幸せな過去 1
時期は冬
私と凪紗と琉夜が中学3年生で
琉稀が高校1年生だった時
冬のイベントといえばバレンタインだ
私は例年通り
どんなチョコを作ろうか
誰にあげようかなど考えていて
気分はウキウキ状態だった
毎年友チョコと世話チョコしか作ったことの無かった私だったが
この年は生まれて初めて本命チョコを作ったのだった
初めての本命チョコを渡した相手
つまり初恋の相手は
琉夜だった
物心ついた頃からずっと一緒にいた
中学校にあがっても琉夜以外の男の人とはほとんど話さなかった
まとめると
小さい頃からずっと好きだった
好きだと気づいてからは琉夜の顔をまともに見ることが出来なかった
きっとあいつは面白いぐらい私の気持ちが分かっていただろうと
思うぐらい以前と態度が違っていた
バレンタイン前夜
今までの自分の態度とチョコの渡し方とか考えていたら
心臓がバクバク鳴っていてあまり眠れなかったのを覚えている
当日
どうしようかと思いながら琉夜を眺めていた
一人になったところで渡そうと思ったが
なかなか一人になってくれなかった
時間が過ぎるのは早くて気づけば放課後だった
ここまで来たらあいつが帰るときにさっさと渡そう
そう思っていた
しかし私の考えは甘かった
「…………!」
本気で告白している人発見
凪紗が琉夜にだった
「え……?」
引きつった笑顔しか出来ない
なんで?
凪紗が?
琉夜に?
その時の私にの頭には
ハテナしか並んでいなかった
しばらく話しているのを見ていると
凪紗が帰った
飛び切りの笑顔で
「バイバイ!」
と言って……
「ねぇー琉夜は凪紗の……こ、ことが……す……きなの……?」
はっと気がつくと
私は琉夜に抱きついて
おかしくなっている声で言っていた
「もしそうだったら? ……ってちょっ!おまっ!な……」
この琉夜の異常な態度で
初めて私は泣いていたという事に気がついた
「はぁ……好きな人はいるけど凪紗じゃねー その子は今から俺にチョコを渡そうとしている子だ」
「グズッ……へ?」
「ん? お前俺にチョコくれねーの?」
「え……あ、げる」
涙をふいてバックからチョコを取って初告白
「えっと……好きです」
目をぎゅっとつぶっていった
琉夜のことを見ることが出来なかったから
なんて言われるか恐かったから
その瞬間
私が今までに感じたことの無い温かさがあった
それは私を優しく包み込んでいた
急いで目を開けると
琉夜がいたずらっぽい笑みを浮かべて私を見ていた
そして私の事を抱きしめていた
「へ?」
「面白いな緋那」
今の状況がよく読めていなかった私に琉夜は
キスをした
初めてのキスは優しくて温かい感じがした
その後私達は付き合った
彼氏がいるってだけで
こんなに毎日が楽しいだなんて知らなかった
ちょっと話しただけで気分が舞い上がって
すごく楽しかった