閑話 その頃の喫茶シリウス
別にこんな奴の話書く気はなかったんです!
ただ、ネタが・・・ネタが・・・
なんでここは人気がねぇだか?
静まり返った神様のねぐらでオラはそっと呟いただ。
ねぐらの中では陽だまりで寝こける我が子たち、そしておらを睨みつけるくそ狐ども。
オラが何したって言うだ。ちぃと長う神様のそばにおったからってえらかねぇだぞ!
オラは頼まれて神様の眷属になってるだぞ?だからほれ、オラはでっちだ、オラの子どもは新入りでオラの下でねぇか。
だいたいやな、オラが必死でオロチ様、いんや池の蛇を引き付けてたから神様が勝てただ。その手柄があったからオラは飛び級ででっちになれただだからオラはえらいだ!おめぇらに見下されるわけはねぇだ!
だいたいやな、おめぇらはオロチ様ントコには来なかったじゃねぇだか!
それに比べたらオラの頭を見ろ!この傷を見ろ!この傷はオロチ様ぁ逃げられんように抑えとって暴れたオロチ様のせぇで吹っ飛ばされた時にできた傷だ。いまでもうずくだ。
オラがそんな思いをしたからオロチ様は神様に負けて平和になっただ。ほら、何か言う事ねぇべか?ご苦労様でごぜぇますとか救ってくれてありがとうごぜぇましたとか色々言う事ァあっだろ?
ほれ、言うてみっ!オラのおかげでこの世界が助かりましたってよ。
《この小汚い狸は何者であるかな?》
《よの16番様、こ奴からはこのちび助と同じ匂いがします》
《むの66番よ、そのような臭いを嗅ぐと鼻が病気になるではないかな?このようなモノを中に入れて見よ、衛生面で我らにお叱りが来るではないかな》
《玉藻の前様はもちろんの事、あの小うるさい小娘にエサ抜きにされてしまいますからそのような訳には参りませんぞ!》
くらぁ!オラの話を聞けぇ!
《臭い狸の分際でなんぞ吠えておるな。誰ぞ通訳が出来るものはおらんかな》
《この子狸相手でも話が通じないので御座いますぞ!狸語などに通じる程暇な者は我ら稲荷狐にはおりませぬぞ!》
《もの1011番、むの66番が言うておるのは本当の事かな?》
《残念ながら、このちびどもとも話を出来た者は未だにおりませんので狸とは話が通じないと思われます》
《とは言えこのままでは稲荷神さまになんと申し開きをして良いのやらな》
《稲荷神さまから我らに直に下された命令はこの家の主が帰って来るまでの間、子狸の世話をして不審なるモノを近づけるなと言う物で御座いますぞ!
このようにあからさまな不審者は叩き出すに限りますぞ!》
そんな強硬論を唱える稲荷狐むの66番だっただか?の足元に来た息子が話しかけているだ・・・話しかける?
《おいなりしゃま、オラたちのおっとーをおこんないでほしいだ》
《・・・なんと!この世に出でて半年ほどの子狸の分際で念話を熟すとは!こ奴は天才じゃぞ!》
《おいなりしゃま、オラたちのおっとーはばかでゆーめーなんだって、おっかーがゆうてただ》
《おおう、賢き子じゃぞ!我が念話が出来たのは1歳の誕生を迎える直前であったから半年は早いぞ!》
オラトコのちび共がくそ生意気なアホ狐に声を掛けてるだ、オラと話した事も無かっただでいつの間に覚えただか?・・・ちょっと待つだ、オラの事を馬鹿で有名って言うただか?オラ、そったら事言われた事ァねぇだ!なんかの間違いに違ぇねぇ、誰だ、そったら事ガキに教え込んだんわ!
《このボロ雑巾、何を怒っておるのかな?》
《いちばんえらいおいなりしゃま、だれでもホントのこといわれるとおこるってくーかーさまがいってただ》
《なんと、玉藻の前様がそのような事を言われていたとな。あの方のお言葉とはとても思えぬ含蓄のある言葉じゃな。
あの方は短慮が過ぎる所があると思っておったがこれはちぃと認識を改めねばなるまいな》
オラもお前に言ってやるだ、人の事言う前に自分の事を振り返れってな。
オラは神様とはツーカーの仲だ!こんな腐れ狐とは違って直属だべさ!
