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誓い合う星



 ガイア達が出会う遥か昔……。






「姉上っ!


姉上っ‼︎‼︎‼︎」



 アル・ムーリフが燃えさかる街の中、アル・スハイルを探していた。


 星海が生まれ45年程経った頃、アル・スハイルとアル・ムーリフはちょうど肉体の成長が止まり、美しく成長を遂げていた。


 ちょうどその頃、その姉妹が住んでいた星海人の村が襲われていたのだ。


「いったい誰が…こんな事をっ‼︎‼︎」


 アル・ムーリフが空を見上げ、あまねく星海の輝きを遮る数多くの鉄の船を睨みつけた時、灼熱の輝く何かがその鉄の船目掛け放たれた。


 凄まじい音と轟音を立てその船が落ちていく、アル・ムーリフはその輝きが放たれた方を見ると、二人の星海人が眩く輝く星を背後に従え、その船目掛けて輝きを放ち続けていた。


 鉄の船は反撃を始め多くの砲門から光線を放ち、魔導士だろうか甲板にシールドを張った者が現れ手から黒い稲妻の様な光を放ち攻撃を始めた。



「アルタイル……」


その攻撃を仕掛けた星海人の一人が呟いた。


「解ってるベガ……」


 そう呼ばれたアルタイルが、金色に輝く鷲の翼を広げ金色に輝く障壁を展開させ、全ての攻撃を受け止めると同時にその障壁から金色の翼が無数に放たれ、反撃をする。


 そしてベガは姿をくらませたが、直ぐに銀色の鷲がその艦隊の上に現れ、獲物を狩るように襲いかかった。



「星海人

化け物が……


機甲兵を展開し反撃せよっ‼︎」


 一際巨大な鉄の船に乗っていた指揮官の様な人物がそう叫んでいる、その姿は灰色の肌に黒髪で黒い角が額から生えている、獰猛そうな腕をしているが、手の指は四本しかない。


 すぐに艦隊は巨大な人形の鉄の機械を数百は放ち、銀色の鷲を襲い始めた。



「なんなの……

あの船はなんなのよ……


あ…姉上を探さないとっ‼︎」


 その戦いを見ていたアル・ムーリフはそれを思い出し、大切な姉であるアル・スハイルを再び探し始めた、既に両親を目の前で失いたった一人出かけていたアル・スハイルを探していた。


 買い物に行っていたアル・スハイルを探し、市場まで来たが既に壊滅状態で、アル・ムーリフはその中に瓦礫を掻き分けてアル・スハイルを探し始める。


「姉上っ!姉上っ!」


 声を上げて必死に探すが、返事はないだが諦めずにアル・ムーリフは探し続けた。


「姉上っ!」


 まだ星を持っていないアル・ムーリフは、双子の姉妹である姉を必死に探した。


「お姉ちゃんどこにいるの……」


 気づけば自然にそう言っていた、日々仲良く過ごして来た二人が引き裂かれてしまった感覚に覚え、それでも僅かな望みに縋るようにアル・ムーリフは探し続けた。


「お姉ちゃん……

アル・スハイルッ‼︎‼︎

返事をしてっ!

お願いだからっ!


返事をしてよっ‼︎‼︎」


 アル・ムーリフが叫んだ、そして少し離れたところから弱々しくではあるが、白く美しい手が上がった。


「お姉ちゃんっ!‼︎」


 アル・ムーリフは叫びその場所に掻き分けて向かった。




「あれは……まだ生きてるの?」


その様子を戦いながら見ていたアルタイルが、呟いた。


 大きな壁の下敷きになり、僅かな隙間がありアル・スハイルはまだ生きていた、アル・ムーリフは必死にその壁をどかそうとするが、びくともしない、無常にも助けることができないでいた。


 金色の障壁をだし、敵の船の攻撃を受け止めつつ反撃をしていたアルタイルはそれを見かね、右手で自らの金色の羽を抜き取り、スッとアル・ムーリフ達の方に投げた。


 その羽が走った後に金色の一閃が走り、凄まじい速さでアル・スハイルを潰そうとしていた壁に刺さり、その壁は金色の光を放ち消えていった。


 アル・ムーリフはアルタイルを一瞬だけ見て、すぐにアル・スハイルを背負い走りだした、見たところ外傷はないが、とても苦しそうにしている。


「姉上……」


 アル・ムーリフはアル・スハイルを失いたくなかった、たった一人の家族、たった一人の姉妹を決して失いたくなくて、必死に走った。


「だめ……

そっちに行ったらっ!


ベガっちょっと頼むねっ‼︎」


 アル・ムーリフの向かう方向を見て、アルタイルはそう叫び金色の大鷲に姿を変え、金色の羽を撒き散らしながら、アル・ムーリフの方に飛んで行った。



「お前は人が良すぎんだよ」


 ベガはそう呟き、銀色の羽を無数に放ち次々と人形の機械を破壊して行く。



「閣下っ‼︎

いまなら撤退可能です!

既に我が艦隊は三分の一を失い

このままでは……」


 一際大きな船に乗る兵が先程指示を出した人物に言った。


「やむおえまい……

星海人め……


全艦反転っ!

