最終章 第3話 在るべき姿に
「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……」
シリウスの呪いのような呟きの声が、聞こえないような小さな呪いの様な声が星海に響き渡り、それは遠い遠いメビウスの星にまでダークマターを通じて届いていた。
そして赤黒い輝きをメビウスの星が放ち始めた。
(殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……)
シリウスの悍ましい呪いの様な声が、ミアプラの墓所に足を踏み入れたステラの頭にも響いて来ていた。
ステラはその悍ましさに、しゃがみ込み頭を押さえ震え出していた。
「なにこれ……
なんなのよ…」
ステラが震えながら呟いた。
「ステラ様……」
エルナトがステラを心配し声をかけ、優しく落ち着かせようとしたが、ガイアはその墓所の奥を睨みつけていた。
「ガイアッ
少しはステラ様を心配しなさいよっ‼︎」
エルナトが言ったがガイアは答えた。
「わりぃがステラを頼む……
やべぇのがいるわ……」
ガイアが言った時、凄まじい勢いで天井を張ってくる何かをエルナトは見た。
「…………」
エルナトは一瞬で怖気付いたがガイアが叫んだ。
「ステラを外にっ!
早くしろっ‼︎」
ガイアはステラを心配していたが守る為に戦うことを選んだ。
ガイアが叫んだ時、天井を張っていた者がガイアに飛びかかってきた。
「紫月っ‼︎‼︎」
ガイアが叫び凄まじい勢いで紫月を振り抜き、それを斬り裂こうとしたが、それは素早く躱して着地し再び襲いかかって来た、それはミイラであった、だがただのアンデットでは無い、胸に紫の宝石を埋め込まれた女性のミイラであった。
ガイアはそのミイラを蹴り飛ばし、紫月を振り真空の刃で斬り裂こうとした、だがその墓所の床を岩の槍が突き抜けるように現れ、その刃からミイラを守った。
(俺の力じゃねぇかっ!)
ガイアは焦ったが、再び女性のミイラがガイアに飛びかかって来た様に思えたが、そのミイラは怯えてしまっているステラに襲いかかったが、それをガイアは素早く蹴り飛ばした。
「早く逃げろっ!
エルナトッ!ステラを守れっ‼︎」
ガイアが叫び慌ててエルナトがステラを無理やり立たせ、墓所の外に連れ出そうとした。
ガイアがステラを守る様に戦っているが、再び岩の槍が突き出し、ガイアを襲ったがそれをぎりぎりで躱したが、腰に付けていた小さなポーチが切り裂かれ中から、以前先史の野獣を焼き落とした日に拾った青い宝石のネックレスが落ちた。
(あれだっ!)
ガイアは思い出した、あのアル・スハイルの像の足元の窪みと同じ形のネックレス、ガイアはそれを手にしていたのだ、そのネックレスの下の部分はエル字の様に曲がった変わった装飾があり特徴的であった。
ガイアは急いでそのネックレスを拾い、ステラを追おうとした女性のミイラを止める為に床を踏み締めると、入って来た入り口の前に巨大な岩の壁が現れ、その行手を阻んだ。
「ガイアさん……」
墓所を出たエルナトが、ガイアがステラを守ろうとしているのをとても強い意思に感じた、それはまだ若い人間の少年が出来ることでは無いが、ガイアは躊躇わなかった。
「出て来いよ
もう一匹いるんだろ?」
ガイアが女性のミイラの鋭い爪を躱しながら言うが、その者は姿を表さない。
「わりぃけどこいつより
アル・スハイルの方がマジつぇぇんだ
相手になんねぇぜ」
ガイアはそう言うが、何故か本気で殴り飛ばす気にはなれなかった、得体の知れない何かがガイアを引き止めていた。
たださっき思い出したネックレスは、攻撃を躱しながらも落とさない様に身につけていた。
そしてガイアはこの大地の力を使う者を攻撃しようとし、墓所の奥に向かうが女性のミイラもガイアを追って来ていた。
そして凄まじい勢いで壁を這いそのミイラが、ガイアを襲ったがガイアはそれを躱し走り続けた。
「こいつ…
ステラの気配しかしねぇ……」
