表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねぇあなたはなんで旅に出たの?ねぇあなたはどおして旅に出たの?  作者: 〜神歌〜
〜最終章 変わらない二人〜
31/78

最終章 第2話 大星に相応しき星



「あんたさ……

人間じゃないよね?

それに精霊でもないよね……?


じゃあ……

星海人かな?」


 アルタイルが微笑みながらサラスに言った。



「何を言いなさる

この私が星神など

まことに恐れ多いことですな」


サラスは微笑みながら言う。



「おかしいよね?

セプテント家の精霊達は

さっきまであの戦いを見て

騒いでいたよね


でも精霊達は飛び立とうとしない


勝ち目がないから?

それとも……

アル・スハイルが敵だったから?


どっちでも構わないけど

シリウスの気を引かないのは

賢い選択だと思う……


でも…

あんたは一度も慌てなかった


それがただの人間の態度には

見えなかったんだよ

私の目にはね……」


 アルタイルは、まさに鷲が獲物を探し出した様な目でサラスを見ていた。



「はて…

そう見えましたかな……


ユーファよおるかな?」


 サラスがユーファを呼んだ、だがいつもならすぐに来るはずのユーファが来なかった。



「ユーファさんなら

もうステラさんの所に

向かってもらったよ……


この星の為に何が出来るのか

悩んでたからね


みんな連れて行ったよ」


アルタイルが言った。



「精霊術ですかな……

あれはそう簡単に

使わない方がいいはずでは?」


サラスが言った。



「やっぱりそれも知ってたんだね……

それであんたは

精霊術を世界に広めた


この星の人間達が

自分達から滅びるようにする為に……

違うかな?」


 アルタイルは神殿書庫で様々なことを調べていた、だがその中にサラスの様な人物も見つけていた、それは精霊の文字で書かれた書物の棚にあった本で、星海人の文字の書物があった棚に飽きたアルタイルがたまたま手に取り、調べ始めていたのだ。


 だが息抜きで始めたものだが、とんでもない物が書かれていた。



「ステラから聞いたけど

あの書庫をステラに教える気は

無かったんだよね?


でもステラが調べると言ったけど

星海人の書物だけを調べてた私達を見て

あんたは安心したんじゃない?


でもいつ気づかれるか解らないから

計画を早めた


この星を全て

精霊達の物にする計画を……」


 アルタイルがそこまて言った時、サラスは静かに振り返ったが、普段と同じように穏やかな顔をしていた。



「そうですな……

じゃが…

それがこの星の本来の姿なのじゃ


アルタイル殿も

美しい故郷に戻って欲しいと

思わぬか?」


サラスが言った。


「故郷……

星海人に故郷なんて無いと思うけど

どこにあるのかな?」


 アルタイルはサラスが戯言を言ってると思い、これから死に行く者の遊びに付き合うつもりで聞いた。



「ここじゃよ……

このセプテントリオじゃ」



サラスが微笑んで言った。



「なっ!

この星が幻の大星セプテントリオッ!

そんなはずは……」


 アルタイルはその言葉を疑った、いや疑うしか無かった、アルタイルが生まれ120億年見た事が無かった星で、星海人はそのセプテントリオで生まれた精霊達が星海に旅立ち、そして星海人に進化したと言われている。



「実に良い気分じゃ……

我がセプテントリオから

離れてしまった

我らの子達……


その力のある者達が

集まってくれている……


実に良い気分じゃ……」


 サラスがそう言いアルタイルの直感が告げた。



 サラスの言葉に耳を傾けてはいけない、すぐにでも殺さなければならないと、ステラの父であっても生かしておいてはならないと。


 だが鷲と言う獣の直感だろうか、サラスに立ち向かってはならない、そうとも感じたがアルタイルは唾を飲み込み、恐怖を感じそうになる前に瞳を見開いて立ち向かった。



「ウァァァァァァァァッ‼︎」



 アルタイルは凄まじい勢いで飛びかかり、サラスをそのエストックで貫いた。



「愚かな子よ……

この星の王セプテントリオに

勝てるとでも?」


 サラスはそう言いアルタイルの首を掴んだ。


 凄まじい力がアルタイルを襲うが、アルタイルは金色の翼をだし大量の金色の羽を飛ばし反撃をした時サラスは姿を消した。


 アルタイルの金色の羽が屋敷の一部を破壊し、そして爽やかな風が吹き込むがアルタイルは咳き込み膝をついた、だがすぐに背後からサラスの力を感じその場を離れようとしたが、サラスはアルタイルを再び襲った。


 サラスは長い杖を出してそれを振り襲って来たが、アルタイルは素早くそれをエストックで受け止めた。



(なんて力なのっ!)



