第197話 祟り神、喧嘩を売る
最近目が痒い・・・スギが飛び始めたんじゃなかろうか(中学時代からかれこれ40年以上の花粉症持ち、なんせ実家の周りは谷全体にスギしか生えてなかった)
また憂鬱な時期が始まるのか・・・
そんな事より本日もよろしくお願いします
「取りあえず今すぐみんなば元の場所に戻しちゃらんね」
ここまで来たら不良中年もきっと折れるだろう・・・?
【火が収まって客も無事だったら後顧の憂いは無いわけだね?
それじゃ儀式を始めようか、玉藻殿はこちらに、番頭殿何をしているの?アンタも壇上に上がって、ほら】
耳を疑う不良中年の言葉に思わず硬直してると葛葉嬢がふらふらと改装したばかりの神社の拝殿に設けられた祭壇に向かおうとする。
「ちょっ!葛葉しゃん!なんばしよっとね」
【へっ?あら、私とした事が!】
ちっと舌打ちが聞こえ、不良中年の苦虫を潰したような顔が眼に入る。
この野郎、言霊で葛葉嬢を操ろうとしやがったな?
「こいは敵対行為とみなしてよかごたんね!
おいたちの意思に反してむりやい搔き集めた挙句、こっちん要望ば無視して訳ん解らん儀式に騙くらかして参加さすうちゃよか根性しとうたい。
お望みどおいこがん茶番は終わらせ【先生!お言葉ではございますが今暫く猶予を頂けないでしょうか!】
お諏訪しゃん、おいん肚はもう決まっとうとばい?なんば待てっち言うとな?」
(標準語訳:これは敵対行為とみなしていいようだな!
僕たちの意思に反して無理やり搔き集めた挙句、こっちの要望を無視して訳の解らない儀式に騙して参加させようとはいい根性してるじゃないか。
お望み通りこんな茶番は終わらせ――――お諏訪様、僕の肚はもう決まってるんですよ?何を待てって言うのさ?)
僕を騙すんならまだわかる。葛葉嬢に手を出すとは万死に値する!
僕は葛葉嬢の守護者だ!僕の目の黒い内はお前たちの好き勝手にはさせない!
僕の剣幕に八幡様もお諏訪様もハゲタ彦も右往左往している。
一方、不良中年は本来の憤怒神の形相で僕を睨み付けウーちゃんは悟ったような穏やかな表情、白塗りお歯黒に至っては祟り神らしい怒髪天を衝くと言わんばかりの形相で不良中年を睨みつけている。
そして僕たち有限会社シリウスの社員一同は全員が相打ち覚悟で腕まくりをしていた。
【お絹ちゃんとおチビちゃんたち、それから千里眼さんは無理をしなくてよいので御座いますよ?
それから御老体も】
「なんの、神に楯突く人間なんて出し物を齧り付きで見せてもろうとるのじゃ。
いい冥土の土産になるわい。
じゃから除け者は無しじゃよ」
メンバー中一番生き汚い益岡翁が意外にも僕たちに微笑んでウィンクをかましてくる。
ポチとポンのすけも目を爛々と輝かせて僕たちを見つめ、お絹も箸を逆手に持って戦闘の意思を示してくれてる。
《お絹だってその気なんだ。
番頭の懐刀改め猫の王、及ばずながら主君たる神ころがしの達人の助太刀、お任せ有れ!》
《あたしもおとーさんとおかーさんのためにがんばるよ!
えっと。にしのはてからやってきたそらのはしゃ、あだなすものにはしのせっぷんを、がんばるぞ!》
《えっ某もやるのでありますか?
あーっ、比丘尼を勤めて八百年、海を鎮めて七百年。今こそ我が君の矛とならん!海坊主、参る!》
いつから戦隊モノになったんだい・・・ディーテもなんだかんだ言いながらノリノリだし・・・
ただ言っちゃなんだがフォーマットは合わせとかないと座りが悪いと思うんだ。
向こうだって微妙な空気に・・・なってないよ。
【手前生国と発しまするところ筑前の国っす!
母親の三韓征伐の帰路で生まれ幾星霜、応神こと誉田別命lっす!
以後お見知りおきを】
八幡様ったらなんか寅さんの口上みたいな挨拶だな。だからチンピラぽいって言うんだよな。
ちなみに第15代天皇です。在位は40年、享年111歳とも130歳とも言われてるそうです。その前は母親の神功皇后が摂政として天皇不在のまま69年務めたんだそうです。
神武天皇が即位したのが紀元前660年だそうです。
魏志倭人伝の卑弥呼は三世紀の歴史書に名前が出てるんですけどどこに行ったんでしょうね。
ところでお諏訪様はノリのいい八幡様と違って名乗りは気乗りしない様子、というより止めに入ってるんだよね。
【黙って見とったらオドレ等はアホか!
このまま現世を滅ぼすも和睦に持ち込むのもオドレ等がせぇへんでどないすんねん、ったく】
悟ったような顔をしながら毒を吐くとかウーちゃんはいつもながらブレないよね。
八幡様の口上は寅さんをイメージしています(実はまともに見た事は一度も無い)
ま、適当に流しといてくださいな
と、しらばっくれつつまた来週




