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097 孤児院の情報

話をしていると、兵士さんが誰かを連れてきた。

小太りの40歳くらいの男性。


「王太子殿下、領主様をお連れしました」


領主様でしたか。

どうりでこの場に居る全ての兵士が敬礼していると思った。


「そちらにおられる方が聖人様ですか」

「その通りです」

「お初にお目にかかります。

 私はダンメイの領主をしている、クラシ・ダンメイと申します。

 どうぞ、よろしくお願いします」

「あっ、これは丁寧に。えっと、リョウスケと言います」


丁寧な挨拶をされてしまった。

しかも胸に左手を当てて、礼をされた。

これが宗教的な礼の仕方なのだろうか?


「ここまでの道中に軽く話を聞いたのですが、何故聖人様が詰め所に?」

「話せば長くなりまして……」

「リョー、ウソをつくな。ただの勘違いだろ?」

「うっ……」


王太子め! 図星を言うんじゃない!


近くに居た兵士さんが、領主様に細かく説明している。

全て聞いた領主様はこちらに向いて、また礼をした。なんで?!


「勘違いをしたとしても、それは孤児院の外見や細かい運営状態が判らないからでしょう。

 問題無いと今までのように運営していた、私に非があります。お許しを」

「いえいえいえいえ!! 俺が悪いんです! 頭を上げてください!!」


まさか謝られるとは!

皆からは避難の目を集めている。

俺もそっちの立場ならそうするだろう。助けて。


「領主様、良ければ孤児院の事を教えてもらえますか?」

「判りました」


助かった。頭を上げてもらえた。


兵士さんが椅子を勧め、領主様が机を挟んで俺の真向かいに座った。

王太子達は俺の横に移動してきた。

アンドロマリウスは俺の後ろに立って警戒している。


「ダンメイ孤児院ですが、運営費は領と冒険者ギルドが払っています」

「冒険者ギルドが?」

「ええ。悲しい事に孤児の多くが、兵士と冒険者の子供ですので」


なるほど。

孤児になる原因になる所が運営費を払っている、と。


「二箇所が半額づつ払っている事で、どちらか片方の不正を監視する事にもなります」


確かに。

よくある、役人とかが不正をして着服して運営費を減らす、って事が出来なくなる。

冒険者ギルドからのお金は減らないのに、何で領からのは減るの?って事になるからね。


「運営者は他の領から来た役人がやっています。これは法で決められています。

 なので、我が領も他の地域に孤児院運営の者を送り出しています。

 その他の働いている人は、この領内の者ですが」

「そんな決まりがあるの?」

「あるぞ。横流しなどの不正を防止する為の法律だな」


王太子に聞いてみた。

ま、自分の部下なら自由に出来るけど、他の所の部下なら自由にならないって事か。

買収すれば可能だろうけど、買収しようとした事を報告されたらアウトだから、やりにくいだろう。

その人に給料払ってるのも他の領主だし、脅しにくいね。


「これにより、可も不可もなく運営しております。

 食事は1日3回。日中は勉強をさせています。15歳前後で卒業し就職に出ていきます。

 それ以外ですと、どこかの家に養子として引き取られる事が稀にありますね。

 主な就職先は商家や、国営や領営の施設です」


子供の頃から教育されるのであれば、そりゃ優秀な子供になるだろう。

それを雇えるようにしてあるのか。バカな役人が増えない、良いシステムだ。


っていうか、聞けば聞くほど、バカな事をする子供が居る訳がないと分かる。

経営も良心的っぽいし。

そして、俺のバカっぷりがどんどんクローズアップされる……。


「そうだ! どうでしょう?

 この後、一緒に孤児院を視察されるというのは?

 聖人様が行かれれば、子供達も喜びます!」


それはどうだろう?

自分、何も成し遂げていませんが?

神様に物探しをさせる為だけに送り込まれただけですけど?


俺よりも、王太子や姫様が行った方が歓迎されると思いますよ。

そうだ、それを提案しよう!


「王太子や姫様が行った方が歓迎されると思いますよ?」

「それもそうですね! どうでしょうか?」

「ああ、良いぞ。聖人様と一緒に訪問させてもらおう」


リョーは回り込まれた! 逃げられない!

申し訳ありませんが、体調が悪く今週の投稿は無しになります。

25日から再開する予定です。

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