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狸なおじさんと霊的な事情  作者: BANG☆
双頭の鮭と迷える狸編
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第109話 狸、ブチ切れる

サブタイトルブチ切れシリーズ最終回 だからと言って盛り上がらないんですが

「僕は我が姫君、葛葉さんに面倒を見て貰いたいと思います」


 4柱の思惑から話がもつれて温泉問題が長引くくらいなら、ほぼ神と同列に扱われている葛葉嬢に任せても構わないと僕は判断した。ぶっちゃけた話、僕もブチ切れたって事だ。


 僕たちは何をしにこんな雪深い山奥に来ているのか。オロチ様退治を忘れちゃ困るんだよ。


 本題を忘れる位なら最初から神様は来なくていい!


【なっ、何を言いだすかと思えばそんなふざけた事を「僕たちは温泉を掘りにこんなところに来たんじゃないって事をご存知ないんですか、毘沙門天様」

 ・・・いや、その・・・我輩はかつての賑わいを取り戻したかのように熱のある毘沙門台に惹かれて来ただけで「それでは本題から外れている、もしくは本題には関与していないと判断しても間違いありませんよね?」・・・】


 毘沙門様は沈黙した。利権争いをしたいだけなんだから当然だよね。


わらわも存外に気持ちの良い湯にのぼせておったようじゃ。枝葉の欲に負けてしもうて面目ないのう。

 ここは無償で妾の加護を進ぜようぞ、それで赦してたもれ。もちろん、この湯の一切の争いからは身を引く所存じゃ。

 ただ、ここは気持ちの良い湯(ゆえ)偶に浸からせて貰える事を赦してはくれまいかのう?】


 素直に引く弁天様には気味が悪いし居続けて乗っ取る気でもあるんじゃないかと勘繰るところもあるんだけど、ここは全権を預けた葛葉嬢におうかがいを立てて・・・葛葉嬢は頭から湯気を上げて固まっていた。


 おいおい、何にフリーズしたんだよ。仕方ない、代返しとくからね。


()()()・・ですからね、・・お忘れなく。・・でも、・・僕たちには・・僕以外は・・・ウーちゃんの・・加護が・・付いていたと・・思いますけど・弁天様の・加護は・・それに・上掛けに・・なるん・ですか?・・重ね掛けに・・なるん・ですか?」


 さり気ない事だけど結構重要だと思うんだよね。


【普段だったら妾の加護に上掛けしてしまうのじゃが、ここは恥ずかしい所を見せてしもうた事もあり、重ね掛けと言う所で機嫌を直してはくれまいか?】


【それは良い考えかと。幸いと言うかここに集うておるのは戦神武神ばかり。皆々様も御同意でありましょうか?】


 随分と乗り気のお諏訪様が弁天様に便乗すると毘沙門様とヤサカ様も頷く。


 ・・・ちょっと待て。以前霊力を測定した時の事を思い出せ。


 実は、眼に力を籠めて首筋を見るとソイツの持っている霊力と傾向が僕には見えるんだ。霊能が無いヤツなら生首が浮かんでいるように見えるしあるなら首のあたりにそれぞれの目安が光って見えるんだ。強ければ明るく太く弱ければ暗く細く神性が強ければ青く魔性が強ければ赤くといった具合にだ。


 因みにウーちゃんは青緑で目が潰れそうに光ってたな。


 ウチのメンバーだったら一番霊能が低いカオルン少年ですら青紫の鈍く光る綱、アンジェが緋色に輝くマフラー、葛葉嬢に至っては直視できないほど輝く深紅の特大マフラーと言った感じだね。九尾の狐かぁ。要は葛葉嬢の魔性の強い霊能に神々の加護が重ねられたら相殺されて能力が減衰するんじゃないのかって事だ。


「神性の加護を魔性の霊能に掛けると霊能はどうなるんです?お諏訪様」


【反発しあって爆発するか封印されるか二つに一つでしょうね。オロチ様っでしたっけ?妖怪上がりの亜神だったら未来永劫封印からは逃れられないでしょうね】


「それをうちの姫様に掛けようってんですね。【【【【えっ?】】】】

 という事は、オロチ様退治ってのは単なる呼び出すための方便で()葛葉に封印をしたかったという事ですか?【いやいや、そんな事は】

 いやぁ、すっかり猿芝居に騙されていましたよ。お諏訪様、貴方は奥様まで呼んできて葛葉を沈黙させたかった、そうでしょ?【先生、我は裏切ったりは致しません!】

 随分と迂遠な計画でしたね。

 ウーちゃんと一緒に現れて人畜無害を演じ続けて僕たちの信用を得るとか御見それしましたよ。あっでも神様にとっちゃ1年とか2年くらいだったら大した事無いのか。【ちょっ、ちょっと待て!話せばわかるから!】

 こんな山奥の案件に神様が武神ばかり4柱も集まるとか不自然にならないように用意周到でしたね。【我が妹は農業神なんですよ!】

 こうなったらオロチ様なんてどうでも構いません。【せっ、先生!お気を確かに!我らに害意は御座いません!】

 決着を着けましょう、葛葉、薫、アンジェ、ピュア、ディーテ。最後の一暴れに付き合ってくれるかい?」


 何度も呼び捨てにされて特大の威圧を振りまく葛葉嬢に拳に指抜きグローブをめ札の準備をするカオルン少年、そして本性を現して神々を牽制する眷属たち。そして、僕。


 一方纏まりかけた話が土壇場でひっくり返って大慌てする神々。


 遠くでポン太が恵比寿廟に向かって平伏ひれふしている、オロチ様に事情を説明でもしているのか?


 それじゃあ一発かましましょうか、振り回され続けた男の最後っ屁にのたうち回るがいい!

この程度で星をくれと言うのも烏滸がましいんですが出来ましたら頂けましたら嬉しいです

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