ガイアはそう呟いたとき人影が見えた。
その人影が手をガイアに向けた時、ガイアはすぐに気付いた、それが男性のミイラでありガイアの気配を放っていた。
(来る……)
ガイアは心で呟いた時、無意識に手を大地につき叫んだ。
「我が名はガイアッ
大地の名を授かりし者っ‼︎」
その声と共にガイアの手をついた場所が輝き、ガイアを襲い続けていた岩の槍が収まった。
ガイアの中でハダルが微笑んでいる、ハダルが自らの力を大地に伝えさせたのだ。
そしてすぐに飛びかかって来た、女性のミイラの攻撃を躱し、岩の槍がそのミイラの足元から突き出し、岩でありながら木の枝の様に素早く枝分かれし、その女性のミイラを捉えた。
(アル・ムーリフと
俺の身体…わざわざ残した……
悪魔みてぇな奴がいるな……
許せねぇな……)
ハダルがガイアの中で怒りを込めていた。
そしてガイアは素早く男性のミイラに向かい、走り込み鋼鉄の拳でそのミイラを殴り飛ばした。
ガイアはミイラでも、女性のミイラを前に出させ男のミイラが後ろにいて、そいつが自分の気配を放ってることが許せずにいた。
「オラァァァァァッ!」
ガイアが叫び前世の自分の身体だとは知らずに、本気で襲いかかった。
そのミイラは手を宝石の様に変え、ガイアの拳を受け止め、ガイアはそれが何か気付いた。
「ダイヤかよっ
上等じゃねぇかっオラァァァァァッ‼︎」
ガイアは叫び肉弾戦に持ち込み、凄まじい勢いで殴りかかっているが、自分の拳をダイヤに変えはしなかった。
その少し前は、エルナトがステラを外に連れ出し少ししても、ステラの震えは止まらなかった、とても何かに怯えている。
「ステラ様
大丈夫ですよ
ガイアさんが必ず
ステラ様をお守りしてくれます
ですから
そんなに怖がらなくても
大丈夫ですよ」
エルナトが落ち着かせようと優しく言っているが、エルナトの声は聞こえてないようだった。
(アル・ムーリフ様……
いったいどうされたのですか
アル・ムーリフ様なら
こんな時……)
エルナトはそう想いながら、アル・スハイルから預かったペンダントを見ると、不思議と優しい温もりを感じさせるようにふわっとした光を放っていた。
そしてステラの震えが止まったが、ステラの焦点が合ってないことにエルナトは気付いた。
「ステラ様っ!
大丈夫ですかっ⁈」
ステラに声をかけるが反応が全く無い、放心状態の様にステラは動かなくなってしまった。
(だれ…
綺麗な人……)
ステラは心の中で紫の光に優しく包まれ、あの6月12日にステラが着たドレスを着て、眠っている様なアル・ムーリフを見ていた。
その姿を見たステラは、先程の悍ましいシリウスの呪いの様な声をさほど怖く思えなくなっていた。
その顔とさっき襲って来た女性のミイラの輪郭が同じ事に気づいた。
「どう言うこと……」
心の中のステラが言った言葉をそのままステラの身体が言う。
そして心の中でステラは、そのアル・ムーリフを包む紫の光に手を伸ばし触れようとした、不思議と一切怖いとは思わなかった、むしろ大切な人に思え抱きしめたくなっていた。
そしてステラはその紫の光に触れる。
するとステラの頭に凄まじい勢いで見た事もない光景が溢れ出した。
それは星海でアル・ムーリフが過ごした、美しい思い出も悲しい思い出も、その全てが溢れ出してきた。
(あぁ…言った……
違えぬ……)
まだ力も無かった時のアル・スハイルの声が頭に響いた、ステラはアル・スハイルに必死に声をかけているアル・ムーリフの姿を見ていた。
(私も誓うわっ
あなたと
アル・スハイルと共に生きるからっ‼︎‼︎
死なないでっ‼︎‼︎
私と生きてっ!‼︎
私を一人にしないでっ‼︎‼︎)
アル・ムーリフがすがる様に叫んでいる、その姿を見てステラは自然と涙があふれていた。
その涙を見てエルナトは心配していた、墓所を塞いだガイアの岩壁が分厚いのか、戦いの場が墓所の奥にいったせいか不気味なくらい墓所は静かである。
(余もそちに誓うっ!
