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083 推理小説好きなんだ。特にドイルさんの。

「会話出来ないなら探せないね。じゃあ帰ってもらうか」

「待て待て! 待てって! 俺に任せとけって!」

「え~、他の悪魔呼んだ方が良くない?」

「だ~いじょうぶ! 大丈夫だから」


まぁ、そこまで言うならお願いするけど。


「どうやるの?」

「話してる事を理解する事は出来るんだ。つまり片っ端から会話を聞いて回れば良い」

「そうだろうけど……手間じゃない?

 それにさっきみたいに姿見たら逃げ出すんじゃないか?」

「おいおい、ハンターを舐めんなよ? 隠密行動なんてお手の物だっつーの」

「なら頼むよ」

「おう、任せとけ! これ終わったら狩りだからな~~~!」

「そんな約束してないぞ! おい! 待てって!!」


止める間もなく走り去ってしまった。

お前公爵だろ? 召喚時間6時間しか無いんだぞ?

片っ端から聞いてまわってたら、狩りの時間なんか残らないんじゃない?


あっ、そうだ。忘れてた。デカラビアを召喚して仕事させとこう。



待っているのも退屈なので、アイザックさんと街に買い物に出た。

購入するのは勿論海産物。

〆てもらえさえすれば、アイテムボックスに入るんだから、買わない手はない。

多種多様な物を買ってまわってたら、バルバトスが帰ってきた。


「何で屋敷に居ないんだよ!」

「何で俺が何かを言う前に走り去ったんだよ!」

「……。捜し物だけど、怪しい所を見つけたぞ」


何という分かりやすい話題転換!

まぁ、良いか。見つけたのなら後はそこに行くだけだ。


「じゃあそこに行こうか。どこ?」

「ん? 全部で4箇所あるけど?」

「はぁ?!」

「たった4箇所じゃんか。順番に行けば良いだろ?」


そう言われればそうか。

なら、近場から行くか。護衛も居るしさ。


「一番近いのはどこ?」

「ここから40mくらい行った先にある、店の地下。隠し部屋があるんだってさ」

「……。ザック、質問です。ふらっと立ち寄って、入れてもらえると思いますか?」

「無理です」

「だよねー」


しょうがないので、領主さんの館に戻った。

王太子、姫様、領主さん、3人も呼んで会議です。


「バルバトスが言うには怪しい所が4箇所あるらしいんだ」

「全部回るのか?」

「ヒントを発見するまでは行くしかないと思うよ」

「場所は?」

「バルバトス、場所はどこかってさ」

「えっとな、ある店の地下の隠し部屋、教会の神像の下の隠し通路、海辺に隠されてる洞穴、この屋敷の二階にある隠し部屋」


これを聞いた領主さんが慌てている。

そりゃ隠し部屋を暴露されたら慌てるよな。

しかも王太子や姫様が聞いてるし。


「こ、この屋敷に隠し部屋があるんですか?!」


違った。知らなかったようだ。


「あるぞー。二階の寝室と図書室の間に」

「そ、そんな近くに……」

「出入り口は図書室だけどな」


どうやらその寝室は領主さんが使っているらしい。

とりあえず全員で図書室へ向かった。


「変わった所は無いみたいだね」

「どうやって入るの?」


王太子と姫様は寝室側の本棚を構っている。

この時、俺はふと思い出した! 某有名な推理小説を!


「外から見た屋敷の長さと全ての部屋を合計して、差が出るはずだ!

 それが隠し部屋だ!」


確かそうやってイギリス紳士は見つけていた。

これが知識チートというやつか!


「リョー、隠し部屋があるのは判ってるんだから。広さはどうでも良くない?

 それよりもどうやって開けるかよ?」

「…………」


姫様の正論が心に痛い。

だが、負けるか! 彼の物はちゃんと開け方も知っていた!

そして勿論、俺はそれを覚えている!


「この部屋で煙を発生させて、『火事だー!』と叫ぶんだ!

 そうすれば、中の人間が慌てて開けて出てくる!」

「……リョー、中に人間って誰よ?」


……そう言えばあの話って、死んだふりして隠れてたという内容だった。

誰も中に居なきゃ意味の無い作戦だわ。


だ、だが、俺は負けない!

図書室で隠し部屋とくれば、本を動かすと開く事に決まっている!

そう、決まっているのだ!


「ふっ、こういう時は本を……」

「入るなんて簡単じゃねぇか。この向こうに隠し部屋があるって判ってるんだろ?

 じゃあ、この本棚壊せば入れる。それだけだ」


俺の言葉を遮って、バルバトスが暴力的な提案をした。


いや違う。提案じゃなかった。もう行動に移してた。


こいつ、止める間もなく弓を引き絞り、本棚に向かって発射しやがった。

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