この海域を離脱せよっ‼︎」


 指揮官は悔しさを抑え叫び、艦隊は撤退を始めた。



 必死に走るアル・ムーリフは路地を抜け、広場に出た時、巨大な人形の機械がそこで暴れていた。


「そんな……」


 アル・ムーリフがそう呟き、足を止めてしまい絶望した時、それはアル・ムーリフを見て突進して来たが、金色の大鷲がそれに横から体当たりし、その機甲兵を押し倒した。


 大鷲はすぐに人の姿になり、金色の翼を広げ羽を大量に放ち攻撃をした。



「あなたは……」


 アル・ムーリフが呟き、アルタイルの強さに目を奪われていた。


「私はアルタイル


せっかく助けたんだから

もうちょっと上手く逃げなよ……」


 アルタイルはそう言いながら機甲兵を抑えているが、機甲兵の口のあたりが赤く光り赤い光線を放ち、アルタイルは金色の障壁を展開させ、口元で小さく笑いそれを受け止めた。


 そして自らの生体エネルギーを具現化し金色の剣を持ち、機甲兵に向けるとそれが延び簡単に鋼鉄の体を貫き斜めに振り抜き、斬り裂いて倒した。


 空からは既に艦隊は去り壊滅した星海人の街だけが残った、残っている敵はベガが全て倒し、破壊し尽くされた街からは悲しみの声がただ響いていた。



「さて……

仕返しに行こうかな」


アルタイルが辺りを見回しそう言った、既に何度もこの様な場面を見ている様であった。


「ちょっと待って下さい‼︎

あれはなんなの⁈

なんでこんなひどい事をするのっ⁈」


アル・ムーリフが叫ぶ様に聞いた。



「あれは星に住む生き物達

星を食い荒らして

他の星に住処を探してるんだ


やっとそれがわかったの


彼らはもう三つの星を食い尽くして

また新しい星を探してるみたいなのよ」


アルタイルが星々を見上げながら言った。



「そんな……

それじゃ……私達は何のために」


 アル・ムーリフはアルタイルが言ったことだけでは星海人の街を、攻撃する理由が見つからなかった、それは星海人は星に住まず、星海に漂うガスなどを固めた場所に住んでいるからだ。



「私達が邪魔になったのかもね

私達は星の命を力にするから……


それを食い荒らす彼らを許せないし

自分達が食い尽くした星だけじゃなくて

違う星にまで行こうとしている


そんな事を許したら

私達の星海が死んでしまうじゃない……」


 アルタイルはそう言い飛び立とうとしたが、アル・ムーリフは叫んだ。



「どうしたら止められるのっ!‼︎」


「止める?

無理だよ……

戦うしかないあいつらの欲望は

この星海みたいに果てしないから」



アルタイルはそう言い振り返って言った。



「奴らに復讐したいなら


星を探せばいいよ

あなた達を見初めてくれる

そんな星を探せば……」


アルタイルはそう言い飛び立って行った。



「探す……」



アル・ムーリフはそう呟いて空を見上げ星海を見渡すが、いつもと変わらない景色を見ていた。


「うぅ……

アル・ムーリフ……

母上は……」


アル・スハイルが気が付いてか弱い声で聞いていた。



「姉上っ!」


 アル・ムーリフはアル・スハイルを下ろし、横に寝かせるが外傷は無くても苦しそうにしていた。


「ちょっと見せて……」


 アルタイルがそう言い、アル・スハイルの体を触れて、優しく押したりして行く。


「…………」


 アルタイルはアル・スハイルの骨が折れ内臓に刺さっている気がした、戦い続けているアルタイルは触れるだけで、ある程度傷を把握していた、アルタイルは推測であるがそう見ていた、それは身体能力の高い星海人でも放っておけない重症である。


 回復の力を持ち合わせていないアルタイルは静かに、首を横に振った。


「えっ……

うそでしょ……


お姉ちゃんっ!

お姉ちゃんっ!」


 アル・ムーリフが叫んでいる。


「お姉ちゃん……

お母さんもお父さんも

もう居ないのに


お姉ちゃんまで居なくなっちゃったら

わたし……どうすればいいの……


お姉ちゃん……


目を開けてよ」


 アル・スハイルの息はまだはっきりとあるが、声を出すことも出来ない様だった。

 その様子を見ていたのだろうか、ベガが治癒の力を持つ者を壊滅した街で探してくれていた。



「お姉ちゃん……

昔言ったよね

ずっと一緒だよって


ずっと一緒だよって」



 アル・ムーリフはそう言い、アル・スハイルの手を優しく握った時アル・スハイルが呟いた。


「あぁ…言った……

違えぬ……」


 変わらずアル・スハイルがいつもの様に言った、二人の家は名家でありその誇りを受け継いだアル・スハイルらしく言った。


 アルタイルの瞳にはこの二人の姿が焼き付けられていく。


「余はそちを一人にはせぬ……」


 アル・スハイルは姉としてだろうか、弱々しくもアル・ムーリフの手を握り返し、無理に起きようと体を起こそうとした。


 内臓に刺さった骨が動き、アル・スハイルは血を吐いてしまい、倒れ込んだ。


「だめ

無理しないで……」


アル・ムーリフは辛く悲しくなり、アル・スハイルを見るのも苦しくなってしまった。


 アルタイルはそんな二人を金色の翼で包み込もうと、大鷲になりアル・スハイルが見る最後の光景を美しく飾ってあげようとしていたが、星海に一つの星が輝いているのに気付いた……。


(あれは

誓いの双子星……)


アルタイルがそう心で呟いた時、アル・スハイルは呟いた。



「余は……

誓うそちと

アル・ムーリフ……」


 アル・スハイルはそう言い血を吐き、言葉を話すのが困難になるほど咳き込み始めてしまう。


「私も誓うわっ

あなたと

アル・スハイルと共に生きるからっ‼︎‼︎

死なないでっ‼︎‼︎


私と生きてっ!‼︎

わたしを一人にしないでっ‼︎」


 アル・ムーリフが明らかに叶えられないだろうと言うことを、アル・スハイルに誓っていた、その姿はあまりにも悲しいものであった。


 その誓いはアル・スハイルが言おうとしていたことそのものであった、そして二人は気付かない、誓いの双子星の輝きがより一層増したと言うことに……。



「アルタイルッ

そいつはもうムリだっ

あいつらを叩きに行くぞ‼︎‼︎」


 ベガがアルタイルに叫んだが、アルタイルはベガの言葉を聞き流した。



(この二人はあの星までいけない

でもなんであの星は輝いてるの……


もしあの星が

この子を見初めていれば


この子はあの星の光に包まれれば

まだ命を保てる……)


アルタイルは考えていた。


(この子には

まだ未来があると言うの……)


 アルタイルは解らなかった、だがその時アル・スハイルが死力を尽くし、血を吐きながら言った。


「余もそちに誓うっ!

