第一章 第11話 大星アルタイル
その日の晩は星海人のことで話し合おうとしていたが、ガイアがそのまま寝てしまったので翌日朝から話し合うことになった。
皆が寝静まったあと、ステラが一人で砦の門から出て身軽に飛び次々と屋根を渡り最も高い塔の上に立った。
アル・ムーリフのようだ……。
ステラの素早い動きに、見張りに出ていた精霊達は気付いて居なかった、ステラの右手のひらが輝くと、ハダルが送ったサーベルが現れそれを握り空に向けた。
「我が手星アルタイルよ
我が声に応じよ……」
ステラが静かにそう言うとサーベルが輝き、一瞬で紫の光が一直線に放たれ美しい夜空を超え星海に消えて行った。
「何をしてるのですか?
ステラ・アル・ムーリフさん」
アルナイルが気付かれないように背後にいた。
「姉上が
他の手星を呼んだようじゃ
サルガス以外は手強いだろうと思ってな
妾の手星アルタイルを呼んだのじゃ……」
ステラ・アル・ムーリフが夜空を見上げながら言った。
「アルタイル……
大星アルタイルですか⁈」
アルナイルが驚いていた。
「そうじゃ
あやつは妾の手星の中で
もっとも力を持つ
あやつがおれば
姉上も迂闊には手は出せまい
ただ面倒ではあるがな……」
「大星アルタイルと言えば
アル・スハイルとも
争ったことがありますよね……
何でアル・ムーリフさんの
手星として仕えているんですか……」
アルナイルは大星アルタイルが一度何が理由なのかは解らないが、アル・スハイルと戦い一度だけアル・スハイルを退けたことがあり、星海人の中で名を知らない者はいないほどの強者であった。
「まぁ来れば解る……」
ステラ・アル・ムーリフは何か嫌そうな顔をして呟いた。
翌日、ガイアが会議室で目を覚まし、まだ寝足りないのか眠そうにしていた、そんなガイアをエントリアがガイアに割り当てられた部屋に案内して行った。
そして主要な精霊達がその会議室にあつまり、アルナイルを招いて星海人の話をしてもらうことになる。
会議室は昨日と違い僅かだが穏やかな空気になっていた、アルナイルとステラがちゃんと仲直りしているのが空気を変えていた。
「アルナイル様
アル・スハイルは
なぜ攻撃をしてくるのですか?」
ユーファがアルナイルに聞いた、それは星海人が過去にこの星を滅ぼそうとしたことがあり、その延長線上ならばもっと大規模な攻撃のはずで、昨晩のようにあれで去っていくはずがないと考えていたのだ。
「それは解りません……
でも何かあるとしたら
この星に何かあるのかも知れません
かつての戦いで
星々の王セプテントリオが
輝いたそうです……
セプテントリオの星は
幻の星と言われて
あのアル・スハイルも
どこにあるのか解らないのです」
アルナイルが話している。
「セプテントリオって
この国の名前と関係あるのかな……
国名とうちの名前を逆にすると
そのままよね……
偶然かしら」
ステラが言う。
「多分偶然です
でも……
セプテント家は
関係あるかも知れません
まだ調べないと解りませんけど
どう調べていいのか
私には解らないのです」
アルナイルが困った様に言う。
「どうして?」
ステラが聞いた。
「古い文献とか
どこにあるのか解らないのです」
アルナイルが真剣に言う、アルナイルもセプテントリオの星の手がかりが見つかれば、凄いことだと分かっていた、それさえ解ればアル・スハイルを止めることが出来るかも知れない、それだけの価値があるのだ。
「アルナイル様
ステラ様がよろしければ
セプテント家の地下書庫を
調べてみますか?」
ユーファが言った、だがその書庫の存在はステラも知らないらしく、書庫?と言う顔をしていた。
「そんな書庫がうちにあるの?」
ステラが聞いた。
「はい
ステラ様も知っているとは思いますが
セプテント家は
2000年前からある名家で
それ以前は
あの場所に神殿があったのです
その神殿は更に
1000前からありました
その神殿の地下には
書庫があったそうです」
ユーファが話す。
「ねぇ……
何で今までそれを
教えてくれなかったの?」
ステラが聞いた。
「申し訳ありません
その神殿書庫と言われる書庫は
セプテント家の当主に
代々受け継がれて来たのでして
当主になる前のステラ様には
教えるなとサラス様から……
キツく言われておりまして」
ユーファが申し訳なさそうに言った。
「…………
いいわお父様には
