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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
閑話 その13

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閑話 捕らぬ狸の皮算用

今回は父兄参観シリーズと銘打って親とかをフューチャーしようとか思います


まずはシリウスのはじまりに絡むこのヒトを


呆れて投げたりしないで欲しいと思う今日この頃


では本日もよろしくお願いします

 その男は、まずまず繁盛している店を眺めて目を細める。


「薫の奴、どうやってこの店出したんだ?

 これなら俺が少しぐらいグータラしてもでぇじょぶだよな、へっへっへっ」


 男は、ニヤニヤを抑えきれないまま玄関を(くぐ)る。


 あの時の禍々しい雰囲気はまるでない、どちらかとと言うより圧倒的に爽やかで明るい雰囲気の店内は神社の拝殿を思わせる白木が目立つ内装をしている。


 カウンターの奥の厨房から覘くのは全体的に毛の薄いドワーフと言った風情のランニングシャツ姿の男、カウンターに立っているのは大人しそうな長髪の美女・・・中々のいい乳をしてるじゃねぇかとは男の心の叫びだ。


 取りあえずテーブル席に腰を下ろすと髪を肩までで切り揃えた若い女が注文を取りに来る・・・これもスラっとした長身でありながら乳の張りといい腰の張りといい男好みの美女だ。


 にっこりと笑い差し出すメニューを持つ手を掴みウェートレスを自分の膝の上に引きずり込むとそのたわわな胸を揉みしだく。


「すいませんが、この店はそういう事をなさるところではありませんよ」


 その言葉と共にがっちりと抑え込んでいた筈の女がテーブルの脇に立っているのに気付き、男は(いぶか)しむ。


「客商売で客の要求するサービスに答えるのは基本中の基本じゃねぇか!四の五の言わずに乳を揉ませろ、いやこれは客を(ないがし)ろにしたバツだパンツを脱いでケツをこっちに向けろ!」


 いちゃもんを付けて金を巻き上げようというハラの男の過激な要求に、カウンターの美女が口を挟む。


《おイタはそのくらいにしてもらいたいでありますよ。

 お客様を相手してるのはついこないだまで警察にいたのでありますよ?》


「え?可愛い顔して何やらかしたんだよ!おっそろしい奴だな!」


 男の答えに頬を引き攣らせながらウェートレスが微笑む。ただその目はとても冷たい。


「あいにくと取り締まる側だったんですけどね。婦女暴行未遂と傷害の現行犯で突き出してもよろしいんですよ?

 あっ、それから名誉棄損も追加しとかないといけませんわね、犯罪者扱いしてくれちゃってとっても傷つきましたから」


 その冷たい眼に相手の本気度を読み取った男は慌てて立ち上がる。


「ほんの冗談じゃねぇか、そんなマジになんなって・・・なっ?なっ?」


「ここが風俗かどうかなんて見て分からないんですか?

 口先だけ謝ったら全てが許されると思っていたら世間を舐めているとしか言えませんね、いい年してふざけないでください!」


 更にウェートレスに責められて助けを呼ぼうとカウンターを見ると、カウンターの美女はカウンター席の常連と思しき客と談笑をしていてこちらを見る気配も無い。


 男が元々自分に非がある事を棚に上げて大声を上げようとした時、ドアベルが鳴って新しい客が入ってきた。


【やっと朝の仕事が終わったので御座います。あ、今日はディーが当番なので御座いますね?

 すみませんが甘いものを何か欲しいので御座います】


 妙に丁寧な女の様子に男はピンときた。これは騙せる奴だと。


《これはこれは大奥様、いつもながらご苦労様であります。

 今はちょっとあれでありますから奥の方でおくつろぎいただければと思うのであります》


 カウンターの美女の言い方からするとオーナーか何からしい女がちらっと男の方を見た。やや吊り気味の切れ長の目が印象的な絶世の美女だった。


【雪ちゃん、お客様と何かあったので御座いますか?】


 雪ちゃんと呼ばれたウェートレスが返事をする前に、男が“大奥様”と呼ばれた20代半ばほどの美女に吠える。


「なんだ、アンタがここのオーナーかなんかか?このねぇちゃんをどうにかしてくれよ!