余は死なぬっ‼︎


そちと共に同じ時を生きっ!


そちと共に同じ道を歩むことをっ‼︎‼︎」



 アル・スハイルはアル・ムーリフの心を見ていた、それは両親を失いアル・スハイルを失いかけている怒りが、この悲しみの涙によってかき消されながらも、再び燃え広がり止めどもなくくり返され、それに苦しんでいる妹のために、生きなくてはとアル・スハイルは死力を尽くしていた。



 その声を聞いたのか、誓いの双子星の輝きが増し大星とも言える輝きとなった。


 その輝きは赤い輝きと紫の輝きが放たれ、星海の遠くまで届いていた。


「新しき星……」


ベガが呟いた。


「ベガ……

悪いけどあいつらのことは

頼むよ……


やることが出来ちゃったみたい」


アルタイルがそうベガに言った。



「俺一人でやれってのかよっ‼︎」


ベガが大きな声で言った。


「ベガ……

あなたも大星の一人でしょ?


出来るって……」


アルタイルが言った。


「お前はどうすんだよ?」


ベガが聞いた。



「私は

大星アルタイル飛翔する鷲……


その星にかけて


この子達を

あの星に連れて行くっ‼︎‼︎」


 アルタイルはそう大きな声でベガ叫び、大鷲になって、二人を背中に乗せて勢いよく飛び立った。



「アルタイルッ‼︎‼︎」


 ベガは凄まじい勢いで飛んでいくアルタイルに叫んでいた。



「アルタイルさんっ!」


 アル・ムーリフがアル・スハイルを抱きしめながらアルタイルにしがみついて叫ぶ。



「お姉さん

助かるかも知れないっ!


誓いの双子星が

あなた達を見初めてくれたっ‼︎‼︎


あの星の光に照らされ続ければ

お姉さんの命を保てるっ‼︎‼︎」


 アルタイルは大鷲の姿のままそう叫ぶ様に言ってくれた。


「本当なの……」


アル・ムーリフは疑う様に呟いた。



「わたしを信じてっ‼︎

しっかり捕まっててっ飛ばすよっ‼︎‼︎」


アルタイルはそう叫び加速して行く。


 だが途中で斜めに飛び始めた、アル・ムーリフはアル・スハイルをしっかりと抑えて、必死にしがみついている。


「どうしたのっ⁈⁉︎」


 アル・ムーリフはその飛び方を不思議に思って聞いた、直線ではなく僅かに遠回りをしているのだ。



「あの星の光に

照らされる様に飛ばないと

お姉さんが持たないっ


だから動いている星の影を

避けてるのよっ‼︎」


アルタイルがそう言った。


 飛んでいるアルタイルの背中、二人が、しがみついているその背中には常にあの星の輝きが照らされている、アルタイルの足が影に入ってもその背中には常にあの星の光が届いていた、アルタイルは難しい飛行をしていた、鷲の目が光りの当たる道を常に探し続けている。


「アルタイルさん……」


アル・ムーリフは、アルタイルも必死になってくれていることに気付いた。



「私だって

大星って言われてるんだ

一度救ったんだ

途中で投げ出せないよっ‼︎‼︎」


 アルタイルはそう言い心で叫んだ。


(あの星は

私が居たから輝いたんだ


そうじゃなきゃ

考えられないよ……

だっていまの二人は

あの星にたどり着けない


つまりあの星は

私に連れて来いって言ってるんだ


私が居たから

この二人を選んでくれたんだ……

それなら……


絶対に連れて行って見せるっ‼︎‼︎)


 アルタイルは小惑星帯に飛び込んでも、無数の小惑星を躱しながらも、背中の二人をその星の光が届く様に飛び続けていた。



(一日じゃつかない

遠い星だけど……

私は飛べる

飛び続けられるけど……)


 アルタイルは、しがみついているアル・ムーリフとアル・スハイルを気にしてペースを落とした。



「私達は大丈夫だからっ‼︎‼︎

手を離さないからっ!


大丈夫だからっ‼︎‼︎」


 アル・ムーリフが叫んだ、確かにアル・スハイルは息も落ち着いている、ゆっくりと休めている様だ、だがアル・ムーリフは必死でアル・スハイルを抑えている。



「アル・ムーリフさん……」


 アルタイルが呟き大きく翼をはためかせた、そして力強く加速した。


 小さな星を躱し凄まじい勢いで飛び続けた。



 そして2日が過ぎた、アル・ムーリフは一睡もしていない体力の限界を越え始めていた、だが凄まじい勢いで彗星が真横から近づいて来ていた……。


 アルタイルはそれを躱そうと、高く飛ぼうとしたが急にその彗星から、凄まじい勢いで水蒸気が吹き出した。


「クッ……」


 アルタイルは金色の障壁をはり、アル・ムーリフとアル・スハイルを守ろうとしたが、急にその彗星が大爆発を起こした。


 アルタイルは凄まじい爆風に煽られ、飛ばされそうになるが、それでも背中を光に照らし続けていたが、彗星から飛ばされた氷の塊がアルタイルに叩きつけられた。


 そしてアルタイルは体勢を崩してしまった、疲れ果ててたアル・ムーリフはそれに耐えられず手を離してしまう。


(しまっ……)


 一瞬アル・ムーリフの時が止まった様に思えた、だがゆっくりとゆっくりとその手がアルタイルから離れて行く。




(そんなっ‼︎)



 アルタイルが動揺した時、白く美しい手がしっかりとアルタイルを掴み、アル・ムーリフを支えて叫び声がアルタイルに向かって放たれた。



「余のことはどうでもいいっ!


だがっ余の妹をっ!

