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第一章 第12話 大星アル・ムーリフ




 ガイアは全力で剣を振っていたがアルタイルには歯が立たない、アルタイルからすれば遊びにもなっていない、ガイアはそう感じていた。



「その剣…いい剣だね……

名前はなんて言うの?」


アルタイルが小さな笑みを浮かべて言った。


「名前なんてねぇよっ‼︎」


ガイアがそう言った時、ステラとアルナイルが少し残念そうな顔をしたのにガイアは気付かなかった。


「ふーん

勿体無いね……」


 アルタイルが言いガイアの剣を押し返し、見えない速さでエストックを振り、ガイアの紫の剣を持つ手を叩いた、ガイアは凄まじい痛みに襲われるが、剣が輝きガイアの手にまるで吸い付くように離れなかった。



「剣が可哀想……

すごい気持ちがこもってるのにね」


 アルタイルがそう言いながら、エストックの柄でガイアの顔を力強く叩いた、ガイアはよろめきながらも、アルタイルを蹴り飛ばそうとするが躱されてしまう。



(アル・ムーリフ様の言う通り

間違いなくハダルね……


でも人間の身体で

あの力を一度使ってる見たいだけど

大星(たいせい)の力を何度も使えば体が保たない


だから記憶は眠り続けてるのかな?)


 アルタイルはそう思いながら、食いついてくるガイアの攻撃を舞うように躱している。


「アルナイルちゃん

ちょっと目覚めさせていいかな?」


 アルタイルはそう言いながら、ガイアを遊ぶ様にお尻で突き飛ばした。


「えっえぇ……」


アルナイルは戸惑いながら答える。



「それじゃちょっとだけっ!」


 アルタイルはそう言いながら、美しい翼を広げ、羽を一本だけ抜き怒り狂う様に飛びかかって来たガイアに投げ、その羽根はガイアの額に刺さり消えた。


 ガイアは一瞬体の中に金色の稲妻が走った気がしたが、今までにない力を感じた。


 そしてそのまま飛びかかり、紫の剣で斬りかかるが、アルタイルは鮮やかに躱したが、その躱した位置に一瞬で足の大きさの蟻地獄が現れ、アルタイルの足を捕らえた。


「さっすがっ」


 アルタイルはそう言い、ガイアの剣をエストックで受け止めた時、もう一本のアルナイルが送った剣がアルタイルの腹部を狙い振られていたが、凄まじい音を立てて受け止められていた。


 アルタイルの左の翼が受け止めたのだ。


「惜しかったね」


 アルタイルは笑顔で言った。



「テメェッ‼︎」


 ガイアが叫んだ時、アルタイルの右の翼が襲いかかりガイアは紙一重で躱した時、アルタイルは蟻地獄にとられていた足を引き抜きいたが、その足は鷲の足になっていた、アルタイルはそのまま蹴り上げ、ガイアの顎を狙い、命中したがガイアの頭が砂になり飛び散った。


「よしっ!」


アルタイルは、ガイアの力の一部が目覚めたのを確認してそう言った。



「よしっじゃねぇよっ‼︎‼︎

マジで危なかったじゃねえかっ‼︎」


ガイアが叫んだ。



「まぁまぁ

君はもっと強くなれるよ


それは私が保証してあげる」


アルタイルはそう笑顔で言ってステラに歩み寄って更に言った。


「本気を出した

ステラちゃんに敵うか解らないけどね」


「はぁ?

わたしっ⁉︎

ガイアに敵うはずないでしょっ!」


(アルタイルッ

余計なことをっ‼︎)


ステラは戸惑いアル・ムーリフは慌てていた。


 その様子を見ていたアルナイルは、アルタイルとアル・ムーリフの関係が主従関係では無い気がしていた、どちらかと言うと友達みたいに見えたのだ。


(二人ってどんな関係なんだろう?)


アルナイルはそう思っていた。



「ステラ

次の依頼はお前も手伝えよ

いいな……」


ガイアが冷たい目で言う。


「ちょっ!

ガイア何本気にしてるのよっ‼︎

アルタイルさんも

そんな冗談言わないで下さいっ‼︎」


ステラが慌てて言ったがアルタイルは自然に言った。



「いつか解ります


わたしはこの星で

運命が変わる気がします


だからお二人とも頑張って下さいね」


 そのアルタイルの言葉が、不思議とその場にいた全員の心に美しく響いた。


 ガイアも小さく微笑みアルタイルに言った。


「また相手になってくれよな」


「はい喜んで」


アルタイルは笑顔で答えてくれた。



 そしてアルタイルも邸宅に招かれ、神殿書庫に案内されてアルタイルは目を丸くした。



「これを……

全部調べるのですか?」


アルタイルが大量の蔵書を前にして呟く。


「う…うん……」


アルナイルが困った顔で頷く。



(アル・ムーリフ様……

アル・ムーリフ様は

手伝ってくれないのですか?)