私が問い詰めたと言っておきます」
ステラはユーファにそう言った。
「3000年前の本……
読めるのかな……」
アルナイルは素朴にそう思い呟いた。
(まさかステラさんが
アル・スハイルの妹の生まれ変わりで
ハダルお兄ちゃん……
ガイアから取り戻しに来た
なんて言えないよね
でもアル・スハイルも
何かあるって気付いてるみたいだから
アル・スハイルより先に
それを見つける必要はあるわ……
でも……
これってステラさんに
どう伝えれば良いんだろう……)
またアルナイルは伝えにくいことを抱えてしまっていた。
(本当にもう……
アルナイルって隠し事が
苦手なんだから)
ステラは困っているアルナイルの様子に気づいていたが、問い詰める気にはなれなかった。
そして精霊達はフランシスに帰る支度を始めた、もちろんステラ達もだ、明日はになればガイアも多少は疲れが取れてると考え、また西部砦で過ごすことにした。
翌日はガイアも起き、ガイア達と精霊二十人ほどが普通の道で帰ることにした、ついでになってしまうが、クラスト村から逃げれた人達が居ないか探しながらの帰り道であった。
「なんだかな……
こうして安心して帰るって
落ちつかねぇのは……」
ガイアが馬に乗りながら呟く。
ステラとアルナイルはそれを聞いて、僅かに汗をかいている。
「あら……」
先頭を歩いていたエントリアが、何かに気付いて道を外れて森に入って行った。
「エントリアどうしたの?」
ステラがエントリアに声をかけるとガザガサと、森の奥から音がしてエントリアの声が聞こえた。
「みぃっけたっ‼︎」
エントリアがそう言って二人の子供を捕まえて来た、二人の子供は泣いていたがステラを見て泣き止んだ。
「おねぇちゃんだ‼︎」
その子供はあの西部砦でステラ達に花をくれた子供達だった、ステラとアルナイルは子供達に走りよって抱きついた。
「お前たち偉かったな……」
ガイアは子供達に言った。
「え……」
子供達は驚いた、子供達は何もしていなかった、ただ必死に逃げただけだったのだ、でもガイアは褒めてくれたのだ。
「生きててくれて
ありがとってことよ
わたしももう会えないって
思ってたんだから
偉かったね」
ステラがそう優しく言い子供達の頭をなでていた。
ステラはこの二人の子供を西部砦に送る様に、二人の精霊に指示をだした、僅かだがクラスト村の人々は西部砦に逃げることに成功していた、両親がいるかも知れないからだ。
ステラは今後のクラスト村のことを考えていた、村として復興させるのは難しい、だが人々がそれを望めばそうさせてあげたかった。
そしてガイア達はフランシスに帰り、セプテント家に行き、素早くステラはあのメイド服に着替えてサラスの所に行った、サラスはテラスで美しい青空の下で紅茶を楽しんでいた。
「お父様ただいま戻りました」
ステラが丁寧に可愛らしく礼をして言う。
「おぉぉぉぉぉぉ」
サラスは愛娘が理想の可愛らしさを見せたのに感動していた。
「お父様一つお願いがあるの
聞いてくれます?」
ステラがもじもじしながら言った。
「なんじゃ
なんでも聞いてやるぞ」
サラスはとてつも無く上機嫌でステラに歩みよって言う。
ステラは悍ましさを感じながらも、我慢して言った。
「お勉強がしたいので
書庫にある本を
みんなで読んでいい?
いいよね?お父様?」
ステラは少し甘える様に言い、自分が言ったことに鳥肌が立つ。
「ぉぉぉぉぉ
いい子じゃのぉぉぉぉぉぉ
いっくらでも良いぞぉ」
サラスがそう言い、ステラを抱きしめようとして来たが、ステラは小さき微笑みそれを躱して言った。
「では神殿書庫でお勉強してますね」
「っ!そっ……」
サラスはそれを聞いて止めようとした時、ステラがサラスの頭を蹴り飛ばした。
そのハイキックは美しく鮮やかに、容赦なくサラスと言うケダモノを蹴り飛ばした。
「………」
サラスは気絶し倒れ込み、控えていたメイド達もそのステラの蹴りを止めることなく、ふふっと微笑んで見ていた。
「とりあえず
風邪は引かない様にしてあげて下さい
汚らわしい……」
ステラがそう言い。
「はい
ステラ様……」
メイド達は小さくお辞儀をしてそう言ったのでステラはその部屋から退室する。
「みんなお待たせ
お父様からお許しをもらったわよ」
入り口から様子を見ていたアルナイルは思う。
(今……
蹴り飛ばしたのは気のせいなの?