アル・ムーリフを落とすでないっ‼︎‼︎

この役立たずがっ‼︎‼︎」



 アル・スハイルが気が付き、そのまだ癒えていない体に鞭を打つ様にアル・ムーリフを救ったのだ。



「……この私に……

そんなこと言うなんて……」


アルタイルは大星と呼ばれる様になってから、初めてそんなふうに言われた。


「元気そうじゃない

でもちゃんと捕まってなよっ!

もうすぐだからっ‼︎‼︎」


 アルタイルはそう言い放ち、また加速して飛んでいく。



「お姉ちゃん……」


 アル・ムーリフが呟きアル・スハイルに抱きついた、ずっと目を覚さなかったのだ、それが意識を取り戻してくれた、その喜びはとても大きかった、アル・ムーリフはアル・スハイルに抱きつくようにしがみついた。



「アル・ムーリフよ


そう泣くでない……


痛いではないか……」


 アル・スハイルはまだ傷が癒えた訳ではない、誓いの双子星の輝きにその命は支えられていた、アル・ムーリフは慌てて手を離した。


「お姉ちゃん

ありがとう……


もう大丈夫なの?」


アル・ムーリフが聞いた。



「大丈夫ではない

痛みはさほどでは無いが……


それだけは解る……


アルタイルとやら……

あの星に行けば

そなたの様に

余とアル・ムーリフは

強くなれるのか?」


アル・スハイルが聞いた。



「あなた達しだいだよ

大星に見初められ愛されても


その星の力を使いこなせないと

ただ持ってるだけになっちゃうからね



頑張りなよ」


アルタイルは教えてくれた。



「さようか……



アル・ムーリフよ

余と誓わぬか?


余とともにこの星海を守ると


このあまたの星の輝きを

その魂が消えるまで守り続けると



街を消されるのはもうたくさんじゃ



父上も母上も無くしてもうた

あやつらの様なやつから

星々を我らの街を守らねばならぬ……」


アル・スハイルが言った。


 アル・ムーリフはそれを聞き姉のアル・スハイルをやっと助かると思えた、そして心配かけないように普段の様に話始めた。



「よかろう……


妾も誓おう


姉上とともにこの星海を守ると


このあまたの星の輝きを

妾の魂が消えるまで……


守り続けよう」


二人はそう誓い合い手を取り合った時には、誓いの双子星のすぐ近くに来ていた。



 そして赤い星と紫の星の輝きが一瞬だけ一段と増し、そして消えた。


 二人は何が起こったのか解らなかったが、アル・スハイルの前に赤い小さな星があり、アル・ムーリフの前に紫の小さな星があった。



「これが星の力なの……」



アル・ムーリフが呟いた。


「触ってごらん」


アルタイルが言った。


 二人はそれを言われるままに触れると無意識に両手で包んだ。


 するとその小さな星が光り輝き、その手のひらにその光が吸い込まれていった、やがてその光とともに、その小さな星は消えていった。


 アル・スハイルはその星の輝きが全て体内に宿した時、身体の違和感が全て消えていたことに気づいた。



「もう大丈夫だね

アル・スハイルさん

まだ身体に違和感あるかな?」


アルタイルが聞いた。


「いや……

全くない……


これが星の命と言うものか……」


アル・スハイルはその不思議な治癒の仕方に驚いていた、アル・ムーリフは嬉しくてアル・スハイルに抱きついていた。



「よさぬか

アル・ムーリフ

恥ずかしいではないか」


アル・スハイルが困った顔をしながら言った。


「さぁ帰ろうか

あとは二人でその力を使う練習しないとね

せっかくの星の力なんだから

使いこなせないと勿体ないからね」


アルタイルは優しくそう言ってくれた。



 それから二人はアルタイルとともに街に戻り、街を立て直す手伝いをしながらその星の力の使い方を練習し始めた。




 そして千年の時が経ち、二人はだいぶその力を使える様になっていた、アルタイルも時折二人の様子を見に来てくれていた。


 ベガはこのアトリアロフの街を襲った艦隊の星を全て壊滅させ、似たようなことをしている星を探すために星海を飛び回っていた。



 そんなある日、二人で暮らしている家の庭でアル・スハイルがアル・ムーリフを呼んだ。


 二人の家は元々名家であり、その財産を使い街の復興に尽力し、長い年月をかけて元の広い邸宅にまで戻していた。



「姉上どうしたのじゃ?

妾が学んでいる時に珍しい」


アル・ムーリフが聞いた。


「そちは余との誓いを覚えておるか?」


アル・スハイルが聞く。


「忘れたことなどない……

あの時のことは……


忘れられるはずがなかろう」


アル・ムーリフが言う。



「さすれば

そろそろ良いと思わぬか?

