第二章 第9話 不穏
そのアグレス山脈は険しい山も数多くあるが、街道が整備され、馬車のまま進むことが出来るとパラドックスの人に教えてもらっていた、ガイアは教えてもらった通りに進み馬車をゆっくりと走らせる。
途中途中で手頃な場所を見つけてはキャンプをし、アグレス山脈の中にある小さな村を目指して超えて行くが、時々魔物に襲われてもガイアは平然と殴り飛ばしていく。
そんな日々のある日、ガイアは襲って来た巨大なクマを殴り飛ばし戦意を失ったそのクマが逃げ出し、ガイアはそれを見逃して呟いた。
「ったく……
あんなのばっかり増えたら
この先にある小さな村なんて
いつ無くなっちまうか解らねぇな……」
ガイアはリヒテン卿が心配していたことを思い出して言っていた。
「そうね……
精霊達が
守ってくれるはずだけど
その村に精霊が
住み着いてくれてないと
いつもって訳じゃないし……」
ステラが他人事では無い様に言う。
「そうだな……
とりあえず行ってみないとな」
ガイアがそう言うとクンガ村と書かれた看板があり、ガイアはその看板の矢印に向かって森の中の山道を曲がった。
その道はガイア達の馬車がやっと通れる幅で、進んでいくと崖が左側に迫って来て少し行くとその崖に洞窟が見えて来た。
看板がまたあり、洞窟の中に向かって矢印があり、洞窟の奥に灯りが見えている。
「あれか?」
ガイアがそう言い、洞窟の中に馬車を入れる。
その洞窟は入り口も広くかなり大きいことが解り、少し行くと馬車が何台も止めてありそこに人がいた。
「いらっしゃい
クンガ村にようこそ」
その男が明るく言ってくれた。
「変わった村だな
洞窟の中にあるなんて
ここくらいじゃないのか?」
ガイアが聞いた。
「そうかも知れませんな
この洞窟はその昔
星神様を祀っていた洞窟だと
言い伝えがありましてな
この洞窟には獣が寄り付かず
しだいに人が集まり
村になっていったんですよ
今でも守り神として
祀っていますよ」
村人の男性は馬車を誘導しながらそう話してくれた。
「へぇその星神ってのが
この村を守ってくれてるのかもな」
ガイアがそう言うとアルナイルが小声で言った。
「そうですね
優しい力を感じますけど……
この力って……」
「良かったら祀られている神殿を
見ていかれては?
小さな神殿が
村の一番奥にありますよ」
その村人が教えてくれガイア達は村に入って行った。
ガイア達は村に一つしかない宿を取り、いつもの様に必要な物を買い足し、馬車に運ぶがステラとアルナイルはその時間をいつもなら楽しんでいる、馬車の中でどう過ごすか、キャンプで何を作るか色々見ながら決めているが、クンガ村は小さな村で楽しめるほどお店は無かった。
「買い物はこんなもんでいいだろ
さて神殿に行ってみるか」
ガイアはそう言い馬車に荷物を乗せ終え、洞窟の奥に向かって行く。
洞窟を良く見ながら奥に進んで行くとガイアは少し気になっていた、その洞窟は何処を見ても崩れた跡が無いのだ、地震が起きても崩落する事なくとても長い間維持しているように見えた。
「不思議な洞窟だな……
ひとっつも崩れた跡がねぇな……」
ガイアが呟く、アルナイルはそれを気にしてないようであった、アルナイルは何がこの洞窟を守っているのか気付いていたが、ほんとに?と少し疑いながら歩いていた。
「もし間違って無かったらなんですけど
この奥で祀られているのは
赤い誓いの星です……
アル・スハイルを祀っているようですね
その力を感じますけど……」
アルナイルがそう呟くように言った。
「はぁ?