あそこで倒れてるよね⁈⁉︎)
アルナイルがそれを聞こうとした時、ガイアがそっとアルナイルの肩に手を置いた、アルナイルがガイアの顔を見ると、ガイアの顔がひくついている、まるで突っ込むなと言うようであった。
「では神殿書庫にご案内致します」
ユーファがまるでいつものことの様にそう言い歩きだした。
(えっいいのっ!
ほんとうにいいのっ‼︎‼︎)
アルナイルはそう思い戸惑ったままついて行った。
その頃屋敷の入り口にセプテント家が食材をいつも買っている商人が、代金を受け取りに来ていたが、今はサラスが会えないと聞いて笑っていた。
「ハハハッ久しぶりにステラ様に
蹴られでもしたのですかな?
サラス様もお変わりないようですな」
丁度一階まで降りて来たガイア達にその声は聞こえていた。
「ほんとに
いつものことなんだな……」
ガイアが静かに呟き、アルナイルは汗を流しステラは聞こえないふりをしている。
そしてセプテント家の地下にある精霊術の魔法陣のがある部屋に来た、その部屋で精霊術の魔法陣はうっすらとした青い輝きを放ち、松明も必要ないほど、美しく青く照らされていた。
そしてその魔法陣の横を通り、アルナイルは来た階段の正面の壁に違和感を感じた。
「この壁……
ここだけ石の壁じゃ無い」
アルナイルはそう言いながら、その壁に触れた、手触りも冷たさも石そのものであるが、アルナイルは石じゃないと感じていた。
「ユーファさん
少しだけいいですか?」
アルナイルが聞いた。
「えぇ
お好きになさって下さい」
ユーファは微笑んで言った。
それを聞いたアルナイルは数歩さがり静かに手をその壁に向けた、すると少しだげ優しい光が放たれその壁を照らすと、鉄の扉がその壁に見えた……。
「光を曲げて隠していたのね
これは星鉄塊で出来た扉です」
アルナイルが言った。
その扉は美しく錆ひとつない、とても3000年前からある扉には思えなかった、そしてその扉の真ん中には、星々を表すのか美しい宝石がはめこまれ、その星と星が線で結ばれ六芒星が描かれて、線が交差し現れる内側の六角形にも宝石があり、そして真ん中には、一際大きい宝石がはめられていた。
「これ……」
ステラが呟き、セプテント家の血だろうかまるで知っている気がして来た。
「ステラ様
開け方はわかりますか?」
ユーファが聞いた。
「うん……」
ステラはそう言い、サーベルを抜いて手のひらを僅かに切ろうとする。
「おい
なにすんだ……」
ガイアが呟くが、そのまま僅かに手の平を切って、その真ん中の一際大きい宝石に触れた、するとその宝石が輝きだしステラの血を吸い、六芒星の一番上の宝石が一つ紫に輝いた。
「これは……」
ユーファは驚いていた、六芒星の宝石が光り輝くことは今まで無かったのだ、それが美しく紫に光り輝いていた。
(アル・ムーリフの輝き……)
アルナイルはその色がアル・ムーリフの星の色だと直ぐに解った、だがなぜその宝石がアル・ムーリフに反応したのか解らなかった。
そしてその扉がスッと消えて行った、その開き方はいつもと同じ様でユーファは、動揺しつつもその先へ案内してくれる。
「へぇ……
すげーなこれが
3000年前からの神殿なんて
誰も思わないぜ……」
ガイアが思ったことをそのまま言って、アルナイルもその不思議に気付いた。
その通路は美しいのだ、まるで3000年前から時が止まったかのように、大理石のような石壁が磨き上げられたまま美しい姿をとどめている。
「そうですよね……
この石壁はこの星の物です
でもこれだけ
作られた時の姿を保っているのは
何かありますね……」
アルナイルがそう言い、ステラ達は通路を進んでいった、そして広い書庫に出る。
整然といくつもの本棚が並び、美しく青い光を放つランプが幾つも壁に備え付けられ、優しい光を放っている。
(やっぱり星の光……)
アルナイルはそのランプの光が、星の光だと気づいた、星海人の姿をうっすらとアルナイルは感じていた。
「これが3000年前の本か……」
ガイアがそう言い、本を手に取りゆっくりページをめくり始める。
「ガイア読めるの?」
ステラが読んでいるようなペースでページをめくるガイアに聞いた。
(星海人と関係があるなら
お兄ちゃんが読めても不思議じゃないね)
アルナイルはそう期待しながらガイアを見ていた、膨大な数の蔵書がありアルナイルは大変な作業だと思っていたからだ。
「なにかいてんだこれ?
