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第一章 第10話 いつもお疲れ様です





「よいであろう?」


 アル・スハイルが微笑みながらそう聞いている。



「ふざけるなぁぁぁぁっ!‼︎」


 シャドウに見つけられたシルフィが叫びっアル・スハイルに襲いかかり、村一つ潰された怒りが他の精霊達を動かし、20を超える精霊がアル・スハイルに襲い掛かろうとしたが、凄まじい風が起き、精霊達を遮った。



「ほう……」


アル・スハイルは微笑んで呟いた。



 ユーファがアル・スハイルに剣を向けていた、だが精霊達を抑え込んだのだ。


「わたしとの話です

みな……さがりなさい……」


 ユーファが静かに言って、精霊としての力を解き放ちながらも剣を静かに鞘に収める。



(こやつなら……

エルナトを追い詰めるのも容易い


この星は危険じゃ……


人よりも星を知り賢い精霊が

星を持つ星海人を超えておる……


大星を持つ星海人をまだ超えはせぬが……

放っておけぬ危険な星じゃ……)


 アル・スハイルが、ユーファのその力を見てそう感じていた。



(全員で戦って

勝ち目がない……

皆殺しにされる……)


 ユーファはそう感じていた、地上から貫かれたあの攻撃を思い出し、力の差を見極めていた。



「お言葉に偽りはないのですか?」



 ユーファが静かに言った。


「…………」


 アル・スハイルは静かにユーファの声に耳を傾ける……。


「アル・スハイル様!

わたしに今一度機会をっ!

お与え下さいっ‼︎‼︎」


 星海人としての身体能力が、サルガスを普通に話せるまでに回復させ、サルガスは叫んでいる、よほどアル・スハイルから授かった役目を果たしたいのだろう……だが心配しているエルナトが肩を貸している。


「だまれ……

余はあの者の話を聞いておる

じゃまするでない……」


 アル・スハイルが冷たくサルガスに言った、サルガスは黙るしかなかった、拳を握りしめ悔しさを込め、その拳が震えていた。



 それを聞いてユーファが、静かに表情を変えずに言う。



「その者を私達は

決して許しはしません


ですが……


退いて頂けるのですか?」



(私達は敵を知らなければならない……

今まで私達精霊は

彼らの存在を知っていた

でも……

どんな敵か知る術がなかったっ!


でも…今は……

アルナイルさんがいる

それを教えてもらう事が出来る


それにガイアさんのあの力を

いつでも使えるようにしなければ……


いまは……

何よりも

時間が欲しいっ‼︎‼︎)


 ユーファはそう考えながら、その感情を抑えながら静かに言っていた。



「余の言葉を信じると言うのか?」



アル・スハイルが聞く。



「アル・スハイル

あなたなら

私達が信じなくても


そうしてくれるでしょ?」


ユーファが、信じよう、そう言おうとした時にステラが先に言った。


「ステラ様

お待ちください……

アル・スハイル

我が主人の非礼をお許し下さい」


 ユーファはそう言い、アル・スハイルに丁寧に礼を取った時、アル・スハイルは笑った、明らかに笑った。



「気に入ったっ!


ユーファとやら

余はそちを手星に加えたいと

そう思うほど気に入ったぞっ‼︎


余が言ったことは

しかと守ろう‼︎


ここではな……


サルガスっ先に戻るが良いっ‼︎」



 アル・スハイルはユーファが力の差も見極め認めることが出来る、その優秀さに機嫌よくし、そう言うがサルガスにとっては屈辱にしかならない、サルガスから見ればただの精霊であるユーファを、アル・スハイルの側近と言える手星に加えたいと、アル・スハイルが言ったのだ。


 サルガスはエルナトを振り払い、ユーファに向けて鞭を振ろうとした、精霊達がユーファの周りに障壁を展開したが、そのサルガスの前にサーベルが一本突き刺さった。



「余の剣より先に行くでない

その先は余の声に逆らうと

思うが良い……



話は終わった

そちは先に戻るが良いっ‼︎

エルナトッ!