 アルタイルはサラス・セプテントの力をその身で感じていた、そしてアルタイルはその杖に薙ぎ払われ屋敷の庭に飛ばされ、サラス・セプテントはゆっくりと屋敷の外に出てきた。

 アルタイルは金色の翼をだし持ち前の素早さを活かして距離を詰め反撃に出た。


 サラスの体にそのエストックが届き、傷を与えはするが、ダメージを与えてる感覚が無い、まるで何か別の次元の存在と戦っているような心地をアルタイルは覚えた。



(こいつは危険すぎるっ!

シリウスすら小さく感じる……)


 アルタイルは必死に食いついていく、素早く大鷲の足に変えその鉤爪がサラスに食い込むが動じないようにサラスはアルタイルの体にその杖で突きを繰り出し、アルタイルは直撃を受けるが、死に物狂いで距離を維持している。



(こんな奴に距離を取られたら……

本当に勝負にならなくなるっ‼︎)



 アルタイルの磨き抜かれた近接戦闘能力を持ってしても、基本が違うのだろうかサラス・セプテントに食いつくのがやっとだった。


 そしてアルタイルがエストックを使い連続で突きを繰り出した時、サラス・セプテントは素早く躱し隙を見出しその杖で凄まじい突きをアルタイルのみぞおちに入れた。


「くはっ……」


 アルタイルは一瞬呼吸が止まった時、サラスはアルタイルをその杖で薙ぎ払った。


 アルタイルは吹き飛ばされ気を失いかけた時、サラスの放った力が全身を駆け抜けアルタイルは意識の中だけでサラスの多くの過去を見た。

 そしてその見た物の重大さを知り、自らの星を輝かせその飛ばされた勢いに乗り大鷲に姿を変え飛び去った。



「セプテントリオ……

あいつは星の王なんかじゃないっ‼︎‼︎」


 アルタイルは完敗した、それは初めてでは無かったが凄まじい力の差を感じていた。


「ほほう……

その名を星海に響かせた者


大星アルタイル

良い腕をしておるな……」


 サラスはそう微笑みながら言い、アル・スハイルとシリウスの戦いを見ていた。


「シリウスか…

あの者は使えぬが……


どちらが勝つのか

楽しみじゃな……」


 サラスはそう呟いた。



(この星の

バランスを崩したのは


サラス…あいつだった……

何代かおきにセプテント家の

当主に生まれ変わり続けて

精霊術を広めてきた


この星の人類が

サラスに騙されていたんだっ!)



 アルタイルは見たものを全て理解していた、そして全力でガイア達の元に向かっていた。

 アルタイルが飛ぶ姿はまるで金色の流星のようであった。



 その頃ガイア達は馬を止め、ユーファ達の話を聞いていた、ユーファ達に連れて来てもらったエリスはすぐに、ひしっとガイアの足にくっついた。

 


「ステラ様

申し訳ありません……


お話は全て……

アルタイル様にお聞きしました

今日より我ら

ステラ様にお仕え致します


どうか今までのこと

お許し下さい」



 ユーファとセプテント家のメイド達50名程が、精霊陣を使いガイア達の前に一瞬で現れたのだ、ユーファはアルタイルがサラスの買ってきた兵器を見た翌日から、アルタイルに色々と言われたり聞かれたりしていたのだ。


 ユーファからすれば、それは娘に自分の趣味を押し付けようとする、怪しい親にしか見えないサラスからは想像出来ないことであり、長年サラスに仕え、領民に対して優しい統治をして来たサラスが、そんな事をする筈が無いとセプテント家のメイド達は信じて疑わず、アルタイルの言葉を間に受けなかったのだ。


 だが今日になって気づいた、サラスはアル・スハイルの戦いに興味はあるが、この星の人々に興味が無い事に、それはアルナイルがアルタイルに頼みに来ていた時の話を、ユーファは全て聞いていたのだ。


 そしてアルタイルはアルナイルが去った後、すぐにユーファに話そうとしたが、ユーファはアルタイルの前に現れ、アルタイルを見つめていたのだ。


「ちょっと

ユーファさんっ!

