表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
漂う梅の精と春の園編
208/278

第160話 狐、梅の精と対談する

GWも過ぎ通常営業に戻っての1発目です


ここに来て新キャラ登場です


とってもメジャーな神様なんですけどどうなりますことやら


いつもながら成り行き任せで本日もよろしくお願いします

【遠路はるばるこのような四阿(あずまや)にまで来てもろうてお疲れでおじゃるか?】


 目の前の中空には白塗りにお歯黒のお公家様が浮かんでいる。


【とんでもないので御座います。態々(わざわざ)の御指名を頂き一同喜んで参上したので御座います】


 答える葛葉嬢にお歯黒を光らせて中空のお公家が微笑む。


麿(まろ)の事を祟り神だと恐れてよくよく顔も見せずに逃げていく御仁が多いのに感心なものでおじゃるな】


 大体の予想は付いていただろうけど、この空飛ぶお公家さまは天神様として名を馳せる菅原道真(すがわらみちざね)サンだったりして・・・新旧の祟り神の遭遇、とかダレトクなんだよ!


 日本史だと遣唐使を中止した時の責任者みたいなところで名前が出るこのおじさん、実は祟り神界のエリートだったりするんだ。


 都合が悪い時に『クワバラクワバラ』なんて呪文を唱えた事は無いかい?・・・えっそんなの知らない?


 ・・・チカゴロノワカイヤツハ・・・


 この『クワバラクワバラ』って言う呪文は、道真さんが天誅(てんちゅう)を下す為に落とした雷が桑畑に逸れて命拾いをした公家たちの口から広がった魔除けの呪文だったのが抑々(そもそも)の始まりなんだ。偶然桑が避雷針の代わりをしてくれた事に(あやか)って災難は来ないでくださいってね。


 だったら藤原氏のみんなは、位討ちだとか大宰府に左遷とかしなきゃよかったのにね。あの辺の根暗で陰険な感じが嫌いなんだよ、公家ってさ。


 だからといって僕は陽キャでもなんでもないんだけどね・・・未だに女性は苦手だし。


【ほぅ、湯島の牛からも噂は聞いておじゃったが猫に人魚、更には南蛮の(あやかし)まで従えておじゃるとはのう】


【従えているのは私ではないので御座いますよ?

 従えているのは私の夫で御座いますところの狸小路で御座いますよ】


 キングオブ祟り神ののほほんとした白塗りお歯黒のおっさんは不思議そうに首を傾げる。

 ホントにこの(とぼ)けたおっさんが平安京を恐怖のどん底に叩きこんだのかちょっと疑わしくなってくる。どっちかと言えば悪性の風邪でこの世を去ったとあるコメディアンに近い・・・と言うよりそっくり?


【ダッフンダ!】


 その場の人間たちが揃いも揃って驚いて固まると、白塗りお歯黒は扇子で口元を隠しながらころころと笑う。


【最近の人間どもはこれをやると喜ぶのでおじゃるよ。そこのちびデブもその横の大入道も顎が外れとらんか心配しないといかんようでおじゃるか?】


 祟り神の癖して人を揶揄(からか)いやがって・・・ぶん殴る!


【旦那さま、旦那さま!ここは収めて頂きませんと菅公様(白塗りお歯黒)の場を和らげようとするご配慮で御座いますから!】


【おや、このちびデブが玉藻殿の連れ合いでおじゃるか?・・・もっとええ男はおったであろうに物好きな・・・】


 ひっ人が気にしている事を!自覚があるだけにヨソから言われたらモーレツに腹が立つ!


 もういい!絶対ぶん殴る!!


【・・・菅公様、少々お(たわむ)れがおすぎでは御座いませんか?

 例え先達であろうとも私はともかく私の夫を愚弄する事は天地が赦そうとも私が赦さないので御座います。例え冥府魔道に堕ちようとも私にもこれは譲る事は出来ないので御座います。

 この場を焼け野原に変えてでも夫への恥辱は晴らさせていただく所存で御座います。

 さぁ、ご覚悟を】


 一際鋭い威圧を放つ葛葉嬢を僕は不本意ながら止めねばならない・・・こんな事で滅亡のA級戦犯だとかに成りたくねぇよ!


 鋭くなった葛葉嬢の視線から逃げるように白塗りお歯黒が臥牛の像の後ろに隠れる。


【ほんの軽口では無いか。そないに本気で怒るとは聞いてないでおじゃるよ?

 ここまで案内してくださった八幡の誉田別(ほんだわけ)様、どうなっているのでおじゃるか?】


【オイラに話を振るんじゃねぇよ!

 兄貴を変にいじると玉藻の前様がぶちぎれるってちゃんと教えてたじゃねぇの!

 玉藻の前様を抑えられるのは兄貴しかいねぇのによりにもよって兄貴をディスるとか死にてぇわけ?おめぇってバカ?ウーちゃん様でもやらないような虎の尾踏んで嬉しいの?

 てめぇのケツは自分で拭けってぇの!