あいつを祀ってるのか?」
ガイアが驚いて言った、それはステラの中のアル・ムーリフも感じていが、とても懐かしそうにその力を感じていたのだ。
「はいわたしも驚きました
あのアル・スハイルとは
思えないんです」
アルナイルが困ったような悩んだような顔をして言う。
「どうしてなの?」
ステラが聞いた。
「優しい力なんです
大切なものを守ろうとする
まるでお母さんが子供を
守ろうとするような
そんな優しい力なんです」
アルナイルが言う。
ガイアはそれを聞いて、アル・スハイルの子育てを何故か想像するが、想像出来ないものがあった、それはガイアの想像力を超える光景であった。
「わりぃ想像できねぇ……」
ガイアがそう呟いてアルナイルが言う。
「そうですよねっ!
想像できませんよねっ‼︎」
(姉上……)
ステラの中でアル・ムーリフは、ガイア達が何をイメージしたのか検討がつき凹んでいた。
「そっそんなことないんじゃ無いかな?
あれでも女の子みたいだし
優しい時もあるかもよ?」
一応アル・ムーリフの生まれ変わりだからだろうか?、ステラはイメージがつかないが無意識にフォローするように言った。
「ステラ様は想像できるんですね
さすが木の上を走るだけの事は
ありますね……」
ガイアがいじるように執事風に言った、全く関係のないことを言われステラは困りながら汗をかく。
そんなことを話しながら歩いていると、小さな石造りの神殿が見えて来る、その神殿に入って三人は固まった。
そこには美しく抱擁感までも溢れ、そして優しい顔をし、赤い誓いの星を表現しているのだろうか、真紅の球を持つ女神のようなアル・スハイルの石像が祀られていた。
それを見たガイア達は揃って一言言った。
「だれ?」
その石像は流石のアル・ムーリフの想像すら超えていたようで、ステラも心から言っていた。
あまりにもアル・スハイルとはかけ離れ過ぎているその石像を前に、三人はただ固まっていた、恐らくこれを見て色んな意味で涙するのは、何かあれば厳しい目に会うアル・スハイルの手星達しか居ないのでは?とアル・ムーリフですら思っていた。
「人の想像力ってスゲェんだな……」
ガイアが呆れて呟く。
「これが作られたのは
凄い昔ですからね……
昔はこんな人だったのかも知れませんよ」
アルナイルが困りながら言う。
(姉上がこうであれば
妾は悩まなかった……)
ステラの中でアル・ムーリフすらそう思っていた、昔も今も変わらないようだ。
「さて……
うんでアルナイル?
どうしてここの
アル・スハイルの力が優しいんだ?」
ガイアが聞いた。
アル・ムーリフはその理由は考えなくても解っていた、アル・スハイルはアトリアロフの街を本当に大切にしていた、生まれ育った故郷であり大切な思い出も溢れるほどにある、そのアトリアロフをアル・スハイルとアル・ムーリフは、アトリアロフの街の名門であったアル家を受け継ぎ大切にして来た、そもそもアル・スハイルが星の生き物を滅ぼすまで容赦しなくなったのも、アトリアロフを度々襲ったメビウスの者達がきっかけであった。
「それは解りませんが……
なんでしょう……
破壊の意思をあの赤い石から
感じないのです……」
アルナイルがそう言うと、ステラがその石像の足元を見ていた。
「何かあるわね……」
ステラはそう言い似ても似つかないアル・スハイルの石像の足元に近づき、ジーっと見ていると何かの窪みがあり、何かが嵌め込まれていたようではあるが、今は何も無かった。
「なんだろこれ……」
ステラがそう言いその窪みを見ていると、ガイアが何かを考えながら言った。
「その形
見たことあるな
同じ大きさくらいの……
なんだっけな……」
ガイアがそう言うが、まったく覚えてないようで考えている。
(これは妾のネックレスじゃの……
ハダルなら解ってても
おかしくは無いのぉ……
じゃが何故ここに
その様なものがあるのじゃ)
アル・ムーリフはそう思いながら、もう一度あの赤い石から放たれる力を意識し始めると、ステラはその石を見る。
(あの石の力は懐かしいのぉ
姉上が初めて使った慈しみの力……
あの時は力の使い方も
街を復興させる為に