余は死なぬっ‼︎
そちと共に同じ時を生きっ!
そちと共に同じ道を歩むことをっ‼︎‼︎)
アル・スハイルが瀕死と言える姿でそう応えているが、それは余りにも悲しすぎる誓いにしかステラには見えなかった。
そして凄まじい速さで記憶が流れていき、ステラは再び二人が誓い合う姿を見た。
(そちは余との誓いを覚えておるか?)
その記憶の中のアル・スハイルが聞く。
(忘れたことなどない……
あの時のことは……
忘れられるはずがなかろう)
アル・ムーリフが言う。
(さすれば
そろそろ良いと思わぬか?
アトリアロフも元の賑わいを取り戻した
だが……
父上と母上を失ったあの様なことが
まだ他の街で繰り返されておる……
余とそちの誓いのもとに
立ち上がらぬか?)
アル・スハイルが静かにアル・ムーリフを見て言った。
その瞳は優しさと悲しみに満たされ、アル・ムーリフに訴えていた。
まるで今まで我慢していた様にアル・ムーリフにその目で訴えていた、誇り高いアル・スハイルはその悔しさに涙も流すことに耐えていたのだ。
ステラは今見ているのが、自分の過去の記憶だということに気付き始めていた、一つ一つの光景に見覚えがあり懐かしさを感じていたのだ。
あのアル・スハイルが耐えきれない様に涙を溜めている姿にステラは気付いていた、あのアル・スハイルでさえ耐えていた時期があったのだとステラは感じていた。
(よかろう
我らの誓い……
永遠に果たし切ることは
出来ぬかも知れぬ
だが……
ほかならぬ姉上の望みじゃ)
アル・ムーリフが小さく微笑みそう答えた。
二人は見つめ合い静かにあゆみ寄り、抱きしめあっていた。
ステラはアル・スハイルとアル・ムーリフの絆の強さを感じていた、そして記憶は再び加速し、アル・ムーリフがハダルを追いかけいる姿を見た、その姿をステラは大好きな人を追いかけている様にしか見えなかった。
そしてあの日、星海で6月12日にガイアはオルビスにつき、アル・ムーリフはガイアからサーベルを受け取っていた。
そしてガイアがオルビスに降りようとし、アル・ムーリフは想いを叫び、追いかけていく姿を見た。
(絶対に一人にさせぬっ!
そちは……
そちは……
妾に教えてくれたっ‼︎‼︎
星の美しさを
星の輝きを……
教えてくれましたっ!
あなたはわたしに
優しくしてくれた……
みんなが怖がるわたしに
優しくしてくれたっ!
そんなあなたが
まだ知ろうとしている
誰も見たことがないことを……)
その言葉を聞いてステラは呟いた……。
「わたしもつれてってよ……
私のことなんて
守らなくてもいい…
そばにいれれば
それでいいから
わたしもつれてって……」
ステラはそう呟きそしてぺたんと座ってしまっていたが、ゆっくりと立ち上がった、その瞳は焦点が合い、先ほどとは違い輝く様な強さを見せているが、ステラはゆっくりと瞳を瞑った。
「ス…ステラ様……」
ステラは心の中で言った。
(ほんとうに…
ハダルってひどいんだね……
こんなに追いかけてるのに……)
そう言いステラはその紫の光にゆっくりと入って行き、眠りについているアル・ムーリフを抱きしめ、眠りについているアル・ムーリフに言った。
(でも……
好きになっちゃったんだよ……
仕方ないよね……
なんで旅に出たのって
今なら誰にでも言える気がするわ
あの時のあなたと同じ
ガイアが好きだから……
それしかないよね……)
ステラがそう優しく言うと、眠りについていたアル・ムーリフが静かに目を覚ました時、心の中でなく現実世界の時が再び止まった、そしてアル・ムーリフがステラを優しく抱きしめ静かに言った。
(驚くでない……
妾はそちでも無く
アル・ムーリフでも無い
アル・ムーリフは全ての記憶を
自ら失おうとした
じゃが…
それでは二人の誓いは果たせぬ
よって妾はアル・ムーリフが
抜け殻にならぬ様にこうしておるのじゃ)
(記憶……
あなたは誰なの?
