第二章 第8話 旅に出て
数日経ちフランシスで……。
「…………」
エリスがステラの屋敷の庭で何かを呟いている。
「われっ!
ふわとあらそいのいっせい
エリスッ!」
エリスが叫び全身から光が放たれ、あの可愛い少女の姿に変わった。
「うんっ上手に出来たね
じゃかかっておいで」
アルタイルが言うとエリスはダガーを抜いて走り込み、アルタイルに斬りかかる。
アルタイルはひらりと躱し、エリスのダガーさばきを見ている。
(やっぱりエリスちゃん
武器選びは
間違って無いね)
アルタイルはエリスがダガーに向いているのに気付いていた。
「エリスちん?
ダガーは斬り裂くより
突き刺すことが
一番だいじなんだよ」
アルタイルがエリス教えている。
「はいっ!
ガイアおにいちゃんのハートに
頑張って突き刺しますっ‼︎」
エリスはそう叫びアルタイルは思った。
(それはどっちのハートかなぁ?)
ダガーは一撃必殺で心臓や肺など、確実に急所を狙い即死させる武器であり、エリスの言ってることはあながち間違いでは無く、アルタイルは困りながらエリスのダガーを躱していく。
少ししてアルタイルはエリスのダガーを、二本の指で挟んで止めてから、ダガーの持ち方でおかしい所を教えてあげる、アルタイルは優しくエリスに戦い方を教えてあげていたが、勉強も必要だと思っていた。
暫くすると二人は鍛錬をやめ、神殿書庫に行き読書を始めた。
それは師弟関係として、エリスがアルタイルの調べ物を手伝っているのだが、アルタイル的には勉強の一環であった。
「ししょぉぉ……
アル・スハイル様も
アル・ムーリフ様もこんなふうに
お手伝いしていたのですか?」
エリスがつまらなそうに聞いた。
「そうだよ
あの二人の時は
一緒にどんな星に文明があるのか
調べたりしたんだよ
あの時代は大変だったからね
例えば目の様な模様をした
アイボールアースは
結構海中生物がいるんだよ
でも彼らは殆ど星海には出てこない
だからたまに見に行くけど
やっぱり彼らはのんびりしているね
私はあんな星ばかりなら
星海も安心かなって思うんだけどね」
アルタイルは話しながら本を読んでいる。
そしてアルタイルは、精霊術の起源の様なページを見つけた、それは命の精霊ミアプラが編み出した魔法であった、アルタイルはそれを読み残念そうな瞳をして呟いた。
「それは厄介ね……」
アルタイルはその夜エリスが寝た後に、一人屋敷の屋根の上で星を眺めていた。
「精霊術に欠陥があるなんて
気付かなかったなぁ
でも仕方ないか
欠陥のある魔法を完璧にこなしても
欠陥も完璧になってしまう
そりゃそうよね……
だってそれを含めての
精霊術なんだから
問題は人がそれを
知らないってことね……
精霊術自体がこの星の人々からすれば
強力な魔法でそれを知っても
使うのをやめるかしら?」
アルタイルがそう呟いていると、金色の流れ星が落ちていくのが見えた。
「レグルスか……
やっと
アル・スハイルの手星が来たね
でも今のアル・スハイルなら
暴れたりしないかな」
アルタイルは鼻で笑いながら言った。
「あれがガイア……
人間ではないか
サルガスも人間に敗れるとはな
落ちたものだな……」
レグルスは夜空で呟き、真下の森でキャンプしているガイア達を見ていた。
「レグルス様
アル・スハイル様がお呼びですよ」
エルナトがレグルスを迎えに来て同じ様に、ガイア達を見ながら言った。
「エルナトよ
いつまでサルガスに従う?
あの様な人間に負ける様なやつより
この私の元に来ないか?」
レグルスが言った。
「ガイア達は特別です
なんなら試してみては?」
エルナトが少しムッとして静かに言った。
「ふっ……」
レグルスは小さく笑い、凄まじい勢いでガイア達目掛けて飛んで行った。
「ふふっ……
サルガス様を愚弄したこと
同じ失敗をして
アル・スハイル様に
叩かれて仕舞えばいいのよっ!」
エルナトはそう笑いながら言った、好きな人を馬鹿にされて黙っていないエルナトがそこにいた。
「あん?