余の命じゃ

そやつを連れて行けいっ」


アル・スハイルは機嫌が良さそうに言う。


 流石にサルガスもそこまで言われれば、その場を去るしかない、サルガスは屈辱に溢れた想いを胸にその場を去った。



 アル・スハイルは大地に降り、自ら大地に投げ刺したサーベルを抜き、ガイアに向けた。


「ガイアよ

余と遊びたいのであろう?」


 アル・スハイルが言う、まるでアリの様に小さな存在を見る様に言った。



「あぁ……

思いっきり

ぶん殴ってやりてぇ‼︎」


 ガイアはユーファとアル・スハイルの話に納得いかなかった、その思いは精霊達も同じだが、ただ一人ステラだけはユーファが何を考えてるか解らないが、全滅を避けるためだと気付いていた。



「ならば来るが良い


先程の話とは別で

余の遊びじゃ……


そち一人であれば命は取らぬ


来るが良い」


アル・スハイルは楽しむように言った。


「ガイア様っ‼︎

お待ち下さいっ‼︎‼︎」


 ユーファが叫び走りより止めようとするが、アルナイルがユーファを抱きしめて止めた。


「アルナイルさんっ!

あなたはやはり星海人側なのですか⁈」

ユーファがアルナイルに言ったが、アルナイルは顔を横に振り、泣きたいのを我慢して言った。


「ちがいます

でも……

今のガイアさんを止めたら

ガイアさんに嫌われてしまいます


そうしたらガイアさんが

旅に出ちゃうかもしれないです

だから見守ってあげて下さい

お願いします……」


アルナイルがユーファに静かに言った。



「それにアル・スハイルは

ここで言ったことは

必ず守りますからっ!

命は取らないって言ったから‼︎

大丈夫ですっ‼︎」


アルナイルはステラを少しだけ見てから、ユーファを抱きしめながら叫んだ。



 それを見ていたアル・スハイルは小さな笑みをこぼした。



「……

ざけんな……」


 ガイアがそう呟き、アル・スハイルに襲いかかった、アル・スハイルは微笑みガイアの殴りかかって来た鋼の拳をあのサーベルの切っ先で止めた。



「ッ‼︎‼︎」


 その光景を見たその場にいた全員が驚きを隠せなかった、鋼の拳を先程までサルガスを叩きのめしていた拳をサーベルの切っ先で止めたのだ。


 だがガイアは驚きはしない、まるで知っているかのように。


 アル・スハイルは遊びで受け止めたその拳を逸らし、前に出たガイアの腹を鮮やかにサーベルで斬り裂く。


(なっ!

姉上……

ガイア……

まさかっ‼︎)


 誰もがアル・スハイルが言った事を違えたように思ったが、ステラの中でアル・ムーリフは気付いた、それと同時に。


(大丈夫……)


ステラはガイアを信じて見守っていた。



 ガイアの斬り裂かれた腹部からは血が一滴も流れない、そしてアル・スハイルも手応えを全く感じてなかった。


 ガイアの腹部から砂が飛び散り、ガイアは何事も無かったかの様に、アル・スハイルに殴りかかる、ガイアは身体を砂に変えていたのだ。


(やはりな……

ハダルの記憶か……)


 アル・スハイルはガイアの拳を躱し、凄まじい突きを連続で放ち、ガイアは全てを岩の障壁を生み出し受け止め、その突きの音と音の間に岩を鋼の拳で砕き、その鋼の拳がアル・スハイルのサーベルを掴み、岩の破片が槍の様に鋭くなり、アル・スハイルを襲った。


