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096 ラノベを説明する

少し待つと、兵士に連れられ王太子とアイザックさんがやってきた。


「間違いなく自分の妹と“聖人様”です。

 そちらに居る執事のような者は“聖人様”が使役している悪魔です」


身元の保証をしてもらった。

お陰で開放される……とはならなかった。


「さて、何で後をつけたりしなのかな?」


王太子による尋問が始まったのだ!

取調室だから、逃げられない!

さっきまで取り調べをしていた兵士さんも聞きたそうだ!


これは、観念するしかないようだね。


「えっとね。俺の居た世界にはラノベという小説、え~と物語を書いた本が執筆されているんだ。

 本は安く作られているので、庶民でも簡単に購入出来る。

 しかも子供の時から学校に入り勉強しているので、読み書きも出来る」


ここは説明しておかないとね。

こっちでは本が流通はしているが、決して安くはない。

安い本で、日本円で5万くらいする。

印刷技術が発展していないので、しょうがないのだが。


ちなみに印刷は、誰かが書いた物を魔法で転写しているそうな。

元になる文書を、魔石とか呼ばれる物を砕いてインクと混ぜ、それで書くのだとか。

そうすると、魔法に反応して転写が出来るようになるらしい。


ちなみにちなみに……、濃淡は関係無いそうなので、水に混ぜて書くと見えない文書の出来上がり。

転写出来る魔法使いのみが読むように出来る。スパイみたいだ。


閑話休題


「で、そのラノベって作品というかジャンルなんだけど。

 最近流行りなのが、異世界の話なんだよ」

「ほう。それで?」

「その中で結構頻繁に出てくるのが孤児院なんだ」

「それで興味を持って、後をつけたと?」

「そうです。私が変な人です」

「開き直るな」


ギャグはスベったが、少しは理解してもらえたようだ。


「何で頻繁に孤児院が出てくるんだ?」

「え~? そこは察してよ」

「いや、世界が違うんだから無理だ」

「ちぇ。だからね? 孤児院に主人公が行くだろ?

 そうすると大体孤児院は何か問題を抱えてる訳。貧乏だとか、シスターが美人だから迫られてるだとか。

 それを主人公が解決する訳。するとどうでしょう?

 そうです! 主人公の好感度が上がるんです!

 ついでに子供キャラが出てきて読者を引きつける! 美人シスターも何故か主人公に惚れてハーレム要員に!」

「判った判った。判ったから熱く語るな」


止められた。

ちぇ。ここからだったのにな。


「話をまとめるとだな。

 つまり、孤児院が困っているだろうから、助けに行った、と」

「その通りです」

「……最後の質問だが、どうして孤児院が困っていると思った?

 本ではそうだから、ってのは無しだぞ?」


先に釘を差されてしまった。

まぁ、事実を話せば判ってもらえるだろう。


「通りで子供にぶつかりそうになったんだ。

 アンドロマリウスが助けてくれて、ぶつかる事は無かったんだが。

 あれは多分スリをしようとしたんじゃないかな、と思った訳。

 そうなると、孤児院の子供はスリをしないと生きていけないくらい困窮しているのでは?という結論に達する訳」


どうですか、この推理。

某、高校生の子供が小学生の子供になった探偵並の推理じゃね?!

結局子供じゃないかよ!


「…………ファーはどう思った?」

「ぶつかりそうになったのは事実。見てたから。

 でも、その子供も、リョーも、どちらもよそ見してたからぶつかりそうになったんだと思う」

「アンドロマリウスさんはどうです?」

「とても心苦しいのですが……あの子供はスリではありません」


なんと! ここに来て味方が裏切るだと!

それも王道と言えば王道だけど!


「アンドロマリウス、それは本当か? ウソだと言ってくれ!」

「すみません、主殿。私の能力を使っても、あの子供は何も企んでいませんでした」

「そ、そんな……」

「つまりリョーは、勘違いしたただの不審者だという事だな」


そんなオチは止めて!!

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