第171話 狐、嫉妬する
遅れてすいません
ようやくできたので投稿させて頂きます
よろしくお願いします
「名付け親ん葛葉しゃんば蔑ろにしよっけんに決まっとろうもん?」
僕のリストラ理由を聞いても牛は動じなかった。
なんて言うか柳に風、猫に小判、馬の耳に念仏、蛙の面に小便、糠に釘、暖簾に腕押し、えーとまだあった筈だ・・・歳のせいか思い出さん!なんか悔しい!
《だってウチ、夫君様の所に来たとに玉藻様から名前とか貰う筈なかでしょモ~》
「さっきからおいはいらんって言いよろうもん」
語尾のモ~がわざとらしくて腹が立つ。
それから僕の話をちゃんと聞けっての!なんで僕の所に来るのさ、神様になったのは葛葉嬢なんだぞ?
僕はその単なる連れ合い、ケダモノっぽく言えば番て事だけだ。
見てみろよ、存在を無視されて葛葉嬢が固まっちまったじゃねぇか。
こうなるって解ってるから拒否したいってのにそんな僕になぜ白塗りお歯黒が牛をくれるんだ?
意味が解んないだろ?
《ターさん♡、ウチも最後にニャンとか付けた方がいいかしら・・・ニャン》
アンジェよ、人が悩んでる時に余計な事すんな。こっちが抵抗しない事をいい事に頭からグリグリくるのも2本の尻尾を僕に巻き付けるのも禁止だ。
それから無理に色気を出そうとかするんじゃないよ。
お前さんあっての僕なんだから無理に自己主張しなくったって忘れやしないさ。
ほらほらピュアも気安く牛に触っちゃダメでしょ?
すぐに返すんだから汚れないように向こうに行ってなさい・・・それよか君は今日はちんちくりんと組んで除霊に行ってたんじゃなかったっけ?目を逸らさないの。
今日やんなかったら明日今日の分までやんなきゃならなくなるんだから溜ちゃダメでしょ?
溜めて無茶すると失敗の原因になりかねないんだからさ。
さて、と振り向くと船幽霊が一匹こっちを覗いているな・・・確かあれは吉祥丸だっけ?じゃなかったら開洋丸?それとも大漁丸?誰でもいいけどディーテからのメモを預かっているのか。
何々?『食事が無駄になりますから早く社長を連れてきて欲しいであります』だぁ?僕の眷属のくせ僕の心配はしないのか!
まぁ僕の心配だけしてたら、逆に葛葉嬢の心配はしないのかって怒るんだろうね、僕って。あぁめんどくさっ!
それにしてももしかしたら今日は全員ノルマ未達なんじゃないだろうな・・・スケジュールに余裕がない上にシャレが効かん状態になっちまったらどうしよう・・・確認するのが怖い。
葛葉嬢がこの状態なのにみんなに難詰するのは無理があるぞ。でも確認しなきゃならんよな・・・
尚もぐずる葛葉嬢を引きずる様にして寮を出て喫茶シリウスへ漸く向かう事にする。話がややこしくなるから牛は放置する事にしよう。因みに日はもうとっぷりと暮れている。
ただ牛には勝手な事をさせないように釘を刺しとかなけりゃね。
「おいたちのおらんけんて勝手かこつばせんとよね。
小便しかぶったい、でかかとばたいかぶったいして、よそわしゅうしたぎん問答無用に追い出すけんね」
《えーっ、出すもんば出さんやったら美容に悪かじゃなかですかモ~》
牛が肌荒れ気にするんかい!
「喰わんぎんづっもんでんでんちゃけんなんも喰わんぎんよかろうもん?」
うぅむ、我ながら中々な暴論だな。
【旦那さま!それはあんまりでは御座いませんか!】
ですよねぇ、僕もそう思います。
《そいもそうたいね、解りましたモ~。じゃ食べないよモ~》
・・・なぜ納得できるんだ・・・
「じゃあなんで朝はバカバカ喰いよったとね」
《その場の勢い?モ~》
一発ぶん殴っても罰は当たんないよね?
僕が拳を上げようとすると大漁丸?が袖を引く。
邪魔すんじゃねぇ!
ボロボロの包帯から覗く眼が僕に何かを訴えかける・・・ディーテが怒ってるんだな?
ああ言う生真面目な奴は融通が付かないから怒りまくっていてもおかしくは無いわな。
ディーテが荒れると止める奴がいなくなるんで慌てて葛葉嬢の準備もして寮を出ようとしてドアノブを握った時、さすがに僕も気が付いた。
コイツなんで喋れるんだ?それに喰わなくても平気だとかどういう意味だ?
「わぁが、何もんだ」
《牛じゃっどんモ~》
何を頭の悪い会話してんだよ。
こっちは奇妙奇天烈なモンを年がら年中見てきてんだ、ちょっとやそっとじゃ驚かねぇさ。
「牛なんは見て分かっくさ!
どこん牛でどがんして天神しゃんに選ばれたとやって聞きよっとたい!」
《どこんとって言われても昔ん事は解らんとよモ~。
でもなぜ選ばれたのかはしっかり解りんさぁと、目覚めた時夫君がいんさぁたからじゃっどんモ~》
?目覚めた時、僕がいた?身に覚えが無いんですけど・・・葛葉嬢ったら僕が信じられないの?何、その疑ってる眼。疑われるような事した事無いでしょ?
この眼を見てよ、嘘なんか吐いてないでしょ?
「なんか言いたかこつでん?」
葛葉嬢はプイと眼を逸らし大量の威圧を迸らせる。
それがはた迷惑だって言ってるでしょ?
「葛葉しゃん?」
【私が至らぬ妻である事は百も承知しております・・・けど隠れてお付き合いをされるとはあんまりでは御座いませんか】
「葛葉しゃん・・・なんば言いよっとね、おいに外におなごば囲う度量のあっと思うとね?
おいが初対面んおなごとぴしゃぁて会話ばしぃえんこつはそいこそ百でん承知やろが?」
大体僕が誰と付き合ってるの?自分が知らない所で知り合ったらしいからってそれは邪推ってもんでしょ?
身に覚えなんて全然ないんだからね?
《おといこみ中お邪魔ばすっどんモ~》
取り込みの元凶が何抜かす!
《夫君にしょておうた時に横に玉藻様のいんさぁたっどんモ~》
はぁ?言ってる意味が解んないんですけ怒!
絶賛スランプ中で週1更新すらままならない状況で情けないです
どうにか来週も更新できるように努力します
また次回