 アル・スハイルは素早く掴まれたサーベルを消し、背後に飛びコートを広げる。


 そのコートの中から大量のサーベルが飛び出し、ガイアが放った岩の槍を砕いた。


 ガイアは距離を保ち殴り掛かる、漆黒の鋼の拳を振りガイア自信の力でアル・スハイルを襲い続ける。


 アル・スハイルはサーベルで受け止め、躱しつつ隙を見てサーベルで斬りかかる。


 ガイアはその斬撃を受けるが、砂が飛び散り何も無かったようにアル・スハイルを蹴り飛ばそうとした、アル・スハイルは既に躱す体勢に入っていたが、ガイアの足は力強く大地を踏み、アル・スハイルの背後に岩の壁が現れ、アル・スハイルは一瞬だが逃げ場を失い、ガイアは紫の剣を握りアル・スハイルの首を目掛けて振った時、アル・スハイルは小さく笑った。


 するとアル・スハイルの背後の壁が先程放たれた大量のサーベルが突き刺さり砕き、アル・スハイルはそのまま背後に飛び、サーベルはそのままガイアを貫く様に襲い、ガイアは銀の剣を握り光の障壁を展開させそれを防いだ。



「なんて戦いなの……」

ステラが呆然と見つめながら呟いた。


(ハダルお兄ちゃん……)

アルナイルが心配している。



 ユーファはまさかガイアが、ここまでアル・スハイルと互角に戦うなど考えてもいなかった。


「テメェ……

遊んでんだろ……」


 ガイアが言った。


「言ったであろう?

遊びであると……


そちの殺気を程よく思えたのでな

ちとかまっただけじゃ」


アル・スハイルがそう言い、ガイアを見ながら空に舞い上がった。



「逃げんじゃねぇ‼︎」


 ガイアが叫び、大地から岩の柱が伸びそれに乗りガイアが追いかけるように、高く飛びかかるが、アル・スハイルが操る大量のサーベルがガイアを襲った。


 ガイアはそれを双刀で弾き、弾き切れないサーベルがガイアを斬るが、砂を飛び散らせながらガイアは落ちて行った。



「ハダルの星……

大星では無いはずだが

なぜこうも厄介なのだろうな」


 アル・スハイルはそう呟きその場を去って行った。



 大地に落ちていくガイアをアルナイルが空で受け止め、みんなのいるクラスト村に降りて行った。


「ガイアあなた

あんなに強かったの……」


 ステラがガイアに聞いた。


「俺は弱い……

あいつをぶん殴れたことがない……」


 ガイアはそう呟き倒れてしまった。


「ガイアッ!」


 ステラが叫びガイアを抱き抱えるように起こすが、ガイアは気を失っていた。


「とにかく一度砦に戻りましょう

話はそれからで……」


アルナイルがそう言い、ステラ達は西部砦に向かって行った。





「サルガス……

なぜその様な顔をしておる?

余が出向いたことが不服なのか……」


サグドの山の頂でアル・スハイルがサルガスに聞いた。


「そんなことは……

ただ私はアル・スハイル様に

どの様な顔をお見せしていいのか……」


 サルガスは役目を果たさず戻ることは死を意味するとそう命じられていた、それなのに連れ戻され、死を覚悟していた。



「そちは手星の中で

最も弱き者だと言う自覚はあるか?」


 アル・スハイルがそうサルガスに聞いた。


「そっそれは……」


 サルガスは多量の汗を流していた。



「そのそちを何故

余のそばに置き続けるかわかるか?」


 サルガスは解らなかった、確かにアル・スハイルに忠誠を誓った手星の中で最大の実力を誇る、シリウスとは実力は遠く及ばない。


 そしてアル・ムーリフに忠誠を誓った手星の中で最大の実力を誇る、アルタイルとも同じ程の実力の差がある。


 サルガスは自分の非力に悔しさを感じ、より深く解らなかくなっていた。



「もう良い……

そちは最も余を気にしてくれる


そちは最も余の為に良く尽くしてくれる

それだけじゃ……


この星に余が降りた時も

やはり思った通り

そちが最も先に来てくれた


礼を言うぞ……」


アル・スハイルは何も言えないサルガスを見て、自ら答えを明かした。


 サルガスは嬉しく涙を流し始めてしまう。


「さて……

そちに新しき役目を与えよう」


 アル・スハイルはそう言い、目を鋭くしサルガスを見ていた。


「はっ!」


 サルガスは礼をし新しい役目を待つ。



「そちの星に帰り

新しき星を得よ……

そして戻って参れっ!