アルタイルはそう思いながらステラを見るが、ステラは、?と言う顔で首を傾げている。


「では始めますね……」


アルナイルが呟き、本を何冊も用意し始めた。


「アルナイルちゃん

少しづつ持って……」


 アルタイルは分厚い本は読むのに時間がかかると思ってそう言いかけた瞬間、アルナイルは凄まじい勢いで速読し始めた。



(お兄ちゃんのためならぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎)


「いぃぃぃぃっ‼︎‼︎」


 アルナイルの気迫にアルタイルは素直に驚いた、そしてステラを見た瞬間、アル・ムーリフがアルタイルを見つめている気がしたアルタイルは急いで本を運んで来て、速読し始めた。



(負けられないっ大星としてっ

アル・ムーリフ様のお役に立たねばっ‼︎


ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎)



 アルタイルとアルナイルは競う様に、凄まじい勢いで次々と本を読み漁って行く。



「星海人って読書好きなのか?」


ガイアがステラに聞いた。


ステラは二人の凄まじいペースを見て呟く。


「解らないけど

ふつうじゃないわね……」



(お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎)


(ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎)



「とりあえず

じゃまにならないように

上に行こうぜ」


ガイアがステラの耳元で言う。


「そうね

私達なにもできないし……」


ステラが同じようにガイアの耳元で言い、二人は一階に上がって行った。




 そして暫くし夜になり、ガイアが二人を夕食に呼びに行ったが二人のペースは衰える事なく、まるで突き進むかのように読破し続けていた。



「二人ともお疲れさんっ

そろそろ飯だぜっ!」


ガイアが二人に気付くように大きな声で言った。


「はいっ‼︎」


 アルナイルとアルタイルは声を揃えて返事をした、まるで長時間同じ環境で読みふけたせいか、息もピッタリあった返事でガイアは驚いていた。



 三人が食堂に来た時ステラも配膳を手伝っていた。



「二人ともお疲れ様

好きに座ってね」


 ステラが言いみんな適当に座ったが、手前の方にステラ達四人が座り、その後に他のメイド達(精霊達)が座った、今はセプテント家の当主サラスがリオー国の王都に出かけていたのだ。


 ガイアが食事はみんなでと言う考えだったので、メイド達も一緒に食事を取ることになったのだ。



「いただきます」


みんなが声を合わせて言い、賑やかな食事になりガイアがアルタイルに気になっていたことを聞いた。


「アルタイルさん

剣に名前をって言ってだけど

何かあるのか?」



「うんっ

ガイアさんの剣だけど


ステラさんと

アルナイルちゃん

二人の気持ちがいっぱい

こもってるよね?


そんな気持ちがこもってるんだから

名前をつけてあげてよ


女の子だって

名前で呼んで貰えると

嬉しいのと同じで


剣だって

名前を貰えると頑張れるんだよ」


アルタイルはそう教えてくれた。



 ステラとアルナイルはそれを聞いて、うんうんと頷きガイアを見た、ガイアはまるで二人が大事にしろよ、と言っているように思えた。


「なるほど……」


ガイアは二人を見て呟いた。


「そうっ

だから気持ちを込めて

名前をつけてあげてねっ!


そうすると剣が今までより

頑張ってくれるよ」


 アルタイルは肉料理を食べながら話してくれている、その性格は活発そのものであった。



「アルタイルさんって

アル・スハイルと

戦ったことあるんですよね?


どうなったんですか?

一歩も退かなかったって

言い伝えられてますが……」


アルナイルが聞いた。


 ユーファも他の精霊もその話は初耳で、強い興味を持ったが……。



「ぼこぼこにしてやったよ」



 サラリとアルタイルは言った。


「じゃぁっ!」


ユーファが立ち上がり声をあげたが、アルタイルはすぐに笑顔で言った。



「80億年くらい前だけどね

もっとかな?

