第二章 第6話 アル・スハイルの変化
翌日、朝食を終えステラ達の部屋にみんな集まっていた、アルタイルが話したいことがあるらしくエリスもまだ居るので出発は明日に見送ったのだ。
アルナイルはアルタイルの肩から、まだ金色の光が漏れ出ているのが気になっていた。
「アルタイルさん
その肩の光……傷ですよね?
刺し傷ですか?」
アルナイルが聞いた。
「うん…そうだよ……
アルナイルちゃんは
光を見分けれるからね」
アルタイルが微笑みながら言った。
「うそ……
アルタイルさんが怪我してる」
ステラが驚いたが、アル・ムーリフは驚かなかった、それはアル・スハイルの存在を忘れてはいなかったからだ。
「アル・スハイルとやり合ったのか?」
ガイアが聞いた。
「そうだよ」
アルタイルが優しい顔で言った。
「負けたのか?」
ガイアが聞いた。
「負けたって言うのかな?
まぁ負けてあげたってところかな」
アルタイルがそう言った。
「負けてあげた……ってなんでだよっ‼︎
アルタイルは知らないのか?
クラスト村のことを聞いてないのかっ⁈」
ガイアの頭の中にクラスト村で見た光景が蘇り、それを訴えるようにアルタイルに言った。
「その話はユーファさんから聞いてるよ
私がアル・スハイルとやり合ったのは
ただの私怨さ……
そのことは関係ない」
アルタイルがそう言った時にガイアはアルタイルに掴みかかった。
「そのことと結びつける必要は
今は無いからだよ」
アルタイルはそれに臆せずに言ったが、ガイアはそれを聞いて拳を鋼鉄に変え振りかざした。
「ガイアッ!待って‼︎」
ステラが強く言ってガイアを止めた、ガイアはそれを聞いてアルタイルを離す。
「アルタイルさん
今はって言ったよね?
どう言うこと?」
ステラが聞いた、ステラ的にも聞き捨てならないことだがアルタイルがそれをわざわざ言う必要はない気がした、なぜならガイアと言う一直線な性格の人間に言えば、怒らせるのは当たり前だからだ。
「ガイアちん?
そんなんだから昨日のことも
一人で切り抜けられないんだよ」
アルタイルはガイアを嘲笑うように言った。
「うるせぇっ!
さっさと話しやがれっ‼︎」
ガイアが叫んだ、アルタイルもガイアの怒りは知っているがそれはアルタイルにとって小さなものだった、むしろ星海から見れば小さすぎることであった。
「アル・スハイルが悩んでいたから
蹴飛ばしてやったのさ」
アルタイルが言った。
「悩んでる?」
ステラが呟いた。
(姉上が……
なにを…悩んでいると言うのだ……)
アル・ムーリフはそれを聞いて半分驚いていた、アル・スハイルは決めたら貫き通す性格である、そこに悩みや迷いは無くひたすら突き進んで、出た結果を見て決める性格であった。
そのアル・スハイルが悩んでいると言うのだ、アル・ムーリフは気になっていた。
「自分のやり方が
間違っていたのかって悩んでるんだよ
多分アル・ムーリフ様が
アル・スハイルから離れられた事が
堪えてるんだと思う
それは星海にも
大きな影響を与えてるからね……」
アルタイルがそう話した。
「なんで蹴飛ばしたんだよ
そのまま悩ませとけばいいじゃねぇか」
ガイアが言った。
「ガイアちんは子供だねぇ」
アルタイルが言った。
「うんだとテメェ⁉︎」
ガイアがいきりたって再び掴みかかるが、アルタイルはそれを指だけで止めて言う。
「解らないかい?