なんか来たな……」
ガイアは上空から迫って来るレグルスを感じて、大地を踏み締めると凄まじい勢いで岩の槍が十本ほど、ガイア達から少し離れた場所から突き出し、レグルスを襲った。
レグルスは身に付けている小手から鋭く長い爪を出し、その槍を砕き突き進んむようにガイア達目掛けて降りて行ったが、砕いた破片は落下せずに、岩の槍になりレグルスを襲った。
「これは……」
レグルスは呟き、飛んで躱し大地に降りたが凄まじい勢いで木の根がレグルスの足を掴んだ。
「やっぱり
アルタイルの羽に刺されてから
魔法を使える範囲が広くなったな
もう何本か刺してもらおっかな」
ガイアがレグルスの降りた方を見ながら言った。
「ガイアなにしてるの?」
ステラはガイアが戦うと言うより、遊んでるように見えたので、そう聞いたがアルナイルが言った。
「あれはアル・スハイルの手星の一人
小王レグルスですね
獅子の星を持つ星海人です」
(多分大丈夫だよね?
レグルスならお兄ちゃんがハダルの時に
ハダルの星で戦って勝ってるし……)
アルナイルはそう思いながら言っていた。
「蠍の次は獅子か……
とりあえず
アル・スハイルの手下だと思ったからさ」
ガイアがそう言った時、凄まじい勢いで森からガイアの方に何かが突進して来るのを感じた。
その頃フランシスでアルタイルが思い出した様に言った。
「そう言えばレグルスも
内星だったよね……
まっいっか獅子と大地の戦いなんて
どっちが勝つかなんて
考えなくてもわかるし……
でもガイアちんだから
ちょっと心配かな?」
アルタイルはそう言いながら星を見ていた。
一方……ガイアは迫り来るそれに右手を向け意識を集中した。
すると凄まじい勢いで木々の枝が伸び、レグルスを捕らえようとしたが、レグルスは凄まじい勢いで爪でそれらを切り裂いていく。
「なんだこの力は
まるで森が襲って来るこの感覚は……」
レグルスはガイアの力に翻弄され始めていた。
「なかなか捕まらねぇな……」
ガイアが言った。
「捕まえる?」
ステラが聞いた。
「だってアル・スハイルが
あんな調子だろ?
わざわざ敵に回す必要ないだろ」
ガイアが言った。
アルタイルがガイアの力の一部を目覚めさせたせいか、ガイアはサルガスに叩きのめされた時の感覚が鮮明に蘇り、自らの力を操り始めていた、その為に獅子と聞いた瞬間から負ける気はしていなかった。
「……」
アル・スハイルはレグルスを見つけたが、自分のところに来ないで、降りて行ったのを見て気になって見に来ていた。
「エルナトは伝えたようだが
あやつは何をしておるのだ……」
アル・スハイルは森の中からレグルスを見ていた。
レグルスは凄まじい勢いでガイアの操る木々を躱し、そのまま飛び出し鋭い爪でガイアに襲いかかった。
ガイアは素早く両腕を鋼鉄に変え、それを左腕で受け止め右腕で殴りかかる。
レグルスはそれを躱したが、ガイアの右腕はレグルスの頭を掴み右足で腹部に蹴りを入れた。
「クハッ……」
レグルスは声を漏らし、脳裏に過った以前ハダルと戦い完敗した時の記憶が……。
ガイアが手を離し素早くレグルスは距離を取り、身構えてから飛びかかって来たが、ガイアはそれを殴り飛ばしたが、妙に手応えがなかった、次の瞬間背後からレグルスの鋭い爪がガイアを引き裂いた。
「なっ!」
ガイアはいきなり背後から襲われた事に戸惑ったが、その傷は砂になり飛び散って傷は負わず、背後から襲って来たレグルスを蹴り飛ばした。
「幻…違う…どう言うこと?」
アルナイルがそのレグルスの動きを見て呟いた、幻が直接斬撃を放てるはずがなかった、つまり幻では無いが理解出来なかったのだ。
ガイアは二人のレグルスを相手にしている、斬り裂かれても砂の体であるから耐えられるが、普通なら既に八つ裂きにされているほど斬り裂かれている。
「めんどくせぇ……」
ガイアが呟き大地を踏み締めた。
次の瞬間、一瞬で襲いかかって来た二人のレグルスが大地から突き出した岩の槍で貫かれ、光を放って消え去った。
ガイアはこのレグルスが偽物だと気付いていたのだ。
「獅子の星って言うからよ
力で来んのかって
楽しみにしてたんだが……
あてがはずれちまったな……」
ガイアがそう呟き神経を集中させ、レグルスを探していた。
そして森の奥から風が吹き、一瞬でレグルスが飛び出す様に現れガイアの首を斬り裂き、そのままガイアの後ろに居たステラに襲いかかった。
「しまっ‼︎」
ガイアが反応したが既に遅かった。
今まで戦った者と違い、金色のラインが入った白い鎧を纏った騎士の姿で、白銀の剣を一瞬でステラに向かって剣を振った。
ねぇあなたは
なんで旅に出たの?
