル・スハイル様っ!」


 エリスがふと何かを思い出した様に聞いた。


「なんじゃ?」


「なんでガイアさんは

さっき……負けちゃったの?」


 エリスはガイアが何故あの女性に負けたのか気になっていた。


「知らんで良い

いづれわかろう……」


 アル・スハイルは答える気になれなかった、エリスもガイアを慕っている、子供でありながらその不和と争いの力は侮れない物があるのをアル・スハイルは知っていた、その為エリスの星を使う練習中も、失敗した時は赤い誓いの星でエリスの力を無害な何かに変換していた、ガイアがあの女性の胸を見て固まってしまったなど、子供であり怖いもの知らずで積極的なエリスに言える訳が無かった。


(まったく……

あの様なことで隙を見せるとは……

先が思いやられるのぉ……)


 アル・スハイルはそう思い、天井を見上げながら何かに気付いて、立ち上がり大浴場を出ようとした。


「アル・スハイル様

もう出るのですか?」


 エリスがあれ?と言う様な顔で聞いた。


「少しのぼせたかの

エリスは今しばらく

ゆっくりしておるが良い

余が迎えに来るでな……」


 アル・スハイルはそう言いエリスは気付いた、アル・スハイルの肌は白く美しく、胸こそはそこまでは大きく無いが、大人と少女の魅力をあわせ持っていることに。


「きれい……」


 エリスは思わず呟いて、大浴場のから脱衣場に行くアル・スハイルを見ていた。


 エリスはお風呂から出て自分の体を鏡で見て、手をグーにして言った。


「頑張って早く大人になるっ!」


 その声は脱衣場にいたアル・スハイルにも聞こえ、アル・スハイルは小さく笑って言った。


「可愛いものじゃ……


さて……

来たようじゃな……」


 アル・スハイルはそう言うとバスタオルで体を包み、大きい脱衣場の隅に身を隠した。



「ったく……

ステラに見られなくて助かったぜ……

ってかあの女……


妙な力持ってんな……


まっ敵意は無かったし

後で聞いてみっかな」


 ガイアはそう言い、朝の戦いの汗を流しに大浴場に来たが、入り口の横の壁にかけていた入浴中の札に気付かず、そのまま脱衣場に入って行った。


 ガイアは沢山ある脱衣場の籠に、アル・スハイルとエリスの着替えに気付かず、服を脱ぎタオルを腰に巻いた時、背後から殺気を感じ素早く振り返ると、そこにはバスタオル姿のアル・スハイルが小さな笑みを浮かべ立っていた……。


 ガイアは、美しく濡れた髪で、お風呂上がりの女性の魅力を溢れさせているアル・スハイルを見て、余りにも普段との違いに驚いていた。


 その様子を見たアル・スハイルは鼻で小さく笑い、その表情を氷の様に冷たく無表情に変え静かに言った。




「なにをしに来た……」

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