 いきなり俺の膝に倒れこんできて俺が痴漢だって言うんだぞ?

 こんな頭の沸いたのを雇ってるとかどうかしてんじゃねぇのか?

 おい、この落とし前はどうしてくれようってんだ!

 名誉棄損だ!それに傷害も付けてやる!話に依っちゃ警察に駆け込むかんな!」


 事情が解らないまま怒鳴られて“大奥様”は慌てて頭を下げる。

 こんな時事情を確かめずに謝罪をするのは下策である。

 ウェートレスとカウンターの美女も思わず天を仰いでしまう。


 男の頭の中でいくらぐらい(むし)り取れるか計算をしながら大奥様に凄んでいると、厨房から小太りの小男が顔を出す。


「随分騒がしかばってん(騒がしいけど)なんかあったとね(ありましたか)?」


 男は訛りが酷い小男に鼻を鳴らして小馬鹿にする。


「ちびはすっこんでろ!何にも知らねぇ田舎もんは田舎で芋でも掘ってりゃいいんだ!」


 するとそれまでなすがままに謝罪をしていた大奥様が、目を吊り上げて睨んできた。


【私の旦那さまに何かご不満でも御有りで御座いますか?

 背が小さかろうと頭が薄かろうと私の最愛の夫に暴言をお吐きになるという事は、お覚悟が出来ていると言う事で御座いますね。

 警察がどうこうと仰っていたようですが、その辺の官憲ごときに屈する気は毛頭ないので御座います。

 出るトコに出ても構わないので御座います。

 いざとなれば冥府魔道に突き進む覚悟はできているので御座います。

 ご返答を!】


 大奥様から噴き出してくる威圧の強さに失神しそうになりながら、男は助けを求めて周囲を見渡す。

 今までの事をずっと見ている従業員や他の客が助け舟を出すとか虫のいい話がある訳がない。


 男は、謝罪の言葉も言えないような状態で()()うの(てい)で逃げ出した。


「なんてバケモンだ。これじゃ薫に(たか)るとか難しいじゃねぇか。

 あれじゃ、店の権利とか全部あの女に毟り取られてるんだろうな・・・諦めて帰るか」


 かくして問題を起こして遊び金をせびり取ろうと言う男の計画はめでたく頓挫した。


 その頃、店の中では大奥様が小首を(かし)げていた。


【結局、謝罪はしていただけないので御座いました。

 それにしてもあった事のある方のような気がして仕方ないので御座いますが・・・ディー、取りあえず甘いものをお願いするので御座います】


 そこに買い出しから店主が帰ってきた。


「ただいま、ねぇもしかしてココにオレんトコのオヤジが来てなんかやらかさなかったか?・・・帰ってくっ時、すれ違った車に乗ってたみたいなんだけどさ(ボソッ)」


 その言葉に大奥様は、悪霊退治を等級を偽られた挙句にお友達価格で請け負ってそのままトンずらされた男の事を思い出した。


「まぁ、やいかぶって(やらかし損ねて)葛葉シャンに撃退されたばってんね(ちゃったけどね)


 実害がなければそれでいい、それがこの店のスタンスだった。

かつてお人好しの葛葉嬢に付け込んでほぼ捨て値で悪霊退散をさせようとして大事件を起こした大上父登場であります


今回は葛葉嬢の逆鱗に触れてほとんど何も出来ずに退散しちゃいましたが後々出番は来るのでしょうか(忘れている自信なら山のようにあるが・・・)


まぁ反省なんてし無さそうなバカ親なんてどうでもいいなぁとか思いつつも次回はサキュバスの雪子ちゃんの話になる予定(現在推敲中・・・間に合うのか?これで


未来の事が心配になりつつもとにかくまた来週

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