第一章 第8話 貫く星
コンッコンッ!
「ステラ様
朝食の支度が出来ております」
翌朝エントリアがステラの部屋のドアをノックしていたが、反応がなかった。
「失礼します」
エントリアはステラを起こす為に部屋に入ると、ステラは起きていたがお酒の臭いを放ち気分が悪そうにしていた。
「珍しいですね
二日酔いなんて
そんなにお酒のを飲まれたのは
初めてですか?」
エントリアが聞くと、ステラはだるそうに頷いた。
「何があったのですか?」
エントリアが心配そうに聞いた。
「ガイアがね……」
ステラが呟く。
「はっきりされないからですか?」
エントリアが聞くとステラが頷く。
「ステラ様は幸せですよ」
エントリアが言った。
「どうして?」
ステラは不思議な顔で聞いた。
「ガイア様は
ステラ様をお探しになられて
こちらに来ました」
エントリアが優しく言う。
「えっ……」
ステラが小さく呟いた。
「ここだけの話ですが
サラス様が精霊術を使い
ガイア様を占いました
使われた精霊は
私とユーファ様
そして
サラス様が何か足りないと呟かれて
シルフィさんも使われました」
エントリアが優しく話してくれていた。
「精霊を三人も必要だったの……」
ステラが聞いた。
精霊術は精霊の力を使うその名の通りの魔法で、精霊の力が強ければ強いほど強力になる、普通占いなら下級精霊一人でいい筈だ、だがそれを上級とも言える、精霊を三人も使わなければ占えなかったと言うのだ。
「そしてやっと占えたのですが
ガイア様はステラ様を
500年前から
お探しになられていたようです
そしてアルナイル様も
500年前から
ガイア様をお探しになられてたようです
きっとあのお二人は前世から深い
繋がりがあるのかも知れません
ですがガイア様は
ステラ様を探し続けていた様です
そう考えたら
夢の様な話だと思いませんか?
ですからサラス様は
ステラ様がガイア様とお過ごしになるのを
許して下さってるのですよ」
エントリアが本当に夢物語の様に話してくれた。
「そう……
私は500年何をしてたの?」
ステラが聞いた。
「はい
女王様の様に
(おそいっ!)って言う様に
ガイア様をお待ちしてましたよ」
エントリアが明るくステラ言ってくれた。
「ふふっ……
本当にガイアは
答えを出すのも遅いみたいね……」
ステラが小さく微笑んで言った。
「はい
500年も
お待ちになられたのに
まだ先のようですね」
エントリアがステラを励ます様に言った。
「そうね
あの人はいつ選んでくれるのかしら
楽しみね……
エントリア
メルム茶ある?」
ステラがエントリアに聞いた。
「はい
すぐにご用意いたしますね」
エントリアは小さくお辞儀をして、酔い覚ましに良いメルム茶を用意しに一階に降りて行った。
ステラは静かに立ち上がり、テラスに出て朝の風の心地よさを感じている、金色の髪が美しく僅かに靡いている、少ししてエントリアがメルム茶を入れて来てくれた。
テラスにはテーブルも椅子も無く、トレーにカップを乗せてエントリアが待っていてくれている。
「ありがとう」
ステラがお礼を言い、カップを手に取り一口上品に味わう、エントリアはステラの為に気持ちよくメルム茶を飲んでもらう為にそうしていたのだ。
「今日は
朝食の用意ありがとね
明日からは私も作るから
作る前に起こしてね」
ステラがエントリアに笑顔で言う。
「ステラまだかぁ?
先に食っちまうぞ」
ガイアが食堂でステラを呼んでいた。
「はいステラ様
ちゃんと早くお休みになって下さいね」
エントリアは、ステラがガイアの為にご飯を作りたいと思っていることを、ちゃんと理解してくれていた。
そして二人は食堂に降りていった。
その日の昼過ぎガイアは至って普通に見える依頼をしていた、近くの平原で普通のタイガーウルフ、今回は普通のタイガーウルフを追い払うという依頼である。
タイガーウルフの血で平原を汚さないように、森まで追い払えば倒しても良いらしいが、5頭いるタイガーウルフに追われるのは……。
いつも通り……ガイアであった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」
その日普通サイズのタイガーウルフ達は森からだいぶ離れた場所にいた、ガイアは森に追い払うつもりで行ったはずだった。
「ガイアッ頑張ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎」
いつもと違うのは、ステラが真剣に応援していることだった。
30分ほど前のこと……。
「じゃっガイアよろしくねっ」
ステラが明るくガイアに言う、エントリアが入れてくれた特性メルム茶のおかげでスッキリしていた。
「任せとけ
速攻で終わらせてやるからな」
ガイアが余裕を見せて、平原にいるタイガーウルフに歩いて向かって行く。
「私達はどうすればいい?」
アルナイルがガイアに聞いた。
「あん?