いつまでも

シリウスやカノープスに

遅れを取るでないっ‼︎


強くなって戻って参れっ‼︎



この役立たずがっ‼︎‼︎‼︎」



 アル・スハイルは怒りを込めたようにサルガスに言った。


 サルガスはそれを聞いて、より屈辱が深く刻まれ、ガイアを憎んだがアル・スハイルは優しく言った。


「悔しかろう……

シリウスは余の命で遠くまで

星々を脅かす者達を滅ぼしに行った


カノープスは

ハダルの一派と戦っておる

ともにそちには

まだ任せられられぬ……


星海が生まれ140億年経つと言う

その長き間に休むことなく

星海は広がり続け

余の目の届かぬ星も産まれておる


その星々を守らねばならぬ……」


 アル・スハイルは胸のうちをサルガスに語っていた、星海人として星海を守ろうとしているアル・スハイルがそこにいた。



「サルガス

そちの力は余に必要なのじゃ


強くなってまいれ……

その悔しさがあれば

強くなれると余は信じておる」


 アル・スハイルはそうサルガスに優しく言っていた、サルガスはそれを聞き涙が止まらなくなっていた。


 サルガスは静かに立ち上がり言った。


「エルナト

アル・スハイル様を頼んだぞ……」


 そう言い自らの星に帰って行った。


「エルナトよ

あやつが余の期待に応え

帰って来たら

あやつと結ばれることを許そう……」


 アル・スハイルは遠くに飛んでいく、サルガスの赤い流星を見ながらそう言い、サーベルを星海に向け突き上げ、何かの光を星海に向けて放った。



(アル・スハイル様はこの500年で

変わられた……

なにがあったと言うのだ……)


サルガスはそう感じていた。



「アル・スハイル様

ありがとうございます……


あの方は必ず期待に応えてくれます

わたくしもあの方を

信じておりますから……」


エルナトが頬を少し赤く染めて言った。



「さて……我が手星……

次は誰が来るかの……」


アル・スハイルは微笑みながら静かに言った。




 そして西部砦では、ガイアは目を覚ます事なく眠り続けていた。



「ガイア様は大丈夫なのですか?」


ユーファがガイアを心配そうに言う。


 ステラ達はガイアを心配し、西部砦の医務室にいた。



「大丈夫です……

相当疲れが溜まってる上に

無理して眠れる力を使ったのです

きっと起きても

アル・スハイルと互角に戦ったことは

忘れてるでしょう……」


アルナイルが優しい顔で言う。


「じゃぁ

深傷を負ってる訳では無いのですね」


ユーファが聞く。


「はい……

この数日人の限界を超えるくらい

走り続けてましたから


人で言う重度の過労という状態ですね」


 アルナイルが事情を知っているために困りながら言う。

 ステラはウィラルの魔法を使い、それを過労を加速させた記憶があり、大量の汗をかいている。


「そうですか……

ではゆっくりして

頂かないといけませんね」


ユーファが言う。


 三人は医務室を出て、ユーファはエントリアとシャドウにガイアの警護を命じ、西部砦の会議室に集まり、他の精霊達もそこに集まった。


「アルナイル様

星海人とはどの様な敵なのですか?」


ユーファが聞いたがステラが言った。


「アルナイル

その質問の前に


わたしが聞きたいことがあるの……

先にいいかしら……」


「ステラさん……」


 アルナイルは何を言われるのか不安になった、サルガスが見せた幻は、普通はそうなって当たり前のことだったからだ、それでもアルナイルは静かに頷いた。



「わたしは

あなたのことを知らなかったわ


毎日一緒にいて

ご飯も一緒に食べて

ガイアを一緒に応援したり

二人で一緒にお風呂に入ったり


毎日が楽しかった……」


ステラは静かに言うが、ショックだった事が重なり感情的になり始めていた。


 アルナイルはそれを聞いて胸が痛くなって来た、大切な仲間を騙していたのだ、人として過ごした日々に偽りはないが、大切なことを一切言わなかったのだ。



「あなたは

わたしのことを何だと思ってるの?


