094 ダンメイに到着!
こんにちは。魔法の使えない俺、リョーです。
本日、ようやくダンメイの街に到着です。
あ~、魔法を覚えたかった!
門はいつものように、王族の家紋でほぼスルー。
このまま宿屋へ直行。
借りた部屋で会議です。
「今から領主の所に行ってくる」
「私は冒険者ギルドに行きます」
王太子とアイザックさんの予定は決まっていた。
姫様は?
「私は……どうしようかな? リョーに付いていようかな」
「俺に?」
「そう。どうせ出かけるんでしょ?」
「まぁね。悪魔を呼んで、カード探しもしたいし」
「それに付いて行けば安全でしょ?」
確かに。
日本と違うので、女性が一人でウロウロするのは危ないからね。
部屋で待機って言われても、一人では退屈だろうし。
予定も決まったので、早速行動開始。
俺は宿を出てすぐ路地に入り、隠れて悪魔を召喚する。
何で宿で呼ばなかったかって?
宿で部屋に入ってから呼び出したら、宿泊客が一人増えたみたいに見えるでしょ。
俺の考えじゃなく、王太子にそう言われたので、外でする事にしたんだが。
呼び出すのは、便利な悪魔であるアンドロマリウス。
伯爵クラスなので召喚可能時間は長いし、執事のような格好なので目立たないのだ。便利。
3人で街を歩く。
一番発展している街と言われるだけあって、建物から違う。
壁がコンクリート製っぽいのだ。
石やレンガ造りの建物は今までもあったけど、コンクリート製なのは無かったと思う。
ちなみに何でコンクリート製じゃないかと思ったか。
それは積み上げてあるのではなく、壁が一枚物だから。
継ぎ目が無いのだ。
そして、塗ったようにコテの跡が見える。
ま、もしかしから、レンガ造りで、表面だけ塗ってある可能性もあるけど。
さすがに他人の家を叩いて確認する訳にもいかないからね。
それから足元。
と言うか、地面。
今まではこちらも石が引いてあった。
50cm角くらいの石を規則正しく引いた、いわゆる石畳って言われるタイプ。
でもこの街は違う。
細かい石が引いてあるのだ。え~と確か砕石って言うんだっけ?
これを引いた後に、どうやったのか知らないけど押し固めてある。
現代だと、ローラー車とかで踏み固めるんだろうけど、ここではどうやってるのだろうか?
しかし、石畳とコレ、どっちが良いんだろう?
石畳の方が頑丈に見えるんだけどな。
答えはアンドロマリウスが知っていた。
「この砕石舗装の利点は、馬が歩きやすい、水捌けが良い、補修が容易、等です」
へ~、そうなんだ。
キョロキョロしながら歩いてたら、子供とぶつかりそうになった。
アンドロマリウスが引っ張って、避けてくれた。
俺はその瞬間、閃いたね!
きっとこの子はスリだ、と!
そして、孤児院育ちだと!
だって異世界の常識じゃん!
俺達は、その子の後をつける事にした。
姫様は呆れてたけど、付いてきてくれるようだ。