《おっとー、直属ってなんだべさ?》
メスのちびがオラに聞いてくるだが、そんな事言える訳ねぇべさ。オラとお前たちじゃ格の差があり過ぎるだ。こんなちっこいのにそんな現実さ突きつけるのは親としてできねぇべ。
《ぽちと言うたかな?この腐れ雑巾は何と言っているのかな?》
《いちばんえらいおいなりしゃま、くされぞーきんじゃねぇだ、オラたちのおっとーだで。おっとーはおいなりさまとちごうて、かみさまとつーかー?で直属だゆうてるだ》
馬鹿正直な子を持つと親は苦労するだで。3本しっぽの腐れ狐がオラに向かって歯を剝き出しにして唸ってくるだ。
そ、そんな顔したってオラは怖くねぇからな!ほら、おめぇたちもオラに加勢しねぇか!
《そうか、こ奴が双頭のオロチ戦であのくそ狸たちの邪魔しおったバカ丁稚であったかな!
片腹痛い物言いをするではないかな!
瘦せても枯れてもこのよの16番、稲荷神さまより授かったいろは48文字の15番、よの字を頂く直参であるな!
おのれのようなゴミボロ雑巾のようなぽっと出に侮られるほどボケも耄碌もしてはおらんわな!
おのれのような廃棄物からこのような出来星が生まれるとは到底思えんな、大方嫁の出来が良すぎてその血だけを引いているのであろうな》
くっそ~、なんかいっぱい言われてるだが半分も意味が解んねぇだ!だども、あの顔つきからオラを馬鹿にしてるのは間違ぇねぇだ!
《念話も碌にできぬ化け狸の分際で我ら稲荷狐に物申すとは片腹痛いわな。
おぉ、良い事を思いついたぞな。
玉藻の前様に、この子狸どもを新入りより丁稚に昇進させるように進言しようではないかな!
ついでにこの不燃物を焼却はできぬやもしれんから降格させるよう重ねて進言しようではないか!
これで我の株も上がって稲荷神さまより昇進の沙汰が来るやもしれんぞな!》
何言ってるか解んねぇだが絶対ぇオラの事馬鹿にしてるだ!おい、ちび共オラはどうしたらええだか?
《かみさまさけぇってくるめぇにやまさけぇったほうがええだ。
おっとーがここさいたら、きっとこーかくされちまうにちげぇねぇだよ》
真剣なちび共の意見を聞いて折角山を下りて神様さ会いに来たども山に帰る事にしただ。
山に帰った後、神様から辞令を貰っただ。毘沙門台温泉分団の分団長として温泉と祠を守ってけろってことらしいだ。祠はオロチ様が抜けてきた小屋を通り道を塞いで使う事になっただ。だもって団員はじっちゃやばっちゃやおっかぁやガキどもがなるって事らしいだ。
だども丁稚なのはオラ一匹だけだで、オラが一番えれぇんだと。神様もオラの事ちゃんと見てくれてるだな。
だども山から下りてこなくてええどういうこった?オラだって街でおっかぁに内緒で遊んでみてぇだよ、ちょっとくらいならええだな・・・そんな思って山さ下りたら眷属の猫又の手下だ言う猫から追っ払われちまっただ。
毛を毟り取られた尻尾を引きずりながら山さ帰って行く途中、神様直々に叱られただ。
大事な山を預けてるのに用も無いのに降りてくるとは何事か、て言われちまっただ。
そうか、オラは大事な山さ守ってるだな。そったらオラは神様の為にも山さ守っとかねぇとな!
山賊野郎と貧乏神の話を書こうとすると筆が止まる・・・その代わりに書いたやつでこのままだと山賊野郎が二度と出て来れなくなっちまう
出したくはないんですけどね
ただ出さないとなると話の終わり方が変わってくるという・・・