わたしじゃ無いの?)
ステラが聞いた。
(妾は紫の誓いの星
アル・ムーリフの星じゃよ
ステラよそなたは
アル・ムーリフの生まれ変わりである
もう解っておるな?)
それはアル・ムーリフの紫の誓いの星がアル・ムーリフとして姿を変え、眠りについていたのだ。
誓いの星はそう聞いて来たが、ステラはアル・ムーリフが記憶を失おうとしたと言う言葉が引っかかり、少し考えているのを見て話を進めた。
(少し時が無いのでな
進めさせてもらう……
妾の力は誓いの元にある
じゃがアル・ムーリフが記憶を
対価にしてしまった
それほど苦しかったのは理解出来るが
それでは誓いは果たせず
赤い誓いの星も力を失う
そちは既にステラであり
アル・ムーリフでは無い……
つまり誓いが
妾からすれば無いのじゃ
さて……
そちはどうするのじゃ?)
アル・ムーリフの姿をした紫の誓いの星がステラから僅かに離れ聞いて来た、それは何かを誓うのかと言うことを聞いているのはステラも解っていた。
ステラは瞳を瞑り深く息を吸ってから瞳を見開いて言った。
「何を言っておる……
妾がアル・ムーリフである
我が誓いは変わらぬっ!
妾の記憶を返すが良いっ‼︎‼︎」
そのステラの言った言葉はまさにアル・ムーリフのものであった、そしてそれは現実の言葉としてステラが声を出して言っていた。
(ほう……
随分な物言いじゃな
そちが対価として支払ったものを
返せとな……)
紫の誓いの星は言い返す。
「返すのか
返さぬのか……
はよう決めるが良い……
妾はハダルと姉上のこと意外では
気が短いのじゃ……」
ステラがそう声に出して言い、心の中で右手でサーベルを抜いて紫の誓いの星に突きつけたが、そのサーベルはハダルが送ったサーベルであったが……左手にはアル・スハイルから送られたサーベルをしっかりと握っていた。
そしてハダルのサーベルが魂の輝きだろうか紫に輝き始め、アル・スハイルのサーベルは赤く輝いていた。
(ステラよ……
二つの道を歩みたいと言うのか?)
紫の誓いの星が二本のサーベルを見てステラに聞いた。
「そうね…どっちかなんて
選べないのよ……
選べても選びたく無いのよ
だから私はどっちも捨てない
あなたがわたしの星と言うなら
さっさと記憶を返して
力を貸しなさいっ‼︎」
ステラはっきりと強く言った、アル・ムーリフの記憶を見て、自分自信が大星アル・ムーリフだと気付いたのだ。
そしてアル・スハイルに危機が迫っているそんな気がして急いでもいた。
(星海人とは思えぬ
言いようじゃな
まるで人のようじゃ……)
紫の誓いの星は不思議そうな顔で言う。
「何を言ってるのかしら
今のわたしは人なのよ……
何が悪いのかしら?」
ステラは紫の誓いの星を様な小馬鹿にするように言った
(良かろう……
人に使われてみるのも
面白いかも知れぬな……)
紫の誓いの星は静かに微笑んで言った。
そして時が静かに動き出した、ステラは誓いの星の凄まじい力を感じていた、時を止めるだけの力を紫の誓いの星がステラに見せつけたのだ。
「ステラさん……」
時が動き出しエルナトが心配そうに声をかけた、だがステラから別人の気配をエルナトは感じていた、別人と言うより本来のステラに戻った様なそんな気配であった。
「エルナト心配させたね……」
ステラはそう言いながら、紫の誓いの星を出し、ガイアが閉じた岩の壁に手を向けた。
「我っ誓いの一星
ステラッ!