こっちに来るかも知れねぇから
木にでも登ってろよっ」
ガイアはそう言い平原に向かって行った。
ステラとアルナイルは木に登ってガイアを見ていたが、依頼の紙をステラが読み返していた。
「この依頼で
5万セルって美味しいわよね」
ステラがそう言って、その依頼の紙をアルナイルに渡した。
アルナイルはその依頼を読んで不思議に思った、輝きの一星を持つアルナイルは光の当たり方と、文字の見え方がおかしいと思った、それはアルナイルにしか気付けないものだった。
「あれっ……
ステラさんこの依頼おかしいですよ」
アルナイルがステラに言った。
「何がおかしいの?
久しぶりにいい依頼じゃない」
ステラは安心してガイアを見ている、ガイアは風下からタイガーウルフに近づいていた、そして安物の剣を抜いていた。
「この紙…うーん……」
アルナイルは紙をマジマジと見て考えていると、はじっこが僅かにめくれてるのに気がついた。
「ッ!!‼︎‼︎‼︎」
アルナイルが驚いている、相変わらず誰が見ても解る驚き方をしている、そこから少しめくると、ペリッとめくれ二枚の紙になってアルナイルは固まった。
ステラも驚いて、すぐにその紙を見て呟いた。
「訳あり案件じゃないこれ……
でも……」
「で…でも……」
アルナイルが固まりながら呟く様に言う。
「もう事故物件よ……」
ステラがガイアを見て呟きそして叫んだ。
「ガイアッ‼︎
殺しちゃダメッ‼︎
平原でタイガーウルフの
血を流しちゃダメッ‼︎‼︎
森まで連れて来てっ!」
その声はガイアに届き、ガイアは止まったが既に襲いかかる体勢に入り、タイガーウルフは目の前にいる……。
(もう……
無理だってのっ‼︎)
ガイアがそう思ったときタイガーウルフが、ガイアに襲いかかった、ガイアが構えた時ステラの声が平原に響いた。
「タイガーウルフの血で
平原を汚さないで追い払うっ‼︎
これが本当の依頼よっ‼︎‼︎‼︎」
ガイアはそれを聞いて剣を投げ捨て、襲いかかってきたタイガーウルフに向かって飛び、頭に手をついて飛び越えた。
「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎」
ガイアは叫び、その声は遠くまで響き遠くから様子を見ている、アル・スハイルにまで聞こえていた。
アル・スハイルは直接手を下さない、それはサルガスの他にもう一つの訳があった、いやそれがあるから、サルガスに命じていたのだ。
アル・スハイルは、窮地に陥ったガイアを楽しむように見ていた。
ガイアは高く飛び体を捻り、下から食いつこうとしたタイガーウルフを躱した、着地して全力で走り出した。
「あやつ
夢で余と剣を交えた時より
良い動きをしておるのぉ……
ゆかいゆかいっ
ゆかいじゃ‼︎
余を楽しませてくれるのぉ」
アル・スハイルが笑いながら言うが、その視線は冷たかった。
猛烈な勢いでガイアに食いつこうとする、タイガーウルフを躱し、まるで真後ろが見えてるかのように、真後ろからまさに追いついたタイガーウルフの大きな口を躱し、その真下を抜けるが他の三匹が横から襲いかかる。
「てめぇらっ!覚えてろよっ‼︎‼︎」
ガイアが叫び全力で躱し、タイガーウルフ同士でもぶつかり合う、そしてステラ達のいる森へ走った。
そんなことがあり今、ガイアは全力で走っていた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」
ガイアが叫んでいる。
「ガイアッ頑張ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎」
ステラが全力で応援している。
アルナイルは力を使うか悩んだ、輝きの星の力でタイガーウルフを遠くに飛ばしてしまうこと、だがアル・スハイルの視線を感じていた、アルナイルは思考を巡らせていた。
(だめ……
ステラさんもガイアも
きっと私を受け入れてくれる……
それはわかってるけど……
アル・スハイルがガイアを狙ってる
私が動いたら……)
「アルナイル
余に気付いておるな……
さぁ力を使うが良い
余は手を出さぬ……
あやつを殺せば
大切な妹に
アル・ムーリフに
憎まれてしまうからのぉ
それはだけはしとうないからのぉ」
アル・スハイルはアル・ムーリフが反発しても、話し合える距離を保とうとしていた、その為にサルガスを使っていたのだ。
だがアル・スハイルの存在は巨大で、居るだけでアルナイルを警戒させるには十分であった。
そしてガイアが死のうと生き延びようとアル・スハイルにとっては何方でも良かった、それは純粋に人として生まれ変わり、ハダルとしての記憶も眠り続けるガイアが、アルナイルが星海人だと言うことを知りどうするのかと言うのにも興味があった。
「さぁはよせねば
大切なガイアが
食われてしまうぞぉ
アルナイルよ……」
アル・スハイルは、動けないアルナイルそして今にも食われてしまいそうなガイアを、冷たい目で見て楽しんでいたのだ。
ガイアは依頼遂行の為に命がけで走り、平原を抜けようとしていた、だがガイアのペースが流石に落ちはじめている。
(くそがぁぁぁぁぁぁ‼︎
昨日の疲れがまだとれてねぇ‼︎)
ガイアは昨日のことを思い出した、トレントを街から引き離す為に、死ぬほど走った、そして要らぬところで、ステラを肩にのせそれよりは距離が短いが、それ以上のペースで突っ走った。
「風よっ!
