099 カードマジック
俺の出来るマジックは1つだけ。
選んだカードが常に一番上になる、っていうアレ。
しかし、なんだろうね。
子供は好きじゃないから来られたら困るんだけど、全然来ないとマジックでもして見てもらいたい。
面倒くさい? ほっとけ。
「ほら、途中に挟んだはずのカードが上にある!」
「「「ふ~ん」」」
あれっ?
反応が薄い?
「……主殿」
「なんだい、アンドロマリウス」
「ちょっとこちらへ」
アンドロマリウスに建物の陰に連れてこられた。
何か発見があったのだろうか?
「この世界には魔法があります」
「? うん、そうだね?」
「私のような悪魔という存在も認められています」
「そうだね」
「そんな世界で、カードが上がるマジックを披露しても効果は薄いですよ」
…………そりゃそうだ!
ウケない意味が理解出来た!
はっ! だからなのか!
ラノベの主人公が異世界に行って披露するのは、料理が多いのか!
一番判りやすく理解してもらえるから。
いやいや待て待て。
味覚も同じとは限らないじゃないか。
いや、それを言い出したら異世界自体問題か。
空気内の窒素や酸素の配分が少し違うだけで、呼吸出来ないらしいって聞いた事ある。
……平行世界みたいな所に送られてるって事にしておこう。
こういう事をアンドロマリウスに話したら、真面目に返答された。
「世界は神が作っています。
その神が行かれない環境を作る訳がありません」
「なるほど。でもさ、ほら、地球は恐竜とか居た時代とかあったじゃん?」
「それは作られた過去です」
「作られた?」
「はい。人間の歴史は正しいですが、それよりも昔の事は作られました」
どういう事?
「そういう発見をして、そういう歴史になるように作られています。思考誘導もされていますね」
「マジで?! じゃ、じゃあ、発見される古代遺跡とかは?!」
「歴史的にありえない遺跡とかですか?」
「そう、それ!」
「あれは神の遊びです。謎の遺跡とかロマンがある、という事で作られています」
なんだそれ!
確かにロマンがあるけども!
こんなの日本に帰ってから発表しても、笑われて終わりだわ!
まぁ、そもそも神とか言った時点で、日本なら笑われるけどね。
どうでも良いけど、でもなんか知りたくなかった情報だった。
そんなバカらしい話をしていると、パイモンが走って帰ってきた。
手には何かのカードが握られている。
あれ? そんなあっさり発見?
発見までに紆余曲折あるもんじゃないの?
そこら辺に落ちてました~みたいに持って来るもの?
「総裁クラスだったー!」
マジで?! 本当に?!
そのレベルのカードをあっけなく発見して良いの?
悪魔カードの中でも最強クラスだぞ。強いんだぞ、多分。
実際、日本でそのカードゲームやってた時は、一度も入手出来なかったから知らないんだ。
でも情報としては知っている。場をひっくり返す事が出来る程の能力だったはず。
確か7枚あるんだよね。
さて、どのカードが手に入ったのだろうか?
便利なカードだったら良いなぁ。
すみません、まだ体調が戻らないです。
次の投稿は6月1日(月)の予定にしています。
よろしくお願いします。