我が道を阻む壁よ
消え去るが良いっ!」
ステラがそう力強く言い紫の誓いの星が輝き、ガイアが閉じた岩の壁を塵に変換し凄まじい風が吹き飛ばした。
「え……
アル・ムーリフ様?」
エルナトはそのステラの力を見て驚いていたが、星海では再び紫の誓いの星が、赤い誓いの星の隣で力強く輝き出していた。
「どう言うことじゃ……
アル・ムーリフの星が
輝き始めておる……」
アル・スハイルもそれには驚いていたが、アルナイルが呟く様に言った。
「良かった……」
「アル・ムーリフ……
そなたの為に……」
アル・スハイルはそう呟き、再びシリウス目掛けて光線を放とうと力を溜め始めた。
「まさか誠の凶星になるとは
シリウスッ!
貴様に誇りなど無かったのだなっ‼︎」
アル・スハイルがそう叫ぶ様に言い、力を溜め巨大な光線を放った、その先にはブラックホールの様な暗黒をたたえる星を持つシリウスがゆっくりと此方に向かって来ていた、本来の輝きを失い高速で移動出来ない様であるが、確実に此方に向かって来ていた。
アル・スハイルの放った光線は一直線にシリウスを飲み込もうとしたが、シリウスは躱そうとせずに、シリウスの星が漆黒の稲妻の様な物を放ち簡単に受け止めてしまった。
「あれは…
やはりそうか……
因果応報と言うのか……」
アル・スハイルは呟いた。
それはアル・スハイルが今まで奪って来た、命の怨念と言うべき存在とシリウスは変貌を遂げていた。
今まで奪ってきたアル・スハイルが今度は守ろうとした時、それを奪おうとする様に凄まじく強大な憎悪と怨念が、シリウスの呪いの様な声に集まってしまったのだ。
「わたしはステラよ
でも……
そう呼ばれても間違いじゃないわね」
ステラはエルナトにそう答えて微笑んだ、その姿を見てエルナトは嬉しくなったが、ステラはすぐに言った。
「エルナト
妾の頼みを聞いてくれぬか?
サルガスが危ない
すぐにサルガスの元に行き
助けるのじゃっ
そしてサルガスとレグルスと共に
姉上を助けよっ!」
ステラがアル・ムーリフとして言った。
「アル・ムーリフ様はっ⁈」
エルナトが聞いた。
「妾は……
解っておるだろう?」
ステラが静かに墓所の奥を見て言う。
「はいっ!」
エルナトはそう返事をして墓所を去り、サルガスの元に向かった。
そしてステラは紫の誓いの星を輝かせ、墓所の奥へ向かって走り出した。
(時間が無い……
でも一つ解った……
一億年前アル・スハイルが
この星を滅ぼそうとした時
この星を救ったのは紫の誓いの星
わたしの星の意思だってこと
だからアル・ムーリフには
その時の記憶が無かった……
紫の誓いの星は平和を望んでいる
なら……
赤い誓いの星も同じはず
急がないとっ!
まだ何かがある
わたしもガイアも知らない何かが
この星にはあるはずっ!
じゃなきゃ赤い誓いの星が
この星を滅ぼそうとしないはずっ!
ハダル…
あなたは何を知ろうとして
この星に来たの?
わたしも知らないといけないっ!)
ステラはそう考え、ガイアの元に全力で走って行った。
そして激しく戦う音が墓所の奥から聞こえて来た、紫の誓いの星が輝き外星の持つ遠距離特有の視覚をステラは初めて見た、まるでスコープで覗く様なその視界を頼りに、ガイアが戦うミイラに狙いを定め、右手の人差し指を向け紫の光線を放った。
それは一瞬でスッと闇を斬り裂いたが、ガイアが素早く動き僅かなタイムロスで、ガイアの右肩がその斜線に入り、ガイアの右肩ごと貫いたが、ガイアの肩が砂になり飛び散った。
「あちゃぁ……」
ステラは小さな声を漏らすが、ガイアの叫び声が聞こえた。
「あんっ誰だ!
アル・スハイルみてぇなことしやがって‼︎‼︎」
ガイアが怒っているがそこはステラの性格だろうか叫び返した。
「あんたこそ邪魔なのよっ!