その足に翼をっ‼︎
ウィラル‼︎」
ステラはガイアが魔法の届く範囲に入った瞬間に風の魔法を放った、すると重くなってきたガイアの足が軽くなり、まるで翼が生えたように加速した。
「ステラさん凄いです‼︎‼︎」
アルナイルが驚いて喜んだ、だがステラは僅かに顔を曇らせていた。
「どうしたんですか?」
アルナイルが聞いた。
「あの魔法は確かに体が軽くなるけど
体の負担も大きいの……
効果は強いけど……
やっぱりもうちょっと……
弱いのにした方が良かったかな……」
ステラが心配しながら言った。
「そんなこと無いですよ!‼︎
そのおかげでガイアさんが
助かるんですよっ‼︎」
アルナイルは言う。
「……」
ステラはこの依頼が終わった後のことを考えて顔を曇らせていた、怒られると思っていた。
「ステラッありがとなっ!
助かったぜっ‼︎」
ガイアが大きな声でそう言い森に走り込んできた。
「えぇ……」
ステラは、ウィラスの魔法じゃなくてもよかったよね、と思いながら返事をしていた。
そして次々とタイガーウルフも森に入り、ガイアは双剣を抜いてタイガーウルフに襲いかかった。
素早く先頭のタイガーウルフの首を切り、タイガーウルフの血が吹き出し、次に来た二頭目の前足を斬り落とし、そのタイガーウルフは大地に凄まじい勢いで転倒し、悲鳴をあげる。
一瞬で二頭が倒され残りの三頭が勢いを失ったが、威嚇しようとしてるのか唸りを挙げている。
「てめぇら……人のこと
散々追いかけ回しやがって……」
ガイアは足だけを斬り倒れたタイガーウルフを、怒りの炎を目に宿しとどめを刺して振り返った時……。
残りの三頭がいなかった。
「はぁ⁈」
ガイアが拍子抜けしたのかそんな声を出してあたりを見回す。
「みんなガイアさんが怖くて
森の奥に逃げちゃいましたよ」
アルナイルがそう言いながら木から降りて来た、ステラも続いてごめんねと言う顔で降りて来た瞬間、ガイアの前身を痛みが貫いた。
「うあわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
ガイアが悲鳴をあげて倒れ込んだ。
「ふぇっ!」
アルナイルが驚いた。
ガイアはウィラルの魔法の効果が切れ、一瞬で前身筋肉痛と同時に足がつったのだ……。
「ガイア
やっぱり疲れが溜まってるのね」
ステラは予想していたのかそう言い、ガイアの足を回復魔法を使いながら押してくれている。
回復魔法は傷を治すことは出来るが、疲れを取ることは出来ない、今のガイアにとっては痛み止めのようなものにしかならないのである。
「ステラ何か知ってるのかよ⁈」
今までこんなことが一度もなかったガイアは叫ぶように聞いた。
「えっ?