あの言葉がガイアの頭に響いた。
「ステラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼︎」
ガイアが叫んだ。
その剣は速く正確でステラの首を狙っていた。
「…………」
それを見たアル・スハイルの視線が変わった、それは冷たく全てを凍てつかせる様な視線であった。
ステラは冷たく微笑み冷徹な心で呟いた。
(妾に剣を向けるのかえぇ?)
(その微笑みっ‼︎‼︎‼︎)
レグルスはその微笑みを見て絶対の死を予感し、狙いを外しそのまま何もせずにステラとすれ違い走り去って行った。
「待ちやがれっ‼︎‼︎」
ガイアが叫び追おうとしたがステラは気絶して倒れた。
「ステラッ!」
ガイアはレグルスを負わず、ステラの体を起こしステラに声をかけ続けた。
「大丈夫かステラッ!
しっかりしろっ‼︎」
ガイアはステラを守れなかった、隙を見せた訳では無い、だが甘く見ていたのだ最初から捕らえるなど考えずに、殺すつもりで戦っていればと様々な想いが一瞬であたまを過った。
「ステラッ!
ステラッ‼︎‼︎
目を開けてくれっステラッ‼︎」
ガイアが必死にステラに声をかけている姿を見て、アル・スハイルはガイアが本気でステラを心配しているのを知り、その場を去った。
「ステラッ!
おいっ!大丈夫かっ
斬られてないだろっ!
何かされたのかっ
目を開けてくれステラッ‼︎」
ガイアが何度も声をかけるが、アルナイルは冷静だった。
「ガイアさん
ステラさんは死を目の前にして怖くて
気絶してしまったんだと思います
少ししたら目を覚ましますよ」
アルナイルはそう言ったが、なんでステラが気を失ったか解っていた。
(さすがアル・ムーリフさん……
微笑んだだけでレグルスが逃げちゃう
ほんとうに事故物件ね)
アルナイルはレグルスがアル・ムーリフの容赦しない、殺意を込めた微笑みに気付き、何もせずに去って行ったのを解っていた。
「ステラ……」
ガイアがすまなかったと言う顔をして、ステラを抱き上げ馬車に載せようとしている。
(ハダル……
そのままキスしてよ……)
ステラの中でアル・ムーリフは胸をときめかせそう呟いているが、よほど嬉しいのだろう、その声は想いが乗り魔力を放ち、同じ星海人のアルナイルにだけは聞こえていた。
それを聞いたアルナイルは、ガイアからもそんな空気を感じわざと倒れ、気絶したふりをしガイアの気を引いた。
「アルナイルッ!」
ガイアは慌ててステラを寝かせ、アルナイルを起こそうとした。
(アルナイルッ
もう少しだったのにっ!)
ステラの中でアル・ムーリフが騒ぐ。
(アル・ムーリフさんっ
ちょっとズルイですっ
私だって気絶したって
いいじゃないですかっ!)