今のガイアちんは
私の指一本で止められるのさ
その私にアル・スハイルは
この傷を負わせたんだよ」
アルタイルはそう言いながら、羽毛で隠していた肩の傷をあからさまに見せた、アルタイルは肌に合わせた羽毛を作り更に輝きを変光させ隠していたのだ。
「そんなアル・スハイルが悩んでいる
なら……
いい答えを出して貰って
帰ってもらうのが
得策じゃないかい?」
アルタイルは傷を見せながらガイアに言った、アルタイルは今のガイアじゃ敵わないことも伝えつつ言っていた。
「いい答え?」
ステラが言った。
「そう……
この星も助かって
星海も平和になる
素晴らしい答えを
見つけてもらおうよ」
アルタイルがそう言った。
(姉上……)
アル・ムーリフはアル・スハイルの元に駆けつけたくなった、今なら話し合えるのではないかと思っていたが、それはハダルとの別れに繋がってしまう気がして踏み出せないでいた。
「あとエリスちゃんは
わたしが面倒見るよ
わたしと同じタイプの星を
持ってるからさ
あの二人より
育て甲斐がありそうだしね」
アルタイルが言ったがガイアは思う。
(あぁ色んな意味で
育て甲斐ありそうだよな……
色んな意味でなっ‼︎)
ガイアはエリスが星を使いこなした時、それはガイアに火の粉が降りかかる時にしか、思えないでいたが、ふと気になってアルタイルに聞いた。
「同じタイプの星?」
ガイアが顔をしかめて言う。
「そうエリスちゃんは
わたしと同じ内星って種類の星なの
わたしが星を出さないで
いつも戦ってるけど実は
わたしの体の中で常に輝いているの
だから使いこなせれば
唱えなくても
自在に姿を変えれるのさ」
そう言いながらアルタイルは、美しい金色の翼を出して見せる。
「じゃ……
常に星の力を
使い続けてるってことか?」
ガイアが聞いた。
「そうなの
わたし以外に内星を持つのは
ハダルって星海人がいたけど
今はどこにいるのかな?
最近見ないけどね
かなり希少な星なのよ」
アルタイルがそう言うとエリスが聞いた。
「ないせい?
って強いのですか?」
「近接戦なら強いね
敵と離れていても
まぁまぁ使えるけど……
長距離なら
アル・スハイルみたいな
外星の方が強いよ
アル・スハイルがなんで
あんなに強いかと言うと
外星なのに
近接戦も戦えるってところなんだ
あれだけわたしと張り合える
外星を持つ相手は
アル・スハイルと
アル・ムーリフ様くらいしか
わたしは知らないかな……
まぁわたしが戦い方を教えたからね
あの二人は……」
アルタイルはそう言いながら、何かを考えていた。
「アルタイルさま!
ししょうって呼んでいいですかっ!」
エリスがアルタイルに飛びついて言った、エリスはアルタイルに育てたられた、アル・スハイルとアル・ムーリフが大星と呼ばれる程になっていることを即座に理解し、憧れの大星と呼ばれるための近道と思ったのだ。
「ハダルって
時々聞くけど
そんなに強い人だったの?」
ステラが聞いた。
「ハダルは強いよ
地上で戦えば彼はわたしより強いはず
でも大星って呼ぶ人と
呼ばない人が居るんだよね
仕方ないけどねぇ……」
アルタイルがエリスの頭を、なでなでしながら言った。
「なんでだよ?」
ガイアはまるで自分のことを言われてる気がして聞いたが、アルナイルは耳をピクピクさせている。
「ハダルってさ
地上戦にこだわり過ぎて
遠距離を気にしなかったんだよ
星に降りて戦えば
本当に強いけど
星海に大地はないし
飛んで戦うのが当たり前だからさ
遠距離でやられちゃうんだよ
だからアル・スハイルと
何度か星海で戦ってたけど
話にならないね」
アルタイルはガイアに気づかせようとして言っていた。
「なるほど……」
ガイアは自分の事だが他人の事と思いながら、それを聞いて考えていたが、アルナイルから見れば滑稽にしか見えないでいた。
エリスは既に勉強モードに入っているのか、一生懸命に話を聞いている。
アルナイルはそれを聞いて納得した、星海にいた時アルナイルはハダルのサポートに専念していたが、常に前に出ていたのはハダルで遠距離は攻撃手段をあまり持たないアルナイルが担当していた、息も合い良い戦いをするのだが、遠距離ばかり攻めてくる相手には苦戦ばかりしていた記憶しかなかった。
「まるで今のガイアね……」
ステラが自然に思ったことを言ってガイアは汗を流した。
「じゃエリスちゃんは
わたしとフランシスに行こうね
ステラお姉さんのお屋敷で練習しようね」
アルタイルが言う。
それを聞いてステラとアルナイルは微笑みステラが言う。
「うんエリスちゃん
いっぱい練習しておいで」
「はいっ!
