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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
脈動する悪神と恋する乙女編
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第142話 狐の神様、まだ昔語りをする

話は平治の乱になってきます

いつもながら取り留めも無い話ですいません


今日もよろしくお願いします

【ちなみに狐塚家の先祖に当たる奴や、泰成っちゅうんは】


 葛葉嬢のルーツが葛葉嬢の前世に絡む人物だったとは、中々(もっ)て世間が狭いと言うか。


「でもなんで安倍の本家筋じゃないトコに見つかったんすか?」


【さっきから一般人はちぃと黙っとってくれへんか?

 これからそれを説明しよ思うとったんやからがっつかんでもよろしがな。修験者やった癖、陰陽師の話に食いつきええなぁ自分アンタ

 玉藻の前が朝廷でやらかしとったのは間違いない。鳥羽院が病気がちになったりしたんは玉藻の前の仕業しわざや。

 そやけど保元ほうげんの乱の後の事はちぃとちごうてな、天変地異のたぐいは確かに朝廷から逃れたかった玉藻の前の所業しょぎょうや。ほんでもって不審死の方は配流はいるされた讃岐院さぬきいんの呪いのせいやったんや。

 写経するのに墨やのうて自分の血を使つこうてみたりんだ歌に呪いの符牒を織り込んどったり丑の刻参りなんて当たり前にしとったからな。

 讃岐院は、自分になびかんと鳥羽院やら後白河院やらに付いた玉藻の前も憎うなったんやろな。本人の意思に関わらず寵姫にされてもうたおなごの気持ちも解らんと逆恨みしよったんやろ。

 安倍泰成にチクったんは、讃岐院の息のかかった公家や。

 いつまでも若々しい玉藻の前の様子から八百比丘尼やおびくにの肉を喰ろうたとかいろんな噂を流して追い詰めて、その身を八咫鏡やたのかがみうつさせて正体を暴かせよったんや。さすがにそないなもんに姿を映されたら正体がバレるってもんや。本人が自分の正体にびっくりしとったけどな。

 まぁそないなったら玉藻の前も宮中にはおれへんわな。そん時はホンマやったら単に逃げ出したかっただけやのに追われる身になってもうて天を呪うとったで。多分そん時に前世や前前世での旦那だんさんの存在を思い出したんやろうな。こっそりワテんトコ(稲荷神社)に参拝に来て何が何でも添い遂げたいゆうて願掛けしてたで。

 そして玉藻の前は自分が生き残る為に罠を仕掛けたんや。

 当時の政権を牛耳っとった信西とそれに連携しとった後白河院政派、それに対抗する二条帝親政派はおろか清盛や義朝も巻き込んだ新たな内乱を引き起こして姿をくらましたんや。

 それが『平治の乱』や。

 後白河院に付いたんは源氏の棟梁源義朝(みなもとのよしとも)と院政派の中心藤原信頼(ふじわらののぶより)、そいから同床異夢で独自の政治改革を進めていきよった信西しんぜい

 二条帝に付いたんは藤原経宗ふじわらのつねむねの公卿たち。

 中立を保ったんは平家の棟梁平清盛(たいらのきよもり)や。清盛は信西とも信頼とも姻戚関係があったさかい二条帝側からしたら敵対しとらんだけでもめっけもんやったと思うで。

 これには裏で糸を引いとった讃岐院も自分が思うた以上の大事になったゆうて玉藻の前いやもう九尾の妖狐やな、その力に震えとったそうや】


 災禍を招く魔性の女 玉藻の前の面目躍如って訳か。でも僕の前世はどこにいるんだ?


