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ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅にでたの?〜第一章 大大星〜
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第一章 第1話 求婚者達




「サラス…あの役立たずが……」



 星海にある、一つの星でその者は静かにそう呟いていた。


 その星には大気もあり川もあるが、星海から見れば山々の形が円形でその真ん中に窪地のある地形が無数に存在していた。


 クレーターである。


 それはただのクレーターでは無い、多くは川沿いにあり、そうでもない場所にもあり一部のクレーターには街の痕跡も残されていた。



「誓いの星……

忘れぬ…忘れぬぞっ‼︎

必ずそなたらを滅ぼしてくれようっ‼︎‼︎


我が星を滅ぼしたと同じ様にっ‼︎‼︎


貴様らが愛する星を

同じ姿に変えてくれるっ‼︎‼︎



そしてスピカよ……

そなたの思い通りにはさせぬっ‼︎‼︎」



 その者はそう叫び、星海で輝くオルビスの星を憎しみに満ちた形相で睨みつけていた……。




 それから3ヶ月後……。



「なるほどねぇ……


精霊術は元は星海術で


星海人を助ける為にサラスが考えた


星の力を使った魔法だったのね……」



 あの後もアルタイルの読書の日々が続いている、アルナイルも戻りセプテント家には以前の様に、神殿書庫で日々読書しているアルナイルとアルタイルの姿がある。



「おじゃましまーす


二人ともお疲れ様


少しお茶にしましょ」


 ステラが可愛い笑顔でそう言い、ユーファと紅茶を持って来てくれた。



 ステラはあれ以来明るくなっていた、サラスの死を悲しむことなくセプテント家を引き継ぎ、セプテント領を収めている。


「ステラさん

ありがとう

お兄ちゃんは?」


 アルナイルが聞いた。


「お客様のお相手を

庭でなされています……」


 ユーファが困ったように静かに言った。



「またなの?」



 アルタイルが言った。




「オラァァァァァァァァァッ‼︎‼︎」



 ガイアが叫び騎士を殴り飛ばしている、ガイアは手加減しているが、それでも騎士は吹っ飛ばされている。



 ステラはセプテント家を継ぎ、リオー国内で最も力を持つ領主となっていた、サラスが遺体も残さずに死に、ユーファがサラスが失踪したと言うことにし、ステラがセプテント家を継げるように精霊達と段取りを整え、無事にセプテント家を継いでいたのだ。


 そうなると若いステラがセプテントを継いだことをいい事に、リオー国内、または隣国の有力な領主がステラに求婚を求める様になった。


 そんなある時、ガイアはレチクル国のとある地方の領主で相当腕に自信があるのか、やけに自らの武勇を披露したがっていた者を、庭で殴り飛ばして言った。



「てめぇ……


ステラが嫌がってんの


わかんねぇのかよ……


そんなに自信あんなら


俺をぶっ倒してから自慢しろってんだよ」



 普通に無理な話である。



 だが連日の様に来る求婚の申し出に疲れていたステラは、ガイアが殴り飛ばしたのを見てスッキリしたので、それ以降その話はまずガイアを通す事にしていた。



 拳でしか語らないガイアはと言うと……。



「ほらっ!

次来いよまだまだやれんだろっ?


なんだったら

全員まとめてかかって来てもいいぜっ!」



 とても楽しそうである。



「ウォォォォォッ‼︎‼︎」



 それを聞いた百人程度の傭兵や騎士が、一斉に襲いかかる。

 


「そうだよなぁ……

そん位の根性ねぇと……

ステラの前でなんて

立ってらんねぇからなぁっ‼︎‼︎」



 ガイアがそう叫び暴れるように次々と騎士と傭兵を殴り飛ばしていく、もはやただの乱闘である。


「ステラ様……


そろそろ何か手を打っていただいた方が

宜しいかと思いますが……」


 ユーファがステラに言った。


「そうね……」


 ステラが呟く様に言い少し考えてから言う。



「でもどうしたらいいのかしら?


若く美しく

そして財力もあるセプテント家を

継いでしまった私を……

皆さんが求めても仕方ないと思うのは

私だけかしら?」



(自分で言うんだ……)


 アルナイルは思った。



「仕方ないじゃん

ガイアがガイアだし


付き合ってるけど

キスから先は進まないし……


アル・ムーリフ様をほっとくガイアが悪いんだから……」


 エルナトも神殿書庫に来て言った。



「エルナトさん

おはようございます


アル・スハイルさんは……

まだ来られないのですか?」


アルナイルが聞いた。



「もう来ると思いますよ

エリスちゃんの星を使う練習を

見てくれてましたけど

お越しになると言われてましたから」



 エルナトが微笑みながら言う。



「そちもなかなか才能あるではないか


エルナトの様に星を操るのも


そう遠くは無いかも知れぬなぁ」



 アル・スハイルが親しみを込めてエリスにそう言いながら、セプテント家の屋敷の塀の前を歩いていると叫び声が聞こえた。


「オラァァァァァッ‼︎」


 ガイアの気合いの入った叫び声である。


「さて……

まぁ…ガイアの戦い方を


見学でもするかのぉ……」


 アル・スハイルは半分困りながら言う。



 エリスの戦闘経験は皆無である、それを考えるとガイアの乱闘は手本にならないが、エリスはダガーを好むため、極端な近接戦を見るのも勉強にはなるかも知れないと、アル・スハイルは微かに感じた。