少しはゆっくり動きなさいよ‼︎‼︎」
ステラの叫びをガイアは聞いた、それはフレンドリーファイアを正当化させようと言う無茶苦茶な声であった。
「マジかよっ!」
ガイアは常識外れなその声に戸惑った時、女性のミイラを拘束していた岩の檻が砕かれ、女性のミイラはステラの方に向かって行った。
「やべぇっ!
ステラっ気をつけろっ‼︎‼︎」
ガイアが叫んだがステラはアル・スハイルから送られたサーベルとハダルから送られたサーベル二本を出し、双刀として持ちそのミイラに斬りかかった。
「わたしの…前世……
アル・ムーリフの体……
こんな姿になってまで戦うことを……
私は望まないっ!
アル・スハイルも望んでいないっ‼︎」
ステラはそう叫ぶ様に言い、前世の身体と戦い始めた、それは誇り高いアル・ムーリフらしい言葉であった。
その言葉を聞いたのか紫の誓いの星が輝き、ステラの身体能力を向上させた、誓いの星はその泉の様に溢れて来るステラの誇りを順次変換し続け、ステラの身体を星海人に匹敵する程の身体能力を与えていた。
そして朽ち果てた過去の身体を破壊する様に、剣を振ったがそのミイラも光を生み出し何かの模様が刻まれた見た事のあるサーベルを出し、ステラのサーベルを受け止めた。
ステラはその模様が、セプテント家の紋章である事にすぐに気付いて怒りを覚えた。
そして二本のサーベルに風を乗せ素早くきりかかり、追い詰めて行った。
(お父さん……
何考えてるのっ‼︎‼︎
あれはうちにあったサーベルッ‼︎
本当に何考えてるのよっ‼︎‼︎)
ステラがそう心で叫び斬りかかったが、そのミイラは尋常では無い速さで躱し、ステラの胸を貫こうとした、その動きは過去のアル・ムーリフの動きそのもので、無駄がなくステラの胸を捉えていたが、急にそのミイラを横からガイアが殴り飛ばした。
「ガイア……」
ステラが呟きガイアが戦っていたミイラを見ると、凄まじい炎で焼かれ倒れていた。
ガイアはダイヤが熱に弱いことを知っていた、その為に硬度では劣るが鋼鉄を使っていたのだ。
「ったく
うちのお姫様さまは
無茶苦茶だよな
俺のこと撃っても謝りもしねぇ
まっ今更だけどな」
ガイアが微笑みながら言ってくれた。
「えぇ
扱いには気をつけてほしいわね」
ステラが以前の様に言った、それはガイアとステラが出会った時の様なやりとりで、今まで守ってもらっていると言う意識を見せない自信を持った姿であった。
「あぁ……
その方がお前らしいな……
来るぞっ!」
ガイアが小さく笑いそう言った時、アル・ムーリフのミイラが再び襲いかかってきた、ガイアは繰り出されるサーベルを鋼の拳で受け止め、素早く紫月で斬りかかったが躱されてしまい、ステラがそれに合わせて二本のサーベルで斬りかかり、間髪入れずにガイアが大地を踏み締め岩の槍が背後からそのミイラを襲い、ステラがその岩の槍を躱したミイラの先を読み取り、そこにアル・スハイルから送られたサーベルを全身のバネを使い回転しながら一気に振り抜き、その斬撃は速くそして正確にそのミイラの首を切り落とした。
だがそのミイラは体だけでもステラに襲いかかって来たが、それをハダルから受け取ったサーベルで腹部を斬り裂き、鮮やかに蹴り飛ばした。
「って……
容赦ねぇな……」
ガイアが呟いた。
「えぇ……
それともガイアは
わたしがああなっても
戦って欲しいのかしら?」
ステラがうん?と言う顔で聞いたが、ガイアは言った。
「いや……
大人しく眠ってくれ」
「なによその言い方
もうちょっと優しく言えないの?」
ステラがスネるように言うがガイアはふつうに思った。
(どうやってだよ
どうやって優しく言えばいいんだよ
なんかあったら
いつもおれの方があぶねぇだろ……
そんでミイラとか言ったら
マジやべぇじゃねぇか……)
そんなやり取りをしているが、ガイアはステラの力に疑問を持っていたが素直に受け入れることが出来た、それはガイアも既にハダルの星の力をだいぶ使っていたので、ステラが星の力を使えてもおかしくは無いと思っていたのだ。
「二人とも無事みたいだね……
良かったよ……」
そこにアルタイルが傷つきながらもやって来た、あのアルタイルの赤いコートがボロボロで全身に傷を負ってるのが解った。
だがアルタイルはステラが覚醒し、アル・ムーリフの気配を放っている事に気付いた。
そしてステラの事を考え、そのままひざまづいて言った。
「アル・ムーリフ様……
サラスはこの星の人類を滅ぼす気です
精霊術を広め
精霊だけの星にしようとしています
それだけでは無く
アル・スハイルが……」
アルタイルがそう言うとステラが遮るように言った。
「解っておる…凶星と化した……
シリウスと戦っておるのであろう?
