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084 ウァサゴ

轟音と埃で、周囲が何も確認できない。

その状態でも咄嗟に窓を開けたアイザックさんは優秀だと思う。

それに比べて俺の部下である悪魔は……人が1人通れるくらいの穴を開けて自慢気に立っている。

弓でどうやったらそんな穴が開けられるのかは疑問だが、それよりも言う事は別にある。


「ごほっ、おい! お前はアホかっ!」

「なにをノコギリで喋るみたいな事言ってるんだ?」

「たまたまだよ! こういう場合、普通は解除方法を探して入るものだろうが!」

「え? 破壊の方が早くない? 楽だし。

 それにさ、ほら見て! ちゃんと一人分だけしか壊してないぞ! 俺優秀!」

「そういう問題じゃない!」


どうしたらこいつを躾けられるだろうか?

俺には無理だ。王太子とかでも無理だろう。人間の身分とか考えて無さそうだもん。

ん? 身分? 試してみるか。


「お前が反省しないならしょうがないな」

「な、なんだよ……」

「お前のクラスは公爵。ならば、大公もしくは王クラスを呼んで叱ってもらおう」

「はぁ?! ちょっと待て!」

「待たない」


俺はすぐさまカードを取り出し召喚する。

呼んだのはヴァサゴだ。



------------------------------------------------------------------------------


ウァサゴ(白羊宮)大公

 姿:男の老人

 能力:失せ物探し


------------------------------------------------------------------------------



ウァサゴを選んだ理由は、その能力、失せ物探し。

隠された物は失せ物じゃないので、意味無いかもしれないと思ってバルバトスを呼ぶ前に選んでたカード。


しかしどこかで見た事あるフォルム。

あっ、思い出した。ドワーフって呼ばれる種族だ。

低い身長、筋肉隆々、白いヒゲ、バイキングのようなヘルメット、手にはツルハシ。うん、ドワーフ。


「ウァサゴ、御主人様の招聘により参上致しました」

「ありがとう」

「いえ。要件は見ておりましたので判っております。

 バルバトス……戻ったら『教育の時間』だ」

「ひぇっ! リョーさん、助けて!」

「御主人様を『リョーさん』呼びだと?」

「間違えました! ごしゅじんさまです!」

「ふふ、心配するな。王クラスと大公クラス全員が帰還を待っているぞ?」

「帰りたくない!!」


うん。やっぱりクラスが上の悪魔は怖いようだ。


「じゃあバルバトスは送還するね」

「待って、ごしゅじんさまー!」

「え? だってさっき俺が止めようとしたのに止まらなかったじゃん。

 じゃあ俺も止めなくて良いよね?」

「ごめんなさい! 反省してます! だから待……」


帰してやった。

あっちで反省すると良いよ。


「では、次は失せ物探しですな」

「うん、そうなんだ。ヒントのある場所は判るかな?」

「お任せを」


ウァサゴは迷い無く隠し部屋に入っていく。

俺も続いて入る。そこは小さな書斎って感じで、机と椅子、それと色々な書類のようなものがあった。

と言っても、書類は爆風で散乱しているけど。

この部屋、何に使ってたんだろうね?


ウァサゴは散乱している書類から、1枚を手に取りこちらに来た。


「これで御座います」

「これがヒントってやつ?」

「はい、その通りです。他の場所ではなく、この部屋にありました」


お~! 最初の場所で発見出来るなんてツイてるな。

喜んでると、領主さんがやってきた。


「聖人様、この部屋だけでなく、教えられた場所全て調べてもよろしいでしょうか?」

「え? それは領主様の思う通りにしてください。

 それで、この書類?ですけど、貰っても良いですか?」

「何かは判りませんが、聖人様が必要ならばお持ち下さい」

「ありがとうございます」

「その代わりと言ってはなんですが、他の3箇所の位置を教えて頂けませんか?」


そう言えば具体的な場所は聞いてなかった。送還は早まったか?


「御主人様。そちらについてもお任せを。

 『あると判っているのに発見出来ない物』は全て『失せ物』です。私なら発見出来ますので」


そうだったのか。

最初からウァサゴを召喚してれば良かった。失敗したね。


しかし……この壁、俺が弁償しないといけないよなぁ…………。

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