アトリアロフも元の賑わいを取り戻した


だが……


父上と母上を失ったあの様なことが

まだ他の街で繰り返されておる……


余とそちの誓いのもとに

立ち上がらぬか?」


アル・スハイルが静かにアル・ムーリフを見て言った。


 その瞳は優しさと悲しみに満たされ、アル・ムーリフに訴えていた。


 まるで今まで我慢していた様にアル・ムーリフにその目で訴えていた、誇り高いアル・スハイルはその悔しさに涙も流すことに耐えていたのだ。


 そのアル・スハイルが耐えきれない様に涙を溜めているのに、アル・ムーリフは気付いた。



「よかろう

我らの誓い……

永遠に果たし切ることは

出来ぬかも知れぬ


だが……

ほかならぬ姉上の望みじゃ」


アル・ムーリフが小さく微笑みそう答えた。



 二人は見つめ合い静かにあゆみ寄り、抱きしめあった。




「いま行くのはお邪魔かな?」


 ちょうど遊びに来た大星アルタイルは金色の大鷲の姿で二人の上空を旋回していた、その光景はまるで二人を祝福しているようであった。





 そして二人の長い長い戦いが始まった。





 アル・スハイルとアル・ムーリフはアルタイルから話を聞いて、怪しい動きをしている星を調べ始めた。


 中にはアトリアロフを襲った者と違い、鉄の船では無く生身で星々を渡ろうとしている虫のような者達もいた。


 その者達もやはり増えすぎて、他の星に侵略しようとしていた、溢れる命を維持する為とはいえ、やはり彼らが通った星は食い尽くされてしまっている。


 アル・スハイルとアル・ムーリフは誓いの星の力を使い戦い始めるが、まだ成長しきってない二人には荷が重すぎたか、それを見かねたアルタイルが黙って手を貸してくれた。


 その様に様々な星で二人は戦い始めた、次第に実力をつけていき、数億年経ったある時、一度押さえ込んだはずのメビウスと言う星の者達が、再び星海に現れた。



 彼らは過去の敗北に習い、良く学び強力な力を持って、戦いを挑んだ星海人達を葬っていき、ついに大星アルタイルと大星ベガが再び手を組んで対峙した。



 だがその二人でも苦戦していたのだ。



 メビウスの一部の手の者がアトリアロフに近づいて来たことを、アル・スハイルとアル・ムーリフは知った。


 すぐに二人はアトリアロフの人々を逃がそうと、隣にある街アズベルに人々を向かわせた。



「どうじゃアズベルは

我らの街の者を

受け入れてくれると言うたか?」


アル・スハイルがアル・ムーリフに聞いた。


「姉上

まだ返事は来ておらぬ……」


アル・ムーリフが静かに言った。



「まぁ良い……

余とそちで倒せば良いのじゃ


今はあの時と違うのでな……」


アル・スハイルがそう言い、アル・ムーリフは静かに頷いた。


 二人は力を得てから実戦も積み自信がついて来ていた、二人一組で戦い続けたせいか常に生き残り、実力を増して来ていたのだ。



「我らの誓いの前に……」


アル・ムーリフが静かに言う。


「敵はおらぬ……」


アル・スハイルが言い、二人は微笑んでいた時、屋敷に仕える者が慌てて来て叫ぶ様に言った。



「アル・スハイル様っ!


アル・ムーリフ様っ!


大変ですっ‼︎

メビウスの者達が

我らの民に攻撃を仕掛けております‼︎」


「なんじゃとっ‼︎‼︎」


 アル・スハイルは大きな声で言い、すぐに飛び出して行き、それにアル・ムーリフが続いた。



 二人はアトリアロフから飛び立ち、すぐにメビウスの者達を見つける、彼らは魔法を使い星海を星海人の様に移動しているのだ。



「我が誓いのもとに

我が星よ……


殺戮の力を貸し与えよっ‼︎」


 アル・スハイルがそう呟いた、誓いの双子星は星の中でかなり特殊であった、それはその願いを叶える様に星の光を変換されるのだ、癒しを求めれば癒しを、殺戮を求めれば殺戮をそう言った様に対照的な願いでも、変換して与えてくれるのだ。



「我誓いの一星

アル・スハイルッ‼︎‼︎」


 アル・スハイルが叫び、赤く輝く誓いの星がアル・スハイルの背後に現れ、凄まじい数の赤い光線が走りメビウスの者達を襲った。


 メビウスの者達は魔導士でない動きをし、中には躱す者が居てアル・スハイルとの距離を縮めて来たが、アル・ムーリフがサーベルを持ち斬りかかる。


 アル・スハイルが支援する様に後方から、光線を放ちアル・ムーリフは美しく剣を振る、だがアル・ムーリフに向けられ黒い稲妻が走り、するとアル・ムーリフの背後に紫に輝く星が現れ、紫の稲妻がそれを受け止めそれを放ったメビウスの者はアル・スハイルの赤い光線に貫かれた。


 暫く彼らとの戦いの間に、アトリアロフの人々は自らの街アトリアロフに戻り初めてしまう。


 アズベルの街まではまだ距離があり、逃げきれないと思ったのだ。


「アル・スハイルさま

どうかお守り下さい……

アル・スハイルさま……」


 一人の星海人がアル・スハイルの背後で懇願した。



「解ったっ!

はよう戻るが良いっ‼︎」


 アル・スハイルはすぐに答えた、アル・ムーリフを支援しなくてはならない、そしてこちらに向かって来る人々を守らねばならない……。



(手が足りぬ……

いまアトリアロフを襲われては……

メビウス…許さぬ……

余の民を傷つけおってっ‼︎‼︎


恩を仇で返しおって‼︎

許さぬっ‼︎‼︎)


 アル・スハイルはそう怒りを覚え始めていた、だが人々がアトリアロフの街に逃げ込み始めたが、そのタイミングを見計らったのだろうかアトリアロフの向こうから、アル・スハイルに目掛けて、人々も巻き込み凄まじい火球が放たれた。



「おのれっ‼︎」


 アル・スハイルは出来る限り星の力を解放し、出来るだけ前に、人々の前に障壁を出して守ろうとしたが、我先にと街に向かった人々を守りきれなかった……。


「……………

…………」


 アル・スハイルがそうして人々を守ろうとした分、数多くのメビウスの兵達がアル・ムーリフに襲いかかったが、アル・ムーリフは何かを呟いていた。


 アル・ムーリフは動かず下を見たまま静かに言っていた。


「我誓いの一星

アル・ムーリフ……


我が星よっ‼︎‼︎


我が怒りを受け止めよっ‼︎‼︎」


 アル・ムーリフの呟きのような声は最後には叫びのようになり、その直後に背後の紫の星が輝いてその光が集まり、襲おうとした者達が一瞬で吹き飛ばされた。


 そしてその光はアル・ムーリフのサーベルに宿り、それを振りメビウスの者達に斬りかかった。


 その斬撃はサーベルとは思えない程重く、一振りで敵を両断して行く、そして魔法のような攻撃には紫の星が稲妻で受け止めて、押し返し躱すことも許さずにメビウスの者を焼き尽くしていった……。


