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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
災いの足軽と頼りなき受験者編
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第149話 人魚、演説する

採用試験第3ラウンド開始でございます


舞台設定に困っているとか思わずに見て頂ければ嬉しいかな・・・


では本日もよろしくお願いします

 こんな霧深い山中に全員脱落する事なく辿たどり着けた事は、褒めてあげるべき事なんだろうね。


態々(わざわざ)この山深きひなびた温泉へとお出向きいただきそれがし感謝に耐えないのであります!》


 結構感激屋のチーム一の生真面目な人魚、海風のディーテがこみ上げる涙をこらえながらやってきた面々に向かって熱弁を奮っている。


 つうか、よくもまぁ同じような事を30分以上も何度も繰り返し話し続けられるものだね。


 でもそろそろ人間の方が限界みたいだけどね。


「梅雨時の山の中で人魚の演説を延々聞かされてる身になって欲しいんだけどね。俺としてはさっさと姉貴に会わせて欲しいだけなんだからさ」

「しっ!それ以上言っちゃいけないよ“白の六式使い”クン!

 前回の試験では結果ではなく過程を審査されていたんだからね!老婆心ながら口を慎んだ方が!」

「坊さんは人が好いんだから・・・黙ってりゃ勝手に落ちてってくれるのによう」

「ヒロ君も一言多いと思うわよ。そういう態度ってきっとマイナス評価でしょうね」

「わたくしが何でこのような場所にいなければならないのでしょう・・・主はわたくしに試練を授けようとされているのでしょうか・・・」

「儂としては温泉にゆっくり浸かれたら後はどうでもいいんじゃがな」


 この口さがない人間どもは、チームシリウス新入社員試験再追試受験者の面々だ。


 最初にぶー垂れてたのが16強の一角“浄霊清浄社”の若きエース“白の六式使い”ことチームシリウスの顔、狐塚 葛葉の弟、秀和だ。清浄社では絶対的エースなのかも知れないがチームシリウスとの実力差にはまだ考えが至ってないみたいだね。じゃあ来なきゃいいのに。

 その次に小声で発言したのが旅費が稼げなくて自分の道場に帰るに帰れなくなっている“日輪道場”主宰者足利 義葦だ。そんなに気ばかり回しているから頭が寂しくなったんじゃ?

 その足利にこっそりツッコミを入れていたのが元“チームシルク”なる詐欺集団にいた出所したばかりの河間 ヒロ。なんだかんだ言ってもこいつも人が好い奴みたいだな。

 河間に更にツッコミを入れていたのは警察を辞めたばかりで絶賛求職中の烏丸 雪子22歳・・・おっとセクハラだぜ。河間をウザがってたのにいつの間にやら下の名で呼ぶようになったのね、仲がよろしいようで・・・爆発しやがれ。

 そして初登場なのが“世界救世教会”の元幹部にして結果的に自分の組織にとどめを刺した“千里眼”のイだったりする。精神的なリハビリも兼ねて仕事を探しに来た筈がよりによって仇敵シリウスの採用試験に参加しているという世の不条理と戦う32歳、既婚である。余談ではあるが二人の子供の母親で子供たちは両親の両方に似ていないそうだ・・・なぜかは“ちんちくりん”こと宇佐木 チカに聞いてみるといい。更に余談だが夫はキム元会長ではなく別の在日だという事だ。

 最後は、前回の試験から1週間が経ち人前に出られるような体臭に落ち着いてきた元“穢れ無き世界”主宰者の益岡老人だ。前回の姑息な手段での成績の水増しがどのような結果を招いたのかは学んできていると思うので、失地挽回を期待したいところだ。


 余計な話だが前回までに採用試験に参加していた元“大日本調伏同盟”“世界救世教会”の“宇宙人”伊達は、子供との面会を求めて施設の前でキャンプを張っていて不参加。元から不審者なんだからきっと施設側も会わせたくは無いだろうな。

 元“大日本調伏同盟”で現“日本と来世を繋ぐ会”の井上は、採用試験に参加したのがバレて現在絶賛監禁中との事だった。居心地が悪くて採用試験を受けたくらいなんだからそんなとこさっさと辞めちまえばいいのに、とは無責任な外野の言い分であって本人の都合やらなんやらが大変なんだろうなと言ううくらいでスルーするしかないな。根津がずっと心配していたからどうにか手を打ってみるべきなのかも知れないな。


《あぁ、これは長々と年寄りの長話に付き合わせてしまって済まなかったでありますな。

 某はこの場を仕切らせて頂く仮の名を“海坊主”という事にでもするのであります。一応は警備部長(並)を拝命している者であります。

 そして某を手助けしてくださるのはこの温泉、毘沙門台温泉を取り仕切る第2事業部主任の・・・ポン太の嫁殿であります》


 こんこんと湯が湧き出る露天温泉の中から人魚が自己紹介をすると、受験者たちは人魚の脇で照れ臭そうにもぞもぞする1匹の狸に目が釘付けになった。


「手助けをする・・・となるとここで何かをやらされるという事ですかな?」

「坊さん、そこじゃなくて人魚と狸しかいない現場がおかしいと思えよ」

「足利サン、ここまで来させられた時点で入社試験の追試だって事は判ってたじゃないですか」


 一応の確認をする足利に対して仲良くツッコむ河間と烏丸・・・はぜろ。


《おぉ、これは失礼したのであります。

 改めて有限会社シリウス採用試験、追々試を始めるであります!》


「だから何をさせんのかって言ってんだろうがよ!」

「高々社長の弟だというだけで偉そうじゃのう。『実るほど頭が下がる稲穂かな』と言うであろう、下手に出れば多少の事は事を荒立てずに済むのに面倒な奴よのう」

「爺さん、アンタみたいに俺は立ち回りが上手くないから上手く言えねぇけどさぁ・・・アンタの言ってる事が間違って無いって感じくらいは解るぜ」


 激昂する狐塚弟に対して益岡老人と一番若い河間の意見が合うって事はまぁちゃんとした神経の持ち主なんだなって思うぜ?

二度と出すつもりがなかった整形不美人を出さなきゃならない所に・・・ね、察してくださいよ


ディーテとポン太の嫁のどちらをメインにするか悩みながらまた来週

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