それを望んで練習したからのぉ……)
アル・ムーリフはそう思いながら、ふとアル・スハイルにもう一度その力を使わせてはと思った、それはその力を使った時のアル・スハイルはその力の影響か解らないが、とても温厚な性格になっていたのだ。
(まさか今の姉上の性格は
破壊と戦いの力を長く使い過ぎた
その影響なのかも知れぬな……)
そうアル・ムーリフは考え、いつ頃からアル・スハイルの考えが変わったのかを考え始めていた。
「やっぱり
わかんねぇや
どこだっけな……」
ガイアはそう悩んでいた。
(あのネックレスは
妾とそちがこの星に来た時に
妾が身につけていたものじゃ
覚えてくれてるのかの……
まぁ今となっては
焼け落ちてしまい
どこにあるのか解らぬのぉ……)
アル・ムーリフは嬉しそうにステラの中で微笑んでいた。
その晩、ガイアが寝た後にステラは一人で宿から出て行った。
あのアル・スハイルを祀った神殿に行き、静かにアル・スハイルの石像が持つ、赤い球を見ていた。
「ステラさん?」
アルナイルが跡を追って来て声をかけた。
「やはり来たかアルナイル……」
それはステラ・アル・ムーリフだった。
「えぇアルナイルの目は
絶対に誤魔化せませんよぉぉぉぉぉぉ」
アルナイル笑顔で言う。
ステラ・アル・ムーリフは赤い球を見つめ続けていた、アルナイルは何も言わずにそっとステラ・アル・ムーリフの横に立った。
「のう……
アルナイルよ……」
ステラ・アル・ムーリフが言う。
「なんです?」
「妾の姉上が変わってしまった訳が……
解ったような気がするのじゃ」
ステラ・アル・ムーリフが静かに言う。
「?」
アルナイルはうん?と言う顔をした。
「妾の姉上はあの時
殺戮の力を求めたのじゃ
それが破壊と戦いの力として
姉上はその力を得た
だがその力を最大限に発揮するならば
心も冷徹でなくてはならぬ……」
ステラ・アル・ムーリフがそう静かに言った。
「でも星の力で
性格も変わるんですか?」
アルナイルが聞いた。
「性格は変わらぬだろうが
誓いの星の力は変換にある……
力だけでなく
その力を発揮させる為に
考え方を変換したとしたらどうじゃ?
姉上は戦う上で
破壊と戦いの力を常用し続け
考え方だけでなく
性格まで変わり始めたとすれば……」
ステラ・アル・ムーリフは、その昔にアル・スハイルが使った慈しみの力を感じながら自分で考えたことを話していた。
「でも……
それだったらこの前……
盗賊を追ってたアル・スハイルからは
以前のような殺意は一度しか
感じませんでしたよ
ステラさんを襲おうとした人だけ……
ってまさか……
アル・ムーリフさんを
守ろうとしただけ?」
アルナイルはそれに気付いた。
「そうじゃ
あれは楽しむ殺意ではない
いま姉上が使っているのは
命の力じゃ……
生きようとする力なのじゃ
そう考えれば
生かそうとする行動も頷けるのじゃ」
ステラ・アル・ムーリフがそう話しアルナイルは疑問に思った。
「それじゃ
まるでアル・スハイルが
星に操られてるみたいじゃないですか……
本当のアル・スハイルは
どんな人なのですか?」
アルナイルが聞いた。
「本当の姉上……」
ステラ・アル・ムーリフはそう呟いたが静かに言った。
「妾のためなら
なんでもしてくれる
よい姉上じゃ……」
ステラ・アル・ムーリフはとても懐かしそうに、思い出すように微笑んでいた。
翌日ガイア達がクンガ村から出発しようとしていた時に、多少大きい地震が起きたが村人達は焦らず、身を安全な場所に隠れていた。
「スゲェな……
今の揺れでもヒビ一つ入ってねぇな
ほんとに守ってんだな」
ガイアは洞窟の壁を触り、内部に崩落した場所がないか大地の力で見たが何も無いようであった。
「村の人達も慣れてるみたいね」
ステラが村人達の様子を見て言った、
「あの人達
神殿の方に行きますね」
アルナイルが言いガイア達はその人達について行ってみると、人々があの像に祈りを捧げていた、お供物も僅かではあるが供えられている、あのアル・スハイルの石像が大切にされているのが良く解る光景であった。
「大切にされてるなら
いいんじゃねぇか?