精霊術を使ったら

どうなるか解ってるの⁈」


エルナトが大きな声で言った。


 ユーファ達50名もの精霊達が精霊術を使えば、膨大な命の力が溢れてしまう、その反動をエルナトが心配した。


「ユーファさん?

それを知らなかったのですか?」


ステラが聞いた。


「はい…

申し訳ありません……


代々セプテント家は

精霊達と共に

精霊術を研究して来ました


ですがそんな反動があるなんて……


それで私達をアルタイル様が

星の力を使って

精霊術を行って下さったのです」


 ユーファは申し訳無さそうにステラに説明してくれた、その様子は演じてるのではなく、本当に知らなかったのが読み取れる程暗い表情をしていた。



「星の力で……


ユーファっ!

ここに精霊陣を描けますか?」


ステラが何かに気付いて言った。



「ステラッ

精霊術を使うのかっ⁈」


 ガイアが止めるように言った、アル・スハイルが言った精霊術が動物達へ与える影響を気にしていた。



「星の力なら

私も少しだけど使えるのよ」


 ステラがそう言い紫の誓いの星を出して見せた、ユーファも着いてきた精霊達もその姿に驚いていた。


 それは紛れもなくオルビスに伝わる、救いの星と言われた紫に輝く星であった。


「ステラ様…その星は……」


 エントリアが聞いた。


「アル・スハイルが

使い方を教えてくれて

練習はアルナイルさんが

見てくれたの……」


 ステラは遠い空の向こうで、アル・スハイルとアルナイルが戦っている輝きを見ながら言った。


「精霊術は本来

星の力を使うはずだと

アルタイル様が言われました


それはだいぶ前から

言われてたのですが……


ですが私達が研究し続けて来たものを

否定されてしまう様にしか

思えなかったのです


ですが…先程……」


 ユーファが何かを説明しようとしていた、それはアルタイルが精霊術の欠陥を見つけてから、その欠陥を無くす方法も調べていたのだ、それは意外な答えであった、それを聞いたユーファは驚くしか無かった。


 それは星の力を使って執り行うことであった、その間もエリスは難しい話だと思って、ガイアにひしっとくっついて静かにしている。



「そんなことは後にしてっ!


アルタイルが貴方達を

私に送ったなら訳があるはず

それは後で解るからっ


いまは主人の声に従いなさいっ‼︎」


 ステラがステラ・セプテントとして力強くユーファの話を遮って言った、ステラはアルタイルを何故か強く信じていた、アルタイルとの付き合いは短いがアルタイルを信じるべきだと、そう感じていた。


 その様子をステラから感じたエルナトは、ステラがアル・ムーリフの生まれ変わりであるからだと思い、自らの星も出して言う。


「ステラさん

私も手伝わせて下さい

まだ私の方が星の力を

使いこなせると思いますので」



「はい……

エルナトさんお願いします」


ステラが小さく頷きながら言う。



「かしこまりました」



 ユーファがその様子を見て丁寧に言い、手で合図を送ると素早く精霊達が円形に綺麗に並び、そして手を繋ぎ力を互いに送り合う、すると一人一人が様々な光の線で結ばれていき、しだいに模様が現れセプテント家の地下にあった物と同じ魔法陣が描かれていく。



 そしてその精霊陣が完成すると、精霊達はステラの方を向き丁寧なお辞儀をした。


「私達が移動した後

皆さんはこの精霊陣を消しさり


レチクル国に潜む

サラスの命令に従う精霊を

探して捕まえてください


相手は強い精霊だと思いますので

三人以上で行動して下さい


ユーファさん…お願いしますね……」


 ステラはそう話しながら精霊陣の中央に向かっていく、ユーファはそのステラの声から命令と言うより、師に頼っているように聞こえていた。


「かしこまりました……」


 ユーファは優しく微笑んでそう言い、丁寧にメイドとして礼をした。


「ガイア…

エルナトいくよ……


エリスちゃんは

ユーファさんと一緒に待ってててね」


「はーい……

ガイアお兄ちゃん気をつけてね」


 ステラがそう言い、エリスは心配そうにガイアに言った。





ガイアとエルナトは魔法陣に入って行く。


 ユーファはそれを見送るように見ていた。



(まさかサラス様が

本当に戦争を考えていたなんて……

それじゃ私達は何の為に……


いえ……

このお方をお育てするために

仕えていたのかも知れませんね……)