とりあえずこの星が生まれるより

ずっと昔にねっ」



「…………」



 その場にいた全ての者が沈黙し、全員が同じことを思ったが、ガイアが一番強く思っていた。



(おまえ幾つだよ……)



「星海人は不老不死なのですか?」


ユーファが自然に思えた質問をした。



「不老だけど……

不死ではないかな……


大体の星海人は五億年くらいで

体の成長が止まるの

あとは10億年くらいで

そのままの姿で寿命っていうのかな

死んじゃうけど



星に見初められた者は

精霊みたいな存在になるのよ」


アルタイルが話してくれている。


「精霊……」


ガイアが小さな声で言った。



「えぇ……

星にも寿命はあるわ

でも星海人を見初めた星は

星海人と繋がるために


同じダークマターを呼吸し始めるの

そうすると

星と星海人はダークマターで繋がれ

どんなに離れていても

繋がり続けるのよ


そして星もダークマターを

エネルギーに変えて

生き続けるのよ


するとあら不思議


その星は永遠に輝いて

星海人も同じように

長い間生き続けられるのよ」



アルタイルが星海人の秘密を、簡単にだが教えてくれている、


「だから沢山の星海人は


星海に旅に出るのよ

自分を見初めてくれる星を探して

でも星は同じ魂の輝きを持ってる人しか

見初めてくれないの


星に見初められるって言うことは

本当に大変なことなのよ」



 アルタイルは色んなことをその後も話してくれた、そして食事が終わる頃にユーファがアルタイルに一つ頼むように聞いた。


「もし……

アル・スハイルが

この星を

本気で攻撃をしようとした時


アルタイル様は戦ってくれるのですか?」



 ユーファは、アルタイルがアル・スハイルと戦うことを避けている様に感じていたのだ、精霊だからだろうかアルタイルが本当のことを話し続けてくれたのは感じたが、アル・スハイルのことから避ける様に遠ざかるように話していたので確信していたのだ。



「わたしは

アル・スハイルとそう簡単に

戦う気は無いかな


わたしの主人の姉君だからね

でもアル・スハイルに手を貸す気は無いよ

わたしの主人は

それを望んで無いからね


私が次にアル・スハイルと戦う時は

アル・スハイルを止める時かな……」


初めてアルタイルが顔を曇らせて言った。


 今までの明るさから見れば、アルタイルとアル・スハイルには深い関係があるようであった。


(アルタイル……

その様なこと妾がさせぬ


そなたは姉上の手星だけを

相手にすれば良い……)


 ステラの中でアル・ムーリフがそう呟いていた。


「アルタイル様の主人って

どんな人なのですか?」


 ユーファが聞いた、ガイアもそれに興味を持った、あれだけのことを平気でするアル・スハイルの妹は考えが違うようで、その手星の一人がこれだけ友好的にしてくれるからだ。


「アル・ムーリフ様は

アル・スハイルと

同じ誓いの星を持つお方でいっときは

アル・スハイルと共に

星に生まれた文明を滅ぼしていましたね


ですがアル・スハイルのやり方に

疑問を持ってくれたんです

わたしは姉妹揃って同じ道を

進まないでくれてほっとしたんです」


 アルタイルはアル・ムーリフに聞こえる様に自らの気持ちを言っていた。



「どう言うことなの?

アルタイルさんに

何か責任でもあるの?」


 ステラは自然に聞いた。


「……

それは言えません

すみません……」


 アルタイルはそう言い、また暗くなってしまった。


 その後アルナイルが頑張って、重くなってしまった空気を明るくして、夕食が終わりみんなが寝静まったころ。



 ガイアは一人庭で、剣を夜空の星の輝きに当てて眺めていた。



「名前か……

アルナイル……アルナイル……」


 ガイアはアルナイルを頭にイメージして、アルナイルの剣の名前を考えていた。



 その様子をアルナイルとステラは、邸宅の二階から隠れながら見ていた。


「きっと今考えてるね……」


アルナイルがガイアに聞こえない様に、ステラの耳元で囁く。


「そうね……

アルナイルの剣から考えてる見たいね」


ステラがアルナイルの耳元で同じように囁く。


 ガイアは暫く見つめ剣を鞘に収めた、どうやら決まった様だ。



「ガイアさん

早速考えてあげたんですね」


 ステラとアルナイルがガイアの所に行こうとしたが、それより先にアルタイルが庭に出てガイアに声をかけた。


 ステラとアルナイルは何故かささっと隠れる。



「あぁ……

今まで剣を折ってばかりだったからな

剣に名前をつけるって

考えたこと無かったんだ


二人に悪りぃことしてたなぁって

そう思えたよありがとな」


ガイアが星を見上げたまま優しい顔で言った、それを聞いたアルタイルは優しく微笑み、寝転がっているガイアの横に座った。


(ちょっとそこ私の場所……)