ちゃんと守ってくれてるんだし」
ガイアが小さく微笑んで言った。
「そうね
アル・スハイルにも
あんな一面があればいいね」
ステラがそれに応えて言う。
「でもアル・スハイルは
この石像のこと知ってるのかしら?」
アルナイルがふと思って言った。
「知らねぇんじゃのねぇ?」
ガイアはそう言いながら、これを見たアル・スハイルを想像したが、アル・スハイルも呆れることを期待していた。
「うーん……
知らない方がいいかもですね」
アルナイルが考えて言う。
そんなこんなを話しながら三人はクンガ村を出発し、北へ向かって行った。
それと入れ違いでレグルスがクンガ村にやって来たが、ガイア達を襲った時と様子が違う。
(過去にアル・スハイル様を祀った村を
探し出せと仰せつかったが……
こんな村から
アル・スハイル様の力を感じるとはな)
レグルスはそう思いながら村に入り村人に聞いた。
「旅をして来たのだが
この村は……
星神を祀っているのか?」
レグルスはアル・スハイルから人々を殺してはならないとも言われ、自然に振る舞っていた。
「あぁ
それならこの奥の神殿にあるぜ」
村人はそうレグルスに教えた。
「そうか……邪魔したな……」
レグルスはそう言いあの神殿に向かって行った。
(たしかこの星は
アル・スハイル様が
最後に星神として降りた星
祀ってあっても不思議では無いな)
レグルスはそう思いながらその神殿につき、あの像を見て一言呟いた。
「なんだこれは……」
レグルスもそれがアル・スハイルの像だとは思えず呟いたが、その像が持つ赤い球を見た瞬間、涙が頬をつたっていた。
そしてレグルスは全てに感動し、誠心誠意こころを込めてひざまづいていた……。
その頃ガイア達はクンガ村を北上し更に山脈の奥に向かって行き、北域を目指していた、無論クンガ村でレグルスが涙を流してることなど知るはずが無かった。
一方フランシスでは、サラスが戻りアルタイルとエリスを歓迎していた。
「まさか当家に
こんな可愛らしい星神様が来られるとは
なんと光栄なことか
心ゆくまでおくつろぎ下され」
サラスはアルタイルにそう挨拶をしていた。
、
「うん?あんたさ私が
ステラの旅に手を貸したの
なんとも思わないの?」
アルタイルが聞いた。
ステラの旅立ちは派手な家出のようなもので、それに加担したアルタイルは何か言われるものだと思っていた、セプテント家はリオー国の中で発言力は凄まじいものがあり、そこの当主なら威張り散らしてても不思議ではなかったが、サラスはそんな様子を見せなかった。
「ステラのことは良いのです
当家を継ぐにしろ多少は
他国のことを知らねばなりませんので
それに知らせによれば
アルナイル殿も
星神様らしいではありませんか
星神様が共に行ってくださってるのです
一万を超える兵を送るより
心強いではありませんか」
サラスはそう穏やかに言ったが、例えが気になった、一万と言えば戦争をと言える規模であり大袈裟過ぎた、アルタイルはサラスから野心の香りをほのかに感じていた。
よく考えれば領内の街や村、全てに城壁を築く、それは権威を示すことにも繋がり、巨大化した魔物達を口実に戦争の準備を堂々としているのでは?とそうとらえる事も出来た。
「そうですか……
私がここに来てからだいぶ
経ってからのお帰りですけど
旅行に行かれてたのですか?」
アルタイルはそう聞いた、サラスがセプテント家のこの屋敷を留守にしていたのが、先程の引っ掛かる言葉で大分長い期間に思えたのだ。
「うむ
リオー国内を周り
色々と見て来ましてな
買い物も
ずいぶんとして来ましたな」
サラスは穏やかな顔で言うが、アルタイルはサラスが何を考えているのか疑い始めていた。
サラスはみやげだろうか高価な品々を、アルタイルに見せて行き自慢げに言った。
「アルタイル殿これをステラの土産に
買ってきたのじゃが
似合うと思いますかな?」