「グハッ!」


 殴り飛ばされる傭兵の声をアル・スハイルは、哀れに思いながら聞いていた。



「いけいけぇぇぇぇ!」



 エリスは無邪気にガイアを応援していてエリスも楽しそうである。


(やはり教育には向かぬな……)


 アル・スハイルは微かに思ったことを否定しエリスの手を引いて、庭の端っこを歩いて屋敷に向かった。


「アル・スハイル様

もう見学は終わりですか?」


 エリスが聞いた。


「あれはただの喧嘩であった

勉強には向かぬのでな……」


 アル・スハイルは顔を曇らせて言った。



 その時アル・スハイルに向かって一人の傭兵が吹き飛ばされて来たが、アル・スハイルはそれをエリスを気にしながら、ひらりと避けて言った。


「ガイアよっ!

もう少し手加減してやるが良いっ

危ないではないか……」


「おうっ!

そっちも気をつけろよっ‼︎‼︎」


 ガイアが元気に言う。



「なぜ妹の屋敷に来るのに

気をつけねばならぬのじゃ……」

 


 アル・スハイルがぶつぶつ言いながら屋敷に入って行った。



「いらっしゃいませ

アル・スハイル様

エリス様


ただ今ステラ様は

神殿書庫に皆さまといらっしゃいます」


 エントリアが丁寧にアル・スハイルとエリスに伝えた。


「うむ解ったが


あれはどうにかならぬのか?」


 アル・スハイルがガイアに冷ややかな視線を送ってエントリアに言った。


「はぁ……」


 エントリアもため息をついてガイアを見る。



「そちも困っておるのじゃな……

まぁ良い……


余から後でガイアに話してみよう……」



 アル・スハイルが汗をかきながら言う。


「ありがとうございますっ!」


 エントリアがお礼を言い、アル・スハイルとエリスは神殿書庫に向かって行った。



 アル・スハイルとエリス、エルナトは今は以前ガイアが住んでいた屋敷に住んでいる、本当はアルナイルもそこに住もうと考えたのだが、アルタイルがアルナイルにガイアと一緒に住む様に言ったのだ。


「えっ……でも……

お兄ちゃんとステラさんに悪いので……」


 アルナイルが少し困った顔でアルタイルに言う。


「何が悪いのよ

あの単細胞が問題起こしそうになったら

あなたが止めるしかないじゃない


ステラ様が止めようとしても

聞かないと思うんだけどなぁ……」


 アルタイルがアルナイルにそう言ったのだ、アルタイルにはそれ以外にもガイアとアルナイルを一緒に居させる目的が別にあったのだが、その話をステラも聞いていて話に割って入って来た。


「気にしないでアルナイル


私達仲間じゃない


あなたが居なかったら

わたしだってどうなったか解らない


あの時アルナイルが

精一杯言ってくれたから今の私達が居るの

あなたはあの大切なことを

私に教えてくれたわ

だから……


私も一緒に居て欲しいから

そんなの気にしないでよ」



 ステラがそう言いアルナイルも一緒に住む事になったのだ。



 だが今、アルタイルが言った様にガイアが、問題を起こしている、ステラがガイアに任せたこととは言え、それ以来晴れた日の午前中は、屋敷の庭からガイアの気合いの入った叫び声が毎日聞こえてくる、景観のいい上級貴族の屋敷の美しい庭は毎日のそれで少しずつ荒れ始めている……。


(お兄ちゃん……)


 アルナイルは光を出してそのガイアの様子をみんなで見て心で呟くが、そこで涙を流す妹ではなかった。



 アルナイルは読書の手を止め、神殿書庫から出てツカツカと階段を登り、降りて来たアル・スハイルとすれ違う。


「どうしたのじゃ」


 アル・スハイルがアルナイルに声をかける。


「お兄ちゃんにちょっと言って来ます」


 アルナイルはそう言い階段を上がって行く、アル・スハイルは気になりついて行く事にした。


「お師匠さまっ!」


 エリスが気になって出てきたアルタイル達の方に行く。



「エリスちゃん

アル・スハイルの教え方はどう?

ちゃんと勉強できてるかい?」


 アルタイルがエリスに聞いた。


「はいっ!でも……

私も早くお師匠様と住みたいですっ‼︎」


 エリスがおねだりする様に言うが、それを聞いてステラは少し困った様な顔をした。



 アルナイルと違いエリスは子供で、ガイアのことが大好きで、子供ではあるが積極的である、また以前の様なことが起きても困るのでアル・スハイルが預かっているのだ。


「それより

アルナイルを見に行こうよ

きっと面白いことになるかもよ」


 アルタイルがそうエリスに言い、階段を登って行った。



 屋敷の玄関まで来てアルナイルが立ち止まり、何故か固まっていた。


 思議そうにステラが顔を出し、外を見ると騎士や傭兵は全てガイアにのされていたが、細身でローブを着てフードを深く被った者がガイアと向き合い立っていた、見たところ他の傭兵や騎士と違い、鍛え抜かれた様なイメージは感じられない、そしてガイアがはっきりと言った。



「わりぃけど

ステラは女だぞ?」



「はい?」


ステラが変な声で驚いて言った。


「はて……?」


アル・スハイルがガイアの言葉を不思議に思って言う。


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