いっぱい練習して
ガイアおにいちゃんの
お嫁さんになりますっ!」
エリスはそう元気に言った。
(おいっ……
なんの練習にいくんだよ
つかマジかんべんしてくれ)
ガイアは昨日味わった絶望を思い出してそう思っていた。
(ははは……
やっぱりまだ子供だからね
アル・ムーリフさんが言ったこと
解ってないわね)
アルナイルはそう思っていた。
(昨日のことは……
覚えてないのかしら……)
ステラは昨晩の出来事があっても、懲りてないエリスに汗をかいていた。
「ガイアちん
なに困ってるのさ
可愛いねぇ
幼星の言うことなんだから
そんなに気にしなくていいよ」
アルタイルが言った。
「幼星ってなんだ」
ガイアが聞いた。
「そのままですよガイアさん
幼い星海人が星を持つと
幼星って言うんです
幼星は気まぐれですから
そんなに気にしなくていいってことです」
アルナイルが思い出しながら言った。
「そうそう子供相手に
ムキにならないって……
ガイアちんもまだ子供だねっ」
アルタイルがどうなの?と言う顔で言った。
「ちょっテメェっ!」
ガイアが怒ろうとした。
「さっ
怖いお兄ちゃんからにっげよぉ」
アルタイルが笑いながら言い、エリスの手を引っ張り窓から飛び出して行った。
アルタイルは素早く大鷲になり、力強く羽ばたき大空に舞い上がり飛んで行く、エリスは初めてアルタイルの背中に乗り、その力強さに目を輝かせ喜んでいたが、ガイア達のいる宿に向かって元気に叫んだ。
「ガイアおにいちゃぁぁぁぁんっ‼︎
すぐに帰ってくるからねぇぇぇぇっ‼︎‼︎
待っててねぇぇぇぇぇぇっ‼︎」
元気なエリスの声が青空に響きガイアは思った。
(帰ってくんな……)
「ガイア?
エリスちゃんのキス
どんなあじだったの?」
ステラが優しく聞いたが、ガイアは恐怖しか感じなかった。
「…………」
ガイアは凍りつく、アルナイルも興味ありそうに見ているが、ガイアは頬にキスをされただけで味なんて知らなかった。
そんなガイアにステラは歩み寄り優しく頬にキスをし、アルナイルは反対の頬にキスをした。
そしてステラは優しく微笑んで部屋を出て行く、旅の支度をしにアルナイルと馬車に向かったのだが、ガイアは動けなかったそして膝から崩れ落ち気絶して倒れた。
翌日ガイア達はパグスの街を出発しようとしたが、街の出口で衛兵に止められていた。
「お前達どこに行くんだ?」
衛兵がガイアに聞いた。
「あん?
北に向かってるんだけど
いっちゃわりぃのか?」
ガイアが答えた。
「いやそうではないんだが
リオー国のセプテント家の娘が
我がレチクル国に入ったようなんだ」
衛兵がそう言うとステラは馬車の中で身をひそめ、アルナイルが外からステラを見れないように光をねじ曲げる。
「お前達も知ってるだろうが
リオー国は我ら領土を
我が物顔で所有している
セプテント家の娘を捕らえれば
我ら領土を取り返せるかも知れないだろ?」
衛兵はステラに気付かずに話している、ガイアはレチクル国とリオー国の関係が思ったより良くないことをすぐに理解した。
「って言われてもな
俺はそいつの顔も知らないんだぜ」
ガイアは見事にスッとボケる。
「そうだな
これが似顔絵だ
見つけたら村や街にいる
衛兵に知らせてくれよ」
衛兵がそう言って似顔絵をガイアに渡した、その似顔絵はよく出来ていてステラにそっくりであった。
「解ったよ
これ貰っていいのか?」
ガイアが言った。
「あぁ持ってって構わない
但し見つけたら必ず知らせるんだぞ」
衛兵はそう言ってガイア達を通してくれた。
ガイアはそのままパグスの街を出て、アルナイルに似顔絵を見せる。
「流石わたしね
レチクル国にもわたしの美しさが
伝わってるのね」
ステラはその似顔絵が美人に描かれてるので気を良くし、久しぶりに誇り高く言っていた。
だが次の瞬間ガイアが馬車を飛ばし始め、ステラは馬車の中で転倒する。
「ガイアッどうしたのっ?」
ステラが頭を押さえながら言った。
「お前馬鹿かっ!