 ユーファがステラの姿を見てそう考えていると、精霊陣の中央からステラがユーファに言った。



「ユーファさん……

貴方達精霊は…私達と……

私達人間と……


ずっと一緒に居てくれますか?」


 ステラが不思議な事を聞いた、それはアル・スハイルがアル・ムーリフに言った問いかけでもあった。


 ステラはあの時の話など覚えていないが、それが気になったのだ、ステラは精霊陣の真ん中に立つのは初めてだった、そこに立った時に大地からこの星の全てが繋がっているのを僅かに感じていた、美しいこの星の営みを僅かにだが感じていた。


 でもその中には人の血が流されている、そんな寂しさと悲しみも僅かにだが、本当に僅かだが感じていたのだ。


 この美しい星に欲深い者も共に生きている、それを感じてユーファに聞いたのだ。



「解りません……

私達から見れば人は愚かに見えます


サラス様でさえ

野心を抱かれてました


ステラ様は

いま私達がいつも感じている

星の息吹を

感じて下さってるのですね」


ユーファが精霊として静かに言った。


 ステラはそれを聞いて心配している様な顔つきで静かに頷いた、それを見てユーファは優しい笑顔で言った。



「人もこの星で生まれ

私達と共に生きて来ました

居なくなってしまったら……


私達も寂しいと思いますよ」


 ユーファは精霊として言ってくれた、ユーファは風と剣の精霊であり、人と言う存在が居なければ生まれることが出来なかった精霊であった、その気持ちを込めて優しく言ってくれた。



 ステラはそれを聞いて優しく精一杯の笑顔で言った。


「ありがとう」


 ユーファはそれを聞いて微笑んで言う。


「さっステラ様

お時間がありませんよ」


 その言葉は屋敷でユーファがステラの世話をしている時に、ユーファがよくステラに言っていた言葉であった。



 それを聞いたステラは僅かだが明るい気持ちになることが出来、微笑んで瞳を瞑り意識を集中し始め、エルナトもそれに合わせて星の力を精霊陣に送り始めた。




「ガイア様

ステラ様を頼みますね」


 ユーファが優しい笑顔で言った。


「あぁ

任せときなっ!」


 ガイアは小さな笑顔を見せて言った。



 そして精霊陣から幾つもの青白い小さな光の玉が生まれ優しく浮き上がり、精霊陣の全ての線が光り輝きステラ達はその光の中に消えて行った。


 それを見送りユーファは精霊達に言った。


「敵は私達の友人かもしれません


ですがステラ様のお言葉

決して違えてはなりませんっ!

すぐに探し出し捕らえ

この場に連れて来なさいっ‼︎」


 ユーファがそう強く言うとセプテント家の精霊達は、三人一組になって飛び立って行った。


 そしてユーファは想いを込めて深く息を吐き出し、その息を風に乗せセプテント家のこの場に居なくてサラスと距離のある精霊と、セプテント家に関係ない精霊達に協力を求めた。




(この力……

ガイア達は遺跡に向かったね……


サラスが

何もしないなんて思えない

あいつは何を考えてるんだ……


嫌な予感しかしないっ!


でもあの力を止められるのは

ハダルの星しかないっ‼︎)


 アルタイルはそう考えていた、セプテントリオの星を持つサラス、あれだけの力を持っていながら星海に出ようとしない、その彼の行動でサラスは星海に出ないのか、出れないのかとも考えながらガイア達を目指して飛んでいた、そしてアルタイルの中でその答えは出ていた。


(アル・スハイル…

死ぬんじゃないよ……


私が助けて

ベガがあんたを信じたんだ

死んだら許さないからねっ‼︎‼︎)


 アルタイルは戦い続けるアル・スハイルの輝きを見て心の中で叫び、必死にガイア達の元に向かっていた。


 

