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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
閑話 その3

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閑話 ブラックは闇に墜ちる

今回は田貫やMSMのメンバーを扱き使っていた『銀河開発』社長親子の話です。

本日は連投しておりますのでどぞよろしく(人物紹介ですけど)

 年末だろうが正月だろうが常に人が行きかい怒号が響いていたフロアに、疲れた表情の男が二人椅子に座って黙り込んでいる。


 二人の名前はカネダ マサテルとカネダ マサオキ、親子である。もう少し説明するとするならこのフロアはこの親子がついさっきまでは経営者として君臨してきた会社のオフィス()()()


 債権者に下げたくもない頭を下げて融資をして貰っていたのに事業が行き詰り、遂に二度目の不渡りを出して倒産したからだ。


 会社の名前は『銀河開発』、業界の風雲児と持て囃されていた時代もあっただけに隔世の感にかつて“鬼のカネダ”と綽名された男の目にも涙が光っている。


 彼にとっては、今までは思いのままに社員を使い事業を広げてきた。それが今年になって目を掛けてやっていた社員がなぜか次々と辞めていき、新しく雇った新卒たちも使えない愚図ばかりで予定していた事業に穴が開き、その結果、投資家たちからそっぽを向かれる事態に陥ってしまった。もちろん、目を掛けてやったにも関わらず辞めて行った元社員たちには後悔させてあわよくば再雇用で安く使うべく、自分の影響力を駆使して同業他社にはけっして雇わないように釘を刺していたが、連中はカネダたちの思惑から逃れるかの如く自分たちで会社を設立、投資家たちさえも丸め込んでスポンサーに付けて業績を伸ばしだした。


 好調に事業を展開する裏切り者ことミッド()スター()ミラージュ()と停滞どころか崖っぷちに立たされた銀河開発。


 勢いの差が業績の差を生み、それまでの社員に無理をさせて事業を推し進めてきた事が業界外にも悪評となって広まり、カネダ親子のごり押しにごり押しを重ねる経営姿勢が否定されて今日の日を迎えてしまったと言える。


 春先まではそんな気配は微塵もなかった。それどころか後継者のマサオキが満を持して入社し、順風満帆そのものだった筈だった。そのマサオキにしても主要取引銀行の創業家の娘との結婚が決まり、それまで腐れ縁で内縁状態であった女と別れて洋々とした将来に満ち溢れていた。女との間に生まれた二人の子供にも先々の事を考えて認知させていなかった事も先見の明と言えただろう。


 それが暗雲が立ち込めて来る事になったのは、研修が終わりマサオキの初仕事に選んだ新規プロジェクトのプレゼンテーションが失敗に終わり、その上その帰りにマサオキが交通事故に遭ってしまった事であろうか。


 命に別条がなかったとはいえ、後継者にもしもの事があったらと全社に激震が走り、事故を起こした相手からは相場から1桁以上多い賠償金を負担させた上で刑務所にぶち込み、初仕事に付き添わせた研究員はプロジェクト勧誘失敗と事故の責任を負わせて解雇した。


 ただ、それからは連鎖的な研究員の退社やそれに伴う計画の遅延、新規プロジェクトの不振による廃棄と屋台骨にダメージを数多く受ける事態となった事を鑑みた時、マサテルの脳裏にはマサオキの仕事にミソを付けた研究員『田貫 光司』に対する害意しか浮かばなかった。


 マサオキにとっても自分の勝手でプレゼンに失敗した事や事故に遭った事は、全て田貫の主導であるかのように頭の中で書き換えていて恨みしか残っていない。それどころ金の切れ目が縁の切れ目とばかりになかったことにされた結婚すらも田貫のせいだと決めつけていた。


 それが完全な八つ当たりである事などカネダ親子にとっては些細な事でしかなかった。債権者から見つからないように探偵を雇って田貫の行方を追ってみたものの、MSMの決起集会に出席した後の足取りはようとして知れず、田貫とMSMにつながりがある事だけが解っただけだった。


 もっともMSMの連中とは机を並べて仕事をしていたのだから繋がりが無い方が怪しいと言う物だろう。


 ただ、調査の副産物としてMSMとマサオキと内縁関係にあった女や子供たちと接点がある事が解った事は収穫だろう。これでMSMから技術を供出させて銀河開発が復活する事が出来る。


 親子はMSMをおとしめる方法を思い描いていつまでも暗い笑いを夕闇に晒していたのだった。

どうも書きたくないキャラの話は筆が進まず、短くなってるのはそんなもんだと見逃してやってください。


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