そんだけ似顔絵がよく出来てんだぞっ!
パグスの街の人達がっ
いつお前を知らせるか
わかんねぇだろっ‼︎‼︎」
ガイアが叫んだ。
ガイアの言うのは当然のことだった、あの街に二泊もしたのだ、そして捉えた者に100万セルの賞金もかけられている。
救いなのか解らないが、それは生捕りが条件であった。
ガイアは馬車を飛ばした、騎馬で追っ手がかかればすぐに追い付かれてしまう、気づかれる前に出来るだけ距離を取りたかったのだ。
ステラはその姿を見て気付いた、いつも鈍いガイアだが先程のやりとりは全て冷静に判断していたのだと、ステラは気付いていた。
だがその頃パグスの街では、ガイア達が寄ったレストランから衛兵に知らせが入り、それは宿屋に繋がり追っ手が放たれた。
アルナイルはすぐにそれに気付いた、パグスの街を照らす太陽の光が教えてくれたのだ。
「パグスから追っ手が出ました
騎馬で30騎くらいですね
どうします?」
アルナイルが聞いた。
「どうするって
逃げるに決ま……
何か方法でもあるのか?」
アルナイルが焦らずに言ったことに不思議に思いガイアが聞いた。
「蜃気楼でも見て帰ってもらいます?
今は昼ですし天気もいいので
いい蜃気楼を作れますよ」
アルナイルが笑顔で言う。
「じゃっ適当に頼むっ!」
ガイアが言った。
「はいっ
任せてください」
アルナイルがそう言い、瞳を瞑り何かを唱え始め光輝き星海人の姿になる。
すると大気を僅かに歪め光を強引に曲げ、アルナイルの輝く者の星が現れ、走る馬車から水のように波打つ光が溢れた。
「隊長っ‼︎
向こうにビックタイガーウルフの群れがっ‼︎‼︎」
ガイア達を追っていた騎馬隊の一人が慌てて叫んだ。
「なんだとっ‼︎」
騎馬隊を率いていたマントを身に付けている者が大きな声をあげそれを見て驚いた、斜め左前方にこちらに向かって来る、5頭のビックタイガーウルフが見えたのだ、それを見たその隊長はすぐに進路を曲げた。
「退けっ!
パグスに戻り守りを固めよっ‼︎」
騎馬隊の隊長はそう叫び、追っ手達はパグスに帰って言った。
「帰ってくれましたね」
アルナイルが笑顔でそう言った、ガイアは少し安心し馬車のペースを軽く走らせる程度に落とした。
「ありがとよっ!」
ガイアはそう言いながら馬車を走らせるが……。
ステラは少しドキドキしていた、ガイアがちゃんと守ろうとしてくれる、いつもガサツだが考えてくれていると言うのもあるが、こうして追われる身になるのもステラは初めてであった。
それはアル・ムーリフも同じであった、アル・ムーリフは星海ではアル・スハイルと二人で行動するのが非常に多く、逆に追い詰める立場であったので、追われると言う立場を初めて感じて楽しんでいたのだ。
だがレチクル国はそんな事など知らず、追ってはならないものを追う為に、レチクル国の各街に早馬が走った。
「やはり争わぬ道を選ぶか……」
アル・スハイルが呟く。
空の上ではアル・スハイルとエルナトがガイア達の行動を見ていた、アル・スハイルなら今のような事になれば誰一人生きて帰さず、追っ手に放たれた部隊の消息不明にしてしまい、闇に消し去っていただろう。
そう考えながらガイア達を見ていた。
「アル・ムーリフ様も
面倒なことをしますね……
倒さなければ
また追って来ると言うのに」
エルナトがアル・スハイルにそう言った。
「よい……
アル・ムーリフの考えがあるのだろう?