ステラがそう心で呟く。



「あのさ……」


ガイアが言う。


「はい」


アルタイルが答える。



「アル・スハイルって

昔はどうだったんだ?」


ガイアが予想外なことを聞いた、食堂でのアルタイルが顔を曇らせた時、責任と言うよりも何か違うものも背負ってるようにガイアは感じたのだ。


「えっ……」


アルタイルは僅かに驚いたが、静かに懐かしむ様に話し出した。



「アル・スハイルさんも

優しい方でしたよ


いつもアトリアロフって言う

生まれ育った街を守ることしか

考えてなかったです


私も知り合ってから

何度も遊びに行きました

私もあの子を助けて良かったって

思っていました


ですが…あの日から……」


アルタイルは何かに触れそうになると、顔を暗くしてしまう。


「よくわかんねぇけど

昔のあいつに戻って欲しいんだな」


 ガイアは星を見ながら静かに言い、アルタイルは静かに頷いた。


「なるほど……」

ステラが呟き、アルナイルも大切な話だと思って聞いている。




「あいつの妹だっけ?

おまえの主人って……

そのアル・ムーリフも


戻って欲しいのか?」


ガイアは聞くと、またアルタイルは静かに頷いた。



「わかったよ……

昔のあいつに戻れば

この星から帰ってくれるかもしれねぇな


とりあえず一発ぶん殴ってやってから

考える」


 ガイアはいつかアル・スハイルに一撃が届く気がしていた、それはアルナイルが窮地に陥ってから、自分の内にある力の使い方を掴めそうでいたからだ、ガイアは何かを掴みかけていた。



 翌日もアルナイルとアルタイルは凄まじい勢いで、読破に励んでいる、ただ読むだけでなく頭に叩き込みながら、その様子をガイアとステラも見に来ていてた。



「ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼︎‼︎


あ?」


 アルタイルが急に手を止めた、ユーファもちょうどお茶を持って来た時だった。



「ふむふむ

ふむふむふむふむ……」


 アルタイルが何かを見つけていた。


「どうしたの?」


 ステラがアルタイルに声をかけた。



「星海人の起源が書いてある……」


 アルタイルが言った。


「えっ読んでっ読んでっ‼︎‼︎」


 ステラが興味をありそうに強く言った、それはアル・ムーリフも強い興味を示していた。


「へぇ……

星海人にも祖先がいたんだ……」


 ガイアが言った。



「うん今読むね……」


アルタイルがそう言い、かしこまって読み始める。



「星海が生まれ

10億年ほど経った頃に


三つの大星が生まれた



一つはスピカ


いち早く命が育まれ緑豊かで、青い海に包まれ楽園の様な大きな星であった。



一つはメビウス



永遠の時を約束されたその星は、とても不気味な輝きを放ち、スピカとは何もかもが違った。



一つはセプテントリオ



この星は生ける者と言うより、精霊が栄え全ての星の美しさを集めた、そう言っても過言ではないほど、美しい星であった。

 その星はメビウスよりもスピカよりも美しく輝いていた。



 その中でセプテントリオの中で精霊達が、星海に飛び出し始めた、だがある一人の精霊が星海に飛び出してしまった、その精霊はその星の魂を司るとも言える大精霊であった。



 その星は魂を失ったように輝きを失ってしまった、そして精霊の帰らぬその星は精霊達を許した。



 そして巨大で何よりも美しかったセプテントリオは、消えてしまった。


 まるで幻のように消えてしまった」



 アルタイルがそこまで読み、紅茶を一口飲み、何か聞いたことのある話に思えていた、ステラの中でアル・ムーリフはその話の先を見ていた。


 そしてステラは眠くなってしまい、スッと寝てしまった、それと同時に神殿書庫の外にある精霊術の魔法陣が凄まじい光を放ち、その光が神殿書庫まで包んだ。



「なにっこの光っ!」


 アルタイルが驚いたがすぐに気付いた、そして精霊術の魔法陣の方に、丁寧に礼をした。


「お久しぶりです

アル・ムーリフさま……」


 アルタイルが言った。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎

うっそでしょっ‼︎」


 アルナイルは叫んだ時に、その光が収まり、そこにはアル・スハイルと瓜二つだが、髪の色が金色で紫のコートを着たアル・ムーリフがいた。


 アルナイルはステラを見て、ステラの魂が抜けているのに気付いた。



(精霊の力を使って……

身体を作ってるっ!