いやその……
あっ危なかったから
慌てて使っちゃった魔法がね……」
ステラが、なはは……と言う顔をして言う。
「……ったく……
ありがとな……マジでやばかった……」
ステラはガイアがそう言ったことに驚いた、本当に怒られると思っていたが、ガイアもステラが色々我慢してくれているのに気づいていたので、そう言ってくれたのだ。
「ふむ
何方にも転ばぬか……
まぁ良い
じきにはじまるからのぉ……」
アル・スハイルはそう呟き空を見上げた。
そのアル・スハイルの視線の先の成層圏には、ユーファ達がいた……。
「来ます
ユーファ様……」
ドリアードが言った。
「街の方は?」
ユーファが聞いた。
「はい
既に結界を張り守りを固めています」
ドリアードが言い、ユーファは不安を感じながら剣を星海に向けた、その先にはエルナトが率いる魔物達の群れがオルビスに向かって来ていた。
「わたしたちの
主人のために……
迎え撃て‼︎‼︎」
ユーファが叫び、精霊達が一斉に攻撃を始めた。
ユーファは敵の数からオルビス全体へではなく、フランシスの街への攻撃だと気付いていた、だが住人の避難はサラスに進言しなかった、ユーファはサラスがこの出来事をリオー国の一地方の出来事として収めようと考えていることを知っていた。
精霊達の攻撃がサルガスの星に住む、サソリの様な魔物達の一団に襲いかかる。
精霊達にとっては住んでいる星、主星オルビスから力を引き出せるので、条件的に有利であるが、赤い一線が走り力強い一撃がユーファに襲いかかった。
ユーファはそれを剣で受け止めた時、それが槍である事に気付いた。
「あなただけは
精霊の中でとても特殊ですね
私はエルナト
あなたは?」
エルナトが槍に力を込めたまま小さな笑みを見せて聞いてくる。
「あなたがあの槍の……」
ユーファが数日前にあった唯一の反撃を、その槍を見て思い出した、その中で何人かの仲間の精霊が、体を使い槍を受け止め死んだことも思いだしていたが、微笑んでその槍を押し返した。
「わたくしはユーファ……
先日の礼はさせていただきますわ」
その言葉に微塵の怒りも無く、一切の憎しみも無かった、そしてユーファは風のような速さでエルナトに襲いかかった、エルナトは槍の間合いを保とうとするが、ユーファの速さにそれを保てず、反撃を封じられた。
(なにこの精霊……
あの攻撃で仲間を失ってないの?
感情が……無いっ‼︎)
エルナトは防戦しつつ叫んだ。
「ちょっとっ!
あなたの仲間を私は……
なのにこの剣はなんなのっ‼︎‼︎」
エルナトが聞いた、一切の感情を見せない剣に戸惑っていたのだ。
「かわいい……
わたしはあなたを戦士として見ています
悲しみにくれてしまっては
あなたに失礼ではありませんか……」
ユーファがそう言い、エルナトを襲い続ける、ユーファはエルナトを圧倒していた。
他の精霊達も魔物達を次々と倒し、再生する間もなく魔物達は大気圏に焼き尽くされていく、精霊達は迎撃に最も有利なのが、成層圏でオルビスの大気圏を利用して迎撃する事だと考えていた。
その状況も見たエルナトが唱えた。
「我貫く星の一星……
エルナト……
我が星よっ!
我らに貫く力を与えなさい‼︎」
エルナトの声によってエルナトが率いた魔物達に、貫く星の星の加護が付与された。
「精霊に構わないで
突破して星に降りなさいっ‼︎
サルガス様のもとへ向かいなさい‼︎」
エルナトが叫び、魔物達は精霊達を無視して一斉にオルビスに降りはじめた、まともに戦えば最悪全滅すると気付いたエルナトはユーファの攻撃を躱しながら、数では有利と見抜いていた。
精霊達は戦闘用のメイド服を来た者達が、100名程であり、その他の精霊達は50も居ないことに気付いたのだ、ただメイド服を来た精霊達一人一人が星を持って無い星海人に匹敵し、ユーファは星を持つ星海人に匹敵すると、そこまで分析していた。
精霊達は魔物の降下を阻止しようと、激しい攻撃をしていくが、その数の多さに全てを落とせずにいる。
「やってくれますわね……」
ユーファがそれを見て呟いた時にエルナトが連続で突きを放ち、ユーファはそれを躱しながら前に出てエルナトの胸を確実に捉え、突きを放ったが……。
その瞬間、全てを握りつぶされるような視線を感じ僅かに体を逸らした時、オルビスから赤い線がスッと伸びてその線はユーファの肩を貫いた。
「アル・スハイル様っ!」
エルナトがアル・スハイルが手を下したと気付いた。
「ほう……」
地上にいたアル・スハイルはユーファの胸を狙っていたが、ユーファがそれをずらして肩に当たったのを見てそう小さく呟いた。
(地上から私を狙った……)
ユーファはきづいた、成層圏で迎え撃つ事が必ずしも有利では無いことに気付いた瞬間、エルナトが全力で槍を振り下ろした。
ユーファはそれを剣で受け止めようとしたが、アル・スハイルに貫かれた肩に力が入らず弾かれ、オルビスに叩き落とされた。
だがエルナトはやけに抵抗しなかったユーファに気付いて、その先を見続けるとユーファが光り輝き、それに合わせて精霊達が撤退しはじめた。
「ほう……
あやつやるのぉ……」
アル・スハイルはユーファを見続けそう呟いていた。