ガイア達の立場は
星海の我らの街に似ておる
戦わなければ
幾らでも追ってくる者達を
どうするのか少し見せて貰おうかの」
アル・スハイルがそう言い、少し考えてから聞いた。
「ガイア達は
どこに向かっておるのじゃ?」
「はい此処からだいぶ北に行った所にある
アークスと言う
小さな村に向かっていますね」
エルナトが言う。
「ほう……
なにがあるのじゃ?」
アル・スハイルが考えながら聞いた。
「まだ解りませんが
アルナイルを星神として
信仰している村のようです」
エルナトが自分じゃないのが不満なのか、そんな表情で言う。
「そちは星神として
星の生き物達を導いた時代には
まだおならかったかったからのぉ……
良く覚えておくが良い
この星は我ら星海人が星神として見た
最後の星なのじゃ
だがその昔
余との約束を違えたのは
この星の者達
だから滅ぼそうとしたのじゃ
だが……
アル・ムーリフがこの星を救った……」
アル・スハイルが静かに言った。
「アル・スハイル様の意思を
あのアル・ムーリフ様が?」
エルナトが驚いた様に言う。
「そうじゃ……
エルナトよ誰にも話すでない
あれはアル・ムーリフでは無い
誰か別人であった気がするのでな……」
アル・スハイルがそう静かに言った。
(アル・スハイル……)
その二人のやりとりを聞こえはしなかったが、アルナイルは二人を見つけていたが、静かにしていた、それはアルタイルが言ったアル・スハイルが悩んでいると言う言葉を気にかけてのことだった。
それから数日経ってガイア達は小さな村に着いた、その村はリオー国には知られてない小さい村だった、人口は50人ほどでクラスト村より小さい村で、衛兵も5人程しか居ない小さな村で、ガイアはそこで食べ物を買い足し村から少し離れた森の中で、馬を休ませる為にその日は早めに休むことにした。
「アルナイル?
とりあえずここから
そのアークスって村まで
どのくらいかかるんだ?」
ガイアが聞いた。
「うーん……
1ヶ月くらいですね
アルタイルさんならすぐなんですけど
フランシスに
居てもらわないとですからね」
アルナイルが言う。
アルナイル一人の方が明らかに早い、だがステラとガイアのことを考えると、一人で行くわけにはいかないのだ。
「結構近いな
あとは追っ手次第だな……」
ガイアは集めた枝に魔法で火をつけながら言う。
「近いの?それって遠くない?」
ステラが夕食の支度をしながら聞いた。
「近くねぇか?」
ガイアが言った、ガイアはフランシスに2年も旅して来たのだ、1ヶ月と言われてもそこから考えれば近い方だった。
「ガイアさん
たしかフランシスに着くのに
2年かかってますよね?
ステラさんは初めての旅なんですから
それと比べても
解らないと思いますよ」
アルナイルがそう言ってくれた。
そうしてる間に、夜になり食べ物を買い足した村の方で何やら騒ぎが起きているような音が聞こえて来た、時折だが剣が激しくぶつかりあっている音がする。
「くそっアルが出やがった
こんなちいせぇ村も
やらせてくれねぇのかよっ‼︎‼︎」
盗賊達がガイア達のいる方に向かって、退いてきていた、ガイアがその逃げ出して来た盗賊達の方に歩み寄った、そして石を拾ってガイア的に軽く投げつけた。
「ぐぁっ!」
盗賊の悲鳴が聞こえた。
「あたった……」
ガイアが当たるとは思わなかったように言った。
「…………」
アルナイルとステラは何をしたと言う、顔でガイアを見た時、十数人の盗賊が飛び出しガイアに襲いかかって来た。
「よっしゃっ‼︎」
ガイアが言い早速殴り飛ばし、盗賊達を相手に暴れ始めた。
「オラァッ‼︎」
ガイアはあれから目立たないようにしていた、アルナイルが光を使い追っ手を教えてくれていたのだが、蹴散らしたいと思う時もありその気晴らしになっていた。
「あの……
目立たないようにしてたんじゃ……」
アルナイルが呟く、ステラもそう思うがガイアは久しぶりに楽しんでいるようにも見えた。
「そいつらに構うなっ!
