第174話 狸、恋敵と出会う
皆さまお久しぶりでございます
何とか方向性が定まってきたので投稿再開させて頂きます
まぁ期待もしてらっしゃらないでしょうが本日もよろしくお願いします
目玉を取り出して洗いたくなるようなかゆみとどこかに蛇口でもつけて止めたくなる程の鼻水に今年も悩まされながら、ようやく今日と言う日がやってきた。スギもヒノキもこの世から消えてしまえばいいのに・・・
ともあれ、旧東京晴明神社の改装がやっと終了するんだ。
とはいえ表の鳥居には神社の名前を示す額が掛かっていないし狛犬の台座は空席だ。でもそんな事はどうでもいい。余計な仕事が一つ無くなったんだ!
額と狛犬は最初から注文に入ってなかったしどこの神社になるかなんて端っから興味が無い。
有給どころか碌々みんなを休ませてあげられなかったから、明日から有限会社シリウスは1週間の休業をします!これに関しては無理やり仕事を押し付けてきた八百万の神々の悪態雑言は無視します!
こちとら生身の人間なんでい!
【おぉ!綺麗に出来上がっとるやないの!タマちゃんの旦那さんも機嫌がようなる訳や。
これで一端の神さんになれるってもんやで】
誰が神様になるかなんて興味は無いが僕たちの苦労はここで終わりだ。ウーちゃんの戯言は無視をして仕上げの準備に掛かろう。
「摂社ん造営でん各神社んもんのあらかた済ましとうし、もうおいたちにでくるこつはおわいたいね」
そう後はもう後片付けだけ。奥の院がどこにあるのか知らないけどそれはここの仕様ってもんだろう。僕は自由だ!
その時、花冷えの季節に合わせて厚着している背中に寒気が走った。
【これそこの見ずぼらしき男よ、ちこうよれ】
周囲に人はいないから僕の事を呼んでいるのだと思う。でも名乗りもしないで頭ごなしにされて素直に言う事を聞く僕ではない。
あえて無視をしてわざとらしく図面と建物の不具合を確認してみる(もちろん本業ではないので何も解らないけどね)。
【おのれ、小面憎しや!朕を蔑ろにするとは不届き千万、名を名乗りおれ!】
随分と沸点が低い奴だな・・・すっげぇ強い悪霊の類か。改築したばっかの神社に乗り込んでくるとは相当の力があるって事か・・・あ、こりゃ詰んだな。
「どこんだいでん知らんばってんくさ、いきない呼びつくっごたっ筋合いはなかとばってん?
わぁがでなのいもせんでそん言い草はなんな、今時はやらんとばってんね!」
自棄半分で文句を言いながら振り向けば、中空には青白い憤怒の表情の中年の公家が浮かんでいる。
ただその表情以外に特徴と言う物を感じさせない不思議なヤツだ。いつも見慣れている白塗りでお歯黒のヒトのいいおっさんじゃあない・・・こいつ、誰?
【いや、そんな、怒らずともよいではないか・・・話せばわかるであろう】
「いきない小面憎かとかいろんころん言われようとはこっちばってん?」
【そこはそれ不慣れな朕を案内せぬそこもとが悪いのであってだな】
「不慣れでんなんでんどこんだいかでん知らんとに相手にすっとが変やろうもん!」
憤怒の表情から泣き顔になる謎の悪霊をやり込めているとウーちゃんが飛んでくる。どうやら一言声を掛けてから気ままに見学でもしてたみたいだな。
【何しに来くさりおったかこのすとおかあ!】
ウーちゃんが知らないおっさんに食って掛かってる・・・すとおかあってストーカー?誰の?意味不明!
神様と出会って消滅しないって事はこいつ悪霊じゃなくて神様?
【社に魂が籠っとらんこの時期を狙うて現れるとは油断も隙も無いヤツやな!
この神社の摂社は12や!まずはワテんトコ、それからここの後見に入る天神社、更には八幡社、諏訪社、白髭社、神明社、神田明神、大黒社、熊野社、金比羅社、弁天廟、毘沙門堂!オドレの入り込む隙間などありゃせんのや!】
説明させて貰うと摂社ってのは他の神社からの出張所みたいなもんで、鳥居から拝殿へ向かう参道沿いに祠として置いてあるヤツ。
それが12もあるって事はかなりな規模の神社って事になるだけどね・・・そんなもんをずぶの素人に改装とは言え造営させんなよ。
【さ、されど800年前よりの朕との縁が【アホンダラ!
オドレの800年前の横恋慕と3000年の呪縛のどっちが深いゆうとんのか!】
そのような古ぼけた絆より朕との縁の方がよりしっかりとしておりましょうぞ!
ご不満とあらばまた先日の霊震を起こして進ぜましょうぞ!】
・・・葛葉嬢が神に覚醒しちまった時に紛らわしく起きたあの悪寒ってこいつが起こしたっての?
800年前の横恋慕・・・3000年の呪縛・・・もしかして僕たちの事?って事は僕と葛葉嬢(正確には玉藻の前)を殺生石にした崇徳上皇なの?このおっさん。だったらストーカーも納得だわ。
さてどうしてくれようか、ねぇ?
一応月水金の投稿で頑張っていく所存です 時間は不定期になるかも知れませんが
尚この章から2500文字から1500文字に投稿量を変更してますんでよろしく(どう頑張ってもそれ以上は無理なので)
取りあえずまた次回