暗号か?」
全く読めないらしい。
(まぁ…そうよね……
だいたいは
精霊の言葉で書いてあるからね)
ステラはそう思いながらアルナイルと、その本を覗き込んだ、するとそこには精霊の言葉で書かれていた。
「アルナイル様
精霊のわたし達でも
読めない本が奥にあります」
ユーファがそう言うとアルナイルはすぐに言う。
「ユーファさん
そろそろ様って呼ぶのやめて下さい
むず痒いです」
「そうだぜ
おれも様ってがらじゃねぇんだ
痒くてしかたねぇ」
ガイアはそう言いながら本を置いて、身体を掻き始める。
「かしこまりました
では……そう致しますね」
ユーファがそう言うと。
「じゃっ
わたしもお願いね」
ステラがそれに便乗しようとした。
「ステラ様はいけません」
ユーファは丁寧に言う。
「なんでよ
わたしもいいじゃない」
ステラが言った。
「なら師として言いますが
ダメです……」
ユーファが自然と言った。
それを聞いて直ぐにステラは頬を膨らましていた。
「この奥の棚です」
ユーファがそう言い奥の棚を指差して言う。
至って見た目は変わらない棚だが、一冊一冊の書物が重い空気を放っていた。
そしてアルナイルがその中の一冊を手に取り、見て呟いた。
「これ……
星海人の文字……」
「星海人の……?」
ステラが言った。
「はい……」
アルナイルはそう言うが気付いていなかった。
「と言うことは
アルナイルしか読めないってことか?」
アルナイルしか読めないと言うことを気付いていなかったのだ。
「そうなりますね……
ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎‼︎」
アルナイルは悲鳴のような声をあげて驚いた、まさか3000年前の本が読めるとは一切思っていなかったが、保存状態が良くて中には新品とも思える本まである、そしてアルナイルしか読めないだろうと思える本を収めた棚が幾つもあり、それを一人で調べるしかない……。
「何か解ったら教えてね」
ステラが言い。
「ではアルナイルさん
お茶をお持ちしますね」
ユーファがそう言い、アルナイルは前言撤回しようとしたかった、様扱いして欲しくなった、それだけこの先の労力が果てしなく思えたアルナイルがいた。
「俺も読めれば良いんだけどな
ごめんな……」
ガイアは優しく言った。
(が……
がんばるっ!
お兄ちゃんのためならぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎)
アルナイルはそう心から叫び、数冊の本を取り出しまるで光の速さで速読を始めた。
(すっ……すごい……)
ステラとユーファが、その凄まじい勢いで速読をしているアルナイルに戸惑い、その勢い他の精霊達も戸惑っていた。
「ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎」
アルナイルが叫び凄まじい勢いで、読み続けている。
「邪魔になるから
上に行ってようぜ……」
ガイアが言いステラと一階に上がって行った。
その晩、みんなが寝た後、地下で読みふけるアルナイルの所にステラが来た。
「よう
がんばるのぉ……
アルナイルよ」
それはステラ・アル・ムーリフだった。
その声を聞いてアルナイルの手が止まった。
「アル・ムーリフさん……」
アルナイルが呟いた。
「妾はステラ・アル・ムーリフ
その名を気に入っておる
そう呼ぶが良い
実はアルタイルが来ておる
妾の姿に驚いておったが
そちを手伝ってくれるようじゃ」
ステラ・アル・ムーリフが言った。
「えっぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎
あのアルタイルさんとっ‼︎‼︎‼︎
一緒にぃ‼︎」
アルナイルはびっくりしている。
大星アルタイル『飛翔する鷲』その名を持つアルタイルは、アル・スハイルにもたてつき一歩も引かない力を持つ星海人であった。
だがハダルの一派にも属さず、何故かいきなりアル・ムーリフの手星に加わったのだ、アル・スハイルの強硬なやり方に苛立っていた星海人達は、アルタイルの行動によりハダル一派に身を投じるきっかけになったのだ。
それだけの存在であり、単独で動けば星海も動くような存在であった、そしてアルナイルはアルタイルとあった事もない。
「あの……
アルタイルさんは何で
アル・スハイルと争ったのですか?
それなのになんで
アル・ムーリフさんに
忠誠を尽くしてるのですか?」
アルナイルは不思議に思ったことを聞いた。
「はぁ……
あやつは妾に
忠誠を尽くしておるのではない……」
ステラ・アル・ムーリフが面倒くさそうに言った。
「えっ?