「これが…

遺跡なのか……」


ガイアが呟いた。




 ガイア達はセプテント家の地下にある、精霊陣の描かれた部屋とかなり似ている部屋に着いた、そこが地下だと言うことも部屋の涼しさからすぐに解った。


 入り口と思われる階段の正面に、セプテント家にあったあの扉とはデザインが違うが似た様な扉がある、セプテント家の物とは違い古びていて長年誰も触れていないようであった。



「なんで……

うちの地下と似てるの……」


 ステラが呟く、ただ違うのは天井が吹き抜けになっていて自然の光を、宝石の様に輝く石が地下まで運び照らしていると言う事だ、吹き抜けになっているのに、どう言う訳か解らないが上から何かが振って来た形跡は全く無かった。


 ステラはその扉に歩み寄り、その扉を見ると、三つの大きな星が描かれ名前だろうか、その下に古い文字が書かれていた、そしてその下に長い文が書かれている。


「名前かな……」


 ステラが少し考えながら言う。



「左の星がスピカですね


真ん中がセプテントリオ


右の星がメビウスですね……


三大大星がなんで

ここに書かれてるのかしら……」


エルナトが考えながら言った。



「お前読めんのか?」


ガイアが聞いた。



「はい

アル・スハイル様に稽古して頂いてると

勉強のお時間もあるんです


ですから古い星海人の文字なら

少しですけど読めますよ」


 エルナトが答える様に言った、アル・スハイルはアルタイルが自分にしてくれた様に、エルナトの育成にもそう言った時間を取り入れていたのだ。


「へぇ……

あいつ頭もいいのか……」


ガイアが言うとエルナトがすぐに言い返す様に言った。


「あなたと一緒に

しないで下さりませんか?


アル・スハイル様は

星海の名門アル家の当主様ですよ


あなたとは何もかもが違うんです」


 エルナトが珍しく性格悪そうな言い方をした。


「はいはい解ったよ

うんでなんて書いてあんだ?

時間がねぇんだろ?」


 ガイアが言った、ステラはそのガイアの言葉に少しほっとしていた、旅に出る前のガイアならそんな言い方をされたら黙っていないはずだが、今はやるべき事を見ようとしてくれている。


 ステラはガイアがこの旅で少しずつ成長しているのをまた感じていた。



「星海より帰し

命の精霊ミアプラ……」


 それを読んだエルナトが不思議に思った様に顔をしかめた。


「どうしたの?」


ステラが聞いた。



「ミアプラって星で

精霊じゃ無いんですけど……


命の精霊って書かれてるんです

同じ名前の精霊がいるのかな……


ダイアモンドクロスって言う

星群を束ねる力のある星なんですけど……

ミアプラの星を持つ星海人は

未だに現れた事はないんです……」


 エルナトが考える様に言った、それはアル・スハイルのアル家の書庫にある星海地図に載っている星で、アルタイルも知らない事であった。


 アルタイルとアル・スハイルの教育の違いが小さなことで、名門と普通に育った差を感じさせるものがあったが、その差をステラもガイアも感じる事は無かった。



「うんで

そのミアプラがどうしたんだ?」


 ガイアが聞いた。


「その精霊のお墓みたいです」


エルナトが言った。



「精霊のお墓?

精霊って死んじゃったら

体は残らないし


埋葬されるなんて聞いたことないわ」


 ステラが言った、それはガイアもペレが死んだ時、何も残らなかったのを目の当たりにしていてステラの言ったことが自然なんだと理解したが、寂しさは感じなかった火の精霊ペレが消えた後、その力が大地に帰って行くのを感じたからだ。


「じゃぁ……

やっぱりミアプラは

星海人なのかな……」


 エルナトが呟いた。



「まぁとりあえず

中を調べようぜ


アル・スハイルが知りたがってんだろ?」


 ガイアが言い、その扉に手をかけた時自然とその扉が開かれた。




一方サラスは空を見上げていた。


(我が墓所が…

ようやく開かれたか……


アル・ムーリフ……

そなたの魂が舞い降りた時

我が復活を感じた


ようやくその時が来たか……)


