第182話 触らぬ神に祟りなし・・・このサブタイ2度目だ
秋の日は釣瓶落とし、一雨ごとに冬に近付く
流石に九州も冷えてきましてどてらなんぞを着込んでPCに向かう今日この頃でございます
皆様も風邪など召されぬよう体調にはお気をつけください
それでは何の脈絡もなく本日もよろしくお願いします
アレはシリウスが立ち上がって間もない頃の事。
まだ名が売れて無くて、僕が近隣の霊障を見つけては直に地権者と交渉して仕事を取って来ていた頃の事だった。
手始めにと地元の警察署で結界の綻びを発見してその修復を申し出た。
それ自体は、結界符の入れ替えと霊力の再注入で済む僕たちとしてはと言うか葛葉嬢としてはごく簡単な作業だった。
念のために綻んだ原因も確かめて再発防止に役立つようにと一緒に提言したのが悪かったのかも知れない。
術を施そうとした葛葉嬢が襲われたんだ。
霊的な事には無敵でも生身では葛葉嬢は護身術も自衛グッズも身に着けていないか弱い女性でしかない。そこを付け込まれて暗闇に引きずり込まれたんだ。
幸いと言うかその暗がりには先住者がいた。
アンジェだ。
実は、僕やカオルン少年が葛葉嬢を残して新たな結界符の設置をしている間の護衛の為にたまたま潜んだ暗闇に闖入者が葛葉嬢を連れ込んだんだ。
要はクズどもが一番近い暗がりで犯行を行おうとしたら、そこにアンジェが居合わせたという訳だ。
僕とカオルン少年は、現場で作業中に突然威圧で吹っ飛ばされて異変に気付いたんだ。カオルン少年なんて屋上で作業中だったから・・・とそんな事はここじゃ意味が無い事だから省くとして慌てて葛葉嬢の所に戻ってきた僕たちの前には、真っ青な顔をしてガタガタと震えながらはだけた服の前を隠そうとする葛葉嬢と威嚇で総毛を逆立てる黒豹サイズの猫又と全身の関節が外されて呻き声をあげる加害者の山があった。
よく見るとアンジェは山になってる極悪人どもより葛葉嬢の方を気にしているようだった。
葛葉嬢はと言うと・・・どうやらケガはしてないようだった。警察側の要望で烏帽子に狩衣のいつもの陰陽師スタイルじゃなくて一般人から目立つのを気にしてブラウスとスカートと言う姿だったせいかブラウスがほぼ原形をとどめないほど裂けているのを除けばだけど。
何はともあれ、僕は威圧を振りまきながら鼻息荒く震えている葛葉嬢を落ち着かせるべく彼女に近付いて行った。
そして気付いてしまった、葛葉嬢は恐怖に震えているんじゃなくて怒りに震えてるんだと。鼻息がシューシュー言ってるし、いつにもまして眼が吊り上がってるし、こんな怖いのが落ち着いてるとか言ったら僕は山に籠って下りないって心底思ったからね?
その後、山になってる連中やらアンジェに聞き取りをして詳細が解ってくる。
今回葛葉嬢を襲ったのは、霊能者ではなくただのチンピラだった。
というのは表向きで、実はさっきまで僕たちが作業をしていた警察署の結界の設営を元々担当していた葛葉嬢の父親の勤め先である東京晴明神社の依頼を受けた麦踏会と言う反社どもだった。後に新銀河開発とMSM絡みでちんちくりんとやり合う事になるあの麦踏会だ。
という事は、この警察署の結界の綻びは偶然ではなく恣意的なモノだったって自白しているようなモノだ。じゃなければヤクザ者なんて手配はしないだろう。
ちなみに葛葉嬢の服が破けていたのは麦踏会に襲われたからというよりその反撃で威圧をぶっ放したせいで力の加減が出来ずに服が弾けてしまったのが真相だった。
結果として葛葉嬢は自慢の貞操を守り切りアンジェは後片付けに奔走させられた訳だ。
誰だ葛葉嬢が生身ではか弱い女性だなんて言ったのは!充分狂暴じゃないか!
ま、ともかく葛葉嬢の事は一件落着だったんだけど、銃刀法違反オヤジ(大国主命の可能性大だけどまだ確証が取れてない)の様子があの時の葛葉嬢に似てるんだ。
そうなるといよいよ祟り神の本領発揮とかになりかねない訳でお諏訪様、身内の世話はお願いしますよ。
派手なアクションシーンの一つでもと色々考えてみたんですけど式符と式神を駆使すればどうにでもなるという結論に落ち着いてしまいました(単に腕が無いと・・・身も蓋も無い言い方は止めて!もうライフはゼロなんだから(泣))
考えては没にしたネタだけでもう一本出来るかも知れないと思う反面、没になったネタで真面な話になるのかというツッコミを自分にかましてしまう晩秋?初冬?の一日を過ごしながらまた次回