 アル・スハイルはそれを見て火球を放った敵達に向けて反撃を開始した、人々はアル・スハイルの近くに集まりはじめ人数が多すぎて、アル・スハイルの力ではまだ守りきれなかった。



 そして、二人が奮闘している間に敵が何か騒ぎ始め、そして退き始めた。



 敵がなにかを指差しを騒いでいる。



アル・スハイルはそれを見て舌打ちをした、その先にはアルタイルが大鷲の姿で凄まじい勢いで飛んで来てくれていた。



 アルタイルが現れ、金色の羽を飛ばしメビウスの者達に襲いかかる、敵は魔法のシールドを張り逃げ出していく。


 それに乗じてアル・スハイルとアル・ムーリフは追撃をかけるが、多くを逃してしまう。



(余とアル・ムーリフで

追い払えないものを……


大星……


その力っ!

必ず手に入れて見せるっ‼︎‼︎)


アル・スハイルは悔しい想いが心の底から溢れ出していた。



 アトリアロフの街は街そのものの被害は少なかったが、人的被害は大きいものであった。


 アル・スハイルはすぐに亡くなった人々を調べ、立て直しを図る、そんな中アル・ムーリフは街を歩き、一家全員が命を落とし無人になってしまった家が目について仕方なかった。


 それはかつてこの街が襲われた時より、遥かに被害は小さいものだが精神的に苦しくなってしまった。


 邸宅に戻りアル・ムーリフは呟いた。



「どうすれば

こうならないのかな……」


アル・ムーリフは素直に思ったことを呟いていた。



「大星になれば良い……」



アル・スハイルが呟いた、アル・スハイルが力だけを求めた言葉だった。


「大星……」


アル・ムーリフが呟く。


「そちと余が大星になれば……

迂闊にこの街に手出しはしまい……」


アル・スハイルがそう静かに言った。




 そしてアル・スハイルは考えられる全ての立て直しの指示を、邸宅に仕える者に渡し、アル・ムーリフを連れてメビウスの星に向かった。


 復習をする気でいたのだ。


 それを聞いたアルタイルとベガは直ぐにメビウスに向かった。


「気でも狂ったか

あのじょうちゃんは……」


ベガがアルタイルに言った。


「解らない……

あの二人は決して弱くない


でも……

あの星は危ないっ‼︎‼︎」


 アルタイルはそう言い、凄まじい勢いで飛んでいった。


 メビウスの者達は予想を超えるほど魔法が発達していたのだ、この発達ぶりは誰も予想していなかった、放って置けないと考えていたベガとアルタイルは同じ大星シリウスに声をかけ、その他の大星にも呼びかけていたのだ。





「メビウス

余が見逃してやったと言うのに……


その恩を忘れおってっ‼︎」


 アル・スハイルはメビウスの青白い星を見下ろし、怒りを込めて言ってた。


 それはアル・スハイルとアル・ムーリフは5000年ほど前に、この星から星海を攻撃した者達を討伐し、この星の一部を攻撃したのだが、彼らは降伏しアル・スハイルはそれを受け入れ見逃したのだ。



「許さぬっ‼︎‼︎」


アル・スハイルはそう大きな声で言い唱え始めた。


「我が誓いの元に

我が星よ……


大星の輝きを死の光に変えよ

全てを生み出し光の波よ……


我を裏切りし者達に裁きを与えよ」



 その言葉を聞いてアル・ムーリフも全く同じ詠唱を唱えた。



「我が誓いの元に

我が星よ……


大星の輝きを死の光に変えよ

全てを生み出し光の波よ……


我を裏切りし者達に裁きを与えよ」



 そして二人は声を揃えて唱え始める。



「我らの道に

悲しみを運ぶ者を裁かん


我らの道に

悲しみの涙を運ぶ者を裁かん


我らの未来を

汚し破壊せし者を裁かん」


 二人がそう唱え二人の背後に、それぞれの星が現れるが高速で二つの星が回転し円を描き出している。


「我らの苦しみは共にあり

我らの涙は共にあり


我らの喜びと願いは共にあり


我らの生は共にあり

我らの死は共にあり」


 二つの星は加速し、赤い輝きと紫の輝きが混ざり合って行く。



「我らに与えよ

我らに裁きの力を与えよ


我らは誓いの双星なり」


そう二人は唱え、身も心もシンクロし手をメビウスの星に向けて静かに冷たい声で言った。



「死を持って償え……」



 その直後、赤と紫の輝きが混ざり合ったまま、二人の星が描く円は二人の前に出てその光が巨大な光線になり、メビウスの星を襲った……。


 その光線の輝きは、アルタイル達にまで届いた。


「なんだあの光は……

超新星爆発でも起きたのか?」


ベガが言った。


「違う……」


アルタイルが心配そうな顔で言った。



 二人の放った巨大な光線は、メビウスの星を貫通はしなかったが、街一つほどの巨大な穴をあけた。


 そしてアル・ムーリフは左手で、その光の輪を広げ、アル・スハイルは右手で光の輪を広げ、さらに大きな光線を放った。


 その光線は別の場所に更に巨大な穴をあけた。


「いまのは星の悲鳴……

いけないっ‼︎‼︎」


 アルタイルはそう叫び、すぐに加速して二人の元に向かった、二人の攻撃にメビウスの星が悲鳴をあげたのだ、アルタイルは信じられなかった、アル・スハイルとアル・ムーリフの二人が星に悲鳴を上げさせるだけの力があるとは思えなかったのだ。




 そして二人の攻撃に、メビウスの者達が反応して凄まじい数で星海に飛び出して来たが、二人は動じる事なく全く同じタイミングでメビウスの星に向けていた手を拳の様に握ると、赤や紫の輝きでその者達は包まれ苦しみ始めた。