なにを尽くしてるのですか?」
アルナイルは不思議そうに聞いた。
「見れば解る……
まぁアルタイルが明日この屋敷に来る
話は付けてるゆえ
そちの友人ということにして
話すが良い」
ステラ・アル・ムーリフがそう言い、神殿書庫から出て行った。
「なにを尽くしてるんだろ……」
アルナイルは不思議に思っていた。
翌朝、アルナイルは食堂で朝食を取りながら空を見て思っていた。
(今日来るって言ってたけど……)
「アルナイルどした?」
ガイアがアルナイルを気にして、同じ空を見た時、空に輝く鷲が現れ凄まじい速さでセプテント家に向かって来た。
「なんだあれっ⁈」
ガイアが言った。
「アルタイルッ‼︎」
アルナイルが驚いた、日の光を浴び金色に輝いた大鷲が凄まじい勢いで、遥か高い空の上からセプテント家に向かって飛んできた。
「あれはこの星の力じゃないっ‼︎‼︎
放てっ‼︎」
屋敷を警備していたシャドウが叫んだ。
すると屋敷の庭掃除をしていたメイド達が、一斉に魔法の矢をその大鷲目掛けて放ったが、大鷲は美しく軽やかに躱し、凄まじい勢いで屋敷に向かって来た。
「なっ‼︎」
シャドウが焦り、漆黒の剣を手の平からだしその大鷲に向かって飛びかかった、他の精霊達もそれに続き、襲いかかった時アルナイル達が屋敷の外に出て来た。
大鷲はその姿を変え、美しい少女が現れた。
金色の羽が美しく舞いその姿は赤い髪に金色の瞳をしていて、赤いロングコートを着ていた。
「遊んであげる……」
アルタイルはそう呟き、精霊達の攻撃をエストックを手から出し、美しく受け流しながしていく、そして精霊を傷つけることなく一気に屋敷の庭に降り立った。
「星海人っ‼︎
皆っ守りを固めよっ‼︎」
ユーファが慌てて飛び出し剣を抜いてそう叫んだ時には、既にエストックの切っ先がユーファの喉に突きつけられていた。
「速い……」
ユーファが呟いた時アルナイルが言った。
「あの……
アルタイルさん
そっ……
そのへんでいいかと……」
「アルナイル
知り合いなの?」
ステラが言った。
「う…うん……
知り合いだよ」
アルナイルが言った。
「久しぶりだねアルナイル
何を手伝えばいいのかな?」
アルタイルがアルナイルに言った。
(いやっ!
初対面ですけどっ‼︎‼︎
ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼︎‼︎‼︎
自然に言った‼︎‼︎‼︎)
アルナイルはそう思っていた。
「手伝い?」
ステラは驚いた。
「はい
友達のアルナイルちゃんのお手伝いに
やって参りました
大星アルタイルです
宜しくです」
アルタイルはそう言いながら、ステラに歩み寄り臣下の礼を取った。
「えっえぇ……
宜しくです」
ステラは戸惑って返事をした。
「あん?
それならステラに礼をする意味が
わかんねぇだけど
気のせいか?」
ガイアがそう言い、ステラを守るように間に入った。
「うん?
アルナイルちゃんのお手伝い
一日で終わらなそうだからだよ」
アルタイルが笑顔でそう言った、何かを捧げアル・ムーリフに仕えるアルタイルからすれば、アル・ムーリフの生まれ変わりであるステラに礼をするのは、当たり前だがガイアはそれを知らないのだ。
「ガ…ガイアさん
やめた方がいいですよ
大星アルタイルさんは……
アル・スハイルに並ぶ人ですよ」
アルナイルが言ったが、それが失敗だった。
「そっそんなっ‼︎
それは本当ですか⁈」
ユーファが驚いて聞いたが、他の精霊達も驚いていた、そしてユーファは先程の一瞬で喉を取られたあの動きを思い出した。
(この人なら……
あり得るかもしれない)
ユーファがそう思った時、ガイアが更に前に出て、すれ違いざまに言った。
「アルタイルさん
ちょっといいか?」
「うん?」
アルタイルが笑顔で言って振り返った。
ガイアは剣を抜いてアルタイルに向けていた。
「ちょっと相手になってくれよ」
ガイアが真剣に言っていた。
「なんで?」
アルタイルが聞いた。
「強くなりてぇからだ」
ガイアが言った。
「いいけど……
相手になるかな?」
アルタイルが言った時、ガイアが斬りかかった、アルタイルはエストックで受け流しガイアを蹴り飛ばした、ガイアは飛ばされたが体勢を立て直し、着地し再び双刀で斬りかかるが、アルタイルはそれを受け止めた。
「その剣…いい剣だね……
名前はなんて言うの?」
アルタイルが小さな笑みを浮かべて言った。