 ふと横を見るとカオルン少年が我慢できずに舟を漕いで(眠って)いるし、ちんちくりんは遠い目をして夜明けを待っている。年寄りの昔話は長いからねぇ。一方、自分の前世が絡んでいる葛葉嬢は両手を握り締めて食い入るように前のめりになって聞いているし、モブ2号はさっきから質問を繰り返して積極的に参加している。眷属にしてもピュア、ポンのすけ、ポチの年少組は総討ち死にし(夢の世界に旅立っ)てるし、リアルにその時代を経験しているであろうディーテは懐かしむように聞き入っているし、葛葉嬢との付き合いが長いアンジェは時折今の葛葉嬢の様子を確かめながら相槌を打っている。


【戦乱としては保元の乱ほど簡単には終わらへんかった。丸ひと月ぐらいやったかの。

 清盛が京都を離れた隙を突いて事は起こったんや。

 まず初手は各派の眼の上のたんこぶやった信西が信頼一派に殺される。これは二条帝派も協力しての『共通の敵』の排除って奴や。後白河院勢からしても虎の威を借るナントカであくどい事された挙句に自分らのせいにされとった事もあったさかい身内を固める意味で必要な事やった。まぁ二条帝派はちゃんとした武力を持ってへんかったから何も出来へんかったゆう見方もあるけどな。

 さて、信西を殺した後、信頼は新政権誕生を宣言する。これが信西を討つために軍を起こしてから5日目の事や。

 信頼は後白河院と二条帝を囲って自分の正当性を主張して独断専行の限りを尽くすんや。

 囲われた後白河院と二条帝はそら面白うないわな。二人は其々(それぞれ)囲いから逃れて健在をあぴいるして事態はグダグダになっていくんや。その隙に九尾の妖狐はみちのくに向けて落ち延びていく。

 もう誰が国の顔か解らへんようになって二条帝は一か八かで清盛に救いを求めるんや。

 京近辺では一番の武力勢力やった清盛はその訴えを受ける。娘を息子に嫁がせとる信西を殺した信頼を見限ったんやろうな、そして後白河院も出来の悪い手下どもを見捨てる。

 そないなったら昨日までの天下は消えて信頼の手元にあるんは賊軍の烙印だけや。そこまでくるんに十日しか掛かっとらんのやけどな。たった十日の天下や。こりゃ明智光秀が三日天下で滅びるまでの記録やで?

 信頼はのがした大義を取り戻そうと義朝らに平家討伐を命じるんやが、その大義をうしのうて尚且つ本拠地が伊勢の平家と遠い関東からの源氏との合口の悪さのせいもあって義朝たちは大敗をしてまうんや。

 こうやって一月後、最終的に二条帝側が勝ったゆう事になったんやけど、勝った二条帝も負けた後白河院も関わった公家がほぼ全滅状態、武家も平家がほぼ無傷で源氏を追い落とす事になってそいからは平家の天下になっていくんや。

 『平家にあらずんば人にあらず』、これは聞いた事あらへんか?ちょうどこの頃におごり高ぶった平家の公達きんだちが残した言葉や。

 さて京都の公卿どもが一掃されてだぁれもおらへんようになって、すわ自分の出番やと思うた男がおった事を知っとるか?

 せや、讃岐に押し込められてこの騒動を外から見とくしかなかった讃岐院や。

 けどな、清盛は讃岐院を京の都に呼び戻す事はあらへんかった。

 院政復活を目指す後白河院やら親政を目指す二条帝自体はまだ健在なんに余計な魑魅魍魎ちみもうりょうまで抱え込みとうなかったんやな。

 そして清盛が出した命令っちゅうんは『京の都を灰塵かいじんに帰した原因を作った九尾の狐を討て』、やった。

 実際に京の街に火を付けて回ったんは源氏や平家なんやけど、目を外に逸らそうゆう昔からある手口やな。今もどこぞの半島で『のおじゃぱん』とかゆうて失政を誤魔化そうってしとるやからがおるやろ?あれと同じゆうか未だにそうしとるゆうか・・・人って進歩せんもんやの。

 これから話は佳境になるんや、けど?何寝(さら)しとんねん!】


 春はあけぼの・・・じゃなかった春先の深夜に長話をし続ける体力には感心するけどさ・・・こっちは生身なんだけどね?

多少の改変はしてますが流れはこんな感じですね


次回で夜が明ける筈・・・

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