アルナイルも心で言い返している、だがアル・ムーリフはステラが本当に気絶してるのでどうしようもない。
結果……アル・ムーリフはアルナイルの妨害に合いキスを逃し、優しいガイアは今度はアルナイルを呼んでいる。
「二人とも…ごめんな……
俺が本気で戦ってれば……」
ガイアが本気でそう思っていたのだろう、目に涙をためているが流さないでいた。
(……)
ステラの中でアル・ムーリフが沈黙する。
(……)
アルナイルも見事にわざと気絶した事に気付かないガイアに沈黙した、ガイアは二人のやり取りにまったく気づかず、ガイアの鈍さが光りを放ち輝いている。
二人は鈍過ぎるガイアに心配かけすぎた気になって来ていた。
(アルナイル……
どうするのじゃ?
ガイアが泣くぞ……
悪いと思わぬのか?)
ステラの中でアル・ムーリフが言う。
(アル・ムーリフさん……
ガイアさんの鈍さは天然ものです
悪いと思ったら負けです)
アルナイルが心の中で言う。
結局二人は人のいいガイアによって、馬車で寝かされ、馬車の外では反省している様なガイアが一人ポツンといた。
(なぜこうなるのじゃ……
何かあっても
おかしくなかろう?)
アル・ムーリフはそう思い困りながら呟いていた。
一方エルナトとレグルスはアル・スハイルの元に向かっていた。
「エルナト……
あの女はいったい何者なんだ?」
エルナトにレグルスが聞いた、勿論ステラのことだ。
「アル・スハイル様から聞けば?
わたしも知らないから」
エルナトはそっけなく言った。
「そうか……」
レグルスはそう言い考えていた。
(あの殺気は……
アル・ムーリフ様の殺気だった……
間違いない……
だがなぜあの女が……)
二人はアル・スハイルの元につき、エルナトはアル・スハイルの横に立ち、レグルスはひざまづいた。
「レグルスよ
随分と遅かったが
何をしておったのじゃ……」
アル・スハイルの声が冷たく機嫌が悪いのが解る、レグルスは慎重に答える。
「はい……
ガイアがどれ程の力を持つのか
確かめて来たのですが
あの連れの若い女は何者なのですか?」
「若い女とな……
そちが剣を向けた者のことか?」
アル・スハイルは今にも殺そうとする様な、殺意を込めた目で見て言った、アル・スハイルは全ての経緯を見ていた。
「はい……」
レグルスが答えた瞬間、アル・スハイルは赤い自らの星を出しレグルスの背後にいた。
「なっ……」
レグルスは小さな声を漏らし振り返ろうとした瞬間、凄まじい蹴りがレグルスの頭を襲った。
レグルスは躱すことも出来ずに、蹴り飛ばされ、エルナトはいいきみと言ったように見ている。
「なっ!何をっ‼︎‼︎」
レグルスは焦りそう言った、なぜ蹴り飛ばされたのか解らなかったのだ。
「この際だから言っておこうかの……」
アル・スハイルはレグルスを蹴倒し、踏みつけて言う。
「そちが剣を向けたステラは
余の妹アル・ムーリフの……
生まれ変わりなのじゃ」
「そっ!
そんなっ‼︎‼︎」
レグルスはアル・スハイルに踏みつけられながら言った。
「解るかのぉ?