サラスを止める事は出来ぬのか?」
ステラがアル・ムーリフの口調で言った。
「ステラ…お前……」
流石にガイアが驚くように言った。
「ガイア…すまぬ……
少し黙っててくれぬか……」
ステラの表情が、僅かに僅かに曇ったのにガイアは気付いた、ステラがアル・ムーリフの生まれ変わりだと言う事をガイアは知らなかった。
「わたしが対峙しましたが
見ての通り完敗です……
サラスは恐らく星海人……
セプテントリオの星を持つ者です
そして一億年前に人々を騙し
アル・スハイルにこの星の人類を
滅ぼさせようとしたのは
あのサラスです……
わたしは奴の力を受け
そのダークマターに触れ……
この星の一億年前の出来事を……」
アルタイルが見たままを簡潔に伝えた。
「お父様が…そんな……」
ステラはアルタイルの言葉を疑わなかった、それはアル・ムーリフを受け入れその生まれ変わりである事を知り、その中でアルタイルはアル・ムーリフに偽りを言った事が無かったからだ。
「アル・ムーリフ様……
すぐにサラスを止めなければなりません
わたしと共に来てくれませんか?」
アルタイルが言いステラは静かに頷いた、だがそれは全てアルタイルの計算済みの言葉であった、80億年以上アルタイルはアル・ムーリフと付き合いがある、その中でアル・ムーリフの性格を見抜いて全てを話していた、このあとの展開も……。
「馬鹿じゃねぇの?」
ガイアが言った。
「え……」
ステラは自然とその言葉に驚いた。
「お前はアル・スハイルの方に行けよ
お前の姉ちゃんなんだろ
きっとお前を待ってる
そんな馬鹿親父ほっといて
あいつの方に行ってやれよ……
あのジジイは俺がぶん殴ってやっからよ」
ガイアは困り始めたステラに言い続ける。
「それにその一億年前の話も
お前からあいつに伝えてやれよ
お前の姉ちゃん
プライドたけぇからな
騙されてたって知ったら
スゲェ力出すかもな
ちょうどいいんじゃね」
ガイアは適当に言っているが、考えてもいたアルタイルがそこまでやられている、迷いがあるステラが戦うべきでは無いと考えていたのだ。
だがそれをステラは気付いていない。
「でもっ!