 サラスがそう心で呟いていた、その上空ではアル・スハイルとアルナイルがシリウスの攻撃を防ぎ、二人の力を合わせて戦っている。

 サラスはその様子を見て微笑み、空に舞い上がり移動し始めた。





「サルガス

お前では私に敵わないと

なぜ気づかない?」


 地上に落ちたカノープスがサルガスを痛めつけ、剣を肩に乗せながら言った。



「勝てる勝てないではない……」



 サルガスはぼろぼろになりながらも、必死に立ち上がろうとしている。



「あのお方の為に……」



 サルガスがそう言い立ち上がったが、既にその真紅の鎧もぼろぼろになり至る所から血を流していた、大星カノープスとサルガスの力の差は歴然であった。



「解らんのか

それとも気付かんのか?


アル・スハイルは

アル・ムーリフが居てこそ光輝く


その力は強大であり

仕えるに値するが……


あいつ一人ならば

シリウスには遠く及ばない


まぁ……

大星になれない貴様に

それを話しても解らんだろうな」



 カノープスが言いながらサルガスに歩み寄るがサルガスは言う。



「貴様は

アル・スハイル様の……

何を知ってると言うのだ……」


「アトリアロフの者は

アル家に尽くすのか……

哀れな……」


 カノープスが小さく笑って言ったが遮る様に、誰かが言う。



「アトリアロフの者と言ったな

カノープス……


アル・スハイル様がなぜ

あぁなられたか

知らぬ貴様が言える言葉なのか?」


「レグルスか

貴様もアトリアロフの者だったな……」


 カノープスが声のした方を見て言った。


「サルガス

お前にしては上出来だ

アル・スハイル様をお守りしたとはな」


 レグルスがそう言い剣を抜いた。



「やれやれ……

力の差に気付かぬ者が

二人もあの小娘の手星に居たとはな


アル・ムーリフの方が

見る目はあったのだな……」


 カノープスはアル・ムーリフの手星が二人しか居ないのを知っていた、アル・ムーリフの手星は大星アルタイルと陰で動いていた、大星と呼ばれるか呼ばれないか、その微妙な位置にいる鳳凰の星を持つザウラクと言う二人しか居ない、二人とも明らかにサルガスとレグルスからかけ離れた存在であった。


「サルガス

お前に見せてやりたいものがある


だから手を貸してやるよ

貸しは高くつくがな」


 レグルスが剣をカノープスに向けて言った。


「そうか……

返せればいいがなっ‼︎」


 サルガスはそう大きな声で言い、鞭を振りカノープスに反撃を始め、レグルスは素早くカノープスに剣で襲いかかった。


 サルガスとレグルスは幼い頃から、アトリアロフの街でよく喧嘩などし、小さい頃には通りかかったアル・スハイルとアル・ムーリフに、その喧嘩をよく止められたりした仲であった、二人はその頃から大星と呼ばれたアル・スハイルとアル・ムーリフを慕っていたのだ。



「くだらん……」



 カノープスはそう呟き二人と戦い始めた。





「この力……

カノープスか…

いつの間にあやつまで来たのじゃっ‼︎



 カノープスの力にアル・スハイルが気付いた、カノープスも大星と呼ばれていたがその力は未知数であった、何故大星と呼ばれたのかもアル・スハイルも知らなかった。


(あと少し…

あと少しシリウスが

余に近づけばと言う時にっ!


あやつに気を回さねばならぬとはっ‼︎)


 アル・スハイルはカノープスにも警戒をしていた、それはカノープスがアル・スハイルに忠誠を誓っていないのを薄々気付いていたのだ。



「大丈夫ですっ!

いまレグルスとサルガスが

カノープスと戦ってくれています


今はシリウスに集中して下さいっ!」


 アルナイルは光を通して素早く状況を把握し、アル・スハイルをサポートしている。


 アル・スハイルはアルナイルの力の大きさに助けられていた、そしてシリウスに狙いを定めてかなり大きな赤い光線をシリウスに目掛け放ちながら言った。



「なぜそちは

大星と呼ばれないのだ


その力……

大星に相応しいではないか」



「それは……

お兄ちゃんのせいかな?」



 アルナイルは微笑みながら言い、アル・スハイルはその微笑みで気付いた。


 ハダルも大星としての力を十分に持っていたが、ハダルは近接を好み過ぎ、アル・スハイルに何度も敗れていた、無論アルナイルもハダルをサポートしていたので、言わば負け組である。