アル・ムーリフに剣を向けることは
余に剣を向けるも同じだと言うことを
そちなら解るであろう?」
アル・スハイルの瞳と言葉は殺意に満ち溢れている、レグルスは何も言えないが、エルナトも衝撃を受けていた。
もしサルガスがステラに向け鞭を振っていたら許されなかっただろうと恐れ、それと同時にアル・スハイルが言った、アル・ムーリフがこの星の人間達が滅びることを望んでいない、そう言ったことも理解した。
レグルスはこのまま頭を踏み潰されるのではないかと言う程に、恐怖を感じていた。
「だが良かったのぉ……
あのままアル・ムーリフを
傷つけでもしておったら
この頭は肉片になっておったぞ……」
アル・スハイルはそう言いながら、もう一度レグルスの頭を強く地面に踏みつけてから、足をあげレグルスを解放した。
「さてレグルスよ
余はアル・ムーリフを
連れ戻しにこの星に来たのだ」
アル・スハイルは自然に言った。
「はっ!」
レグルスは返事をし、恐怖を押さえつけながらひざまづいている、そのアル・ムーリフの生まれ変わりに剣を向けたのだ、尋常ではない程に恐れていた。
「だが問題があっての
アル・ムーリフは今ステラとして生き
それを楽しんでおる
それをアル・ムーリフ
自ら帰って来るように仕向けたいのじゃ
その為にこの星のことを
もう少し調べねばならぬ」
アル・スハイルはそう言う、既に口調からはさほど怒りは感じないが、レグルスは立場をわきまえ真剣に話を聞いているが、以前のアル・スハイルとどこか違う気がしていた、以前なら容赦しなかっただろうアル・スハイルから僅かだが許そうとしている、そんな気配を感じていた。
「そこでじゃ……」
アル・スハイルは微笑んで何かを話し始めた。
レグルスは明らかに気付いた、アル・スハイルが変わろうとしていると、何がきっかけでそうなったのかまだ解らないが、レグルスはそれに救われた様な感覚を覚えていた。
(ガイア……
いやハダルよ
アル・ムーリフと
共に歩もうと言うのか?
ならばその程度の力では……
シリウスは止められぬぞ
余はそれでも構わぬが……
アル・ムーリフは悲しかろうな)
アル・スハイルはアル・ムーリフが悲しんだ、あのアトリアロフが襲われアル・スハイルが重傷を負い死を迎えようとした時、アル・スハイルの為に涙を流していたアル・ムーリフの顔を思い出していた。
「アル・スハイル様?」
エルナトがアル・スハイルに声をかける。
既にレグルスはアル・スハイルの指示を受け、それを果たそうとその場を去っている。
「なんでもない
あやつはいつ頃
この星に来るかのぉ……」
アル・スハイルはそう呟きエルナトはアル・スハイルが少し寂しそうにしている気がした。
翌日、ガイアは馬車の外で寝ていたがステラに起こされた。
「ガイア
ガイア?大丈夫?風邪ひくよ」
優しく心配してる様なステラの声でガイアは目が覚め、ガイアは飛び起きてステラの肩を両手で掴んだ、ステラは驚いているがガイアは言った。
「ステラッ
昨日はごめんなっ
俺が油断してて
怖い想いさせちまった
本当にごめんなっ!」
ガイアがそう一生懸命に謝ってくれるが、ステラは何のことか解らなかった。
ステラはレグルスが襲いかかった時の記憶が無かったのだ、ガイアはステラが覚えていないほど怖い想いをしたのかと思い、ステラを抱きしめた。
ステラは何のことか解らなかったが、ガイアが本気で心配してくれているのが凄く伝わっていた。
「ううん
いいよ大丈夫だから
気にしないで」
ステラは微笑んでそう言い優しくガイアを抱きしめていた。
ステラは旅に出て良かったと感じていた、大好きな人を追いかける、見知らぬ土地に出て不安が出て来てもおかしくは無いが、そう感じたことはフランシスから出て一度も無かった、ガイアは言った通りステラの手を引くように、ステラを不安にさせない様にしてくれている。
ガサツな面が強いガイアだがクールンでもブーツをプレゼントしてくれた、ステラの足に合わせたステラだけの物だった。
リヒテン卿のことも、その人柄に気付き暫くは追っ手も気にしないでいいようにしてくれた。
フランシスでは見れなかったガイアの一面を沢山見る事が出来ていた。
「ありがとねガイア……」
ステラは優しくガイアに言った、ガイアは優しい顔でステラの言葉を聞いていた。
アルナイルは馬車の中からその二人を見て、馬車から飛び降り二人に飛びつく。
ガイアはアルナイルも受け入れる様に二人を抱きしめていた、相変わらず二人とも泣かせたくない様にハッキリしない、そんなガイアがそこにいた。
ガイア達は出発し、ひたすら北に向かいアグレス山脈に入って行った。