「やはり…妾達……

星海人と同じ息をしておったか……」


アル・ムーリフが言った。


「よくぞ

それに気付いたのぉ……

ダークマターに……」


アル・スハイルが冷たい声で言った。



 星海人は星海にあふれる、ダークマターを酸素の代わりに呼吸しているのだ、その息は自らの星とも繋がり力を引き出してくれるのだ、例え星に降りて普通に空気を吸っても生きられるが、星の力を使う時はダークマターで息をするか、自らの体内に蓄えたダークマターを使うかで使うことが出来るのだ。


 メビウスの者達はどの様に気付いたのかは解らなかったが、それの存在とそれで呼吸が出来ることに気づき、その魔法を編み出していたのだ。



「我ら姉妹からの褒美じゃ……

受け取るが良い……」



 アル・スハイルがそう言い、二人は握ったその拳をより強く握ると、メビウスの者達を包んだその光が小さくなり、中に閉じ込められた者達全て消し去ってしまった。



 その行為を二人は復讐として行っていた。



 そして二人は手を広げ、二人の光の輪を無数に分裂させリング状に星を包囲してしまう。


「誰一人とて逃さぬ……」


 アル・スハイルはそう呟きその星に向け、全ての光の輪から光線を放ち、次々と街を攻撃してメビウスの星に根付いたその者達の文明を滅ぼしてしまった。



「そうか……

滅ぼして仕舞えば良いのか……

これで二度とあ奴らが

星海に現れる事はない


簡単なことではないか……」


アル・スハイルはそう言い笑い始めた。


 アル・ムーリフはその姉の姿を見て、何か変わり始めたことに気付いたが、一時のことだろうと思いその場を二人は去って行った。



「これが……

あのメビウスなの……」


 二人が去った後にアルタイルがメビウスに着き、その変わり果てた姿を目の当たりにして呟いた。


 既に青く輝いていた星の姿は、いくつもの巨大なクレーターがあり、光の当たらない場所を見ても街の灯り一つ無かった。


 アルタイルは二人が星へ直接攻撃を行った様に思え、本当にあの二人がしたのか疑うが目の前の現実を受け入れるしか無かった。



「これは派手にやったな……

だがあいつらはこの星海を脅かした


その報いを受けたとおも……」


ベガがそう言おうとした時、アルタイルは叫んだ。



「そんなんじゃないっ!」


「アルタイル……」


ベガがアルタイルを見て小さな声で言う。



「ベガ……

聞こえなかったのか?

この星の悲鳴を……


あいつらは滅びたが

この星も死にかけている

一歩間違えば

この星が死んでいたんだ……


あいつらの罪は否定しない

でも……

この星には罪はない」



 アルタイルはそう言い、あの時アル・スハイルを助けるために必死に飛んだことを思い出した。


「こんなことを

させる為に助けたんじゃない……」


 そう言いアルタイルはアトリアロフに向かって飛んで行こうとしたが、それをベガが止めて言った。


「アルタイル

それはあの二人の問題だ

今は様子を見ればいい……」


 ベガは同じ大星シリウスも、同じ様に星ごとと思える様な攻撃を好んでいるのも考えそう言った、ベガはアルタイルとシリウスが争う様なことはさせたく無かったのだ。



 二人はアトリアロフに戻り、邸宅の庭でコーヒーを楽しんでいた、だがアル・ムーリフはアル・スハイルの態度に疑問を持ち始めていた。


「姉上……

少しやり過ぎたのではないか?」


 アル・ムーリフは動揺を隠し悟られないように聞いた。


「余はそうは思わぬ……


あやつらは……


戦うことも出来ぬ民を襲ったのだ

その上に余が与えた慈悲を

踏みにじりおった……


足りぬくらいじゃ……」


 アル・スハイルのメビウスの星に住んでいた者達への怒りは、もっともに聞こえた、確かにアル・ムーリフも彼らに対しての怒りは憎しみに変わろうとしていた、だが彼らを滅ぼした後の星の姿が、悲しみを物語っていたように見えて仕方なかったのだ。


「姉上はあの星の姿を見て

何も感じなかったのか?」


アル・ムーリフが聞いた。


「そんなことはない

哀れに思えたが考えてみよ


これで余とそちの街は

あやつらに襲われる事はない

それは事実だとおもわぬか?」


アル・スハイルは静かにそう言った。



 確かにその事実は受け入れるしかない、それでもアル・ムーリフは何かが自分の中で引っかかっていた。



 その想いが募りながらもまた長い時が流れる、それ以降アル・スハイルは星海に進出して行く者達をアル・ムーリフと共に戦い力を増していき、やがて二人は揃って大星と呼ばれるようになっていた。


 だが深い因縁か街を守りたい想いかアトリアロフに近づいた者達には容赦しなかった。


 そんな戦いの中でメビウスの星にまた高度な文明が現れ始めた。


(メビウス……

繰り返すと言うのか……)


 アル・スハイルはまだ星海に乗り出さないその文明に攻撃を仕掛けるために、アル・ムーリフとその星に降り攻撃し始めてしまう。



 それは反撃も出来ない、星海人と戦う術を持ち合わせない者達への虐殺にしかならなかった。


 空から攻撃をしていたアル・ムーリフは疑念を強く持ち始めていた。


(何をしているの?