わたしはあなたがガイアを

大切にしてるのに気付いてたのよ

だからあの家にあなたも呼んだの……


それなのにあなたは星海人で

ガイアがあんなに強くても

ついていける力を持ってるじゃない


わたしは?

わたしはついていけないじゃない


あなたは私が人間だからって……

そう見てたの?」


 ステラはガイアとアル・スハイルの戦いを見て呆然とするしか無かった、あの戦いで記憶のアル・ムーリフは現れなかった、余程アル・スハイルが暴挙に出れば出るつもりであったが、記憶のガイアが現れ静観を決めたのだ、だがそれが今を生きているステラを傷つけていた。


 アルナイルはそれに気付かなかった、いやあの状況でアル・スハイルが全力を出していなかったが、そこまで気を使う余裕が無かったのだ。


「ステラさんの気持ち

解ります……


置いていかれる気持ちを

違う形ですけど……

わたしは知っています」


 アルナイルが静かに言った、いつも通り家に帰って綺麗に片付けられた家にハダルが居なくて、何日も帰らなかった日々を思い出していた、そして二人の秘密の場所を探して見るとハダルからの手紙を見て泣くことしか出来なかった日を思い出していた。



「何が解るのよっ‼︎‼︎‼︎

あなたに何がわかるのよっ‼︎


あんな戦いを見せられてっ‼︎‼︎

ついていくどころか

わたしなんて

足手まといにしか……

ならないじゃない……


わたしは精霊でも何でもないのよっ‼︎

人間なのっ‼︎‼︎


ガイアの力も人間離れしすぎてるわっ‼︎


わたしはどうしたらいいのよっ‼︎

わたしの想いはっ

どうしたらいいのよっ‼︎」


 ステラがそう言ったのを聞いて、アルナイルは立ち上がり叫ぶ様にステラに言った。


「ステラさんっ‼︎‼︎

勝手なことを言わないで下さいっ‼︎‼︎」


 アルナイルはそこまで言ってから、その先を言って良いのか一瞬戸惑ったが、言わなければならないと思って叫んだ。



「ステラさんは私なんかよりっ!

ガイアさんと

一緒に居られるんですよ‼︎‼︎」



 アルナイルがそう叫んだ時、眠っていたガイアの頭にあの声が響いた。




(ねぇあなたは

なんで旅に出たの?



ねぇあなたは

どおして旅に出たの?)




 ガイアはその二人の声が、はじめて困っている様に聞こえ目が覚めた。



 アルナイルはガイアの魂、ハダルと兄妹であり、ガイアが人としての生を終えれば、まだハダルの星は健在であり、その魂はハダルとして生き返る、それはステラ、つまりアル・ムーリフも同じで生き返ったとしても、二人ともその星がある限り記憶も星に守られて生き返るのだ。


 つまりアルナイルは、ガイアが人間として生きている間にしか愛は実らない、その先はまた兄妹として生きていくしかない、その想いがアルナイルの心に溢れ出していた。



「…………」



 ステラは本当はこんな話をしたくはなかった、本当はある一つのことを言いたかっただけだった、だが目の前の現実と感情が高ぶってしまい言いすぎてしまったことに気付いた。



(ごめん……

こんなはずじゃ無かった……)



