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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
漆黒の使いと無垢なる精霊編
61/278

第51話 狸、旧友に頼られる

新章 スタートしました。

今日はちょいと短めですみません。

「という訳で一度見て貰えませんか?田貫さん、よろしくお願いします!」


 という訳も何もいきなり頭を下げられても、ねぇ。


 喫茶店に舞い戻って4ヶ月、前いた銀河開発って言う会社を辞めてからそろそろ1年と言う所でバーテンダーよろしくカウンターでグラスを磨いていたら、かつての同僚四方山(よもやま)クンがどこで聞きつけたのか僕を尋ねて喫茶シリウスにやってきていた。


「MSMって会社を興して、飛ぶ鳥を落とす勢いだって噂は耳にしてたけど会社がどうかしたのかい?」


 そう彼ら元同僚たちも、僕が辞めた時にその送別会をやってくれた後、その事を咎めたてた会社に集団で辞表を提出して新会社を立ち上げたって話は、喫茶店に置いてある新聞の経済欄で知ってるけど業務的には順風満帆そのものだって書いてあったから昔の仲間(戦友)として喜んでいたんだけどね。


 “業界の梁山泊”とかってもてはやされてるらしくて、もしかしたら調子に乗り過ぎて危うくなってるのじゃないかなぁとか勝手に心配もしてたんだけどビンゴだったのかなぁ。


「それがちょっと色々ありまして・・・一ノ瀬さんがもしかして霊障かも知れないからシリウスって言う喫茶店を探して来いって言うもんで」


「それが『という訳』って事かい?」


「そうに決まってるじゃないですか、昔の仲間を助けて欲しいんですよ」


 以前からそうなんだけど、彼は説明ってもんが苦手で独りよがりに話を進める悪癖があるんだ。


「えーと、相変わらずだなぁ。説明も無しに助けてくれって言われてもねぇ、抑々(そもそも)の話としてシリウスなんて喫茶店なんて世の中五万と有るんじゃないのかい?」


「俺はシリウスには田貫さんがいるから連れて来いって言われてるだけなんで」


 これで何をして欲しいのか分かる奴がいたら尊敬するよ、まったく。一番若いメンバーかも知れないけど一番コミュ障がひどい子にお使いを任せるなんて、適材適所とは言えないだろうに。


「それでここに来るまで何軒シリウスを回ったんだい?」


「北のN市で2軒、も一つ北のW市で1軒、西のW市で1軒、その向こうの隣の県のF市で1軒、それから東の「合計でここは何軒目なのかい?」13軒目です。田貫さんさぁ、もうちゃんと店にいてくださいよ!

 俺も暇じゃないんだからさぁ!」


 見事な逆ギレである。蹴とばしてやろうか、このクソガキ!


 ちなみにではあるがこのクソガキ(四方山クン)が探した位置関係からすると基準点がMSMの本社と仮定するなら、ここは二つ南のかつて勤めていた銀河開発があるS市である。寄り付きたくなかったのは心情としては解るよ、けどね。


「君にそこまで言われて、助けてもらえるとか虫のいい考え方ができるんだったら君も相当厚かましい男だね。

 僕としては、まだ依頼を受けるとか下見をするだとか見積もりがどうだとかそういう話でも無い筈なんだけどね」


 おうおう、顔色が蒼くなったぞ?失言に気付いたかな?


「いや、俺、、あの、そんなつもりじゃ・・・」


 まぁ意地悪はこれくらいにしときましょうかね。


「まぁどうせお友達価格でとか虫のいい話を考えているんだろうけど、取りあえずはウチの代表の狐塚さんと仲間のカオルン少年にも話を通さないとね」


「そんな、こっちは急いでるんです!田貫さんだけでも来てくださいよ!」


 随分焦ってるんだな。でもそれに合わせたらこっちの方がガチャガチャになっちまうからな。


「どのみち急な話だし、他のみんなもまだ戻って来てないから勝手に即答はできないんだよ」


「それじゃあ、いつ他の方たちは戻ってくるんですか?」


「カオルン少年は夕方分の買い出しに行っててあと1時間、狐塚さんは内職しに工房に籠ってるから夕方まで帰ってこないし、その後は夕食時で閉店の8時までは客が切れ間無いからなぁ」


「じゃあ、今日だとしたらその後8時過ぎまで待てばいいんですね?」


「僕たちに晩飯を抜けって言ってるんならその時間だろうね」


 僕は、ブラックな労働環境には五月蠅いんだけどね。


「じゃあ、そのころ改めてここに顔を出しますね。結構大変な事になってるもんですから」


 四方山クンは、僕の言外のシグナルを無視して勝手に時間を設定して帰って行く。実質的に何の説明にもなっていないんだからどう転んでも判断なんかできるかい!


「アンジェ、ちょっといいかい?」


《な♡あ♡に♡、ターさん♡の癒しの殿堂アンジェちゃんで~す♡》


 その妙ちくりんなノリは何なんだ・・・言ったら絶対悪ノリするからここはスルーで、全力でスルーで!


「僕が今会っていた四方山クンの後を追ってくれないかな?さっきの話じゃ全然要領を得ないから確認をしたいんだよ」


《合点承知の助♡》


 アンジェは、早速ニャオンと鳴いて配下の野良猫どもを呼び寄せると、あれやこれやと指図をしている。あいつが有能なのはよく解っているけど、性格がいまいちよく掴めないよな。それに合点承知の助ってのは何だよ、昭和の時代劇じゃないんだからさ。


《ターさん♡、オンナはミステリアスな方が魅力的でしょ?》


 眷属って主の心を読むものなのかよ、ここはそっとしておいて欲しいところなの。



ペルセウス座流星群も終わり、ぼーっと空を見上げていても評価の星は未だ発見できず。

流れ星でもいいから貰えたら嬉しいなぁ。 貰えたら磨き上げて神棚に飾っとくのに。

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