この人達が星海に現れるかなんて

解らない……


それなのに……)


 アル・ムーリフがそう思っていた時、ふと瓦礫の下敷きになった女性を助けようとしている女の子が目に入った。


 アル・ムーリフは昔のアル・スハイルを助けようとした自分の姿と、その二人の姿を重ね合わせて見ていた。


 無意識のうちに手をスッと振り、紫の光線がアル・ムーリフの星から放たれ、その瓦礫にあたり優しく砂に変えていた。


(わたし…いま……)


 アル・ムーリフは自分の行動を疑った、自分の心に疑ったが、答えはすぐに出ていた。


 アル・ムーリフはどうするべきかを考え始めた、アル・スハイルを止めるべきか、見過ごし自らはこの場を離れるか……姉妹として互いに仲良くして来たアル・ムーリフは、たった一つ変わり始めた姉のことがあの日から引っかかっていた。


 だがそれがハッキリして悩んでしまっていた時、アル・スハイルがアル・ムーリフが助けた二人の女性を斬り殺してしまった。



「なにをしておるのじゃ

狙いを外したのか?」


 アル・スハイルがそう言った時、凄まじい勢いで金色の羽がアル・スハイル目掛けて放たれた。


 大星アルタイルがアル・スハイルを止めに来たのだ。


 アル・スハイルはその羽をサーベルで斬り落とし、アルタイルを見た。



「アル・スハイル

何してるんだよ……」



アルタイルがアル・スハイルに聞いた。



「これは不思議なことを聞くのぉ……

見ての通り後の脅威を

摘み取ってるに過ぎないが


余のやり方に不都合でもあるかの?」


アル・スハイルは冷たい目でアルタイルを見ながら言った。



「わたしが間違ってた……

あなたを助けなければ

この人達はまだ生きていられた……


わたしが間違ってた……」


アルタイルが目に悲しみを浮かべ呟いた。



 その想いはアル・ムーリフに痛い程届いた、だが姉妹としてアルタイルの肩をこの場で持つ事は出来なかった。


 アル・スハイルを一人にしたくなかったのだ。



「ほう……」


 アル・スハイルがそう言った時、アルタイルはアル・スハイルに襲いかかった。


 人の姿のまま金色の翼をはためかせ、まるで天使の様に美しく、金色に輝く自らの生体エネルギーを剣に変えて斬りかかった。


 アル・スハイルはそれをサーベルで受け止め、蹴り飛ばすがアルタイルは翼をはためかせ、真上からその剣を振り下ろすが、サーベルで受け止められた瞬間に、翼から金色の羽を無数に放った。


 至近距離から放たれたその羽を、アル・スハイルの赤い星が光線を放ち全て撃ち落とし、そのまま、アルタイルの翼を撃ち抜いたがアルタイルはそのまま着地し、アルスハイルのサーベルを押し返しそのまま剣で貫こうとするが、アル・スハイルはそれを躱しサーベルの柄でアルタイルの手首を叩いた。


 アルタイルは剣を離すが、その手でアル・スハイルの手を掴み、逃がさない様に腹部を蹴り飛ばした。



「かっ……」


 あまりにも重い衝撃がアル・スハイルを襲い、体勢を崩したがアル・スハイルはその手を振り払い、アルタイルの顔面に目掛け星の力を込めて殴りかかった。


 その拳は赤い光を纏い、アルタイルの頬に命中したがアルタイルは動じなかった……。



「大星を舐めるな……」



 アルタイルはそう呟き、凄まじい殺気を放ちアル・スハイルを睨み殴り返した。


 アル・スハイルは飛ばされながらも、体勢を立て直し着地した。



(なぜじゃっ!

なぜこれ程までに強い‼︎‼︎)


 アル・スハイルに戸惑いの色が見え始めた時、凄まじい勢いでアルタイルは突進して来て飛び蹴りを入れようとした時、その足は一瞬で鷲の足になり、そのアル・スハイルの顔を掴もうとしていた。


 アル・スハイルは躱そうとしたが、アルタイルは逃さずに、その足で右肩を掴んだ、鷲の爪がアル・スハイルの肩に食い込み、激痛が走るが声も出さずに意思の強い目で、アルタイルを睨み左手にサーベルを持ち替え、その足を斬り落とそうとしたが、アルタイルは素早く離してそれを避けた。



 アル・スハイルは何も考えることが出来なかった、アルタイルの強さに対応するのが精一杯で考える余裕など無かった、あまりの素早い連続攻撃に、必死に食いつくことしか出来なかった。



 アル・スハイルの星が赤いの光線放つが、それを簡単にアルタイルは躱し、凄まじい勢いで距離を詰めているが、その目から涙が溢れているのにアル・ムーリフは気付いた。


 アルタイルは金色の剣でアル・スハイルの首を狙った時、アル・スハイルは突き飛ばされ、その剣をアル・ムーリフのサーベルが受け止めた。



「姉上の命は渡さぬ……

妾の命に変えても渡さぬっ‼︎‼︎」



 アル・ムーリフがそう叫んだ時、アルタイルはアル・ムーリフの瞳が悲しみと戦っているのに気付いた。


 他ならぬ姉の過ち、アルタイルはそれを止めようとしてくれている、だがそれは自分がするべきことであると感じていた。


 だが気付かせる方法が無いか、アル・ムーリフはそれを探していたが解らなかった。



「アル・ムーリフ

邪魔しないで下さいっ‼︎


アル・スハイルはいつか

凶星になってしまうかも知れません

そうなる前に止めなければっ‼︎‼︎」


アルタイルが叫ぶ様に言った。



「妾は退かぬ

姉上との誓い……

それを守らねばならぬっ‼︎」


 アル・ムーリフが叫び、アルタイルの剣を押し返した、アルタイルはその気迫に押された時、アル・ムーリフは素早く突きを放ったがアルタイルはそれを躱しアル・ムーリフを蹴り飛ばした。



 だがアルタイルはアル・スハイルにもアル・ムーリフにも襲い掛からなかった……。



「アル・ムーリフ

その誓いを……忘れないでね……」



 アルタイルはそう呟き、輝く翼を広げその場から飛び去って行った。


 アルタイルは、二人が誓い合った時を思い出していた。


 二人が生も死も共にある中で、その先に未来があると信じる様に誓い合ったあの時。


 全てが儚く散りゆく様に目の前に悲しみしか無い、その中で何かを信じるように美しく誓い合っていたあの時を……。



 アルタイルはそれを鮮明に思い出し、星が輝く星海を力強く飛び小さく呟いていた。




「信じるしかないか……」



 


誓い合う星  完

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