 ステラはアルナイルを傷つけてしまったことにも気付いて、どう切り返していいのか解らなくなってしまった、それはアルナイルが怒ったように叫んだからだ。



「おめぇら……

何してんだよ……」



 ガイアの声が会議室に静かに響いた。


「ガイア……」


 ステラがガイアを見て呟いた。


「ガイアさん……」


 アルナイルもガイアを見て小さな声で言った。



「お前らの声が五月蝿くて

寝れねぇじゃねぇか……

何喧嘩してんだよ……」


 ガイアがそう言い会議室に入って来た。



「あのさぁ……

ステラが俺の足手まといってのが

わかんねぇんだけどさ……


俺が一人で事故物件こなして


てめぇらはいっつも

遠くで応援してるよな……」


ガイアが事実を言った。


「えっ……」


 ステラはこの状況で、それを言って来るとは思わなかった、アルナイルもそれを言われると何も言えないでいた。



「この前なんてよ

ドラゴン五匹を

俺が一人で戦ってるあいだ

てめぇら弁当食べながら


滝を見て景色を楽しんでたよな……」



 ガイアは少し前にあった依頼を思い出していた、ユーファと精霊達はそれを聞いて、どう反応していいのか解らなくなって困り始めていた。


「そもそもお前ら

最近たまにしか手伝わねぇよな?

足手まといも何もないんだが

気のせいか?」


 ガイアは真剣に言う、まるでこの過労はお前たちのせいだと言わんばかりに……。


「ちょっと!

それをいま言わなくても

いいじゃないっ‼︎」


ステラが言った。


「まぁいいけどさ

俺はお前たち二人が大切なんだ

それぞれ訳ってのは

あるかも知れねぇけど……


俺が二人を守ってやるから

ステラもアルナイルも

出来ることをしてくれれば

それでいい……


だから喧嘩すんな……」



 ガイアはそう言い、会議室にある一番いい座り心地の良さそうな椅子に座って言った。



「アルナイル……

星海人だったこと

いつか……

言ってくれるつもりだったんだろ?

今回は……

タイミングが悪かった

それだけなんだろ?」


ガイアは優しくアルナイルに聞いていた。



 アルナイルはそれを聞いて涙が自然と流れた、ガイアが優しくアルナイルが言いづらかったことを聞いてくれていた。


 そしてそれは、ステラがアルナイルに聞きたかったことだった、ガイアの想いもステラの想いも一緒であり、ガイアが代わりに言ってくれていた。


 アルナイルは子供のように涙を流し始めて、静かに頷いて言った。




「ごめんなさい……

でも楽しくて楽しくて……


ずっとこのまま居たいって

三人でずっと居たいって思ったら

怖くなっちゃって……」



アルナイルは震えながら泣きながら言った。



「もっと早く言えれば良かったんだけど

言えなくなっちゃって……


本当にごめんなさい……」



 アルナイルは想い想いに精一杯、気持ちを込めて泣きながら言っていた、ガイアはそれを聞いて静かに優しく微笑んでいた。



「アルナイル……」



ステラが呟いてアルナイルに歩み寄った、そして抱きしめて言った。



「ごめんね……

わたしも喧嘩なんてしたくなかったの

でも……


ついていけないって思ったら

どうしていいのか……

解らなくなっちゃって


ごめんね……」



「ステラさん

わたしもガイアさんも


ステラさんを一人にしません

ずっと一緒ですよ……


ステラさんの方が

わたしよりガイアさんの近くに

居れるようにきっとなりますから

大丈夫ですよ」


アルナイルがステラに優しく言った。



「さぁもう喧嘩すんじゃねぇぞ

ゆっくり眠れやしねぇ……


こっちは身体中いてぇんだ

たまには休ませてくれよな」


 ガイアは前にある机に倒れ込んでそう言った直後に眠りについた。


「エントリアさん

毛布をお願い……」


 ステラがそう言うとエントリアは優しく微笑んで毛布を持って来てくれた。



「いつもお疲れ様です」



 ステラとアルナイルが優しくガイアに言い、二人でガイアにそっと毛布をかけ二人は目と目が会いそっと微笑んでいた。

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