セプテント家のことはこのわたしが……」
ステラが言い返そうとした時、ガイアとアルタイルは気付いた、アル・ムーリフの生まれ変わりがセプテント家に生まれたのは、意図的に操作されたのでは?と、そして遮るようにガイアが話し出す。
「お前の前世だろあれは
お前の気配しかしなかったぜ……」
ガイアはステラが倒したアル・ムーリフのミイラを見て言っていた、それはそうなってまでも利用するサラスの事を遠回しに言っていた。
「どっちが大切なんだよ
セプテントって家と
お前を本当に大切に想っていた
アル・スハイル
どっちが大切なんだよ……」
ステラはそう言われ答えはすぐに出た、アル・ムーリフの本質だろうか静かに言った。
「もはや父とは思わぬ……
ガイア…好きにするが良い……」
ステラはそう言い静かに墓所を後にしようとした時、アルタイルがガイアに聞いた。
「ガイア…
一人で大丈夫か?」
「お前がそんだけ
やられてんだ
まぁ勇者と馬鹿は紙一重だからな……」
ガイアが考えながら言うが、アルタイルが何か言おうとした時、ガイアは笑顔を見せて言った。
「今は勇者になってやろうか」
ステラはその言葉がステラに向けて言ってくれてるのを感じていた。
サラスとの戦いはサラスを倒さなければならない、それをステラにさせる訳にはいかない、ガイアはステラの為に戦うと言っていたのだ。
アルタイルはそれを聞いて安心してステラに言った。
「アル・ムーリフ様参りましょう
姉君の元へ」
「アルタイル
間違えんなよ
ステラはステラだぜ」
ガイアがアルタイルがいつまでも演じているのを見て、微笑みながら言い床を力強く踏みつけ岩の床を砕いて、砂になり地面に吸い込まれるように消えていった。
アルタイルはステラを連れすぐにその墓所を後にし、大鷲になり夜空に飛び立った、
墓所での戦いですっかり夜になっていた、その為、星の外で戦っているアル・スハイルとアルナイルの輝きが良く見えていた。
「アルタイル……
ガイアは大丈夫かしら……」
ステラが聞いた。
「大丈夫だよ
わたしは一度
ハダルに負けたことがあるんだ
ハダル一派がアトリアロフに
迫った時があってさ
わたしはハダルが居た星に
話に行ったんだけど
私が来た事に気付いて
怯えるハダル一派に紛れてたら
ハダルがあの言葉を言ったんだ
今は勇者になってやろうか
ってそれを聞いたわたしは
挑戦的だなって思っちゃって
そのまま飛びかかって
ぼこぼこにされたんだ」
アルタイルが懐かしそうに話していた。
(やっぱり
ハダルって強いんだ)
ステラは嬉しくなっていた、アル・ムーリフとして生きた時もハダルの力を見極められていなかった、それはアル・ムーリフがハダルと争う事もなければ、地上で戦う姿も見たことが無いからであった。
「まぁここだけの話だけどね」
アルタイルが小さく笑ったように言った。
「なんでここだけなの?」
ステラが聞いた。
「私が負けたって言えば
ハダル一派が勢いついちゃって
星海で戦争になるから
誰にも言うなって
ハダルが言ったのさ
大星アルタイルに勝ったって
そんな噂が広まれば
ハダルが大星って呼ばれちゃう
それもめんどくさいからって
ハダルが笑顔で言ってさ
こいついいやつだなって
そう思ったっけ」
そうアルタイルは言い、その目には希望の光を宿して飛んでいた。
その話を聞いてステラはアルタイルの背に立ち、微笑みながらアル・スハイルの輝きを見て、そして迫ってくる漆黒の闇の星を睨み紫の星を出し自ら飛び始めた。
(ステラさんも
完全に覚醒してくれたね)
アルタイルはそう思い人型になり、ステラの後を追って飛んでいく。
「飛ばすよアルタイルっ!」
ステラがそう大きな声で言い、二人は赤いアル・スハイルの輝きを目指し力強く飛んでいく。
(来てくれるか
アル・ムーリフ……
余はこの時を
心から待っていたのだぞ
アル・ムーリフ……)
アル・スハイルはアル・ムーリフの存在を感じ、喜びに溢れ更に赤い誓いの星が輝き始め、より激しく真紅の光線をシリウスに向けて放ち始める。
(姉上……
我ら姉妹の前に……)
アル・ムーリフはそう心で呟き、紫の星からもシリウス目掛け、数多くの紫の光線を放ち始めていた。
(敵はおらぬ……)
アル・スハイルにステラの想いが届いたのか、アル・スハイルも心で呟いていた。
長すぎる間、二人は共闘していなかった、それはアル・スハイルの考えが変わってからの非常に長い間、二人は共に戦わなかっただがようやくそれが元の姿に戻ろうとしていた。