 とっとりあえずオイラ宇佐に帰るから後は頑張ってな、アバヨ!】


 チンピラ(八幡様)が言いたい事言って姿を消すとオロオロしながら助けを探す白塗りお歯黒(道真公)の姿が哀れを誘う。


【素直に謝るかオドレの言うトコの『ちびデブ』に土下座でもして許しを請うかしかオドレの生きる道はあらへんで】


【ウーちゃん様までそないな事言うのでおじゃるか・・・そない言われても麿は神でおじゃります。人に頭下げるどころか土下座など・・・玉藻殿にやってからかれこれ800年ほどやってないでおじゃるしそないな事やらかした日には格が落ちてまうでおじゃる】


【恵比寿に引導渡したんもこ奴らやけどそれでええんな?】


 白塗りの顔から血の気が引いて行く・・・白塗りの色が変わるって事は元からの肌があの色って事?


【ウーちゃん、みんなを連れてここから避難をして欲しいので御座いますが。

 本気を出させていただくので御座います】


 真冬のシベリアの方があったかいんじゃないかと思わせる葛葉嬢の睨みに、白塗りお歯黒の盾になっていた臥牛の像がこそこそと逃げていく・・・ありゃ付喪神だったのか。


【これ臥牛!麿を置いて逃げる奴があるか!

 これが“落ち武者”を蹴散らし、“墜ちたる猫”を素手で寄り切り、平和ボケした恵比寿サンに引導を渡し、“オロチ”を葬った玉藻殿のいや玉藻様の実力でおじゃるか!】


 誤解があるようだけど“クトゥルフの猫”は僕が確かに素手で動かしたのは認めるけど下したのは当時の同盟だからね?・・・そん時の同盟の主力ってみんなシリウスに来てるか。


【私はただの陰陽師(仮)でしかないので御座います。

 これまで様々な神様を下してこれたのは旦那さまの、狸小路の助けがあったからなので御座います】


 ちょっと待て!葛葉嬢ったら僕を道連れにしようとか画策してませんか?


【あぁ!その実力にしてその謙虚さ、麿の嫁にも煎じて飲ませたいものでおじゃる・・・あの山姥(ヤマンバ)ときたら・・・】


 話が長くなりそうだからマルっとスルーして葛葉嬢の方を見ると・・・照れてた。

 菅原道真公、侮りがたし!葛葉嬢の威圧を逸らしちまったよ!


「天神様、お話し合いのところ大変申し訳ないのですが、本日の御用件をお聞かせ頂く訳には参りませんでしょうか」


 こっちは向こうに仕事を山のように抱えてる身ですんでね、早いとこ切り上げて社員旅行に切り替えたいんですよ、この仕事!


 そんな僕の言葉に白塗りお歯黒ときたら、虫けらでも見るかのような目で僕の方にわずかに視線を動かし鼻で笑いやがった。


【麿が玉藻様と睦まじく話しているものを邪魔するとは無粋な人間でおじゃるな。

 その方、名を何と申すのじゃ】


「田貫光司と申しますが、何かご不満でも?」


 さっき、僕が葛葉嬢の連れ合いだって言ってたよな、アンタも。


 白塗りお歯黒は自分が葛葉嬢の虎の尾を踏んだ事に気付き、ギギギッとばかりに葛葉嬢の方に目を向ける。


 当然のように溢れ出す威圧で立木が折れそうになっている中に立つ葛葉嬢を見る事になる。


【あっ、いやっ、その、こっこれは少しばかり話の行き違いがあったようでおじゃるな】


【そうで御座いますか。で?】


 更なる威圧に耐え切れず、白塗りお歯黒は梅の木に変化(へんげ)してしまった。


【旦那さま、悪気は無かったので御座いますよ?】


 辺り一面威圧にやられて倒れた人だらけの中で葛葉嬢が僕に叱られるのを待つ子供のような表情で話しかけてくる。


 立っているのは僕の眷属たちとカオルン少年にちんちくりん、後はウーちゃんくらいなものか。


 普通に鳥居を入ってすぐの場所で会見したのが(あだ)になっちまったかな?まぁ後悔したところで状況が良くなる訳でも無し、自然体で行くしかないね。


 僕は葛葉嬢の頭を撫でながら笑いかける。


「まぁ予想通りと言えば予想通りですから気にしないでください。

 既定路線だと思えば気が楽になりますよ」


 納得できないながらも僕に頭を撫でられ続ける葛葉嬢を見ながら、ウーちゃんがボソッと呟くのを僕は聞き逃さなかった。


新皇(平将門)も首塚から出てきぃへんのやさかい、タマちゃんの序列はどこまで上がるんやろうな】


 僕は何も聞かなかった、そう何も聞いていないんだ!

天神様をイメージして、権力闘争に負けた公家→公家って言ったらお歯黒とか化粧とかしてそう→化粧って事は白塗り?→白塗りって言えばバ〇殿、という安直な発想で見た目を決めてしまいました


お気楽そうな神様ですけど祟り神なんでそれをどんなふうに書けばいいのやら


悩みながらアイーンをして書いてみようかな?


いいネタ転がっていませんかねぇ?


そんなこんなでまた来週

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