不満な毎日
私は普通の学生で普通に学校に通っていた
幼児の声がする幼稚園を通り
毎朝道に水をまいているおばさんにあいさつをし
学校にこないあの人とあいさつを交わして学校通っていた
そして学校では友達と楽しい話をする
部活動をしていない私は学校が終わると朝来た道を通って真っ直ぐ帰る
そんな毎日が嫌なわけではないが
わたしのこころが満たされないと言うかなんと言うか
つまらなかった
だがある日私の日常の中で異変が起こった
同じ学校だがいつもサボって学校にこないあの人
梧琉稀が行方不明になったのだ
あの人が居なくなることは珍しいことでは無かったのだが
一ヶ月も家に帰らないなんていう事は一度もなかった
「またすぐに戻ってくるに決まってんじゃん過保護な親だなー……」
私は簡単に考えていた
そして私はまたいつも通り通学していた
「…………な!」
遠くから声が聞こえる
大きな声でとてもうるさい
「おい!シカトしてんじゃねーよ摘楼緋那!」
どうやら私の事を呼んでいるようだ
「うるさい!私に何の用?」
声の主は梧琉夜だった
行方不明のあの人の弟で私の幼馴染だ
「緋那は兄貴の話聞いたよな?」
「うん で?」
「……その反応じゃお前も知らねーみたいだな」
「当たり前だろう 仮に知っていたらお前らに教える……
ていうか目障りだから今すぐ私の前から消えて」
「相変わらずだな……お前ってやつは」
そういうと学校とは反対の方向に走っていった
元々制服を着ていなかったから
サボる気満々だったのは見えていたがな
私はいつも遅刻ギリギリに学校に着く
だが今日は遅刻してしまった
琉夜と話していたからだろう
チャイムが鳴り終わって教室に入ると
桐流巽先生がいた
「摘楼今日は遅刻だったな 放課後生活指導室に来いよ
今までのぶんも説教してやるからよ」
私はそいつの言葉を無視した
「おはよう凪紗」
「おはよう緋那今日はアウトだったねーっていうか髪染めたよね今のほうが個人的に好き」
笑いながらそういったのは私の親友の季柳凪紗だ
幼稚園の頃からずっと一緒だ
頭が良くて学校のテストではいつもトップ10に入っているのだが
運動の方はワースト1という
ドラマやアニメに出てきそうなかわいい友達だ
そして私とあの人の仲を知っている人
「季柳も摘楼と一緒に指導受けるか?」
私の態度に切れた桐流が言った
私も苛ついたんで一言
「凪紗はかんけーねーだろう!!」
……のつもりが蹴りまで入ってしまった
あの人は帰ってこないし
琉夜のせいで遅刻するわでイライラしていた私は
一応謝ってから保健室に行った
部屋には瑞祈綺先生がいた
「綺ちゃんおはよー 冷蔵庫のジュースもらうねー」
「あら、おはよう リンゴジュースでいいならどうぞ」
「え、みかんジュース無いの? ま、いっかリンゴでも…」
私は学校で授業はまともに受けない
気が向いた時にちょっと勉強しにいくだけで
大抵は保健室で楽しく過ごす
先生と言うより友達感覚の綺ちゃんは
見た目は彼氏とかがいても可笑しくないくらい
美人で綺麗で
私達生徒とそう大差はないくらい若く見える人だ
実際の歳はいくつか知らないが……
性格は一言で言うなら面白い人
私達と同じようでとても明るい人だ
だが物事の考え方や見方は少し違う
だからよく相談に乗ってもらっている
綺ちゃんは私にとって優しいお姉さんのような人だ
私はそんな綺ちゃんと保健室の仕事をしたり
テレビを見てお菓子を食べながら世間話をしたりするのが
大好きだ
今からやることは健康観察簿の整理だ
これが結構大変で
学校の授業の約1時間分使う
「ねー緋那ちゃん梧兄の話だけどさー……」
「んー?」
あの人のことについての話はほとんどしない
が
2人だけ……
凪紗と綺ちゃんは例外でよく相談する
絶対的信頼がある二人だから……
「知ってるでしょ」
「……はいっ?」
「いろいろと……」
綺ちゃんは私の心の中が読めるのか?と
聞きたくなった
綺ちゃんの言うとおりだった
私は全てを知っていた
ではなぜ梧弟の琉夜には嘘をついたのか
答えは簡単だ
私はあいつの事が死ぬほど嫌いだからだ
例えあいつがこの世を去って帰らぬ人になっても
これっぽっちも涙はでないだろう
むしろせいせいする
私があいつのことをこんなに嫌っている理由
あの人の事を知っている理由などを説明するためには
約2年前に戻らなければならない……