つか強引っ‼︎‼︎‼︎)


アルナイルは気付いた。



「久しいな

アルタイル……

元気そうでなによりじゃ」


アル・ムーリフがそう言い、アルタイルはそれを聞いてひざまづいて言った。



「アルナイル

星海人ならわかるよね?」



 アルタイルは星海人としてアルナイルにひざまづくように言ったが……。



「いやです」


アルナイルは断った。


「へっ?」


アルタイルは驚いた。



「なんで友達に

膝をつかないといけないの?」


アルナイルは普通に言った。


「友達っ‼︎‼︎」


 アルタイルは驚いた、アルナイルからすればアル・ムーリフは恋敵であるが、既に友達であり平然と拒否していた。


 ユーファはアル・ムーリフが魂の姿ではあるが、仮の身体だと気付いていたが、その溢れる力と存在の大きさを感じていた。



「よいよい

妾とアルナイルの仲じゃ


気にせんで良い


ユーファよ我が姉上に

気を揉んでおるようじゃが

しばらくは気にせんで良い

姉上の手星は

遠出しておるはずじゃからな」



 アル・ムーリフはそう言いながらガイアを見た、ガイアはアル・スハイルの妹、アル・ムーリフを心の底から憎めなかった、それどころか……。



(俺は……

こいつに愛されていた気がする……


ばかなっそんなはずはねぇ‼︎‼︎)


ガイアはそう思っていた。



 ユーファは何も言えなかった、急にこの場に現れたアル・ムーリフの言葉にどう返していいのか解らなかった。


 アル・ムーリフはそれを見て、小さく口元だけで笑って言った。



「さてさっきの話じゃが

妾の知ってることを話そうかの



その精霊達はやがて

星が消えてしまい力を失い

姿を保てなくなってしまったのでな


闇の暗き吐息を

体内に取り込んだのじゃ


それが星海人の始まりじゃ


精霊達が取り入れた

それをダークマターと言うのじゃ」


アル・ムーリフがそう言い、静かに歩いてそのアルタイルが見ていた本を手に取った。



「アル・ムーリフ様

なぜそれを……」


 アル・ムーリフより、長く長く生き続けたアルタイルが知らないことをアル・ムーリフは知っていた。


 アル・ムーリフはそっと優しく微笑み、アルタイルに言った。


「いつまでそうしてるのじゃ

妾の他の手星がおらぬ時は

自然にしておれば良い


そちと妾の仲ではないか


そちだけに姉上のことは押し付けぬ

妾も昔の姉上に戻って欲しい

そう思って姿を消す前に

色々調べておったのじゃ……」


 アル・ムーリフがそう言った時、アルナイルもユーファもアル・ムーリフから姉を思う気持ちと、多くを守ろうとする優しさを感じていた。


「じゃっ……

アル・ムーリフ様は

アル・スハイルを……」


ユーファがやっとアル・ムーリフに聞いた。


「この星を滅ぼさせはせぬ

姉上に解って貰い必ず連れて帰る」


 アル・ムーリフはそう言ったが、その目には僅かに寂しさを思わせるものがあった、アルタイルもアルナイルもそれに気付いた時にガイアが言った。


「わりぃけどその前に

あいつを一発ぶん殴らせろ

あれだけやられて

一発もぶん殴れねぇってのは

マジイラつく……」



 ガイアのそれを聞いたアル・ムーリフは笑いながら言った。


「そちの拳が届けば良いがのぉ」


 そう言ったアル・ムーリフの瞳には、寂しさを感じさせるものは一切なかった。


「さてそろそろ時間じゃな

また来るゆえ

その時を楽しみにしておる


ガイアよせいぜい腕を上げるが良い」


 そうアル・ムーリフは言い、小さな光のたまになり精霊術の魔法陣に向かい、吸い込まれて消えていった。



 すると眠ってしまっていたステラが目を覚まし、まだ眠そうな目で何があったの?と言うようにあたりを見回していた。



「おまえ何してんだよ

すげー奴が来てたってのに」


 ガイアはステラを見て小さく笑いながらで言っていた。


(その人です)

アルナイルは思う。


(ガイアさん

ステラさんがアル・ムーリフ様ですよ)


アルタイルは思っている。



「へぇ?」


 ステラは寝ぼけているようだったが、アルタイルとアルナイルはステラの体から魂が抜けていたのに気付いていたので、小さく笑っていた。


「アル・ムーリフ様

お元気そうでなによりです」


 アルタイルはステラを見てそう呟き、今はその昔より姉のことを深く悩み過ぎていない、そう感じていた。






第一章 ~ 星海人 ~ 完

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