アルが来るぞっ‼︎‼︎」
一人の盗賊が叫び逃げようとしたが、それをガイアが逃がさずに捕まえた。
「あぁ?アルって誰だよ?」
ガイアが凄みを出し胸ぐらを掴んで聞いた時、別の盗賊が森から吹っ飛ばされて大地に叩きつけられた。
「ほう……
そちは余の遊びを邪魔するのか?」
森の中から忘れもしない声が聞こえて来た。
「てめぇ……」
ガイアが呟き掴んでいた盗賊を離した、盗賊はそれと同時に逃げ出そうとしたが、ステラを人質のつもりだろうか捕まえようとした時、アル・スハイルは赤い星を出し手をその盗賊に向けステラには触れさせないよな素振りを見せたが、ガイアは小さく笑って言った。
「そいつはやめとけ
人質には……」
バキッ!
ガイアが言い終わる前に、ステラは微笑んであの美しいハイキックで盗賊を蹴り飛ばした。
「ふっ……」
アル・スハイルは小さく笑った。
「で?
何やってんだおまえ
見たところ殺してはねぇな」
ガイアはアル・スハイルが襲った割には、一人も死んでないような気がした、それは風から運ばれて来る血の臭いが僅かしか感じなかったのだ。
「余か?
盗賊を狩っておるのじゃ
こやつらが集めた金品を欲しくてな
この星は金があれば何も困る事もない
その辺は星海の街と変わらぬのでな
命を取らぬのは遊びに過ぎぬ
だがどうもそれは苦手じゃなぁ……」
アル・スハイルは悩んでいる事を隠しながら言っていた。
「はぁ?
何を言ってんだてめぇ……」
ガイアは自然に思ったことを言った、アル・スハイルはこの星を滅ぼしに来たはずで、そんな事をする意味が解らなかった。
ステラとアルナイルは、アル・スハイルが悩んでいるとアルタイルが言ったことを思い出していたが、まるでこの星で何かを楽しんでいるようにも思えた。
(本当に悩んでるみたいね
金品目的で盗賊を狩ってるなんて
でも……
何がきっかけで悩んでるの?
アル・ムーリフさんが離れたから?
でも買い物とかするの?
買い物をする意味が解らないわ……)
アルナイルはそう考えていた。
(まったく……
会った時のステラみてぇだな
暇つぶしで盗賊を狩ってやがる……)
ガイアはそう感じていた。
「さて
余はそろそろ
こやつらの根城にある
金品を頂きに行くとするかの
エルナト片付いたか⁈」
アル・スハイルが言った。
「はいっ
アル・スハイル様……
ってなんで!
ガイア達がっ‼︎‼︎」
エルナトが現れて驚いている。
「放っておくがよい
行くぞエルナト案内せい」
アル・スハイルはそう言い、逃げて行く盗賊達に気づかれない様に夜空に舞い上がり追って行った。
(あいつ……
ステラを襲おうとした奴だけ……
マジで殺す気だったよな
あいつがステラを守ろうとしたのか?
なんかあんのか……)
ガイアはそれに気付き夜空を飛んで行く、アル・スハイルを見つめながら言った。
「なんか…調子狂っちまうな……」
「はいはいっ
いつになったら
私をちゃんと守ってくれるのかしら?」
ステラはそう膨れながら言う、普通にさっきは守って欲しかったようだ。
(姉上が
破壊の力を使われていない
本当に悩まれてるのですね……)
アル・ムーリフはステラの中で呟いていた。