それは可愛らしい紫ベースのメイド服で、以前ステラがガイアの前で着たのとは違うデザインの物であり、サイズがピッタリな気がしてアルタイルは汗をかいて困りながら言った。
「紫なら似合うと思いますよ……」
(キモっ……
サイズまでピッタリな気がする……
怖いわこのおやじ……)
アルタイルは内心そう思っているとサラスは言った。
「それは良かった
ただ旅に出てて
すぐに着せてやれないのが
寂しいのぉ……
ステラの喜ぶ顔を
はようみたいのぉ……」
(絶対喜ばないと思います……)
アルタイルはそう心で呟いていた。
その後アルタイルはエリスを連れ大鷲になり、セプテント領を一回り飛んでいた。
「ししょぉ
今日はお散歩ですか?」
エリスが聞いた。
「たまにはね練習ばっかりじゃ
疲れちゃうでしょ?」
アルタイルが応える。
(って言うか
あんなアブナイおやじの近くに
こんなピュアな子を
私がいない時に置いとけないよ
エリスちゃんも星海人だし
不和と争いの星持ってるし
メイド服似合いそうだし
そんな子になったら
色んな意味でアブナイわよ……)
アルタイルは汗をかきアブナイ要素しか無いように思えて来て、違うことだが一つのことに納得した。
ステラはアル・ムーリフの生まれ変わりだからこそ、サラスの影響を受けなかったのだと納得していた。
(さぁ……て……
ただの変態おやじなら
いいんだけどねぇ……)
アルタイルはそう考えながら、何かを探すように飛んでいた。
時折セプテント領の村を見かけ、石造の高い城壁を作っているのを見かける、その様子を見ても過酷過ぎる重労働をしている様には見えない、むしろセプテント家の戦闘メイドに、何かをアピールするように燃える様にみなぎって働いてる者達もいて、アルタイルは変な物を見るような目で見て飛び去って行く。
暫くして何も無い様にアルタイルは思えてきた。
(ただのキモいおやじだったのかな……
まぁ気のせいと言うことで
帰ろっかな……)
アルタイルはそう思い帰ろうとした、アルタイルの背中の上ではエリスが上空からの景色にはしゃいでいる、自分で飛ぶのとは違い楽しいようだ。
「ししょぉっ!
あれはなんですかぁ?」
エリスが言った。
「うん?
わたしの羽を一枚抜いて
その方向に向けて見てくれる?」
アルタイルが言った、エリスが背中の上に居るのでエリスが指差す方向が解らないのだ、エリスが言われた通りにするとアルタイルはその方向を見て不思議に思えた。
(あれは……)
アルタイルはその方向に飛んだ。
「エリスちゃんよく見つけたね
あれはキャラバン隊だよっ」
アルタイルが言う、そのキャラバン隊は森の中を進みクールンの方からセプテント領に向かっている様だった。
アルタイルはキャラバン隊の上空を飛び、何を運んでいるのかを良く見ていた。
(街の守りを固めるならいい……
巨大化した動物や魔物相手にするなら……
でもあれが人に向けられたら……)
アルタイルはそう思いながら見ていた。
数多くの大砲が運ばれている、馬車は砲弾や火薬を運んでいるのか、かなりの台数の馬車が物資を運んでいる、少し先まで飛びアルタイルは疑問に思った、連弩まで運ばれているのだ。
(あんな物……
あの巨大化した魔物に効くとは思えない
それに武器まで運んでいるのか……)
アルタイルはそう思いその場から離れた、まだ戦争の準備をしているとは確証が無かった、セプテント領は広大で街の防備の為とも考えられる、アルタイルは一旦戻りまた明日に他を探すことにした。
(本当にやめてほしいよ
折角アル・スハイルが
戦いだけじゃないって
感じてくれてる時に……
この星の人間達が戦争なんて始めたら
アル・スハイルが
どう思うか解らないよ……)
アルタイルは少しづつ心配し始めていた、それは長い時を経て、アル・スハイルが考えを改めてくれるかも知れない、そんな絶好の機会に人間達が自らの欲の為に戦い始めて仕舞えば、アル・スハイルがどう思うか解らなかった。
アルタイルは一旦帰り明日また別の方向を探すことにした。