 その結果、ハダルと共にアルナイルも大星と呼ばれる事は無かったのだ……。


 だがそれでもアルナイルの守りは完全に、シリウスの攻撃を防いでいる、強力な狼の姿をした光線グランドファングも、見事にアルナイルの光の障壁は防ぎきり、完全防御と言える力を見せつけていた。



「勝ち負けが全てである世界

今の星海で変えるべきことじゃな……


そちとハダルは

間違い無く大星に相応しい」


 アル・スハイルがそう言い、先程放った真紅の光線に向け拳を突き出し素早く手の平を広げた、その瞬間、その大きな赤い光線は無数に散り全方位からシリウスを襲った。


 シリウスは自らの星を輝かせ、凄まじい勢いで青白い炎を全身から放ちそれを防ごうとしたが、その時、アル・スハイルは冷たい笑みを浮かべた、そしてその背後にあった赤い誓いの星が消えた。



「シリウスよ……

余が勝ち目の無い戦いを

すると思ったのなら


そちの最後じゃ……」


アル・スハイルが静かに冷たく言った。



 その時、シリウスの正面にアル・スハイルの赤い誓いの星が現れ赤く赤く輝き出し、シリウスが生み出した青白い炎を照らした。



「これはっ!」


 シリウスは気付いた、自らの生み出した青白い炎が赤い炎と変わり、凄まじい勢いでシリウスを焼き尽くそうと襲った。



「我が道を阻む者……

その身を守る炎よ

その身を焼き尽くす炎へと

変わるが良い……


我が道の為にっ‼︎」


 アル・スハイルが叫び赤い誓いの星を、更に力強く輝かせシリウスの炎を変換したのだ、そしてシリウス自身の力でシリウスを焼き尽くそうと勝負に出ていた。


 だがアルナイルはその攻撃で、アル・スハイルは全くの無防備になっていることに気付いた。


 それはアル・ムーリフが得意とした、星だけを転移させ、対象を変換させる長距離変換であり、まさかアル・スハイルがそれを使うなどシリウスは思ってもいなかった。



「おのれぇぇぇぇっ

アル・スハイルっ‼︎‼︎


ぶっ殺してやるっ!

貴様を星に叩き落とし

塵も残さず焼き尽くし


その魂も星に飲まれてしまえっ‼︎」


 シリウスが怒りと憎しみを込めて叫び、シリウスの星の力を全て解放し、既に放っていたグランドファングを加速させ、アル・スハイルを襲わせようとしたが、アルナイルが美しい光の球体でアル・スハイルを包み込み、全てのグランドファングから光を奪い無力化させてしまい、それをアル・スハイルの操るサーベルが斬り裂き消し去っていく。


 アルナイルのサポートは完璧にアル・スハイルに合わせていた。


「ふっ…

これで終いじゃ……」


 アル・スハイルがアルナイルに関心して小さく微笑みそう言った瞬間、タイミングを計った様に先に散らしたアル・スハイルの赤い光線が、シリウスを貫いた。



 その光線は100程あり次々にシリウスを貫いていく。



「ぐぁぁぁぁっ‼︎‼︎」



 シリウスが悲鳴をあげ、シリウスの背後にある星の輝きが輝きを失っていく、ベガ亡き後に残った古の大星の一つシリウスが力尽きようとしていた。


 アル・スハイルは全て計算して戦っていたのだ、シリウスが5日の距離にまで来た時に、シリウスがアル・スハイルが使えることを知らない長距離変換を放ち、シリウスのグランドファングを躱しそこで勝敗を決する。


 そのシナリオの中でシリウスがグランドファングの射程を、アル・スハイルの長距離変換より伸ばしていたのが計算外であったが、アルナイルが助けに来てくれたことで、アル・スハイルの勝利がほぼ確定していたのだ。




 シリウスの悲鳴が収まり、アルナイルもシリウスが倒れたと思っていた、だがシリウスは弱々しくも恨みを込め呟いていた。



「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……」


 その呟きは次第に呟きでなくてはっきり言い始め、次第にシリウスの美しい青白い星が赤黒く輝き始めていた。



「あれは……」



 アル・スハイルがそれに気づき、小さな声で言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